ISOが要求する文書管理とは?認証における要件から運用まで解説

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ISO認証の取得や更新を目指す企業にとって、「文書管理」は避けて通れない重要なテーマです。
特に初めてISOに取り組む担当者にとっては、「なぜ文書管理が必要なのか」「どのような文書を管理すればよいのか」などの疑問が浮かぶ場合があります。

一方、すでに認証を取得済みの企業であっても、更新審査を目前に控える中で「文書の整備が追いついていない」「運用とルールが乖離している」などの課題に直面しているケースは少なくありません。

結論から言えば、ISOでは「文書化された情報」の管理が明確に求められており、その整備と適切な運用は認証取得・維持の要件の一つです。
本記事では、ISOが文書管理に何を求めているのかという根本的なポイントから、実際の運用やよくある課題、改善のヒントに至るまでを解説します。
また、記事内ではISOS認証後の運用を支援できる「テックタッチ」についてもご紹介。

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ISOが要求する文書管理とは

ISOが要求する文書管理とは

ISO認証を取得・維持する上で重要な項目の一つが「文書管理」です。
ISOでは規格に適合する品質マネジメントの一環として、文書の作成・更新・管理に厳格なルールが求められます。
ここでは、まずISOの概要を確認した上で、「文書管理」の定義と、ISO規格における具体的な要件について解説します。

ISOとは

ISO(International Organization for Standardization、国際標準化機構)は、1947年に設立されたスイスのジュネーブに本部を置く非政府組織です。
ISOのおもな目的は、製品、サービス、システムの品質、安全性、効率性を確保し、国際貿易を促進するための国際規格を開発・発行する点にあります。
ISOが制定する規格は大きく以下の2つに分類されます。

規格 概要
モノ規格 製品そのものの仕様や性能に関する規格 ・ISO 7010:非常口のマーク
・ISO/IEC 7810:キャッシュカード・クレジットカードのサイズ
マネジメントシステム規格 組織の運営や管理の仕組みに関する規格 ・ISO 9001:品質マネジメントシステム
・ISO 14001:環境マネジメントシステム

ISO規格に準拠すれば、組織は国際的な基準に沿った品質やサービスを提供できるようになり、国内外の取引先からの信頼を得られます。
また、内部の業務プロセスの効率化やリスク管理の強化にもつながります。

文書管理とは

文書管理とは、業務上で作成または受領した文書を、作成から保管、活用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体を通じて、適切に管理する作業を指します。
文書管理には、文書の作成・レビュー・承認・保管・共有・廃棄といった各プロセスが含まれ、紙媒体だけでなく電子データも対象となります。
文書管理の目的はおもに以下の通りです。

  1. 業務効率の向上
  2. 情報漏洩の防止
  3. コンプライアンスの強化

また、文書管理を効果的に行うためには、社内でのルールや規程の整備が重要であり、ルールを明確にし全社員に周知徹底すると文書管理の質を高められます。

ISOが定める文書管理とは

文書管理に関するISO 9001では、組織の品質マネジメントシステム(QMS)の有効性を確保するために、「文書化した情報」の作成・更新・管理が重要な要件として定められています。
要件を守る仕組みを整えれば、組織は業務の効率化やリスクの低減、顧客からの信頼獲得につなげられます。
次項にてこの要件についてさらに深掘りします。

自治体における文書管理とは?システム導入状況や課題について徹底解説

ISO9001が定める要件事項

ISO9001が定める要件事項

ISO 9001は、品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格として、組織が継続的に品質を改善し、顧客満足を高めるための枠組みを提供しています。
ISO 9001では、この「文書化した情報」について、どのような情報が必要とされるのか、それをどのように作成・更新すべきか、そして作成後の管理についてまで、細かく要件が定められています。
ここでは、ISOが定める要件次項について解説します。

文書化した情報一般

ISO 9001:2015の品質マネジメントシステム(QMS)において、「文書化した情報」は、組織の品質を維持・向上させるための重要な要素です。
「文書化した情報」とは、組織のQMSの運用に必要な情報を記録・管理するもので、紙媒体や電子データなど、形式を問わず含まれます。
特に、条項7.5.1「一般」では、以下の内容で2つの文書化した情報の維持が明確に定められています。

  1. 規格が要求する文書化した情報:ISO 9001が明示的に求める文書類で、品質方針や品質目標などが含まれる
  2. 組織が必要と判断した文書化した情報:組織がQMSの有効性を確保するために必要と判断した情報で、手順書や作業指示書などが該当

上記のなかの、「ISO 9001が明示的に求める文書類」の一例は以下の通りです。

  • 5.2.2 品質方針
  • 6.2 品質目標
  • 8.1 品質マネジメントシステムの計画や実施の記録
  • 7.1.5.2 校正や検証の基準
  • 7.2 力量の証拠
  • 8.3 設計開発のインプット、アウトプット、変更

条項7.5.1の理解と適切な対応は、ISO 9001の認証取得や更新において重要であり、適切な管理は業務の効率化や品質の一貫性を確保するための基盤となります。

作成および更新

ISO 9001:2015の品質マネジメントシステム(QMS)において、「文書化した情報」の作成および更新は、組織の運用効率と品質保証に直結する重要な要素です。
条項7.5.2「作成および更新」では、文書化した情報を作成および更新する際に、以下の事項を確実にする対応が求められています。

事項 概要
適切な識別および記述 文書には、タイトル、日付、作成者、参照番号などを明記し、文書の内容や目的が一目でわかるようにする
適切な形式および媒体
  • 文書は、使用される言語、ソフトウェアのバージョン、図表の形式など、組織の運用に適した形式で作成される必要がある
  • 紙媒体や電子媒体など、適切な媒体を選択し、利用しやすい形で提供
適切性および妥当性に関するレビューおよび承認 作成または更新された文書は、内容の適切性と妥当性を確認するためのレビューを受け、承認された後に配布・使用されるのが望ましい

上記の要件を適切に満たすことで、組織内の情報共有が円滑になり、業務の一貫性と効率性が向上します。

文書化した情報の管理

ISO 9001:2015の品質マネジメントシステム(QMS)において、「文書化した情報の管理」は、組織の運用効率と品質保証にかかわる事項です。
ISO 9001:2015の条項7.5.3「文書化した情報の管理」で定められている文書化した情報の管理においては、以下の点が重要となります。

  1. アクセスの確保:必要なときに、必要な場所で、文書が利用可能である
  2. 文書の保護:機密性や完全性を保持し、不適切な使用や改ざんを防ぐ
  3. 変更の管理:文書の更新履歴を記録し、必要に応じて以前のバージョンに戻せるようにする
  4. 保管と廃棄:文書の保存期間を定め、適切な方法で保管・廃棄を行う

上記の要件を満たせば、組織は業務の効率化やリスクの低減、顧客からの信頼獲得につなげられます。

ISOに基づいて文書管理を行うメリット

ISOに基づいて文書管理を行うメリット

ISO規格に基づいた文書管理は、単なるルール対応ではなく、組織のパフォーマンス向上や信頼獲得につながる戦略的な取り組みです。
特にISO 9001における文書化された情報の管理は、品質マネジメントの根幹を支える要素のひとつとされており、導入企業ではさまざまな形でその効果が表れています。
ここでは、ISOに準拠した文書管理によって得られる代表的なメリットを解説します。

ISOに基づいて文書管理を行うメリット

信頼性の向上

ISO 9001に基づいた文書管理を行うのは、企業の「信頼性の向上」に効果的です。
まず、社外に対しては、業務プロセスや品質管理が国際規格に準拠していることを明確に示せるため、顧客や取引先からの信用を得やすくなります。
特にBtoBの取引では、ISO 9001認証の有無が取引条件になるケースも多く、文書管理を含む認証取得はビジネス拡大の足がかりとなります。
また、社内においても信頼性の向上は効果的で、文書化された業務手順や記録が整っていれば、業務の属人化を防ぎ、誰が作業しても一定の品質を保てる仕組みが構築可能です。

リスク回避

ISO 9001に基づいた文書管理は、情報漏洩や紛失、改ざんなどのリスクを低減し、組織のリスク回避に役立ちます。
ISO 9001では、文書化された情報の管理に関する具体的な要求事項が定められているため、これに従えば適切な管理が実現できます。
また、多くの業界では契約書や会計書類など、一定期間の文書保存が法的に義務付けられていますが、ISO 9001に準拠した文書管理を行うと、これらの法的要件を満たし、コンプライアンスリスクを回避可能です。

生産性向上

ISO 9001に基づいた文書管理は、組織の生産性向上にも直結する仕組みです。
まず、業務手順や作業プロセスを明確に文書化して、作業のムラや属人化を防止できます。
誰が担当しても同じ品質で業務を遂行できるようになり、業務の標準化が進むため、無駄なやり直しや確認作業が削減可能です。
また、文書化された情報を共有すれば、社内のナレッジが蓄積され、新人教育の時間短縮や、人員交代時の引き継ぎの負担軽減にもつながります。
さらに、電子的な文書管理システムを活用すれば、必要な情報をすぐに検索・閲覧できるようになり、現場での判断ミスや作業の遅れを未然に防げるようになるのもメリットの一つです。

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ISO認証取得後における文書管理の課題

ISO認証取得後における文書管理の課題

無事にISO認証を取得した企業がその後も認証を維持し続けるには、文書化した情報を日常業務に落とし込み、継続的に更新・活用する体制を整える必要があります。
しかし、現場では「運用が形骸化している」「更新コストが高い」「担当者の負担が大きい」といった課題が浮き彫りになることも少なくありません。
ここでは、ISO認証後の文書管理において企業が抱えやすい3つの代表的な課題と、最後にそれを解決する手段としておすすめな「テックタッチ」の活用について解説します。

ISO認証取得後における文書管理の課題

維持費がかかる

ISO 9001認証取得後の文書管理において、「維持費がかかる」という課題は多くの企業が直面する現実的な問題です。
おもな維持費の内訳は以下の通りです。

維持費 概要
審査費用 ISO 9001の認証を維持するためには、1年に1回から2回のサーベイランス審査と、3年に1回の更新審査を受ける必要がある
システム導入・運用費用 文書を要件に沿って適切に管理するための文書管理システム・オンラインストレージなどを利用する費用がかかる
人件費 文書の作成や更新、管理には専門的な知識とスキルが求められるため、専任の担当者を配置する必要がある

上記の費用を抑えるためには、文書管理の効率化や、必要な文書の見直し、適切なツールの選定など、戦略的な取り組みが求められます。

体制構築による業務負担

ISO 9001認証取得後、文書管理体制の構築は組織の品質向上に役立つ一方で、現場における業務負担の増加が課題となる場合もあります。
ISO 9001の要求事項に基づいた文書管理体制を整備する際、以下のような対応が必要です。

  1. 要求事項の確認と把握
  2. 管理対象となる文書の選定
  3. 文書作成
  4. 文書の作成・更新・保管ルールの制定と周知
  5. 利活用しやすい環境の整備

上記の対応は、多くの場合通常業務に加えて行う必要があるため、一時的に従業員の負担が増加する可能性があります。
また、非効率な文書管理を行う体制となっていたり、実務に即していないルールや文書の増加があったりすると、さらに従業員の負担が増すおそれもあります。
従業員の業務負担を解消するための対策は以下の通りです。

  • 文書の作成・更新・保管ルールを明確にする
  • 実務に即していないルールや文書を削減する
  • 適切なツールを導入する

上記の対策を講じれば、文書管理体制の構築による業務負担を軽減し、組織全体の品質向上と業務効率化を実現できるでしょう。

運用が浸透しない

ISO 9001認証取得後、多くの企業が直面する課題の一つが、特にシステム・ツールを利用して文書管理を行う場合に文書管理の運用が現場に浸透しない点です。
現場に浸透しない原因はおもに以下の通りです。

  1. 文書化された手順やルールが、現場の実際の業務フローと合致していない
  2. 文書管理体制や手順が、全従業員に十分に伝達されておらず、理解・定着が進んでいない
  3. 現場で使用される文書が最新の情報を反映していない など

上記の問題のうち、従業員の理解を促進させるために役立つのが、システムの運用のおけるユーザビリティを向上させられる「テックタッチ」です。
テックタッチについては次項にて詳しく解説します。

ISO認証後の運用を浸透させるテックタッチ

ISO認証後の運用を浸透させるテックタッチ

ISO認証後、文書管理のルールやフローを社内に浸透させるには、単にマニュアルを配布するだけでは不十分です。
特に、複雑な業務システムや手順が絡む場面では、「どう操作すればよいのか分からない」「更新ルールが現場に伝わらない」といった運用課題が頻発します。
ISO認証後の運用を浸透させるのに役立つのが、SaaS型のデジタルガイドツール「テックタッチ」です。
テックタッチは、従業員が実際に使用している業務システムの画面上に、直接ナビゲーションや操作ガイドを表示できる「ノーコードガイドツール」です。
画面上にステップバイステップの案内を重ねて、「どこをクリックすべきか」「次に何を入力すべきか」などの操作をリアルタイムで誘導できます。
また、誰がどの手順で何を操作したかといった「操作ログの可視化機能」や「利用状況の分析機能」も備えており、マニュアル定着の度合いの定量的な把握も可能です。
テックタッチは、ISO認証後の文書管理や運用ルールの「現場への定着」を、ITの力でスマートにサポートできるツールです。

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ISOに基づいた文書管理を行う目的

ISOに基づいた文書管理を行う目的

ここでは、ISOに基づいて文書管理を実施するための具体的な手順として3つのステップに沿って解説します。

文書を種類分けする

ISO 9001に基づいた文書管理を適切に行うには、まず文書を種類ごとに明確に分類する作業が必要です。
分類する際には、「文書体系図」に沿って文書を整理すると効率的に進められます。
文書体系図は、最上位に品質マニュアルがあり、その下に手順書、作業指示書、記録類といった実務に即した文書が連なるのが一般的です。
文書体系図を活用すると、文書同士の関連性が明確になり、誰がどの情報を参照すべきかが把握しやすくなります。
文書の分類と構造化によって、従業員が必要な情報に迅速にアクセスできる環境が整います。

文書の管理規定を定める

ISO 9001に基づいた文書管理を適切に行うためには、明確な「文書管理規定」を定めることが不可欠です。
文書管理規定を策定する際には、以下の要素を意識しましょう。

  1. 各文書に対して、タイトル、作成日、作成者、文書番号などを付与する
  2. 文書の形式と媒体を適切に選定する
  3. 責任者を明確にする
  4. 配布方法やアクセス権限を定める
  5. 適切な場所で保管し、必要な保存期間を設定する
  6. 文書の変更履歴を記録し、版の管理を行う
  7. 不要な文書は適切な方法で廃棄する

上記の要素を網羅した文書管理規定を策定し、組織全体に周知・徹底すれば、文書の整合性と一貫性が確保され、品質マネジメントシステムの効果的な運用が可能となります。

規定を周知する

規定を策定したとしても、現場で理解・活用されなければ、品質マネジメントシステムの有効性が損なわれるため、定めた管理規定を組織内で確実に周知し、実務に定着させる必要があります。
規定の効果的な周知方法は以下の通りです。

  • 多様なチャネルの活用
  • トレーニングと教育の実施
  • 文書管理システムやクラウドサービスを活用
  • 従業員からの意見や質問を積極的に収集し、規定の内容や周知方法の改善に活かす など

上記の手法を組み合わせて実施すれば、文書管理規定の周知が効果的に行われ、ISO 9001の要求事項を満たす品質マネジメントシステムの運用が実現できるでしょう。

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まとめ:周知の手間いらず、運用を浸透させるテックタッチ

まとめ:周知の手間いらず、運用を浸透させるテックタッチ

ISO 9001は、ISOが定める品質マネジメントシステム(QMS)の規格であり、企業が継続的に品質を向上させ、顧客満足を高めるための仕組みを構築・運用するためのガイドラインです。
ISO 9001では、文書管理は単なる保管ではなく、現場での運用の徹底が前提とされているのが実情です。
ただ、文書管理の運用は、取得直後の初期段階では整備されていても、時間が経過するにつれて徐々に形骸化していくケースが後を絶ちません。
規定が更新されても周知が追いつかず、現場で古い手順が使われてしまう、あるいは「マニュアルを読まない・読めない」といった属人化が発生する場合もあります。
ISO 9001に即した文書管理における課題を解決するのに役立つのが、Webシステムの画面上に直接操作ガイドを表示できる「テックタッチ」です。
テックタッチは、文書管理に関わる業務システムにリアルタイムでナビゲーションを重ねることができるSaaS型ツールです。
テックタッチなら、利用者が実際にシステムを使いながら自然に規定に沿った操作や判断ができるようにサポートできます。
ISO認証後の運用でお悩みの企業にとって、テックタッチは「周知の手間いらず」で、かつ「現場の自走を促す」文書管理支援ツールとしても活用可能です。

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