ヘルプデスクの問い合わせ対応が煩雑で、多くの課題を抱えているケースは少なくありません。顧客からの問い合わせに追われ、スタッフの負担が増し、本来取り組むべき業務に手が回らないような状況にお悩みの方も多いでしょう。
本記事では、ヘルプデスクの業務を効率化するための具体的な6つの方法を解説し、実際の成功事例も紹介します。また、記事の後半では顧客のセルフオンボーディングを効率化できる改善ツールの「テックタッチ」についても紹介します。
そもそもヘルプデスクとは?
ヘルプデスクは、顧客や社内の従業員からの問い合わせに対応し、問題解決をサポートする窓口です。一般的に、ヘルプデスクは「社外ヘルプデスク」と「社内ヘルプデスク」の2つに大別されます。
ヘルプデスクは外部顧客に対する支援から、社内の業務サポートまで幅広く担当し、顧客や従業員が直面する課題を迅速に解決する重要な役割を担っています。
≫≫ 社内ヘルプデスクとは?設置メリットから課題、押さえるべきポイントを紹介
社内・社外別ヘルプデスクの業務内容
社外ヘルプデスクと社内ヘルプデスクの業務内容や目的は以下の通りです。
種類 | 業務内容 | 目的 |
社外ヘルプデスク | ・製品やサービスに関する顧客からの問い合わせ対応 ・トラブルシューティングや技術サポート ・質問やクレームの対応、解決方法の提供 |
・顧客満足度の向上 ・製品・サービスの利用体験をサポート ・顧客との信頼関係を構築し、ブランドイメージの強化 |
社内ヘルプデスク | ・従業員のIT関連の問題解決(パソコンやソフトウェアのトラブルなど) ・ネットワークやシステムの不具合に対する対応 ・新しいソフトウェアやシステムの使用方法の教育 |
・従業員が業務を円滑に進めるためのサポート ・業務効率の向上と従業員の作業負荷軽減 ・IT環境の整備を通じて社内の生産性を向上させる役割を果たす |
社外ヘルプデスクと社内ヘルプデスクは、対象が顧客か従業員かの違いはありますが、課題解決をし、満足度を向上させるのが目的な点は共通しています。
ヘルプデスク業務における主な4つの課題
ヘルプデスクの業務で課題となりやすいものは以下の通りです。
ここでは、下記の課題について解説します。

課題1:問い合わせ件数が多い
ヘルプデスク業務において、問い合わせ件数が多い状態は解決すべき大きな課題の一つです。顧客や従業員から寄せられる多種多様な問い合わせに迅速に対応しなければならず、対応が追いつかない状況が生じる場合があります。
具体的な問い合わせの例は以下の通りです。
課題 |
・製品やサービスの基本的な使い方に関する質問 ・トラブル発生時の対応方法に関する問い合わせ ・アカウントやパスワードに関する問い合わせ ・ネットワーク接続やシステムアクセスに関する技術的な問題 など |
上記の問い合わせは、シンプルなものから技術的に複雑なものまで多岐にわたり、担当者は常に多くの問い合わせに対応する必要があります。
問い合わせが増加する原因は以下の通りです。
原因 |
・新しい製品やサービスの導入 ・季節的な需要の高まり ・システムの変更 などど |
問い合わせが増加するタイミングでも効率的に対応できる体制の構築が、円滑なヘルプデスク業務の進行に欠かせません。
課題2:人材不足
ヘルプデスク業務において、人材不足は多くの企業で共通する課題です。ヘルプデスクはしばしば他の業務、例えば人事やエンジニアといった専門職の担当者が兼任で行う場合が多く、十分なリソースを確保しにくい状況にあります。
また、ヘルプデスクは直接的に利益を生み出す部門ではないため、優先的に人員補強が進まないケースも珍しくありません。人員不足のまま業務が進められると、担当者が業務遂行だけで手一杯になり、効率的な運営が難しくなる場合があります。
さらに、同じ人が特定の問題を担当し続けると業務の属人化が進んでしまうリスクもあります。属人化が進むと、新しい担当者が加わった際に引き継ぎが難しくなり、ヘルプデスクの業務全体のスムーズな運営が妨げられる可能性が高まり、早急な改善が必要です。
課題3:迅速な対応ができない
ヘルプデスク業務における人材不足は、問い合わせ対応の迅速さに影響を与える大きな課題の一つです。担当者が不足していると、顧客や社内からの問い合わせにすぐに対応できず、対応の遅延が発生しやすくなります。対応の遅延は、顧客満足度が低下する要因の一つであり、顧客が企業に対して不満を感じる場面が増えてしまうのが懸念となるポイントです。
特に顧客対応においては、迅速で丁寧な対応が求められるため、対応の遅さが直接的にサービスからの離脱につながるリスクがあります。一方で、社内のヘルプデスクにおいても、従業員からの問い合わせに迅速に対応できないと業務が滞り、生産性の低下を招きかねません。
ヘルプデスク業務の遅滞は、社内外に悪影響を及ぼす大きな課題といえます。
課題4:対応業務の幅が広くなり知識が追いつかない
ヘルプデスク業務では対応する業務の幅が広がり続けており、その結果として必要な知識量が膨大になっています。近年では、技術や製品の進化が速く、アップデートに対応するための知識を常に身につけていく姿勢が求められています。
しかし、日々の業務に追われながら最新の知識を身につけるのは非常に困難であり、これがヘルプデスク業務における大きな課題の一つです。技術革新によるヘルプデスク業務の遅滞を改善するためには、FAQやマニュアルを常に最新の情報に更新し、必要な知識を迅速に参照できるようにするのが効果的です。
ヘルプデスクの業務を効率化する6つの方法
ヘルプデスクの業務を効率化させるには、ユーザのセルフオンボーディングの実現を目指すのが最終的な目標となります。目標の達成には、まずヘルプデスク業務を改善し、ユーザへの支援を効率よく行える環境の構築が大切です。
ユーザの自己解決を実現するためのヘルプデスク業務の改善に役立つ方法は以下の通りです。

1. FAQの作成
ヘルプデスク業務を効率化するには、FAQの作成が効果的な方法の一つです。
FAQを作成する際には、以下のような問い合わせ頻度が高い質問を優先的に盛り込むようにしましょう。
問い合わせ頻度の高い質問 |
・製品の使い方に関する基本的な質問 ・アカウントの設定方法 ・よく起こるトラブルの対処法 など |
また、FAQを作成する際には、ユーザーにとってわかりやすい表現を心がけるのも大切です。専門用語を避け、できるだけ平易な言葉で解説すれば、ユーザーが内容を理解しやすくなり、自己解決を促進できます。
FAQを充実させ、ユーザーの自己解決をサポートするのは、効率的な業務運営に寄与する重要な取り組みの一つです。
2. 回答のテンプレート化を図る
ヘルプデスク業務の効率化を図るための回答内容のテンプレート化は有効な手段です。問い合わせに対する返信内容のテンプレートを用意すれば、業務の効率化が進み、担当者が同様の質問に対して迅速に対応できるようになります。
また、テンプレートの使用により対応の質を均一化できるため、どの担当者が対応しても同じ水準の回答を提供できます。迅速かつ一貫した対応を実現できれば、顧客や従業員からの信頼感が高まり、ヘルプデスク業務の効率と満足度を同時に向上させられるでしょう。
3. 蓄積したナレッジからマニュアルを作成する
これまでのヘルプデスク業務で蓄積されたナレッジを活用したマニュアルの作成は、ヘルプデスク業務の効率化・均一化に役立ちます。問い合わせ対応の経験を集約し、マニュアルとして整理すれば、知識の共有が容易になり、担当者間でナレッジを効果的に活用できるようになります。
また、マニュアルの整備により新入社員であってもスムーズに業務を遂行でき、ベテランの担当者との差が小さくなるため、対応の質の均一化が実現するのもメリットの一つです。特に、問い合わせ内容に対して迅速で的確な回答が求められる状況では、蓄積されたナレッジの共有がスムーズにできる基盤の整備が業務全体の効率化に大きく寄与します。
4. 研修を充実させる
ヘルプデスク業務の効率化には、新人だけでなくベテラン担当者に対しても定期的な研修の実施が欠かせません。手厚い研修を提供すれば、担当者一人ひとりのスキルが向上し、問い合わせ対応がよりスムーズになるでしょう。
また、研修においてはこれまでに蓄積してきたナレッジの活用も意識して行いましょう。ナレッジの共有とそれに基づくトレーニングを行えば、担当者間の対応品質の均一化を図れます。新人にもベテランと同じ水準の知識を研修で提供すれば、誰が対応しても同じレベルのサポートを提供できるようになり、顧客満足度の向上にも寄与します。
5. 定期的に面談を行う
ヘルプデスク業務の担当者との定期的な面談を実施すれば、担当者の業務に対するモチベーションを上げられる可能性が高まります。面談では、明確な評価基準に基づいてオペレーターの業務に対するフィードバックを行い、個々の成長を支援するのが重要です。フィードバックを通じて、担当者は自分の強みや改善点を明確に理解でき、さらなる成長を目指す動機付けとなります。
また、面談を通じてオペレーターの悩みや課題を共有すれば、業務改善につながる具体的な対策を講じられます。面談を定期的に行い、担当者のモチベーションを高められれば、ヘルプデスク全体のサービス品質の向上にもつながるでしょう。
6. 必要なツールを導入する
ヘルプデスク業務の効率化には、業務への支援が可能なツールを導入するのも効果的です。ツールを活用すれば、24時間365日対応できるようになるため、ユーザーを待たせる心配がなくなります。
また、ツールの精度は継続して使用する度に向上し、より的確なサポートを提供できるようにもなります。具体的なツールの紹介は次項にて詳しく行います。
≫≫ ヘルプデスクの効率化が進まない理由と改善のポイントを解説
≫≫ ヘルプデスクにおけるマニュアルの重要性は?作成や運用のポイントも紹介
ヘルプデスクの業務効率化に役立つおすすめツール
ここでは、ヘルプデスク業務の業務効率化に役立つ以下のおすすめツールを紹介します。

FAQツール
FAQツールは、よくある質問を一元管理し、ユーザーが自己解決できるようにサポートするために役立つツールです。ヘルプデスク業務において、頻繁に寄せられる質問をFAQツールでまとめておけば、問い合わせの件数を減らし担当者の負担を軽減できます。
また、作成したFAQを参照できる環境を構築すれば、有人対応を行う際にもスムーズに正確な情報を提供できるため、対応の質が均一化され業務の効率化が図れるのもメリットの一つです。FAQツールの活用は、ヘルプデスク業務全体の効率向上に大きく貢献します。
チャットボット
チャットボットは、ユーザーからの問い合わせに対してあらかじめ設定された回答を基に自動で対応できるツールです。営業時間に関係なくいつでも対応が可能なため、ユーザーを待たせる必要なく迅速な対応が可能なのが最大の特長です。
また、AIを搭載したチャットボットの場合、使用を重ねるごとに学習を行い、精度が向上していくため、より複雑な問い合わせにも対応可能になります。さらに、チャットボットを導入すれば、ヘルプデスク担当者が対応すべき問い合わせ件数を減らせるため、担当者は空いたリソースをより専門的で複雑な問題に集中させられます。
問い合わせ管理システム
問い合わせ管理システムは、複数のチャネルから寄せられる問い合わせを一元管理できるツールです。問い合わせ管理システムを導入すれば、担当者は各案件の対応状況を一つの画面で把握できるため、効率的に管理・対応を行えます。
また、問い合わせ管理システムは担当者間での情報共有にも効果的です。過去の対応履歴や顧客とのやり取りを一元的に保存すれば、チーム全体で一貫した対応を提供でき、顧客満足度の向上にもつながります。
DAP(デジタルアダプション)
DAP(デジタルアダプションプラットフォーム)は、ユーザーがソフトウェアやシステムを効果的に活用できるようサポートするためのツールです。DAPの大きな特徴は、ユーザの自己解決を促進できる点にあります。
DAPにより、ユーザが操作中にわからない点や困った点に対して、システム内で適切にガイドを表示して、問い合わせをする前に課題を解決できる環境を構築できます。DAPの一つとして、プロダクト上にデジタルガイド・ツールチップを設置してユーザのセルフオンボーディングを実現できるのが「テックタッチ」です。
テックタッチの実績については次項で紹介します。
≫≫ デジタルアダプションプラットフォームとは?そのメリットと導入時の注意点
≫≫ DXの実現に欠かせないデジタルアダプションとは?実現による効果と課題を解説

ユーザーの自己解決を促すDAP市場国内シェアNo.1「テックタッチ」
ユーザのセルフオンボーディングを実現し、ヘルプデスク業務の効率化に役立つのが「テックタッチ」です。
これまでに、テックタッチはさまざまな方面から以下の評価・成果をいただいてきております。
評価・成果 |
・ユーザ数600万人突破 ・DAP市場国内シェア3年連続No.1 ・「オンボーディング・デジタルアダプション部門」「マニュアル作成ツール部門」の2部門で最高位「Leader」を受賞 ・「GOOD DESIGN AWARD 2022」受賞 |
各方面から高い評価をいただいているテックタッチは、ヘルプデスク業務改善・効率化ツールとしてもさまざまなプロダクトに役立ちます。
ヘルプデスクの業務効率化に成功した事例
ここでは、社内ヘルプデスクと社外ヘルプデスクの両方でテックタッチを導入し業務効率化に成功した事例を紹介します。(敬称略)

株式会社Take Action:問い合わせの削減に成功 【社外】
株式会社Take Actionは、以下の4つのサービスを通じて働く人々がより生き生きと働ける社会の実現を目指しています。
株式会社Take Actionのサービス |
・THANKS GIFT ・jinji+ ・タレントファイル ・リファアルム |
上記のサービスを多くのクライアントに採用されていくなかで、担当者から初期設定や機能面での問い合わせの数も増加し、既存のリソースを圧迫し始めていました。
そこで問い合わせ数の削減のために導入を決めたのが「テックタッチ」です。テックタッチなら、ノーコードで開発・改修が可能なため、開発リソースを割かずにテクニカルサポートチーム内でさまざまな開発・改修をスピーディーに実行できました。
そして、プロダクト上にデジタルガイドを充実させた結果、問い合わせの削減に成功しシステムの活用や運用サポートに注力できる環境が整いました。今後は、テックタッチをより多角的に活用し、さらなる顧客満足度・ロイヤリティの向上に努めたいと考えています。
株式会社オープンハウス・アーキテクト:問い合わせ時間を80%短縮した事例 【社内】
オープンハウスグループに所属する総合建設会社の株式会社オープンハウス・アーキテクトは、仕入・製造・販売一体のビジネスモデルを実現するためのDX推進を行っています。
DX推進の一環で展開しているのが、工事物件の管理全般を行う社内基幹システムです。
この社内基幹システムの利用を推進する際に、以下の課題が発生していました。
課題 |
・メールでの周知が無視される ・導入前には認識のなかった重要な要件が後から出てくる ・システム上での修正に開発コストがかかる |
上記の課題を解決するために導入されたのが「テックタッチ」です。テックタッチなら、ノーコードで開発・改修が可能で、ユーザのセルフオンボーディングを実現できるデジタルガイド・ツールチップをプロダクト上で簡単に設置できます。
テックタッチの機能・特長を社内基幹システムに活用した結果、以下の改善が実現できました。
改善内容 |
・月100件程度の問合せを未然に防止 ・トラブル対応にかかる時間を80%程度削減 |
今後もテックタッチを活用し、よりスピード感をもってユーザがシステムを有効活用するための施策を立案・遂行する予定です。
ヘルプデスクにおける業務効率化のまとめ
ヘルプデスクは、他の業務を兼任しながら行う場合が多く、担当者が常に逼迫した状況に陥りやすいという課題を抱えています。ヘルプデスクの担当者の負担を軽減し、業務効率化を図るためには研修やマニュアルの充実化、回答のテンプレート化といった取り組みが大切です。
また、FAQツールやチャットボット、そしてテックタッチに代表されるDAPツールを活用して、ヘルプデスク業務の効率化を目指すのも効果的な手法です。テックタッチであれば、デジタルガイド・ツールチップの設置により、ユーザのセルフオンボーディングが効率化されるため、問い合わせ数の削減が実現します。
社外・社内問わず活用できる機能がほとんどであり、関係する全てのプロダクトで効果を発揮できます。



