DX化の推進に伴って新しいITツールを導入したものの、システムの利活用がなかなか促進されずに悩む方も少なくありません。システムの定着や安定した運用をスムーズに実現するためにも、「デジタルアダプションツール」の導入がおすすめです。近年では、SaaSなどの顧客向けサービスや、社内システムの浸透を実現するために「デジタルアダプションツール」を導入する事例が増加傾向にあります。
とはいえ、デジタルアダプションツールにはさまざまな種類があり、選び方や比較方法が分からないと頭を悩ませている担当者もいるかも知れません。この記事では、デジタルアダプションの基礎概要から選び方、導入のメリットまで徹底解説します。デジタルアダプションツール10選を比較したおすすめ製品も紹介しますので、あわせてご参照ください。
デジタルアダプションとは?
デジタルアダプションとは、企業が導入した新しいデジタルツールやシステムを、ユーザーが効果的に使いこなせるようにするための取り組みです。新しいSaaSやITシステムを取り入れても、ユーザーが使いこなせなければ、その効果を最大限に発揮することはできません。そこで、システムにいち早く慣れるようサポートする仕組みが「デジタルアダプション」です。誰でも使いこなせるように定着支援をすることで、ソフトウェアの導入効果を最大限に引き出せるメリットがあります。
ストレスなくツールを使用できることによって顧客の定着を促し、LTVの最大化を望める背景から、近年では多くのSaaSでデジタルアダプションが導入されています。
デジタルアダプションツールとは?
一言でデジタルアダプションと言っても、新しく導入されたITツールの利活用を促進するのは難しいのも事実です。そこで、定着支援をより簡単に行えるよう「デジタルアダプションツール」が近年人気を集めています。新しいITツールやソフトウェアの導入に伴って、デジタルアダプションツールを導入すれば、業務のDX化を成功に近づけることが可能です。社内外を問わず、従業員向け・顧客向けとして新しいITツールの浸透をサポートできます。
また、デジタルアダプションツールには、「操作方法をガイドするチュートリアルを表示する」「動画説明などを簡単に制作できる」「一部定型業務の自動化」「システム利用状況の可視化」などさまざまな種類があります。
デジタルアダプションツールの主な3つの機能
デジタルアダプションツールには、大きく分けて3つの機能が搭載されています。ここでは、デジタルアダプションツールの主な3つの機能についてそれぞれ解説します。
機能1. デジタルガイド作成
デジタルアダプションツールには、「デジタルガイドを作成」する仕組みが搭載されています。デジタルガイドを作成すれば、新しいシステムが導入されたときに起こりがちな「操作方法が分からず敬遠される」といったリスクを低減できるのが特徴です。デジタルガイドの表示方法はさまざまで、マウスオーバーすると必要な情報が表示される「ツールチップ型」や、動画説明などでチュートリアルを簡単に制作できる「動画制作型」など多種多様な種類があります。
機能2. 定型業務の自動化
デジタルアダプションツールの一部には、定型業務を自動化する「RPA(Robotic Process Automation)」的機能が搭載された製品もあります。作業手順の定まった一部操作を自動化できるため、データの入力や転記ミスを抑制できます。
一部のデータ入力業務やフォームの転記作業を自動化すれば、業務の効率化を実感しやすくなり、新しいITツールの利活用を促せるのがメリットです。デジタルアダプションツールによっては、異なるアプリ・システム間のデータ連携も実現できる製品があります。
機能3. システム利用分析
デジタルアダプションツールには、システムの利用分析やガイドの進捗状況を可視化する機能が搭載されています。ユーザーがデジタルツールをどの程度利用しているか、どこまで活用できているかを分析できる機能です。
システムの利用分析機能を活用することで、「◯◯の機能は人気が高い」「△△は利用率が低く不人気」など、ユーザーニーズの深堀りを行えます。デジタルアダプションツールの利用分析機能をフル活用すれば、効率的にITツールの改善を積み重ねられます。
デジタルアダプションツール導入のメリット
デジタルアダプションツールには、デジタルガイドの作成や一部業務の自動化、システムの利用分析などさまざまな機能が搭載されています。デジタルアダプションツールの機能を有効活用して得られるメリットは以下のとおりです。
ここでは、デジタルアダプションツールを導入するメリットについて解説します。
システムの定着化
デジタルアダプションツールを導入すれば、システムの定着化を促せる点がメリットです。ユーザーが新しいシステムを使いこなせるよう、操作方法のガイドやトレーニング機能を提供できるため、ユーザーの習熟度を高められます。
その結果、誰でもツールを活用できるようになるため、利用率を高めて業務の生産性を向上させられるのが魅力です。
新しいITツールを導入すると操作方法や使い勝手が分からず、敬遠してしまうユーザーも少なくありません。デジタルアダプションツールなら、操作に迷った際すぐにサポートを受けられる体制を整えられるため、ユーザーの不安を解消してシステムの利用率も高まります。
トレーニングコストの削減
デジタルアダプションツールを導入すれば、マニュアル作成やユーザーへの教育など、トレーニングコストを削減できるのもメリットです。ツール上で操作方法を説明するガイドやチュートリアルによって、従来のような集合研修や個別指導に掛かる手間を減らせます。
動画教材やガイドを手軽に制作できるため、マニュアル作成自体の手間も抑えられるのが特長です。また、デジタル管理のためマニュアルの更新履歴も把握しやすく、紙資料に比べてマニュアル管理に掛かるコストも抑えられます。
問い合わせ対応の削減
デジタルアダプションツールを導入すれば、ユーザーからの問い合わせ対応を削減できるのもメリットです。操作方法のガイドやFAQなどをツール上で提供し、ユーザーが自己解決できるように促せるため、問い合わせ件数自体を低減できます。
その結果、ヘルプデスク業務など、デジタルアダプションツールによって情シスや総務部の負担を減らせるのが魅力です。ユーザー自身が面倒な問い合わせ手順を避けて問題を自己解決できるため、顧客体験も改善し、特にSaaSなどでは顧客満足度も向上する傾向にあります。
デジタルアダプションツールの選び方
デジタルアダプションツールにはさまざまな種類があるため、自社に合っているかどうかを比較検討したうえで導入することが大切です。目的達成に適したデジタルアダプションツールの選び方としては以下のようなポイントが挙げられます。
ここでは、デジタルアダプションツールの選び方について比較選定すべきポイントを解説します。
導入目的を確認する
デジタルアダプションツールを導入するときは、「社内」「社外」のどちらに目を向けているのかはじめに目的を確認することが大切です。
ツールによって得意な機能や特徴が異なるため、「顧客ユーザーに向けて親切さやUXを求める」「従業員に向けた利用サポートを重視する」などの違いに着目する必要があります。例えば、社外ユーザー向けのデジタルアダプションツールはCRMやMAと連携できる製品も多く、顧客管理業務を幅広く効率化できます。一方で、従業員向けのシステムではワークフローや経費精算などと連携し、組織業務の効率化をセットで実現できる製品も少なくありません。
まずは「社内」「社外」のどちらに着目してデジタルアダプションツールを導入するのか、目的を明確化しておくことをおすすめします。
ツールの機能を確認する
デジタルアダプションツールを比較検討するときは、どのような機能が搭載されているのかよく確認する必要があります。先述した通り、デジタルアダプションツールには「デジタルガイド作成」「定型業務の自動化」「システム利用分析」と複数の仕組みが搭載されています。
新しいITツールを根付かせたい場合は、マニュアルやガイドを表示できる「デジタルガイド作成機能」が大切です。デジタルアダプションツールなら多くのプラットフォームに搭載されていますが、どのようにガイドを表示するかは異なります。
例えば、「字幕追加や翻訳機能でチュートリアル動画を作成できるタイプ」「ツール上でマウスオーバーすると情報が表示されるツールチップタイプ」など、仕組みは千差万別です。また、社外の顧客に向けたSaaS系では、システム利用分析のあるデジタルアダプションツールも人気を集めています。ツールによって搭載されている機能は異なるため、求めているガイド表示がなにか、明確化してから選ぶことがもっとも大切です。
ツール導入時の注意点を事前に把握する
デジタルアダプションツールを導入する時は、失敗しないためにも「目的」「方法」「セキュリティレベル」の3点を明確にしておくのをおすすめします。ツールのなかには、「Webサイトのみ」「アプリ上のみ」など、表示できる媒体に制限がある点に注意が必要です。
また、「システム利用分析」などカスタマーエクスペリエンス系の個人情報を取り扱うときは、セキュリティレベルにも配慮する必要があります。ツールのセキュリティ対策やプライバシー保護に関してチェックしたうえで、自社のセキュリティポリシーと適合しているか確認しましょう。
ツール導入の運用コストを確認する
デジタルアダプションツールを導入するときは、初期費用だけでなく、運用コストについても着目する必要があります。「月額料金」だけでなく、「ベンダーのサポート費用」「カスタマイズ費」など、実際にどの程度の運用コストが発生するかはツールによって異なるのも事実です。
導入費用だけでなく、長期的な運用コストを考慮したうえで、自社の予算にあったツールを選ぶことが大切です。料金相場を理解するために比較検討したり、相見積もりをしたりして運用コストの比較検討をおすすめします。
デジタルアダプションツール比較10選
ここでは、デジタルアダプションツールを徹底比較したい方へ向けて、おすすめ製品の特徴をご紹介します。
製品名 | 料金プラン(月額) | 機能 |
テックタッチ | ・要問い合わせ | ・ツールチップ型のデジタルガイド作成 ・定型操作の自動化 ・システム利用状況/操作ガイド利用状況の可視化 ・誤入力を検出して防止 |
Fullstar | ・初期費用:0円
・月額費用: |
・チュートリアル作成 ・プロダクトの利用データ分析 ・カスタマーサクセス管理 ・アンケート管理 ・ユーザーの最終ログイン日把握 |
Onboarding | ・要問い合わせ | ・チュートリアル・ヒント形式のデジタルガイド作成 ・ガイド利用率やログイン頻度を可視化 ・ユーザーの条件設定で異なるガイド表示 |
KARTE | ・要問い合わせ | ・ウィジェットによるガイド作成 ・アプリ特化やWeb特化などプロダクト別パッケージ ・サポートシナリオの自動作成 ・つまずき元のページ分析 ・問い合わせ前のユーザー行動分析 |
openpage | ・要問い合わせ | ・顧客ごとの学習状況を可視化 ・顧客案内の自動化 ・AIによる翻訳や要約機能 ・スタッフやAIでのサポート付き |
Colla | ・初期費用:要問い合わせ ・月額費用 25,000円~ |
・コミュニティによるチームアシスタントを創出 ・行動データを定量的かつ定性的に可視化 ・社員プロフィールでタスクの可視化 ・Slack完結のアンケート機能 |
WalkMe | ・要問い合わせ | ・FAQ等のチャットボット化 ・ユーザーの行動分析 |
Sprocket | ・要問い合わせ | ・CROプラン以上で専任コンサルタントの徹底サポートあり ・CX改善の戦略策定から運用サポートまでトータル支援 |
Intercom | ・月額費用(1人ライセンスあたり) Essential:$39 Advanced:$99 Expert:$139 |
・チャット機能を用いた問い合わせ品質の向上 ・チャットボット機能で対応コストの簡略化 ・CRMと連携して顧客情報の紐づけ ・AIを用いた問い合わせの要約やチケット情報の自動入力 |
Product Fruits | ・月額費用 Core:$89 Boost:$149 Enterprise:要問い合わせ |
・機能ガイドの作成 ・ほかのオンボーディング手順への誘導 ・ツールチップのヒント表示 ・ナレッジベースの構築 |
テックタッチ
「テックタッチ」は、システム操作の画面上に直接ツールチップを表示できるタイプのデジタルアダプションツールです。一部のデータ入力など定型操作も自動化できるため、DX化で得られる業務効率化を最大限に発揮しやすい魅力があります。リアルタイムで誤入力を検出できるため、「どこで何を間違っているのか」をスムーズに把握できるのもメリットです。実際のシステム上で直接ヒントを表示できるため、必要な情報を必要なタイミングで提供しやすく、従業員や顧客の満足度も向上させられます。
システムの利用状況だけでなくガイドの利用状況も可視化できるため、「求められている案内が何か」を追求して、ユーザーエクスペリエンスの改善につなげられます。
Fullstar
「Fullstar」は、チュートリアルの作成などを効率的に行えるデジタルアダプションツールです。各機能の月別利用率の分析や、解約顧客とスター顧客の利用状況比較など、プロダクトの利用データを分析する機能も付帯しています。
また、各ユーザーの最終ログイン日を把握する機能などもあり、解約などの兆候を逃さずにハイタッチ管理を行えるのも特徴です。リソースを最小限に抑えて、LTVの最大化を目指せます。
Onboarding
「Onboarding」は、チュートリアル動画やヒント形式によるデジタルガイドを作成できるデジタルアダプションツールです。ガイドの利用率やログイン頻度の可視化機能があり、顧客一人ひとりの動向を見てLTVを最大化する取り組みを行えます。
また、ユーザーの条件設定を細かく調整できるのもポイントです。ユーザーの属性や状況に合わせて異なるガイド表示によって、顧客の離脱を最小限に抑える効果も期待できます。
KARTE
「KARTE」は、ウィジェットを用いたガイド作成が可能なデジタルアダプションツールです。アプリ特化やWeb特化など、プロダクト別にさまざまなパッケージが提供されています。問い合わせが行われると、その直前にユーザーがどのような行動を取っていたのか分析できます。また、つまずき元のページを分析して改善策を見出だせるのもポイントです。サポートシナリオの自動作成もあり、問い合わせが起きた場合の業務効率化にも長けています。
openpage
「openpage」は、AIなどを用いて顧客案内の自動化を図れるデジタルアダプションツールです。ユーザーごとに学習状況を可視化しており、製品理解をスムーズに進めるため顧客へ必要なサポートがわかります。
営業・CSの案内業務を自動化するため、AIの機能性に長けているのもポイントです。有人対応が求められる際も、AIによる翻訳や問い合わせ内容の要約など、サポートセンターの業務を効率化できます。
Colla
「Colla」は、ユーザーの交流を創出してシステムの定着化を図るデジタルアダプションツールです。コミュニティをベースとしたチームアシスタントツールで、チームの状態を可視化できるよう、情報を蓄積・共有する仕組みが搭載されています。
例えば、社員プロフィールでタスクを可視化したり、「自分のトリセツ」を自己開示したりして、チームのアライメントを整えられます。また、Slack上で完結するアンケート機能や新入社員の通知など、交流を盛んにしてナレッジを蓄積する機能が満載です。
WalkMe
「WalkMe」は、世界3,500万人以上が利用しているデジタルアダプションツールです。顧客・社内を問わず導入できるシステムとなっており、FAQ等のチャットボット化によって問い合わせ対応の手間を大幅に削減できます。
サポート部門の業務負荷を抑えつつも、ユーザーの行動分析を行えるのもポイントです。エンドユーザーの行動を追跡して、どのポイントで離脱・停滞しているのかネックとなるページを追求できます。
Sprocke
「Sprocket」は、顧客行動を分析するデジタルアダプションツールのプラットフォームと、専門担当による濃密なコンサルティングがセットになったサービスです。施策の立案・運用・効果検証から改善まで、ワンストップで専任コンサルが担当してくれます。
CROプラン以上で専任コンサルタントの徹底サポートを受ける必要があるものの、CX改善の戦略策定から運用サポートまでトータル支援を受けられるのがポイントです。デジタルアダプションツールの多くはITに自信のない方でも操作しやすい製品が多くなっているものの、「適切に運用できるか不安」といった方には根強いニーズがあると言えます。
Intercom
「Intercom」は、チャットベースの応対機能をシステムに搭載して顧客と効率的に対話できるデジタルアダプションツールです。素早く適切なフォローアップを実現して、問い合わせ品質を向上させられます。
また、チャットボット機能で対応負荷そのものを簡略化できるほか、CRMと連携して顧客情報を紐づけられるため、顧客一人ひとりのニーズを深堀りすることもできます。AIを用いた問い合わせの要約やチケット情報の自動入力など、顧客対応の効率化に長けているのが魅力です。
Product Fruits
「Product Fruits」は、ツアー式の機能ガイドを作成できるデジタルアダプションツールです。オンボーディングを促進して、アプリやWebサイトが能動的にユーザーへ使い方を解説できます。
また、新機能の追加タブをハイライト表示したり、仕組みをツールチップで解説したりすることもできます。バグがあれば、ビデオ・スクリーンショットで簡単に共有できる仕組みも搭載されているなど、SaaSやアプリ開発の提供ベンダーに嬉しい機能も満載です。
まとめ
デジタルアダプションツールは、新しいITツールやシステムを導入時、スムーズに社内へ定着を促すためにも欠かせないシステムです。また、近年では「カスタマーサクセス」を実現するツールとしてSaaSなど顧客向けWebシステムの提供者が自社製品に導入する取り組みも加速しており、デジタルアダプションツールのニーズは年々高まっていると言えます。新しいITツールの導入に伴って、お問い合わせなどの対応業務を効率化したい場合や、自社システムの顧客満足度を改善したい場合は、ぜひ「テックタッチ」までご相談ください。
テックタッチではツールチップ型のデジタルガイドを活用でき、必要な情報を必要なユーザーにリアルタイムで提供できるため、問題の自己解決を促せます。問い合わせ件数自体を削減できるだけでなく、ユーザー体験も向上して顧客満足度の向上につなげやすいのも魅力です。ITツールの定着を高めやすいほか、顧客一人ひとりの声を集めて自社プロダクトの改善も実現できます。興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。