企業や組織における情報の適切な管理は、業務の効率化や法令順守、リスク管理に大きく影響します。
情報管理のなかでも「文書管理」は、社内文書の作成・補完・廃棄までのルールを明確にする重要な項目です。
ただ、文書管理の際には規定を定めておかないと、情報の紛失や改ざんなどのトラブルの原因になりかねません。
そこで本記事では、文書管理の規定の概要や作成時の手順、押さえておきたいポイントについて解説します。
また、記事内では文書管理時に使用するシステム上にデジタルガイド・ツールチップを表示できる支援ツールの「テックタッチ」についてもご紹介。

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文書管理規定とは
文書管理規定とは、企業や組織が取り扱う文書の作成、保存、廃棄などの管理方法を統一的に定めたルールです。
文書管理規定を設けると、情報の紛失や漏洩、法令違反などのリスクを軽減し、業務の効率化や内部統制の強化が図れます。
おもな規定の内容は以下の通りです。
- 適用範囲
- 文書の分類
- 保存期間
- 保管場所
- アクセス権限の設定
- 廃棄方法 など
また、文書管理規定は、法令や業務環境の変化に応じて定期的に見直して更新する必要があります。
適切な文書管理規定の策定と運用により、組織の情報資産を保護し、信頼性の高い業務運営を実現できます。
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文書管理規定が必要な理由
文書管理規定の整備は、単なる社内ルールの策定にとどまらず、組織全体の信頼性や生産性を高める重要な取り組みです。
ここでは、法令遵守や情報セキュリティの観点、そして業務の効率化などの側面から、その必要性を解説します。

法律やセキュリティ対策
文書管理規定の整備は、企業の法令遵守と情報セキュリティの強化に直結し、組織の信用力を高める重要な要素です。
企業は、個人情報保護法や電子帳簿保存法など、さまざまな法令に基づき、特定の文書を一定期間保存する義務があります。
文書管理規定を策定し、保存期間や廃棄方法を明確にすれば、法的リスクを回避しコンプライアンスを確保可能です。
また、適切な文書管理規定は、情報漏洩のリスクを低減するためのセキュリティ対策にも役立ちます。
アクセス権限の設定や暗号化、定期的なバックアップなどの対策を講じると、機密情報の不正アクセスや漏洩を防止可能です。
さらに、適切な文書管理体制を構築し、プライバシーマークやISMS、ISOのような第三者認証を取得すれば、企業の情報セキュリティ対策の適切性を客観的に示し、社会的な信頼性を向上させられます。
文書管理規定は、組織全体のリスク管理と信頼性の確保に大きく貢献する規定といえます。
業務効率化
文書管理が効果的に実施されると、業務効率化にも役立ちます。
明確な文書管理規定があれば、文書の作成、分類、保管、廃棄といった一連の流れが標準化され、確認作業や文書へのアクセスがスムーズになります。
また、適切な保管期間・廃棄方法が定められていれば、物理的な保管スペースも容易に確保可能です。
文書管理規定の作成方法
文書管理規定は、企業全体の情報管理の質を左右する重要な基盤です。
的確な規定を策定すれば、業務効率の向上や法令遵守、情報漏洩リスクの軽減が期待できます。
ここでは、3つのステップに分けて、文書管理規定の作成方法を解説します。

文書の種類分けをする
文書管理規定を策定する際の文書の種類分けは、情報の検索性向上や業務効率化、コンプライアンス遵守において重要なステップです。
文書分類のおもな方式は以下の通りです。
- ワリツケ方式:総務部門などの文書主管部門が分類体系を策定する方式
- ツミアゲ方式:実務担当者が現場の文書をもとに分類体系を構築する方式
- ハイブリッド方式:ワリツケ方式とツミアゲ方式の利点を組み合わせた方式
また、分類時には情報が重複したり抜けたりしないように「MECE(漏れなくダブりなく)」の原則を意識し、誰が見てもわかりやすいルールを設ける必要があります。
さらに、文書の保存期間や機密性・重要性などの取扱いレベルとも連動させて分類すれば、整理後の保存・廃棄やセキュリティ対策とも整合性がとれるようになります。
現在の文書管理の運用ルールを洗い出す
文書管理規定を策定する際は、まず現行の文書管理の運用ルールを洗い出すと、運用上の課題を明確にできます。
運用ルールを洗い出す際に確認すべき項目は以下の通りです。
- 文書の作成・取得方法
- 命名規則
- 承認ルートや押印の手順
- 保管場所
- 保管方法
- アクセス権限の設定
- 保存期間
- 廃棄方法
上記の項目は、現場の担当者へのヒアリングや実際の文書の確認を通じて収集すると効率的に把握できます。
規定項目を決める
文書管理規定に必要な項目を決めると、文書のライフサイクル全体を通じて一貫性のある管理を実現できます。
定めるべき規定項目は以下の通りです。
規定項目 | 詳細 |
適用範囲と対象文書の定義 | 規定が適用される文書の種類を明記する |
管理体制と責任者の明確化 | 文書管理の主管部門や責任者を定める |
文書の作成および受領に関するルール | 文書に記載すべき項目(作成日、作成者、件名など)や受領時の処理手順を明文化する |
文書の保管および保存方法 | 保管場所、保存形式、保存期間を明確にする |
文書の廃棄に関する手続き | 保存期間満了後の廃棄方法や承認フローを定める |
アクセス権限と情報セキュリティ | 権限設定やパスワード保護など、情報漏洩防止のための対策を規定する |
規定の見直しと改訂手続き | 規定の定期的な見直しと、改訂手続きをあらかじめルール化する |
上記のような主要項目を軸に内容を整理すれば、組織全体で共通理解を持った文書管理が可能になります。
特に「適用範囲」や「管理体制」「保存・廃棄の基準」などの項目は、実務に大きく影響を及ぼすため、具体性と明確さが求められます。
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文書管理規定の作成ポイント
文書管理規定は一度作成すれば終わりではなく、実際の業務運用に適応し、継続的に機能させるための工夫が求められます。
特に、法令への対応、組織体制の整備、情報セキュリティ、そして従業員への浸透などの観点での実効性の高い設計が不可欠です。
ここでは、文書管理規定を効果的に機能させるために押さえておくべき具体的な作成ポイントについて解説します。
電子帳簿保存法に則っているか確認する
文書管理規定を策定する際には、電子帳簿保存法(電帳法)への適合性の確認が大切です。
特に、電子取引データの保存に関しては、法令で定められた要件を満たす必要があり、その一環として「事務処理規程」の作成が求められる場合があります。
事務処理規程とは、電子取引データの訂正や削除を防止し、データの真実性を確保するための社内規程です。
電帳法では、以下のいずれかの方法で「真実性の確保」を行うように定めています。
- 取引情報の授受後、速やかにタイムスタンプを付与する
- 訂正や削除の履歴が確認できる、または訂正・削除ができないシステムを利用する
- 訂正や削除の防止に関する事務処理規程を定め、それに沿った運用を行う
また、電帳法では「可視性の確保」も求められており、保存したデータを日付、金額、取引先などの項目で検索できるようにする必要があります。
必要に応じて、国税庁が提供するサンプルを参考にしながら、自社の業務実態に即した規程を作成するようにしましょう。
事業所ごとに保守運用の担当部署を定める
各事業所ごとに保守運用の担当部署を明確に定めておくと、文書管理の統一性と効率性が向上し、情報漏洩や業務の混乱を防止できます。
組織全体を統括する主管部門を本社に設置し、文書管理に関する方針策定や基準の整備、各事業所への指導・監督を担わせて、各事業所ごとに責任の所在を明確にするとより強固な体制が構築可能です。
また、体制が形骸化しないよう、文書管理の実施状況を定期的に監査する仕組みも併せて構築する必要もあります。
文書の機密性に合わせたセキュリティ対策をする
情報漏洩や不正アクセスを防ぐためには、文書の重要度に応じた分類と、それに対応する適切な管理手法を明確に定める必要があります。
まず、文書の機密性を「極秘」「秘」「社外秘」「一般」などの基準に分類し、それぞれのレベルに応じたアクセス権限を設定します。
例えば、極秘文書は経営層のみが閲覧可能とし、秘文書は特定の部署の管理者に限定するなど、閲覧者を明確に定めると情報の漏洩リスクを低減可能です。
次に、文書管理システムを活用して、閲覧、編集、削除などの操作権限を細かく設定します。
また、アクセスログの記録や定期的な監査を行うと、セキュリティ体制のさらなる強化が図れます。
定期的な見直しと改善を行い、常に最新のセキュリティ対策を維持するようにしましょう。
更新と運用状況の確認をする
文書管理規定は、法令の改正や組織体制の変更、業務プロセスの見直しなど、内外の環境変化に対応するため、定期的な見直しと更新が求められます。
まず、文書管理に関連する法令は、時代の変化や社会情勢に応じて改正される場合があるため、それに合わせて更新しなければなりません。
また、組織の業務運用は、テレワークの導入や業務プロセスの見直しなどにより変化するため、その都度文書管理規定が現場の実態に即しているかを定期的に確認し、必要に応じて修正を行う必要があります。
法改正や業務運用の変更の見落としを防ぐためにも、文書管理規定の見直しを定期的に行うようにするのが望ましい運用方法です。
また、見直しの際には規定が実際の業務に適切に適用されているかを確認すると、運用上の問題点を早期に発見し、改善につなげられます。
従業員へ周知する
文書管理規定を作成したとしても、従業員がその内容を知らなければ、適切な文書管理は実現できません。
周知の方法としては、以下のような手段が有効です。
- 社内ポータルサイトやイントラネットへの掲載
- 書面で配布する
- 説明会や研修を実施する など
上記の方法を組み合わせると、従業員への効果的な周知が可能となります。
ただし、周知を行ったとしても従業員が見ていない・理解できていない可能性が捨てきれないのも事実です。
そこで従業員への文書管理規定への理解を促進させるのに効果的なのがシステム上にデジタルガイド・ツールチップを提示できる「テックタッチ」です。
テックタッチについては次項にて詳しく解説します。

周知不要で画面上にマニュアルやルール表示させるテックタッチ
文書管理規定の運用において、従業員への周知は重要なステップですが、従来の方法ではマニュアルの作成・配布や研修の実施に労力と時間がかかることが課題でした。
文書管理規定の課題を解決する手段としておすすめなのが、デジタルアダプションプラットフォームである「テックタッチ」です。
テックタッチは、システムの画面上に操作ガイドやルールを直接表示し、ユーザがマニュアルを参照することなく、必要な情報をリアルタイムで取得できるように改善するツールです。
テックタッチをプロダクト・システムに導入すれば、従業員は業務を進めながら適切な手順やルールを自然に学べるため、文書管理規定の遵守が促進されます。
また、ユーザ属性に基づいたガイドの表示や、特定の業務フローに合わせたカスタマイズも容易で、組織のニーズに応じた運用が可能です。
テックタッチは、従業員の負担を軽減しながら、組織全体の情報管理体制を強化するのに役立つ支援ツールです。
文書管理規定のテンプレート
ここでは、実際の文書管理規定のテンプレートを紹介します。
自社に合わせてご活用・ご参考ください。
第1章 総則 第1条(目的) 本規程は、当社における文書の作成、受領、伝達、保管、保存および廃棄に関する基本的な事項を定め、文書の適切な管理を通じて業務の効率化および情報セキュリティの確保を図ることを目的とする。 第2条(適用範囲) 本規程は、当社の業務に関連して作成または取得されたすべての文書(紙媒体および電子媒体を含む)に適用する。 第3条(用語の定義) 「文書」とは、業務上作成または取得された記録物であり、紙媒体、電子ファイル、写真、図面、磁気媒体等を含む。 「保存」とは、文書を一定期間保有し、必要に応じて参照できる状態に維持することをいう。 「保管」とは、文書を日常的に使用するために整理し、管理することをいう。 第2章 文書の作成および受領 第4条(文書の作成) 文書を作成する際は、日付、作成者名、所属部門、文書タイトルを明記すること。 定められたフォーマットがある場合は、これを使用すること。 機密性の高い文書には、適切な機密区分(例:社外秘、社内秘)を明示すること。 第5条(文書の受領) 外部から受領した文書は、受領日、受領者名、発信者名、件名を記録すること。 書留や配達証明等の重要文書は、受領記録簿に記載し、必要に応じて受領印を取得すること。 親展文書は、宛名人以外の者が開封してはならない。 第3章 文書の伝達 第6条(社内伝達) 文書の社内回覧は、定められた承認ルートに従い、必要な承認を得ること。 承認済み文書には、承認者の署名または押印を行うこと。 第7条(社外への発信) 文書を社外に発信する際は、適切な手段(郵送、FAX、電子メール等)を選択し、送付記録を残すこと。 機密文書を電子メールで送信する場合は、パスワード保護や暗号化等のセキュリティ対策を講じること。 第4章 文書の保管および保存 第8条(文書の保管) 文書は、所定の保管場所(キャビネット、書庫、電子フォルダ等)に整理し、容易に検索できる状態を維持すること。 機密文書は、施錠可能な保管場所に保管し、アクセス権限を制限すること。 第9条(文書の保存期間) 文書の保存期間は、法令、業務上の必要性、社内規定等に基づき定める。 保存期間満了後は、速やかに廃棄または別途定められた方法で処理すること。 第5章 文書の廃棄 第10条(文書の廃棄) 保存期間が満了した文書は、所定の手続きに従い、適切な方法(シュレッダー処理、データ削除等)で廃棄すること。 機密文書の廃棄は、担当部門責任者の承認を得た上で実施し、廃棄記録を残すこと。 第6章 その他 第11条(規程の見直し) 本規程は、法令の改正、業務内容の変更等に応じて、定期的に見直しを行い、必要に応じて改訂するものとする。 第12条(附則) 本規程は、令和○年○月○日より施行する。 |
官公庁・自治体向けの文書管理システムとは?特徴や公文書管理の事例をご紹介
まとめ
文書管理規定は、企業が情報資産を的確かつ安全に扱うための基本ルールです。
作成・受領・保管・廃棄などの文書のライフサイクル全体をカバーする規定を整えれば、業務の効率化や法令遵守、リスク回避につながります。
そして、従業員への周知を徹底すれば、規定が形骸化せずに現場で活用される状態を維持できますが、実際には「全員に覚えてもらう」のは限界があります。
従業員への周知に活用できるのが、ノーコードで開発・改修が可能な「テックタッチ」です。
テックタッチを活用すれば、従業員がシステムを操作する画面上に文書管理のルールや手順をリアルタイムで表示でき、マニュアルを読む手間や作成のコストを削減できます。
文書管理規定の策定と運用には、ルールの整備だけでなく、実際に規定が「活きる仕組み」を作る施策が欠かせません。
そのためにも、テックタッチのような支援ツールの導入がおすすめです。



