3.2万人が使う人事基幹システムの困りごとを自己解決できる環境を実現
・新システムの導入時、初期設定や操作変更により問い合わせ・差し戻しが急増、操作や運用説明等の検索コスト増加から安定運用に時間がかかる
・これまでも法改正・制度改定のたびにマニュアル更新と周知が発生
・期初・期末などの時期は、人事やHRSS(シェアードサービス)部門への対応負荷が集中
・全従業員が利用する主要な人事基幹システムへの実装
・初期登録の操作ガイドや操作の導線にツールチップを実装、迷いやすいポイントに、ポップアップで案内を表示(データ削除は重点的にわかりやすく表示)
・問い合わせログや差し戻し理由を分析し、コンテンツを早期に改善、文言などはアジャイルに対応
・従業員の自己解決促進により、問い合わせを大幅削減
・学習管理システム導入当初の混乱を抑え、問い合わせ率を60%削減でき、それに伴う対応工数としては70%の削減を実現
・経費精算システムでは、導入から9か月で累計900万回を超えるほど高頻度で活用
導入前の課題
システム刷新と制度改定が同時進行し、変革期がゆえの混乱が発生
本田技研工業株式会社は、「自由な移動の喜び」をすべての人に届けることを使命に、自動車・二輪車・パワープロダクツ(汎用エンジン製品)などをグローバルに展開する総合輸送機器メーカーです。創業以来、「人の役に立つ社会の創造」を目指し、独自の技術開発とものづくりを追求。近年では、電動化やカーボンニュートラルの実現、人と社会をつなぐモビリティの革新にも注力しています。

本田技研工業株式会社 人事部 HRデータマネジメント課 鈴木 様
ビジネスの競争激化により、これまで以上に「生産性に寄与する時間」の創出が急務となっており、当社でもHRDXは重要な取り組みです。
足元では、法や制度の変更間隔が短縮、対応による複雑化するオペレーションやミドルウェアの老朽化対応としてシステム継続・変更議論などが行われ、ハード面・ソフト面双方の大きな変更が必要という結論になりました。そうした状況から、全従業員(日本国内:約3.2万人)が対象の人事基幹システムにもスコープが当たります。
上記より、レガシーシステムから新システムの入替が続くのですが、初動における「Cornerstone※」(学習管理)では、初期設定や操作ミスなどによる多くの混乱が生じてしまいました。
具体的には、手順書やマニュアルを修正・再配布していたものの、実際にはマニュアルが読まれず、理解不足のまま申請されるケースや、人事部門へのメールは1日に数100件、電話鳴りっぱなしの状況です。
ですから、操作支援と問い合わせ削減を両立し早期に対応できることが急務となります。運用面では、システムのUI(ユーザインターフェース)上に運用説明表示やツールチップ、ポップアップなどの操作や運用のガイドが自由に設置できること、保守面では、元のシステムへの追加開発が必要なく、修正コストが低い上にアジャイルに反映ができることが求められます。この問題を解決したのが「テックタッチ」でした。
その後、「SAP SuccessFactors※」(人事給与)、「SAP Concur※」(経費精算)、の入替がありましたが、「テックタッチ」の適用により大きな混乱なく安定運用に移行することができました。
活用方法と効果
ヒューマンエラーやストレスが発生しやすい画面に、先回りして操作ガイドを設定
「テックタッチ」の導入にあたっては、各システムの特性に合わせて戦略的に進めました。
【SAP SuccessFactors】
まず、「SAP SuccessFactors」への「テックタッチ」適用では、申請漏れや申請ミスを削減する実装を進めました。
申請途中でつまずくポイントにルールなどの案内を表示させています。例えば、申請後にマイナンバー登録が必要なケースでは、画面上にポップアップで適切なファイルを添付してもらえるようリマインド表示し、申請漏れを未然に防止しています。


この実装により、従業員が迷う箇所に適切な案内をできるようになり、従来発生していた抜け漏れに対し、従業員がシステム上で自ら解決できるようになりました。
【SAP Concur】
「SAP Concur」へは、操作に迷いやすい業務を洗い出し、従業員が1クリックで必要な操作にたどり着けるポータル型の操作ガイドを構築しました。
同システムを導入した直後には、初期設定の不備や操作混乱により、1日に数百件もの問い合わせが発生していました。従業員にとっても「操作が煩雑」「結局どうすればいいかわからない」といった不満が募っており、また制度改定があっても、その意図が正しく伝わらないという課題が浮き彫りになっていました。

そこで、経費精算システム上で操作に応じてリアルタイムに案内することで、利用時の混乱を抑制し、問い合わせ数は「ほぼゼロ」にまで抑えることができました。
ツールチップの表示回数でいうと、導入から9か月で累計900万回を超えるほど高頻度で活用されており、従業員が自己解決する文化が醸成されています。
【Cornerstone】
UIの複雑さから問い合わせが殺到していた学習管理システムの「Cornerstone」へ、自発的、かつ継続的に研修を受講するユーザー数が向上できるよう、「テックタッチ」を利用しています。
従業員向けにはログインなどの基礎的な設定方法を、管理職向けには部下の研修管理を補助するガイドなどを設定しています。

その結果、一時期は1日数百件の問い合わせが発生していた従業員からの問い合わせ率を60%削減でき、それに伴う対応工数としては70%の削減を実現しています。
また、現在では、必修研修の完了画面から推奨する研修へ誘導するガイドも設定しており、必修以外の研修の認知向上にも努めています。
今後の展望
“Hondaらしい”HRDXを深化させていく基盤の存在
当社では、従業員中心のアプローチを大切にしています。これからも、”Hondaらしさ”を守りながらも、変化と進化の両立をしていくことが求められていると考えています。
その実現に向けては、従業員一人ひとりがデジタルツールを迷わず使いこなし、自律的に行動できる環境づくりが不可欠です。「テックタッチ」はその基盤の一部として、現場での活用支援だけでなく、制度運用の早期定着や安定運用に大きな効果を発揮しています。今後も変わり続けるビジネスの中にあって、HRだけでなく、全体のシステムサポートツールとして活用していきたいと考えています。
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