人材不足や企業間競争の激化、市場の変化などを背景として業務の効率化が必要になっており、企業ではさまざまなシステム・ツールが使われています。システム・ツールを利用する際にはマニュアルが必要となり、マニュアルのわかりやすさがシステム・ツール活用に大きく影響します。
自社システム・ツールのマニュアル作成では、Officeソフトを使い作成することが多いでしょう。特に、画像や図表をふんだんに挿入でき、テンプレートも豊富なパワーポイントは、多くの企業がマニュアル作成時に活用しています。マニュアル作成にパワーポイントを利用する際のメリットとデメリット、作成のコツについて紹介します。
マニュアル作成の重要性
マニュアルとは、業務で行う作業の手順と流れ、使用するシステム・ツールの全体的な概要、操作方法などを体系的にまとめた説明書です。マニュアルを作成することで、次のような効果が期待できます。
- 業務品質の統一・向上
社員教育を体系的にまとめず、各社員のやり方に任せてしまうと、業務の内容や質が不均等になってしまいます。社員の自主的な学習は推奨されるべきものですが、自主学習の度合いが大きすぎると個人差が生じがちです。
業務内容をマニュアルとして体系的にまとめることで、すべての社員が正確な技術を習得でき、業務品質を統一できます。効果的な業務フローが全体に浸透することで、業務品質の向上も実現できるでしょう。
- 効率的なオンボーディング
マニュアルを活用した社員教育は効率的なオンボーディングであるだけでなく、セルフオンボーディングにもつながります。業務内容をマニュアル化していれば、社員は業務上の不明点があるたびに自由に閲覧できるからです。先輩や上司に頼ることなく、自身でマニュアルを確認して問題を解決する力を育成できます。
- 統一された知識の共有
マニュアルを作成することで業務プロセスや手順が標準化され、統一された知識を共有できるので、業務の一貫性を確保できます。また、知識の共有は業務の属人化防止にもつながり、引き継ぎや業務の共有を効率的に行えます。社内における問い合わせ対応の削減も期待できるでしょう。
- 法令やコンプライアンスの遵守
マニュアルは、使用ポリシーや違反行為を明確化できるガイドラインとしての役割も果たします。ガイドラインがなければ、判断基準が担当者ごとに異なってしまいます。
マニュアルの作成について詳しくは、「操作マニュアルとは?システム活用で成果を上げる作成・運用ポイントを解説」をご覧ください。
運用時のポイントについて詳しくは、「マニュアル作成のメリットと課題、運用時のポイントを解説」をご覧ください。
自社でマニュアル作成を行うことが難しい場合、外注するという選択肢もあります。しかし、外注する場合も、社内で業務内容を整理する作業は必要になります。外注費用がかかるうえ、外注先との打ち合わせに時間を要することから、外注を断念するケースも多いようです。
自社でマニュアルを作成する際に、効率的に作成できるツールとして活用できるのがパワーポイントです。
マニュアル作成においてパワーポイントを使うメリットとデメリット
パワーポイントを使ってマニュアル作成をするメリットとデメリットを紹介します。
パワーポイントを使うメリット
- 新たに使い方を習得する必要がない
Officeソフトは基本的なビジネスツールであり、日常業務で使う場面も多いです。基本的な使い方を理解している人が多く、予備学習なしで利用できることは大きなメリットといえます。より高度な使い方を知りたい場合も、関連書籍や情報が豊富なためスキルアップが容易です。
- 初期コストがかからない
Officeソフトを標準的に利用している企業は多く、そのような企業では初期投資が不要です。
- 視覚的要素を入れられる
業務手順は文字だけでは伝えにくい内容も多く、図や画像、表といった視覚的にわかりやすい要素の挿入が欠かせません。パワーポイントは、Officeソフトのなかでもこれらの要素の挿入が容易で、マニュアル作成を効率的に進められるでしょう。
- レイアウトの自由度が高い
ページの入れ替えや追加、図表や文字の構成などが容易です。ドラッグ&ペーストといった感覚的な作業でレイアウト構成を行えます。
パワーポイントを使うデメリット
- センスや経験はある程度必要
テンプレートは用意されていますが、デザインやレイアウトを決めるにはセンスや経験が必要です。そのため、慣れていなければ想定以上に時間がかかることもあります。
- ファイルが大きくなる可能性がある
画像や動画を多用することでファイルサイズはどうしても大きくなります。場合によっては、閲覧時に動きにくくなる可能性があります。
- 共有のしにくさ
マニュアルを印刷して閲覧していたり、共有フォルダから各自がダウンロードして閲覧していたりすると、マニュアルの変更・更新時のアップデートがしにくくなります。このような場合、最新情報が共有されず、認識の齟齬(そご)が生じる可能性があります。
- スマートフォンでの閲覧性
近年は閲覧するためのツールとして、パソコンだけでなくスマートフォンを使うことも多いです。しかし、スマートフォンで見るとパソコンで見るより画面が縮小され、見にくくなります。
パワーポイントでマニュアルを作成する際のコツ
パワーポイントでマニュアルを作成する際のコツを紹介します。
フォントや全体的なレイアウトの統一
フォントや資料の全体的なレイアウトは統一するとよいでしょう。異なるフォントを多用し、レイアウトに統一感を持たせていない場合、読み手にとって情報を読み取りにくいマニュアルとなってしまいます。
フォントの種類は統一して、レイアウトに迷ったときは「左寄せ」「中央寄せ」のようにシンプルにそろえることで統一感を出していきます。使用するフォントは太字で、視認性の高いゴシック体がおすすめです。
使用色は3色を基本に
使用する色は、できる限り「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」の3種類に絞りましょう。「ベースカラー」を主体として使用し、重要部分や注意点などに「メインカラー」「アクセントカラー」を使うと効果的です。
フォントやレイアウト、使用色の統一は、経験やセンスの不足を補います。これらのルールを守ることで、デザイン・レイアウトの「難しさ」も解決できるでしょう。
図の活用
メリットで紹介したように、パワーポイントでは図や画像、表を使いやすいです。文字だけの説明より、視覚的な説明を取り入れたほうが内容を理解しやすいため、有効に活用します。
例えば、実際の操作画面を画像で貼り付ければ、操作内容をひと目で理解できるでしょう。パワーポイントには動画を貼り付けることもできるので、必要に応じて活用するのも効果的です。ただし、動画はデータ容量が大きく、マニュアルのファイルサイズに影響するため、使用する箇所を絞り込んで活用しましょう。
テンプレートの作成と活用
自社のマニュアル用のテンプレートを作成・保存しておくと便利です。マニュアル作成時に毎回一から作成する必要がなくなります。テンプレートを活用して、誰でも見やすいデザインを短時間で実現できるようになります。
また、使用する色やフォントの大きさが計算されているため、所定の場所にテキストをあてはめるだけで重要なメッセージを目立たせることができるでしょう。
更新時もテンプレートを差し込めばいいので、ページの追加がしやすくなります。新規作成・更新ともに作業効率を上げられます。
パワーポイントの特徴を活かしわかりやすいマニュアルを作成しよう
マニュアルは、社員がシステム・ツールを使ううえで重要な存在です。作成するからには、わかりやすいマニュアルにしなければなりません。多くの会社で利用されており、視覚的要素を取り込みやすいパワーポイントは、マニュアル作成に適したツールです。初期費用が不要となる点もメリットです。
一方で、パワーポイントでマニュアル作成をする際に一定のセンスや経験は必要です。フォントやレイアウトをシンプルにすることや、テンプレートを活用すること、図や動画を必要な箇所に絞って差し込むといったコツを抑えて、わかりやすいマニュアルを作成しましょう。
しかし、パワーポイントを利用してもなお、マニュアル作成には多くの手間と時間が必要です。特に、システム・ツールの改変が多い場合は、その都度マニュアル改定と改定を周知する手間が生じます。そこでおすすめなのが、「テックタッチ」です。「テックタッチ」は、WEBシステム上にナビゲーションをリアルタイムで表示させて、画面を見ながらのシステム習得を助けます。「テックタッチ」はマニュアルを補完するため、マニュアル作成の必要性を低減できます。
社内でのマニュアル作成にお困りの際は、ぜひご相談ください。