NRR(売上維持率)とは?既存顧客維持を実現しSaaSビジネスを成功させるポイントを解説

SaaS事業者向け

こんにちは!
CS工数削減、ユーザーのセルフオンボーディングを実現する「テックタッチ」ライターチームです。

企業が継続して収益を上げ続けていけるかどうかの判断基準として重視されるのが、既存顧客からの収益です。
前年と比べ、既存顧客からの収益が上がっていれば企業が成長を続けていることのひとつの証となります。

NRRは、既存顧客からの収益が維持できているかどうかを計測するのに役立ち、SaaSビジネスを行う企業にとっては特に重要な指標です。
今回は、NRRの概要やSaaSビジネスで重要視される理由を見たうえで、算出方法やNRRを改善させるポイントについてお伝えします。

特に企業向けのSaaSビジネスを行っていて、NRR向上を目指している場合はぜひご一読ください。

今注目のチャーンレート改善のポイントとは?

 

NRRの概要

NRRとはNet Retention Rateの略称で、日本語では売上維持率と訳されます。
前年や前月などの比較時点に対して、既存顧客からの収益がどの程度増減しているかを見るのに役立ちます。

顧客に継続して商品・サービスを使い続けてもらうことで収益を上げるSaaSビジネスでは特に欠かせない指標です。

SaaSビジネスにおいてNRRが重要視される理由

SaaSビジネスでは、NRRの把握がなぜ重要視されるのでしょう。
主な理由は、既存顧客による利用継続は、新規顧客獲得よりも低コストかつ効率的に収益を上げられるからです。

新規顧客獲得よりも低コストで収益を上げられる
マーケティングの世界では、新規顧客獲得に必要なコストは既存顧客維持にかかるコストの5倍に相当するという「1:5の法則」が知られています。
つまり、既存顧客を維持するほうが、新規顧客獲得に注力するよりも低コストで収益につながる可能性が高いといえるのです。

効率的に収益を上げられる
一定期間中に新規顧客を獲得できなくても、既存顧客との契約が継続していれば、全体としての収益は下がりません。
また、すでにサービスの良さを知っている既存顧客へのサービスを強化することで、アップグレードやクロスセルが期待できます。
新規顧客の契約数を上げるよりも効率的に収益を上げることが可能でしょう。

したがって、既存顧客からどれだけ継続して収益を得ているかを見るNRRを重視し、改善をしていくことで、SaaSビジネスの成功につながる可能性も高まるのです。

NRRの算出方法とGRR

NRRを算出する一般的な方法と、既存顧客による収益を見るGRRとの関連性は次のとおりです。

NRRとGRRの関連性

顧客の継続性を見る指標には、NRRのほかにもいくつかありますが、なかでも代表的な指標として挙げられるのがGRRです。
GRRとは、Gross Revenue Retention(Rate)の略称で、日本語では総収入維持もしくは総収入維持率と訳されます。

NRRと異なるのは、アップグレードによる収益増加を含まない点です。
つまり、どれだけサービス拡大しているかを見るのではなく、既存顧客による収益がどれだけ維持されているかを見る指標といえるでしょう。

なお、顧客が継続してサービスを利用するなかで、企業にどれだけの利益をもたらすかを見る指標としては、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)があります。
GRRとの違いは、LTVがひとりの顧客が企業にもたらす利益を見る指標であるのに対し、GRRは顧客全体の継続性を見る指標だという点です。
LTVについて詳しくは、「LTVとは?計算方法やLTV向上を実現させる方法を解説」をご覧ください。

NRRの算出方法

{(月初のMRR+Expansion MRR)-(Downgrade MRR+Churn MRR)}÷月初のMRR

MRRは月次経常収益のことで、Expansion MRRは、1カ月の間にアップグレードや追加購入をした顧客からの差額収益です。
Downgrade MRRは、1ヵ月の間にダウングレードをした顧客からの損失額で、Churn MRRは、1カ月の間に解約した顧客からの損失額を指します。
※それぞれの詳細、算出方法については、「MRR、ARRとは? SaaSビジネスに欠かせない指標の改善ポイントを解説」をご覧ください。

具体的に、以下の金額を用いた例で見てみましょう。

例1:月初のMRR:100万円、Expansion MRR:20万円、Downgrade MRR:5万円、Churn MRR:10万円の場合のNRR
{(100万円+20万円)―(5万円+10万円)}÷100万円=1.05(105%)
この計算式から、月初のMRRよりも5万円収益が増えていることから、既存サービスの成長性が高いと考えられます。

例2:月初のMRR:100万円、Expansion MRR:20万円、Downgrade MRR:10万円、Churn MRR:20万円の場合のNRR
{(100万円+20万円)―(10万円+20万円)}÷100万円=0.9(90%)
この計算式から、月初MRRよりも10万円収益が減っていることから、なんらかの改善策を打たないと収益が先細りしていくと考えられます。

NRRを向上させるポイント

SaaSビジネスを成功させるためには、NRRを向上させる必要があります。NRRの向上に効果的な方法を解説します。

カスタマーサクセスの実行

NRRの数値が100(%)を切るということは、ダウングレードや、解約がアップグレードよりも多いことを示します。
その理由の多くは、顧客が既存の商品・サービスを使いこなせていないことや、成果を上げられていないことにあるといえるでしょう。

これを解消するには、企業側から顧客に積極的なアプローチを行うカスタマーサクセスの実行が効果的です。
商品・サービスの使い勝手を向上させ、成果を上げるための支援を積極的に行っていきます。
顧客との接点をつくるという意味では、カスタマーサポートでも同じではと考えるかもしれません。

しかし、カスタマーサポートは顧客から問い合わせを受けて初めて接点を持ちます。
そのため、問い合わせをせずにダウングレード、解約をしてしまう顧客の動きは止められません。

ダウングレードや解約を検討する顧客の動きを止めるには、企業側から積極的に顧客との接点をつくっていくカスタマーサクセス業務が重要な役割を果たすのです。
カスタマーサクセスについて詳しくは、「SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスとは?実行時の注意点や成功のポイントを解説」をご覧ください。

サービス内容の見直し・価格改定

サービス内容が顧客の課題解決につながらないことや、価格に見合っていない場合も考えられます。
これを見極めるには、解約した顧客へのアンケート実施が効果的です。

アンケート結果を分析し、サービス内容や価格に問題があると判断できれば、サービス内容の見直しや価格の改定を検討しましょう。

アップセルの実行

顧客満足度調査やNPS(Net Promoter Score)を実施し、満足度、ロイヤルティが高い顧客に対してアップセルを促すこともNRR向上には欠かせません。
ただし、アップセルによるメリットを十分に提示できない場合は、顧客の信頼を損ねてしまう懸念もあります。
前述したカスタマーサクセスの実行や、サービスそのものの魅力を高めることでアップセルを成功させましょう。

アップセルを成功させるポイントについては、「アップセル・クロスセルとは?実施のメリットと成功のポイントを解説」をご覧ください。
また、アップセルの成功には顧客ロイヤルティを高めることも有効です。顧客ロイヤルティを高めるポイントについては、「顧客ロイヤルティとは?向上させるための取り組みやポイント」をご覧ください。

今注目のチャーンレート改善のポイントとは?

カスタマーサクセスの実行がNRR向上のカギ

売上維持率を意味するNRR。SaaSビジネスを行う企業にとって、既存顧客が継続してサービスを利用するかどうかを見るうえで欠かせない指標です。
NRRの数値が安定して100を超えていれば、既存サービスに成長性があることの証となり、さらなる収益拡大も見えてきます。
しかし、100を下回る数値になった場合、収益が減り続けていくことになるため、迅速な対策が必要となります。

NRRの改善策はいくつか考えられますが、そのなかでも率先して行うとよいのは、カスタマーサクセスを充実させることです。
顧客からのアクションを待っているだけでは、顧客離れがいっそう進んでしまう懸念があるからです。
企業側から顧客に対して積極的にアプローチすることで、サービスの良さや重要性への理解を得られ、NRRの向上につながるでしょう。

カスタマーサクセスにかける人員が限られるという場合は、システム利用を促進できる「テックタッチ」を活用すると便利です。
「テックタッチ」を搭載すると、システム上で操作に応じリアルタイムでガイドを作成、表示させることができます。それによって、誰でも迷うことなく簡単にシステムを活用できるようになります。また、顧客ロイヤルティやユーザー満足度計測機能を有しているため、顧客情報を活用し、適切かつ迅速なガイド作成が可能です。
SaaSビジネスの安定した運営を実現するためにも、ぜひ、「テックタッチ」の活用をご検討ください。

≫≫ テックタッチのサービス詳細はこちらから

DAP市場国内シェア3年連続No.1テックタッチ

ユーザー数300万突破・DAP市場国内シェアNo.1のツールを提供しているテックタッチが、DX実現に向けたノウハウやSaaSプロダクト提供における課題解決の手法など幅広く情報を発信しています。

scrollToTopButton