ナビゲーションの活用でユーザーの理解を促進。問い合わせ数削減・対応時間短縮を実現
・ログイン方法などの基本的な操作を含め、多くの問い合わせが毎日寄せられていた
・旧システムによって生じたマイナスイメージを払拭し、新システムを導入する必要があった
・「SAP Concur」※1 のほぼすべての画面に「テックタッチ」を適用
・入力ルールや項目の意味を、常時表示されるツールチップで解説
・混乱のないシステムリプレイスプロジェクトの実現
・問い合わせ数大幅削減に加え、テックタッチを活用した問い合わせ対応で対応時間も削減
導入前の課題
問い合わせが毎日寄せられユーザーの不満は蓄積
川崎汽船株式会社(以下、川崎汽船)は、安全・環境・品質をコアバリューとして磨き上げ、人々の豊かな暮らしに貢献する、海運業を主軸とする物流企業です。1919年の設立から100年以上の歴史を紡ぎ、今では世界中に多くの拠点を構えるグローバル企業として、様々な地域・産業分野でグローバル社会のインフラを支え続けています。
同社のデジタライゼーション戦略グループでは、従来型の情報システム部門として同社グループ全体の強固なITインフラ基盤を構築すると同時に、「DXの推進」の新しいチャレンジを進めるIT/DX両輪のミッションに取り組んでいます。
今回、経費精算システム「SAP Concur」の導入時に「テックタッチ」を採用しました。
「SAP Concur」導入前に利用していたシステムは、直感的に手続きが進められないこと、社内が電帳法※2 に対応し切れておらずペーパーレスになっていなかったこと、タブレットが使い辛いことなどの理由から、ユーザーからの評判が良くありませんでした。
そのような中で電帳法が改正されることとなり、新電帳法対応に強みを持つ「SAP Concur」を導入することになりました。「SAP Concur」はグローバルシェアも大きく安心感があったのですがシステムの作りは煩雑で、前システムではユーザーから操作性への不満があがっていたこともあり、「ユーザーに負担をかけてはいけない」というプレッシャーがありました。「SAP Concur」導入時は、システムに業務内容を合わせるFit to Standardアプローチをとったことから、その参考にと他社企業様との打合せをアレンジしていただく機会があり、そこで紹介を受けたのが「テックタッチ」でした。
「テックタッチ」を活用することで「SAP Concur」の画面上に使い方を始めとする補足説明等を追加することができ「ユーザーにわかりやすいシステム運用ができる」「思い描いていたことが実現できそうだ」と希望を感じたことを覚えています。
競合サービスとも比較しましたが、総合的観点から「テックタッチ」の評価が高く導入を決定しました。
活用方法と効果
「テックタッチを見て」と伝えるだけで不明点を解決
「SAP Concur」におけるほとんどの画面に「テックタッチ」のナビゲーションを設置しています。特に有効活用できているのは「接待費」と「交通費」の情報登録画面です。
「接待費」の画面は注意すべき入力項目が多く、「日付」だけでも取引日と支払日が複数存在するなど、ユーザーが適切な入力項目をひと目で理解することは難しい画面です。
しかし、常時表示が可能な「テックタッチ」のツールチップを配置することで、マニュアルを開くことなく、誰でも入力項目が意味することを即時に理解できる状態となっています。
「交通費」の画面では、「SAP Concur」独自の入力ルールに対応できるよう、補足説明のためのツールチップを設置し、さらに操作手順をひとつ一つ案内してくれるデジタルガイドを活用することで、経費種別によって操作が異なる場合でも従業員が迷うことなく申請を進められるようになりました。
これらをはじめとする「テックタッチ」の運用で、前システムと比較して、課題であった問い合わせはかなり減少しました。
過去にシステム導入した際には、ログイン手順に関する問い合わせだけでも対応に多くの時間を費やしましたが、「テックタッチ」を導入したことで問い合わせをほとんど受けることなく、システム移行を進めることができました。
また、問い合わせがあった際でも、「テックタッチ」が表示された画面のスクリーンショットを添付して、「ここのガイドを使ってください」と回答するだけで不明点を解消でき、その後のやり取りが必要なくなっています。
これにより、問い合わせ対応1件あたりにかかる工数の大幅な削減にも繋がりました。
問い合わせで寄せられたユーザーの意見は「テックタッチ」のブラッシュアップに活用しています。
従来のマニュアルでは一度作成すると訂正は難しくスピーディに対応できませんでしたが、「テックタッチ」ならすぐに修正することが可能で、迅速にシステム運用の改善ができる体制を実現することができました。
今後の展望
自社に合わせたナビゲーションで改革の下地を作る
DXの「D=デジタル」は手段であり、「X=改革」こそが大事だと言われることも多いですが、改革は進めようと思ってもすぐにできるものではなく、準備が何よりも重要です。
その基盤を整えておくことで、改革のチャンスが来た時に対応できる状態にする必要があります。新しいひらめきやマーケットの変化、技術の進歩はいつやって来るかわかりません。これらにいつでも対応できる状況を整えるべく、日頃の業務では地道に着実にデジタル化に取り組んでいきたいと思っています。
「SAP Concur」の導入でデータの蓄積・活用の基盤を整備し、「テックタッチ」が自社独自のルールや業務フローに合わせたユーザーフレンドリーな優れたUIを構築していくことで、蓄積されるデータのクオリティも向上すると考えています。
※2:電子帳簿保存法の略称。経理関係の書類を電子データで保存できるようにする法律。