導入前の課題
1884年の創立以来、エネルギーや化学プラントなどの社会インフラをはじめ、高度な技術とエンジニアリングによる幅広い分野で事業を展開する三菱重工グループ様。人事部門における戦略機能や事業支援機能の強化、環境変化への適応を目指して、HRDXに取り組んできました。
今回、同グループのHRDXプロジェクトについて、三菱重工業株式会社(以下、三菱重工業)のHRマネジメント部の横塚さん、MHIパーソネル株式会社グループ支援第二部の長尾さんのお二人にお話を伺いました。
![]() 三菱重工業株式会社 |
![]() MHIパーソネル株式会社 |
「POSITIVE」※は高度なグループ管理を実現する統合HCM(Human Capital Management)ソリューションで、当社の新たな国内グループ統一基幹人事システムとして導入されました。
しかし、既存のシステムからの大幅なUI・運用方法の変更により、ユーザーの間でなかなかシステムの定着が進まないことが課題でした。事前に人事部門からシステムリプレイスの案内や新システムのマニュアルなどを全社的に発信していたものの、システム運用開始後は問い合わせが急増していました。また、申請データの誤入力などにより差し戻し件数も増加し、ユーザー・人事担当者ともに業務負担が増加していることも課題となっていました。
当時、ユーザーが自ら疑問点を解決するには、別サイトにあるマニュアルやFAQから必要な情報を探す必要があったため、ユーザーが情報を即時に取得でき、疑問点を簡単に自己解決できる状態を用意することが必要であると考えました。
そして、それを実現できるデジタルツールの導入を検討する過程で「テックタッチ」の存在を知りました。
「テックタッチ」は「POSITIVE」の画面上において、ツールチップを用いたナビゲーションをつくることで、ユーザーにマニュアルへの容易なアクセスや各記入項目の詳細情報などを提示することができます。この機能を通じて、ユーザーのシステム利活用における疑問点の自己解決を促進でき、現在抱えている課題を解決できると考えました。
導入の決め手は、管理者にとってナビゲーションの作成が容易で操作性がよいこと、システムごとに段階的に導入できること、そしてテックタッチ社のカスタマーサクセスによる手厚いサポートがあることです。
導入当初は類似の製品を扱う数社を比較検討していましたが、「テックタッチ」はコーディングの知識がなくても扱える製品であるため、実装後も自分たちで管理・運用をしっかりと行うことができる点が魅力でした。また、トライアル期間に上層部・人事関係者・ユーザーなど様々な立場の人にシステムを利用してもらい、導入に対して前向きな声が多かったことも印象に残っています。
活用方法と効果
実際に「テックタッチ」を導入してみると、その導入の容易性には驚かされました。ITの専門家ではない当社の担当者でも、容易にナビゲーションの作成を行うことができ、3ヶ月で導入を実現することができました。
また、基幹人事システム側には一切の設定変更を加える必要がなかった点や、「人事異動⇒人事考課⇒身上申請」と段階的にナビゲーションを公開できた点が導入のしやすさを感じた点でした。
このスピードでの導入実現は「テックタッチ」の操作の容易性に加え、テックタッチ社のカスタマーサクセスの支援により達成されたと考えます。短期間でUIの向上を図らなければならないという時間の制限がある中で、カスタマーサクセスがプロジェクトの目的やスコープを丁寧に整理して提案してくれたおかげで迅速なプロジェクト達成に繋がりました。
また、ナビゲーションの作成にあたって、私たちが作ったものを評価してもらい、そこから改善点の指摘・修正を経てリリースにつなげることができた点も、今後は当社担当者が管理・運営をしていくことを見据えたサポートであると感じ、感謝しています。
そして、他社様の事例を共有していただけたことで、自分たちだけでは思いつかないナビゲーションをユーザに提供できた点にも、カスタマーサクセスの心強さを実感しました。
「テックタッチ」の実装において、マニュアルとFAQの提示が大きなカギを握っていました。ユーザーが必要とする際にそれらをすぐに参照できるよう、画面上にポータルサイトへのリンクを常設しました。これにより、「POSITIVE」とポータルサイト間でのワン・ストップ・サービスを実現することができ、問い合わせの削減につながりました。
「テックタッチ」実装イメージ①
画面右上にマニュアルやFAQサイトへのリンクを常設。
メニュー内の?マークにカーソルを当てるとメニューの届出項目を表示。
「テックタッチ」実装イメージ②
各届出に対するマニュアルやFAQリンクへの案内をツールチップで表示。
また、具体的な説明を間違いが多い箇所にポップアップで表示。
「テックタッチ」実装イメージ③
項目名の補足説明が、ツールチップで画像も交え簡潔に述べられている。
今後の展開
今後は「テックタッチ」の利用をさらに促進していきたいと考えています。現在、ユーザーアンケートを設置し、そこから満足度や利用状況を分析することによって、優先順位をつけながら「テックタッチ」のナビゲーション機能の活用強化を図っています。また、現在は「テックタッチ」のツールチップ機能のみを活用中ですが、ユーザーのさらなるシステム活用を目指し、ガイド機能の導入も検討しています。
そして、今後は今回の「POSITIVE」への「テックタッチ」適用を成功例とし、人事部門内での利用希望調査やヒアリングをもとに社内の他の人事システムへの適用拡大も検討しています。これは、現在、当社グループの人事関連システムのリプレイスが過渡期(拡大期)にあり、そうした中において、今後も効率的で高品質な人事サービスを提供し続けていく上で、システムの効率性・利便性向上が急務だと考えているためです。また、従業員向けの画面でなく人事部門が利用しているシステムへの「テックタッチ」導入も進めることによって人事業務の負荷を軽減し、成熟度向上に努めていきたいと考えています。
※:記載された会社名および製品名などは該当する各社の登録商標または商標です。
導入前の課題
積水化学工業はプラスチック製品のパイオニアとして1947年に創業し、現在では売上約1兆2,000億、従業員2万人を誇る、日本を代表する企業です。継続的な競争力の維持・強化を実現するためのデジタル変革を、グループ全体で取り組んでおります。
積水化学工業株式会社
経営管理部 経理グループ 部長 安永 孝さま
当社グループでは、経費精算システムの「SAP Concur」を活用しています。活用を続けるなかで、経費精算業務特有の障壁にぶつかりました。
一番の課題は、経理管理部門宛にシステム活用に関する問い合わせが大量に寄せられ、主要業務に集中できないということでした。
また、経費精算システムへ登録されるレポート名が統一されていないことで経費分析ができなかったり、申請に対して差し戻し件数が多いことで決算期は業務がパンクしてしまうこともありました。
背景には、システムの操作に使いにくさを感じていたり、正しい経費タイプが選択できなかったり、従業員が「使いこなせない」ということがあります。
業務効率が下がっていることや従業員が感じるストレスへの危機感が強まっていたほか、「SAP Concur」のUI変更や新型コロナの情勢緩和による申請増加に伴う問い合わせや差し戻し対応の混乱を危惧し、システム管理者である本社経理、そしてシステムユーザーである従業員双方の負担を軽減することが必要不可欠であると考えました。
社内で解決策を相談したところ、当社において購買管理システム「Coupa」で「テックタッチ」を導入しているという話を聞き、「SAP Concur」の課題も解決できるのではないかと考えたことが「テックタッチ」を知ったきっかけでした。
導入の大きな決め手は「テックタッチ」のコストパフォーマンスの高さでした。
他社ツールと比較をした際の軸は、コストと使い勝手でした。「テックタッチ」にコストの優位性があっただけでなく、実際に私自身が操作したときの使い勝手が非常によく、抱えていた課題を解決できるイメージを描くことができました。
活用方法と効果
「テックタッチ」の導入プロジェクトは、「SAP Concur」のUI変更に合わせて進行しました。「テックタッチ」のナビゲーション作成は簡単にできるとわかりつつも、イチからつくることには若干の不安がありました。
しかし、テックタッチ社では「SAP Concur」向けに「テックタッチ」のサクセステンプレート※2が用意されており、テンプレートをベースに自社にフィットしたナビゲーションを作ることができ、短納期の中で新UIに対応することができました。
先述の通り、さまざまな状況が重なることで混乱してしまうことを危惧していましたが、「テックタッチ」の適用により混乱を最小限に食い止めることができました。
テックタッチ社のサポート体制には非常に助けられています。
継続的な改善をリードしていただいており、具体的にはカスタマーサクセス担当者から、アンケート結果や収集したデータを元に、解決すべき課題の優先順位を提案してもらえたことで、効率的な対応を進めることができていると感じています。
また、「SAP Concur」では細かな画面アップデートがなされることがあり、その際のUI変更の影響にもいち早く気づいて情報共有いただくなど、そうしたサポートのおかげで日々の業務との両立を実現できています。
「テックタッチ」実装イメージ①
従業員からの問い合わせが多い操作箇所をガイドで案内
「SAP Concur」への実装例としては、経費精算レポート各項目の入力を「テックタッチ」で案内するといったものがあります。
特に、「出張経費精算」のレポート新規作成では、ツールチップとオートフロー機能を活用することで、従業員が入力するレポート名の表記揺れを防止しています。
入力の手間が省けることから多くのユーザーに利用されているだけでなく、表記の統一によりレポート申請状況の分析にも役立っています。
「テックタッチ」実装イメージ②
表記揺れや入力漏れが発生しやすい箇所をツールチップでサポート
このような取り組みにより、導入からわずか3か月で、従業員への「テックタッチ」の認知から利用定着までを実現できました。
その結果、差し戻し率は約20%削減でき、問い合わせ率も削減することができました。
さらに、業務効率化の観点から、1ヶ月の「SAP Concur」の操作時間を調査したところ、全社で約600時間も削減できていることがわかりました。
定量的な効果だけでなく、従業員の心理的負担の軽減にもつながっています。
アンケート回答者の約6割が「『SAP Concur』利用時のストレスが軽減した」と回答し、ユーザーフレンドリーなシステムUIへの改善ができていると考えています。
今後の展望
これまでに作成したナビゲーションで改善が見られた項目も多数ありますが、まだ対応できていない課題もあります。
「テックタッチ」では機能リリースが行われており、新機能を活用した更なる改善施策や自動化の促進といった施策を実施予定です。
また、従業員へのアンケートで集まった意見を元にブラッシュアップし、さらなるユーザーフレンドリーなシステムUIを目指していきます。
今後、社内システムの「テックタッチ」への展開拡大も検討しており、タレントマネジメントシステムやERPへの導入検討を進めています。
「テックタッチ」による様々なシステムのUI改善や改修コストの削減、システム横断での利用状況の可視化の実現をめざし、取組を進めていきます。
導入前の課題
積水化学工業はプラスチック製品のパイオニアとして1947年に創業し、現在では売上約1兆2,000億、従業員2万人を誇る、日本を代表する企業です。現在、継続的な競争力の維持・強化を実現するためのデジタル変革(以下、DX)にグループ全体で取り組んでおり、グローバルでのERP導入に着手しています。
積水化学工業株式会社
デジタル変革推進部 ビジネスプロセス変革グループ デジタルソリューション推進室長 部長 高原 徹さま
「Coupa」の活用にあたって、課題だったのが電子契約の操作です。特に契約書の作成においては作業量が多く、30箇所以上もコピー&ペーストをする必要があり、大変多くの工数がかかっていました。現場からは、システム移行に伴うUIの変更に戸惑う声や、効率化するために導入したシステムにもかかわらず、むしろ手間が増えることに疑問の声が寄せられました。
また、約3,500人の現場社員から寄せられる問い合わせには、運用サポートチームの4名で対応しており、問い合わせ対応の他にシステム教育も並行して担っていました。現状の体制のまま、ヘルプデスクの負荷軽減とトレーニング工数軽減に着手しなければ、いずれ対応しきれなくなると考えていました。
そこで、導入したのが「テックタッチ」です。他社ツールと比較検討をしたなかで、決め手となったのは現場の社員が使いやすいUIである点と、テックタッチ社から細かなサポートを得られる点です。会議にはテックタッチ社のエンジニアも参加してもらい、迅速な課題解決にあたってくれたことは非常にありがたかったです。導入初期には、カスタマーサクセス担当者が私たちのチームと伴走し、一緒にナビゲーションを作成してもらったので、大変スムーズに「テックタッチ」を実装できました。その後は、私たち自身でナビゲーションの作成・メンテナンスができるような教育プログラムの仕組みも整っていたので、とてもスムーズに活用できるようになりました。
活用方法と効果
「テックタッチ」で特に有効活用している機能はオートフロー(自動入力)機能です。「Coupa」で契約書を作成する際には、まず、発注の画面で入力した内容を「テックタッチ」がコピーし、契約書に自動で次々と転記していくよう設計しています。一部、人が判断する必要がある項目は、自動で停止し、入力が終わるとまた再開します。手入力が必要な箇所も表現規制の説明やテンプレートを必要なタイミングで表示させ、人的ミスを抑えることができています。
「Coupa」における「テックタッチ」実装のイメージ(1)
「Coupa」における「テックタッチ」実装のイメージ(2)
このように「テックタッチ」を活用した結果、従来であれば15分かかっていた契約書の転記入力が3分に短縮され、人が担う操作の割合が減ったことで入力ミスも削減することができました。
この「Coupa」での結果から、「テックタッチ」が効果的なツールであることが分かり、経費精算システム「SAP Concur」にも導入することを決めました。使用頻度が低いために慣れない作業だったとしても、デジタルガイドを設置することで迷わず操作でき、勘定科目のミスを約30%も削減しています。
今後の展望
「グローバルで全社最適な購買」の実現を目指して、システム利用者のデータを元に改善を進めていきたいと考えています。「テックタッチ」には分析機能も備わっており、操作にかかる時間を測定し、どこでつまづいているのかを把握できるような仕組みを作る予定です。また、アンケート機能も用いて、利用者の定性的な声も拾うことで、システム改善に活かしていきます。