チュートリアル作成ツールとは、画面上に操作方法のガイドなどを表示し、ユーザーの理解や利用を促すツールのことです。
利用すれば、カスタマーサクセス担当者の手間を減らすとともに、早期定着や顧客満足度向上などのメリットを得られます。
この記事では、チュートリアル作成ツールの概要や実現できること、選び方とおすすめツールについて詳しく解説します。
チュートリアル作成ツールについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
チュートリアル作成ツールとは
チュートリアル作成ツールとは、画面上にチュートリアルを表示し、利用者が自然と使い方を覚えられるように促すものを指します。
そもそもSaaSにおけるチュートリアルとは、ベンダーが提供するプロダクトの以下などを、順を追って解説することを指します。
ベンダーが提供するプロダクトのサービス |
・利用を始めるまでの準備 ・導入作業 ・初期に行う設定や手続き ・基本的な事項や概念 ・初歩的な使い方 |
方法はテキストや動画などさまざまあり、オンボーディングプロセスでは欠かせません。
従来、チュートリアル(tutorial)は「個別指導」「個人指導」「指導書」などの意味を持つ英単語ですが大学における個別指導や少人数の授業をチュートリアルと呼ぶケースもあります。
近年では、IT分野の基本的な操作方法や、ある特定の分野における初歩的な知識・スキルを、段階的かつ実践的に解説したものをチュートリアルと呼びます。
初期設定や操作において、ユーザーが次に何をすれば良いかが分かるガイドが表示され、操作手順を学びつつ設定が可能です。分厚い説明書などを読む必要はありません。
チュートリアル作成ツールが必要な理由
チュートリアル作成ツールを使うことでそのリソースも省きつつ教育だけにとどまらず人によって話からわからないの差がなくなるため属人化も防げる オンラインシフトしている現代には必要なツールとして見られています。
近年のDX化にともない、教育にかけるリソースを削減する方法が複数存在します。
そもそも、DXは日本の総人口・労働人口減少による働き手不足の解決や労働生産性・企業競争力向上の手段です。
ただ、日本のDXは世界各国と比べ遅れているといわれており、DX化が進まない原因の一つはIT人材不足です。
推進には教育が欠かせませんが、教育にリソースを割くためには手間やコストがかかります。
そこで、チュートリアル作成ツールを利用すれば、リソースも省きつつ教育が可能です。
また、教育を人が行った場合、担当する人により話し方や伝える内容に差が出ますが、
ツールを利用すれば、工数を削減しつつ伝える情報も標準化可能です。
オンラインシフトしている現代において、欠かせないツールと考えられています。
チュートリアル作成ツールに実現できること
チュートリアル作成ツールの導入・利用により、以下3つを実現できます。ここからは、上記のそれぞれについて詳しく解説します。
1. サービス定着を助けることができる
チュートリアル作成ツールの導入・利用で、サービス定着を助けられます。
話を聞いたり、資料やマニュアルを読んだりするよりも、自分で操作した方が早く定着します。
実際に、アメリカ国立訓練研究所が発表した7つの学習方法と、その効果や定着率を示す「ラーニングピラミッド」でも、自らの体験における定着率が高くなっています。
なお、ラーニングピラミッドにおける各学習方法と定着率は以下の通りです。
学習方法 | 定着率 |
講義 | 5% |
読書 | 10% |
視聴覚 | 20% |
デモンストレーション | 30% |
グループ検討 | 50% |
自ら体験する | 75% |
他の人に教える | 90% |
ベンダーが実施する説明は「講義」や「デモンストレーション」、マニュアルの閲覧が「読書」と仮定した場合の定着率は最大で30%です。
「自ら体験する」の75%と比べ、高くありません。
チュートリアルにより、利用者自身の力でサービスの定着化を実現するセルフオンボーディングを促せば、アクティブ率や定着率の向上が期待できます。
2.顧客満足度を向上させられる
チュートリアル作成ツールの活用は、顧客満足度にも良い影響を与えます。
利用者が以下の印象を抱いたり、ストレスを感じたりすれば、顧客満足度は減少します。
必要な作業 |
・使いにくい ・操作方法が分からない ・機能を使いこなせない ・マニュアルが読みにくい・理解しにくい使いにくい |
ユーザーがストレスを感じ利用しなければ、早期解約につながる可能性があります。
サブスクリプション型の料金体系を採用しているケースが多いSaaSビジネスでは、活用・定着を図らなければ、利益を得られません。
顧客獲得コストなどがかかるため、早期解約されると最悪の場合赤字になる可能性もあります。
利用するユーザー数に応じた従量課金制を採用しているケースも多いSaaSビジネスでは、大規模かつ長期的な利用が利益獲得のポイントです。
チュートリアルにより、ストレス発生の回避や早期定着の促進を期待できます。
3. 実装コストを下げることができる
実装コストを下げられるのも、チュートリアル作成ツールの魅力です。
チュートリアルを通じて、初期設定や使い方、機能などを伝えられるため、カスタマーサクセス担当者が案内や説明をする手間がかかりません。
問合せ件数も少なくなり、業務効率化や人件費などの削減が期待できます。
ツールを使わない場合、導入社数や利用者数が増加するほど、サポートする担当者の負担が増加します。
対応が疎かになれば、解約につながるケースも少なくありません。
ただ、担当者を増員すれば、それにともない人件費も増加し利益が減少します。
担当者の手間を抑え、利用者の分析や高度な問題解決サポートに集中すれば、顧客満足度の向上も期待できます。
チュートリアル作成ツールの3つの選び方
複数あるチュートリアル作成ツールは、自社の目的やターゲットユーザー、利用シーンなどに応じて適切なものを選択しなければ、期待する成果は得られません。
ここからは、チュートリアル作成ツールにおける以下3つの選び方について詳しく解説します。
1. 導入目的を明確にする
チュートリアル作成ツールを導入する際は、目的の明確化が欠かせません。
目的が不明確な状態で闇雲にツールを導入しても、期待する成果を得られるとは限りません。
まず、自社が求めるオンボーディングやカスタマーサクセスの成功・ゴールを明確にし、どの情報を・どのような方法で・いつまでに伝えるかなどの整理が必要です。
また、目的やゴールが明確になれば以下などのKPIも設定します。
分類する際の割り振り |
・初期設定の完了率 ・初期設定が完了するまでの時間 ・任意の機能における活用回数や頻度 ・プロダクトへのアクセス時間や頻度 ・アクティブユーザー数 |
上記をもとに、ツールに必要な要件の棚卸しを行います。
2. セキュリティーが高いか確認する
セキュリティーが高いか否かの確認も欠かせません。
ツールの多くは、インターネットなどのコンピュータネットワークを経由し、コンピュータ資源を提供するクラウド型です。
基本的には、開発元ベンダーが用意したクラウドを活用するため、セキュリティレベルはベンダーに依存します。
近年はクラウドの利用率の向上にともない、デジタル化された情報がネットワークを介して攻撃されるリスクも向上し続けています。
ハッキングなどをされれば、自社の秘匿情報や顧客の個人情報が流出する可能性が少なくありません。
万が一、情報が流出すれば経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
多くの場合ツールのセキュリティレベルに関する情報は、公式サイトに記載されていません。
ベンダーへの問合せやセキュリティチェックシートの提出依頼などにより、安全性・信頼性の確認がおすすめです。
3. 必要な機能を洗い出す
チュートリアル作成ツールは、ツールごとに実装されている機能も違います。
例えば、標準機能のみを搭載したツールや、カスタマーサクセス全般に役立つ総合的なツール、FAQ・NPSなどの付加機能を搭載したものまで、さまざまです。
利用する目的やゴール、KPIをもとに、どのような機能が必要かを以下の3つに分類する棚卸しの実施がおすすめです。
分類する際の割り振り |
・必要な機能 ・あると便利な機能 ・必要ない機能 |
上記を検討する際は、拡張性や将来性も考慮する必要があります。
また、ターゲットとなる利用者に合わせた機能があるツールの選択も重要です。
ツールによっては、モバイルデバイスや複数言語に対応するものも存在します。
設定方法もドラッグ&ドロップによる簡単な設定や、高度なカスタマイズができるものまでさまざまです。
自社における利用のしやすさも考慮した選定がポイントです。
ただし、機能数や利便性が向上すれば、その分コストが高くなります。
場合によっては、不要なコストの発生や費用対効果の低下につながるため、注意しなければなりません。
費用対効果を考え、各ライフサイクルでカスタマーサクセスを実施できるツールの選定が欠かせません。
目的別チュートリアル作成ツール6選
おすすめの目的別チュートリアル作成ツール6選は以下の通りです。ここからは、上記おすすめのツールについて詳しく解説します。
Techtouch
Techtouchは、ユーザー数400万人以上でDAP市場の国内シェア3年連続NO.1を獲得したチュートリアル作成ツールです。
システム上にデジタルガイドやツールチップを表示でき、利用者はマニュアルを見ながら操作する必要がありません。
また、以下のような条件に応じて表示するガイドの出し分けも可能です。
ガイドの出し分けの際に分類できる |
・日時 ・期間 ・ブラウザ ・デバイス |
各ユーザーに合わせた最適なガイドをベストタイミングで提供できます。
直感的に操作できるノーコードで、簡単にできるコンテンツ作成も魅力の一つです。
問合せ件数を20%軽減・新機能リリース時の機能利用率を250%向上
テックタッチを導入し成功した企業の一社が、バックオフィスSaaS「マネーフォワード クラウド」を提供する株式会社マネーフォワードです。
マネーフォワードでは、プロダクト開発のスピード感を落とさず、カスタマーサクセス職メンバーの労働集約にならない仕組みづくりが必要でした。
ノーコードでサポートが手厚く、データ分析機能が実装されているなどの理由から、導入したツールがテックタッチです。
導入した結果、問合せ件数を20%軽減しつつ、新機能リリース時におけるユーザー利用率の250%向上に成功しました。
なお、マネーフォワードの事例詳細について知りたい方は、以下をご覧ください。
≫≫ ユーザーからの問合せ件数を20%軽減しつつ、新機能リリース時のユーザーの利用率を250%向上!
Onboarding
Onboardingは、直感的にチュートリアルやガイドツアーを作成可能なツールです。
セルフオンボーディングの促進に役立ち、手間やコストを削減できます。
また、各ユーザーのガイド利用率やログイン頻度、機能活用の状況を分析する機能も実装されています。
Fullstar
Fullstarは、SaaSツールの提供実績53,000社以上のクラウドサーカス株式会社が開発・提供するツールです。
トラッキングコードの設置だけで簡単にチュートリアルを作成でき、高度な設定などは必要ありません。
レビュー管理やアンケート管理などのユーザー分析機能や、対応リクエスト管理・ストーリー編集といったカスタマーサクセス担当者向け機能も実装されています。
WalkMe
WalkMeは、利用者の状況に応じたチュートリアルを表示できるツールです。
属性や行動履歴などによるパーソナライズができ、各ユーザーに合わせたアプローチが可能です。
また、つまずきやすい箇所を見える化できるため、先回りしたサポートで早期定着を期待できます。
Product Tours
Product Toursは、ヘルプページやチャットサポートを簡単に実装できるツールです。
新たな利用者に対するガイドの表示や新機能の強調もできます。
オプションも充実しているため、自社に合わせて利用しやすい点も嬉しいポイントです。
BizFront
BizFrontは、既存の業務システム画面における入力項目に、ガイドなどを追加可能なUI改善ツールです。
注釈やヘルプ・ガイド・リンクなどの表示で、操作・入力をサポートし、ミスを軽減させます。
業務システム自体を改修する必要がなく、改修にかかる費用と時間を抑えられます。
まとめ
この記事では、チュートリアル作成ツールの概要や実現できること、選び方とおすすめツールについて解説しました。
チュートリアル作成ツールとは、画面上に操作方法のガイドなどを表示し、ユーザーの理解や利用を促すツールのことです。
複数のツールがありますが、デジタルガイドでセルフオンボーディングをサポートする「テックタッチ」がおすすめです。
テックタッチであれば、ノーコードでチュートリアルを作成でき手間やコスト削減、顧客満足度の向上が期待できます。