自治体の入札に参加したいと考えても、「申請手順が煩雑でわかりづらい」「自治体ごとに異なるルールに戸惑う」といった声が多く聞かれます。なかでも、東京都内の自治体が共同で運営している「東京電子自治体共同運営の電子調達サービス(e-Tokyo)」は、非常に便利な仕組みでありながら、初めて利用する企業にとっては手続きのハードルが高く感じられる場面もあります。
本記事では、e-Tokyoの基本的な仕組みや申請資格、申請までの流れを整理してご紹介します。あわせて、入力ミスや申請の差し戻しを防ぎ、手続きを円滑に進める「テックタッチ」などの支援ツールについても解説します。

12の公共団体 で導入済!

公式HPへの導入
問合せ件数約40%減 FAQ閲覧数約2.3倍

電子申請共通システムへの導入
1人あたりの操作時間を約63%短縮 約85%が必須項目がわかりやすく なったと回答
東京電子自治体共同運営の電子調達サービス(e-Tokyo)とは
東京都内の特別区、市町村、一部事務組合が共同で構築したオンライン調達システムが、「東京電子自治体共同運営の電子調達サービス(e-Tokyo)」です。もともと、入札参加資格の申請や入札手続きは各自治体が独自に運用しており、事業者はそれぞれの自治体に対して個別に申請対応を行う必要がありました。e-Tokyoの導入によって、これらを共通のオンラインプラットフォーム上でまとめて行えるようになり、申請・手続きの負担が大きく軽減されています。
ただし、東京都内すべての自治体がこの仕組みに参加しているわけではありません。共同運営に加盟しているかどうかは、申請前に必ず確認しておく必要があります。
なお、「電子調達サービス」として案内されていますが、実態としては、入札に関連する各種申請や手続きをオンライン化する「電子調達システム」の機能が中心です。システムによるオンライン手続きに加え、それを支えるサポート体制がサービスとして提供されている点が特徴となっています。
東京電子自治体共同運営に参加している自治体一覧
以下表にまとめているので参考にしてください。
特別区 | 千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区 | |||
---|---|---|---|---|
市町村 | 昭島市、あきる野市、稲城市、青梅市、清瀬市、国立市、小金井市、国分寺市、小平市、狛江市、立川市、多摩市、調布市、西東京市、八王子市、羽村市、東久留米市、東大和市、日野市、日の出町、檜原村、府中市、福生市、瑞穂町、三鷹市、武蔵野市、武蔵村山市 | |||
一部事務組合 | 東京二十三区清掃一部事務組合、多摩川衛生組合、多摩ニュータウン環境組合 |
東京電子自治体共同運営の電子調達サービスでできること
東京電子自治体共同運営の電子調達サービス(e-Tokyo)を利用すると、入札に関わるさまざまな手続きをオンライン上で完結させることができます。競争入札に参加するために必要な「入札参加資格審査申請」や、その後の情報変更申請をインターネット経由で行うことが可能です。
各自治体が発注する案件情報を検索・閲覧できる機能も備わっており、複数自治体の入札案件を一括して確認できるため、事業機会の拡大にもつながります。さらに、入札そのものもe-Tokyo上で実施可能です。希望票の提出、質問内容の確認、入札書の提出、開札結果の閲覧といった一連の流れを、すべてオンラインで対応できる仕組みが整っています。
これらの機能により、従来よりも手続きの手間や時間を大きく削減でき、事業者にとってよりスムーズな入札参加が実現されています。

東京電子自治体共同運営の電子調達がもたらすメリット
東京電子自治体共同運営の電子調達サービス(e-Tokyo)の導入により、これまで煩雑だった入札参加手続きが大きく変わりつつあります。特に、事業者や申請者にとって、多くのメリットがもたらされています。ここでは、具体的な利点について整理していきます。

事業者、申請者側のメリット
e-Tokyoを活用することで、複数自治体への一括申請が可能になります。従来は、それぞれの自治体ごとに個別対応が必要でしたが、共通システムを通じてまとめて申請できるようになり、手続きの手間が大幅に軽減されました。申請や入札に必要な一連の作業もオンラインで完結できるため、これまで紙で行っていた申請書類の作成・提出にかかる負担が大きく削減されます。郵送や持参による物理的な移動も不要となり、業務効率が向上します。
電子化された仕組みによって、入札プロセス全体の透明性と公平性が高まった点も大きなメリットです。情報のやり取りや処理がデジタル上で管理されるため、不正や手続きの不備を防ぎやすくなっています。
自治体側のメリット
入札参加資格の審査業務を複数の自治体で分担できるようになるため、各自治体の職員にかかる負担が大幅に軽減されます。特に、人員不足に悩む自治体にとっては、業務量の分散効果は大きなメリットといえるでしょう。
システムに付随するコールセンターやヘルプデスクの機能を共同運用することで、従来かかっていたシステム構築費や維持管理コストを削減できる点も見逃せません。限られた財源の中で運営する自治体にとって、費用負担の低減は大きな利点です。
電子入札の仕組みによる恩恵もあります。手続きの透明性と公正性が確保され、入札における不正や談合行為を抑制する効果も期待されています。公平な競争環境を整備できる点も、自治体側にとって大きな意義を持っているのと同時に、紙ベースでの作業が減ることで、申請書の受付や審査支援、開札業務といった一連の手続きが自動化され事務作業全体の効率化が進み、業務の迅速化やミス防止にもつながっています
東京電子自治体共同運営の電子調達サービスにおける課題
便利な仕組みとして注目されている東京電子自治体共同運営の電子調達サービス(e-Tokyo)ですが、運用上の課題もいくつか指摘されています。
■登録手続きの複雑さ
初めて申請する事業者にとって、申請書類の提出やオンラインでの手続きが分かりづらく、途中で迷ってしまうことがあります。
■資格の取得に必要な時間と手間
事業者が入札参加資格を取得するには、書類の準備や手続きに時間がかかり、煩雑さを感じる場面もあります。
■異なる自治体ごとの対応の違い
各自治体によって求められる書類や手続きの内容が異なる場合があり、申請者はその都度、内容を確認して対応しなければなりません。
■情報の更新や申請内容の管理
事業者側で定期的に情報更新を行う必要があり、手動での管理ではミスが発生するリスクもあります。
■不明点が多く、問い合わせ対応が大変
サポート体制が十分でない場合、申請内容についてわからない点が多く、何度も問い合わせを繰り返さなければならないことがあります。

電子調達の申請ミスや問い合わせの手間も削減できる「テックタッチ」
事業者にとって、申請手続きの迷いや書類の不備は大きな課題です。こうした問題を解決する手段として注目されているのが、「テックタッチ」という支援ツールです。テックタッチは、オンライン申請画面上に直感的な操作ガイドを表示し、申請者が迷わずに手続きを進められるようサポートします。入力内容をリアルタイムで自動チェックする機能を備えており、申請書類に不備が発生するリスクを大幅に低減することが可能です。
複数自治体への申請手続きを並行して行う場合でも、情報整理や進行状況の確認が煩雑になりがちですが、テックタッチを利用すれば、申請データを一元的に管理できるため、申請者は常に進捗状況を把握しながらスムーズに手続きを進めることができます。
テックタッチはノーコードでの導入が可能なため、既存のシステムを改修することなく、必要なガイド機能を柔軟に付加できる点も特徴です。これにより、システムの利便性を大きく向上させながら、申請者側の負担を大幅に軽減することが実現されています。
東京電子自治体共同運営の電子調達サービスで入札参加資格を取るための事前準備
ここでは入札参加資格を取るための事前準備として以下の3つの項目について解説していきます。

電子証明書とICカードリーダーの準備
東京電子自治体共同運営の電子調達サービス(e-Tokyo)を利用する際には、事前にいくつかの準備が必要です。そのひとつが、電子証明書とICカードリーダーの用意です。
電子証明書については、電子入札コアシステムに対応している民間認証局から、法人名義で取得します。取得手続きには、次のような書類を揃える必要があります。
書類 |
---|
|
電子証明書を取得したあとは、読み取り用のICカードリーダーも用意しておきましょう。ICカードリーダーは、電子証明書をパソコンに接続するために不可欠な機器です。さらに、e-Tokyoを問題なく利用するためには、パソコンの設定も整えておくことが大切です。申請に必要な専用ソフトをインストールし、電子証明書が正しく認識される環境を整備しておきます。
必要書類の提出
電子申請が完了した後は、必要書類を郵送で提出する手続きが必要になります。提出する書類の種類は、申請内容や対象となる業種によって異なります。代表的な書類として、以下が挙げられます。
代表的な書類 |
---|
|
なお、書類の送り先や提出期限は、それぞれの自治体ごとに設定されているため、事前に案内文書や通知内容をよく確認しておくことが重要です。
手続きに不備がないよう、余裕を持った対応を心がけましょう。
業種別要件の確認
東京電子自治体共同運営の電子調達サービス(e-Tokyo)で入札参加資格を取得する際には、申請する業種に応じて求められる情報や提出書類が異なる場合があります。一般的に、以下のような情報が必要となります。
情報 |
---|
|
業種によっては、これらに加えてさらに特定の要件が求められるケースもあるため、事前に申請先の案内資料をよく確認しておくことが重要です。
※業種ごとの詳細な要件や必要書類については、申請先の自治体やe-Tokyoの公式サイトで確認してください。
東京電子自治体共同運営の電子調達サービスで入札参加資格の審査申請を行う手順
入札に参加するための事前準備が整ったら、次は審査申請に進みます。手続きは電子申請と書類の郵送を組み合わせて行われます。
【申請の流れ】 |
---|
はじめに、e-Tokyoの申請ソフトを立ち上げ、必要事項を入力していきます。
↓ その後、別途必要書類を指定の窓口に郵送し、申請手続きを完了させます。 |
【審査と結果の確認】 |
---|
郵送された書類は、通常到着から1週間ほどで審査されます。 ↓ 審査の結果は登録されたメールアドレス宛に通知され、承認された場合には受付票を印刷して保管します。 ↓ 否承認となった場合は、修正内容を確認したうえで、改めて再申請を行う流れです。 |
東京電子自治体共同運営の電子調達サービスで入札参加資格を登録する方法
入札参加資格を取得した後は、e-Tokyoに企業情報を登録することで、各自治体が発注する案件への参加が可能になります。登録作業は、電子調達サービスを通じて行います。
【登録手順】 |
---|
最初に、e-Tokyoの「電子調達サービス」サイトへアクセスし、ログインします。
↓ ログイン後、企業の基本情報や営業種目など、共通項目を入力して登録します。 ↓ さらに、参加を希望する各自治体ごとに、必要な情報を追加で登録していきます。 |
【注意点】 |
---|
|
東京電子自治体共同運営における電子調達サービスのまとめ
e-Tokyoを活用すれば、入札参加資格を取得し、登録を済ませることで、複数の自治体が発注する入札案件に参加できるようになります。
ただし、入札参加資格を得るまでには、必要書類の準備や登録手続きが複雑で、スムーズに進めるには手間がかかる場面もあります。そのため、自治体側への問い合わせが多くなってしまうことも少なくありません。申請者自身が手続きの流れを理解し、正確に対応できるようになれば、申請のハードルは下がり、同時に自治体職員の負担軽減にもつながります。
そこで有効なのが、テックタッチの活用です。申請者の手続き精度を高めるとともに、自治体職員の生産性向上にも寄与するため、電子調達の運用効率化に大きな効果を発揮します。



