
静岡県磐田市
静岡県西部に位置する磐田市は、工業と農業が盛んで、温暖な気候と豊かな自然環境を活かした地域発展を目指しています。
また、サッカーJリーグ「ジュビロ磐田」のホームタウンとしても知られ、スポーツを通じた地域活性化にも力を入れています。
システム移行による混乱を抑え、問い合わせ・返戻件数を3割削減。 現場主導の改善で、全庁的な業務効率化を実現。
- 伝票起票ルールが複雑で、一般職員が正しく起票するための負荷が大きい
- 会計課職員が少人数体制の中、起票ミスが多く多大な審査工数が発生していた
- システム移行により画面や運用が大きく変わり、操作に関する問い合わせや返戻の増加が懸念された
- 利用頻度が高い業務画面へ1クリックで遷移できるポータルと自動ガイドを設置
- 各業務画面に遷移後、間違えやすい・迷いやすい項目に吹き出しで補足説明を表示
- 返戻状況や職員アンケートをもとに、実直にガイド内容を継続的に改善する運用を構築
- 問い合わせ件数を約33%削減、返戻件数を約30%削減
- 全庁的に年間約8,895時間の業務時間を削減
- 95.7%の職員が「来年度以降も必要」と回答し、システム定着と満足度向上を実現
導入前の課題
財務会計システムの移行に伴いDAPを活用、返戻状況等を踏まえて実直に継続的改善
磐田市では、旧財務会計システムの保守期間終了を契機に、新財務会計システム「FAST財務会計」を導入しました。
昨今の時流や、全庁的な方針から、独自のカスタマイズを極力排除した標準的な構成で新システムを導入する一方、約10年間運用した旧システムからの移行は容易ではありません。
一定の移行負荷が発生することは想定していましたが、構築作業が進めば進むほど、その実感はリアルなものになっていきました。
新システムを運用開始する4月は、出納整理期間であり、例年6,000件を超える伝票審査をわずか4名体制で処理しています。
会計課としては、現行の伝票審査と問合せ対応に追われる中で、新システムの使い方に関する問合せにまで手が回らない、という危機感もあり、新システムの操作に関する問合せを最小限にするための対策に頭を悩ませていました。
また、操作に不慣れな職員による起票ミスや、返戻伝票の増加など、現場の混乱は容易に想像できたため、どうすればこうした課題を解決できるかと考えていました。
活用方法と効果
新システム稼働前にLGWAN環境下で利用できる唯一のDAP「テックタッチ」を採用
令和6年7月頃、とある展示会に参加したDX推進担当職員から「このツールなら課題を解決できるのでは」と、テックタッチの紹介を受けたことが導入のきっかけでした。
説明を聞いた会計課では、まさに自分たちが直面している課題にフィットすると感じました。
結果として、補正予算を措置し、LGWAN接続で利用可能な唯一のデジタルガイドサービスであったことも決め手となり、特命随意契約で導入を決定しました。
構築作業が最繁忙期でなかなか時間を割けず、小熊坂様にはスケジュール変更や、来庁いただいて一緒にガイド作成する等、特別対応をしていただきました。
通常は導入に約2カ月を要するところ、約2週間で構築を完了。
主要な執行系申請へ自動遷移するガイド等を15個、項目ごとに注釈説明を行う吹き出しを約100個設置し、令和7年4月の本稼働に間に合わせました。


私はIT・プログラミング等の経験のない一般的な行政職員ですが、テックタッチ社の丁寧な操作レクチャーもあり、吹き出しの作成は1~2分程度で行うことができており、誰でも簡単にガイド作成を行うことができると感じます。
全庁的な業務時間を約8,895時間削減
テックタッチは単年度契約しているため、来年度の予算要求の参考材料とするためにアンケートを実施しました。
対象職員約1,000名のうち161名が回答し、95.7%が「来年度以降も必要」と有用性を評価しています。
また、伝票起票にかかる業務時間・問い合わせ件数・返戻件数の削減率を算出した結果、概ね30%前後の削減効果が確認されました。
結果として、年間約8,895時間の業務時間削減効果があったと試算しています。
なお、返戻実数は新システム稼働から6か月で前年対比0.96倍(返戻率4.3%)まで改善しています。


職員からは、「入力ミスや入力に要する時間が大幅に削減された」「新規採用職員にも使いやすい」「ITや会計業務に不慣れな職員にも寄り添うツール」といった声が多数寄せられています。
その他、「このガイドが便利だ」といった個別の実装物についても嬉しいコメントをもらい、そのような声を励みにしながら日々業務に勤しんでいます。

今後の展望
更なる改善へ ─ DAP×AIの実証実験を開始
今後は、返戻や事務状況を踏まえた改善を継続するとともに、テックタッチ社と連携してDAPのAI活用機能「AI Hub」の実証実験を行う予定です。
この実証実験では、業務動線上にAIを効果的に配置し、「磐田市の財務会計システム専用AI」を構築することで、職員が使用中のシステム画面上で、シームレスにAIサポートを利用できる環境を整備する予定です。
DAP×AIの融合により、「調べる時間」が大幅に短縮され、職員は市民の相談対応、政策の立案、現場視察といった本来取り組むべき重要な業務に多くの時間を充てることが可能になり、市民サービスの質の向上が期待されます。
磐田市の未来を見据え、業務効率化と市民サービス品質の向上を両立させ、革新的な取り組みを継続的に進めてまいります。
会計課 審査グループ長 柳川 千香子 様 コメント
テックタッチの導入により、少人数で持続可能な BPRマインドを会計課内に醸成できていると自負しています。
ミス削減を目的とした研修会の開催やマニュアル整備といった発想は不要となり、常に業務の動線の中で考える思考が定着しました。
その結果、テックタッチをより効率的に設計・実装できるようになっています。
また、問合せ内容や返戻理由をテックタッチ社の小熊坂様・藤本様と共有し、まずテックタッチで解決できるかを日常的に検討する文化が培われました。
私としては、ワンチームとして提案を重ねる中で、財務会計システムが使いやすくなっていくのを目にするのは、楽しくもあり、嬉しく感じています。
みんなで作り上げるという一体感を得られたのも、小熊坂様・藤本様のお人柄によるものだと思っており、大変感謝しています。
私たちがサポートしています
公共カスタマーサクセス部 コンサルタント・藤本 雅也
磐田市様の運用支援を担当しています。
導入目的の明確化からKPI設計、ガイド設計、習熟支援、運用改善までを一貫してご支援しています。
返戻データの分析結果をもとに会計課の皆さまと議論を重ね「どうすれば返戻を減らすことができるか」を実装に落とし込み、着実な成果を創出しています。
現場を最も理解しているのは自治体職員の皆さまです。
その知見に私たちのサービス・ノウハウを掛け合わせ、誰もがストレスなくシステムを使いこなせる世界を共に目指してまいります。
公共営業部 シニアアカウントエグゼクティブ・小熊坂 真徳
本務は営業ですが、磐田市様の課題解決を直接ご支援したいとの思いから導入まで伴走させていただきました。
私は前職が人給ベンダーということもあり、都合10年程度の拙い経験の中で、システム検討・導入や、導入後の最適・効率的な運用定着の難しさを痛感してまいりました。
大規模内部事務システムは、通常10年以上長期間運用する一方で、3年程度での定期異動を前提とする担当職員が通常業務と並行して検討・導入を進めるため、相当な困難・苦労を伴います。
「テックタッチ」は、システム所管課の皆様の『一般職員にこういう風に使って欲しい』との”願い”を画面に付与することを通じて、最適・効率的な運用定着を実現する手段であり、システム検討・導入に従事された職員の苦労に報いるものです。
ぜひ一度、お気軽にご相談ください。