経費精算システムと自社開発システムに「テックタッチ」を導入。データやユーザーの声を元にシステムの操作性を向上
・マニュアルを用意したものの活用の徹底がなされない
・使い方の問い合わせや差し戻し数が多発する課題
・自社システムは機能の増築が長らく行われ複雑になり、改修が難しい状況に
・従業員が操作を迷わないようにするためのガイドを作成
・定型的な申請業務は「オートフロー機能」で自動処理されるように
・分析データやユーザーの声をもとに、より高い操作性を実現
・経費精算時に、従業員が迷わずミスなく操作ができるように
・システム上にアンケートを表示させることで、従来の社内ポータルよりも多くの声を収集できるように
・定型業務の自動化により、問い合わせ数を35%削減
導入前の課題
業界特有の事情や複雑な業務フローが原因の問い合わせや差し戻しの増加に課題
前田建設工業は1919年に創業した日本を代表する総合建築会社です。2021年には、経営基盤強化を目的としてインフロニア・ホールディングス株式会社を立ち上げ、「エンジニアリング力」と「新たな建設サービス」を持つ総合インフラサービス企業として社会に貢献することに挑戦しております。
私がセンター長を務める情報システム総合センターは2センター、7グループから構成され、IT技術力とビジネス力の両方から組織改革に貢献することをミッションとしています。主に社内のバックオフィス関係のシステムや、建築・施工管理システムの開発・運用を担っております。
当社では効率化のために、多くのシステムを活用しておりますが、それらのシステムで課題を感じていました。
まず、経費精算領域では、経費精算システムの「Concur」※を導入しています。経費精算にかかる業務量の削減等を目的に、2018年より利用を開始しました。導入に際してPDFと動画によるマニュアルを用意したものの、活用が定着化されず、操作に関する問い合わせが多く寄せられました。さらに、建設業は内勤と現場や、作業所ごとの違いで経費精算パターンが異なり、操作が複雑になってしまう業界特有の理由も重なり、入力ミスによる差し戻しも多発していました。
他のシステムでも同様の課題は発生しておりました。ICT機器・ソフトウェアの購入申請を行う「ICT資産管理システム」を内製しているのですが、自社開発ゆえに操作性の複雑化に悩まされていました。背景には、過去からの増築の繰り返しにより多くの機能が盛り込まれてしまったことや、複雑な業務フローをそのままシステムに落とし込んだという事情があり、簡単に改善することは難しい状況でした。
活用方法と効果
従業員の声を元にシステムのUIを改善。問い合わせ数を35%削減することに成功
「テックタッチ」を導入する検討を始めたきっかけは、「Concur」の新たなUIへの変更期限が迫っていたことでした。再度マニュアルを作成するべきか、現行の体制のまま利用を続けるべきか悩んでいたことを覚えています。既にマニュアルには限界を感じており、生産性を上げるためには、操作ガイドの活用が必要だろうと考えました。
しかし、操作ガイドをシステムに組み込むことは、ベンダーから提供されるSaaS製品では難しく、自社開発システムにおいてもコストがかかります。
そこで、改修コストをかけずにユーザーを正しい操作に導くツールを探しはじめ、「テックタッチ」に出会いました。
「テックタッチ」の導入にあたって、複数ツールを検討しました。ツール間で多少の機能差があったものの、最後はテックタッチ社なら親身にサポートしてくれるだろうという期待を感じ、決断しました。特に、操作ガイド製作への協力をはじめとする、カスタマーサクセスの支援が魅力的で、かつ国産ツールである点も信頼感を持つ理由になりました。
導入後はテックタッチ社のカスタマーサクセスからは期待通りのサポートを得ることができました。特に驚いたのは、私たちを含めた利用者の声を積極的に拾い上げる体制でした。テックタッチ社はユーザーからの要望を、システム開発に反映する力があり、実際に利用している「テックタッチ」の分析機能も私たちの声を聞きながら開発してくれました。
「テックタッチ」の「Concur」への実装は、問い合わせが特に多かった「経費タイプの選択方法」と「誤って貼ってしまった領収書を修正する方法」を案内するガイドを作りました。この効果は大きく、今でも従業員がよく活用するガイドになっています。
「テックタッチ」のガイドは「どこをクリックするのか」「何に気を付けて操作するべきか」を操作に沿ってタイムリーに教えてくれるため、従業員はガイドに従うだけで操作が完了するようになっています。
「Concur」だけでも様々なガイドを作成しているのですが、カテゴリーを分けて表示することができるので、従業員にとっては大変わかりやすくシステムを使い始めることができます。
「テックタッチ」にはアンケート機能があり、よく利用しています。システム画面上に直接、アンケートを表示させることができ、社内ポータルや掲示板に載せるよりも多くの回答を得ることができました。SaaS製品へのアンケートの組み込みはこれまでは難しかったので、非常に便利に活用しています。
アンケートの結果は、ナビゲーションの改善に活用しています。「テックタッチ」のナビゲーションは修正が非常に容易なため、従業員の声を元に迅速な改善を行うことができ、アンケート回答へのモチベーション向上にも繋がっています。
「ICT資産管理システム」においては、「テックタッチ」の自動化機能による業務効率化に取り組んでいます。作成するガイドは条件分岐ができ、RPAのような役割を果たすことができるため、様々な処理を任せることができます。たとえば、機器導入の際に、申請画面では選択した機器によって入力箇所が変わり、ユーザー自身でマニュアルを調べながら正しく入力することが難しいという課題がありました。そこで、申請する機器を選択するだけで、必要項目の選別、入力を全て「テックタッチ」が自動的に操作をし、ユーザーは残りの配賦(はいふ)先だけ選べば良いという仕組みを実現しました。
このような取り組みにより、棚卸期間の問い合わせ件数が、導入前後で35%減少するという効果が見られました。また、自動化機能によって、入力ミスによる差し戻し件数も減少し、システム改修のコストをかけずに高い効果を得られ、非常に満足しています。
また、システムの効果をさらに高める施策として、「テックタッチ」の分析機能を活用しています。「テックタッチ」から得られるデータには、該当システムにおけるセッション時間、システムの利用時間、ナビゲーションの操作回数といったものがあり、ダッシュボード上で時系列として確認することができます。これまでのデータは活用していたのですが、データをさらに詳細に分析し、得られた考察をナビゲーションの改善に活かし、さらなる生産性向上に挑戦しています。
今後の展望
「テックタッチ」でシステム価値を評価し、データドリブンな生産性改革を推進
生産性向上のために導入したシステムも、ビジネス環境の変化によってしだいに効果が薄くなっていきます。そこで、必要性が少なくなるシステムは廃棄し、新たなシステムへの投資につなげるという取り組みを進めていくつもりです。私たちは、このシステムの価値評価に向けて、「テックタッチ」で収集できたデータや分析を元に、各システムの貢献度を測っていきたいと考えています。「テックタッチ」をベースとしたデータドリブンな体制を構築し、生産性改革を推進していきたいと思います。