労働集約にならないカスタマーサクセスの体制構築を推進し、カスタマーサクセスの業務効率化とLTV向上の施策を同時に実現
・体制拡張が難しいため労働集約にならない仕組みを準備したい
・プロダクト開発のスピード感を落とさない仕組みが必要
・ユーザーが動作テストをしやすいようにサービス上にガイドやナビゲーションを表示
・新機能やオプションのリリースを画面上でユーザーに周知
・カスタマーサクセスメンバーによるノーコードでの制作
・ユーザーからの問い合わせ件数を20%軽減
・新機能の利用率を250%向上、商談件数も約15%の増加
・エンジニアやデザイナーの稼働を使わずに、ユーザーの要望にレスポンス良くサポートを提供できる体制を確立
導入前の課題
開発のスピードを落とさずカスタマーサクセスを強化したい
マネーフォワードは、企業や個人事業主の事業運営に必要なバックオフィス業務を効率化するバックオフィスSaaS「マネーフォワード クラウド」を提供し、20万社以上のDX推進を支援しています。
そのなかで、「テックタッチ」を活用しているのが、「マネーフォワード クラウド契約」です。このシステムは電子契約にとどまらない「契約書管理サービス」としての価値提供を目指しており、そのために、ユーザーフォーカスを体現するカスタマーサクセス体制を整えています。しかし、サービスの提供開始から1年が経過するなかで、新たな仕組みの構築が課題となっていました。
まず必要だったのが、プロダクト開発のスピード感を落とさない仕組みです。コアになる体験は維持しながら、新機能をユーザーへスムーズに届けることの難しさや、リファクタリングも必要な状況下でエンジニアとデザイナーの工数をどう確保していくのかといった課題に直面していました。また、既存の契約システムにより形成された体験フローや、契約における社内ルールに沿ったユーザー体験を提案する必要もあり、プロダクト開発のスピード感を落とさずに、それらの課題に対応していく方法を模索していました。
そして、もう一つが労働集約にならない仕組みです。1人のカスタマーサクセス職のメンバーが直接お客様と対面できる案件の数には限りがありますので、事業を成長させるうえで体制がボトルネックにならない仕組みを早期に準備する必要がありました。さらに、Web上でシステムの利用開始から解約まで完結できるが故に、オフラインでサポートする機会そのものがないという状況でもあり、現状の体制ではいずれ対応しきれなくなると考えていました。
必要な仕組みを構築するためのツールとして導入したのが「テックタッチ」です。決め手となった点は3つあります。一つ目は、ナビゲーション作成の要件に簡便に対応できる点です。ノーコードで作成が可能であり、コーディングの経験がないメンバーでもナビゲーション制作を簡便に実現することができました。実は、過去に検討した同様のツールでは、ページをまたぐナビゲーションを作ることができず、外部の開発パートナー様に作成を依頼することでタイムリーにお客様の声に対応することが難しいという懸念があったことから、「テックタッチ」ならばそのような事態を避けることができると感じました。
2つ目の決め手は、テックタッチのサポートの手厚さです。実際にナビゲーションを制作したあと、テックタッチの担当者がユーザーの離脱ポイントを確認し改善案を提案してくれたことは非常にありがたかったです。海外サービスでの英語サポートの場合、同じことの 実現 は難しいかもしれない と感じました。
最後の決め手は、データ分析ができる新機能(イベント分析・ファネル分析)への期待です。利用率を計測することで解約に繋がるリスクを検知したり、オンボーディングにてユーザーが迷っている箇所がどこなのかを分析したりといった活用ができると考えておりました。このような検討の末、「テックタッチ」の導入を決定しました。
活用方法と効果
ユーザーの理解が促進するガイドを実装し、問い合わせ数を20%削減、LTV向上の取組も
実際の活用事例をご紹介します。一つは、押印の位置を設定する画面にて、ドラッグ&ドロップの操作の様子を表示し、ユーザーが操作を迷わず行えるように設計しました。また、ユーザーが使い方を確認するためのテストを行う際には、本番の操作と混同しないよう、必要箇所に「テスト」と記載するように指示するナビゲーションを設置しています。「テックタッチ」は入力値のチェックも可能で、「テスト」と記載がない場合は次のステップに進めないようになっているため、入力ミスを防ぐことができています。
この他にも、当社からの案内を「テックタッチ」のツールチップを画面上に表示させることで、プロダクト上でユーザーが課題を解決できるようになり、ユーザーからの問い合わせ数を20%削減することができました。これによりサポートチームのリソースを別の業務に充てることができ、業務体制の効率化につながっていると実感しています。
また、「テックタッチ」を用いて、LTV向上につながる取組も進めています。
たとえば、新機能をリリースした際の周知を「テックタッチ」のデジタルガイドによりユーザーに自動的に表示させることで、前月と比べて利用率が250%も上昇しました。
その他、オプションの商談件数を増加させ、アップセルへ寄与する施策も成功しています。サービス画面上で、オプションの簡単な説明と日程調整リンクをユーザーに訴求することができるようになり、その導線から約15%の商談件数増加につなげることができました。
個人としても、UIの課題を探るための視点を取り戻すことができたと感じております。やはり、常に自社プロダクトの画面に向き合っていると、固定的な見方を持ちがちで、改善が必要な点に気づくことが難しくなってきます。今回、「テックタッチ」を活用できる点を模索する過程を通して、改めてUI/UXを検討する機会を得ることができました。
「テックタッチ」導入前までは、機能リリースから効果測定までのサイクルを回すのに最低でも3ヶ月の期間を要していました。しかし、「テックタッチ」ではアンケート機能を手軽に実装できるため、2週間でサイクルを回せるようになったので、PDCAを高速で回すことができるようになりました。これらのデータも活用しながら、ユーザー目線でのUI改善を進めていきたいと考えています。
今後の展望
新機能の活用率や、プロダクトの満足度を計測
「テックタッチ」の活用によって、新機能リリース後の活用率や、プロダクトの満足度を注視することによって、お客様にとって良い機能を届けられているのかをしっかり見ていきたいと思っています。
また、労働力人口の減少に対応するために、コアでない業務をいかに効率的にオペレーションしていけるかが日本企業の重要なテーマになっていると考えています。組織や個人の「Will」を支えるバックオフィス業務が自然に回るように支援していくことで、多くの人が前向きに働ける社会にしていきたいという思いを持っています。