オペレーショナルエクセレンスとは?意味や実現するための取り組みを紹介

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業務の効率化は企業を運営するうえで重要な要素です。
変化の激しい社会環境において、一度業務効率化に成功したからといって、安定した企業経営が続けられるとは限りません。
競合他社に対し優位性を保ち、安定した企業経営を続けていくためには、継続的な業務効率化が必要です。

そこで重要となるのが、オペレーショナルエクセレンスです。
本記事では、オペレーショナルエクセレンスの意味や、実現するための取り組みについて紹介します。

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オペレーショナルエクセレンスとは?

オペレーショナルエクセレンス(Operational Excellence)とは、企業が業務効率向上へ取り組み、企業価値を上げて競走上の優位性を築くことを表します。

オペレーショナルエクセレンスの意味

企業が、業務効率化のために標準化したオペレーションの効果向上を図り、他社から模倣されない領域にまで磨き上げることで、優れた状態に高めること、もしくはそういった状態にあることをオペレーショナルエクセレンスといいます。
品質・コスト・スピードの3つの要素が高い次元でバランスよく維持されている状態であり、競合他社に対する優位性を保つことが可能です。
また、優位性を得るための方法論を意味することもあります。

オペレーショナルエクセレンスの重要性

現在は、他社情報を容易に入手できる時代です。
独自のビジネスモデルを構築しても、すぐに模倣されてしまい、新しいビジネスモデルを確立しにくい時代といえます。

そのなかで、オペレーショナルエクセレンスは企業にとって大きな武器になる取り組みとして注目されています。
オペレーションの品質向上は、業務の全体像を踏まえたうえで試行錯誤を繰り返し、少しずつ実現していくものであり、他社がオペレーションの一部を切り取って模倣しようとしても、簡単には実現できないからです。

オペレーションの内容は、運営・作業・生産・販売などのあらゆる業務が対象で、企業の組織的能力や強みの最大化につながるとされています。

オペレーショナルエクセレンスのモデル(方式)

オペレーショナルエクセレンスのモデルにはどのようなものがあるか、代表的な取り組みの事例とともに紹介します。

リーン生産方式(トヨタ式)

リーン生産方式とは、トヨタ生産方式(トヨタ式)の別名です。
トヨタ社には徹底的に無駄を排除する思想が根底にあり、もっとも短い時間で効率的に車を生産するための生産管理システムが確立されています。

例えば、「ジャスト・イン・タイム」と呼ばれる概念です。
各工程で必要な数だけを確実に生産する取り組みで、在庫の無駄や後戻りによる無駄な作業を削減し、徹底的に無駄を省き、生産効率の向上を目指しています。

また、人の労働を機械に代替させる「自働化」と呼ばれる取り組みです。
異常が発生した場合、機械が異常を検知し、即座に停止させる仕組みを整備しています。これにより不良品の発生を抑制し、大規模な製造トラブルに発展することを防ぎます。

ほかにも、組立工程(後工程)で消費した部品を生産工程(前工程)に発注し、使った分だけ部品を納める「かんばん方式」といった手法もあります。
これらの手法を取り入れ、工程管理を徹底することで従来の大量生産方式以上の品質を実現します。
また、顧客の手元に車をタイムリーに届けることが可能です。

シックスシグマ

シックスシグマとは、品質管理やコスト削減のためのフレームワークです。
アメリカのモトローラ社で導入され、生産現場における品質改善とコスト削減を達成しました。

シグマとは、統計学における標準偏差(あるデータが平均値からどの程度外れているかを示す指標)のことです。
シグマの範囲における生産品質のばらつきを、100万個中3~4個以下に抑えるように取り組みます。
目標達成を阻む課題の抽出および対策案を追求していくことで、プロセスの効率化や品質向上を目指します。

現場のリーダーによるトップダウン手法で、チームを巻き込みながら業務プロセスを改善していくのが特徴です。
また、結果だけではなく、改善の過程も重視されます。

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オペレーショナルエクセレンスを実現するための取り組み

オペレーショナルエクセレンスを実現するために具体的に必要な取り組みを紹介します。

業務の可視化

オペレーションの効率化のためには、業務を可視化する必要があります。
可視化によって業務の全体像を把握し、どのような課題があるかを確認することが可能です。

どこに無駄や改善の余地があるかを把握することは、自社にとって有効なシステムやツールの選定にもつながります。
また、会社全体で課題に対する共通認識を持ち、自分の業務が社内でどのような意味を持つのかを知ることができます。

業務プロセスの改善

可視化により発見した課題を検討して、業務プロセスを改善します。
このとき、会社全体でオペレーションを改善しようとする意識が必要です。

特定の部門のみ改善しても効果は小さく、改善できていない部門との間で軋轢(あつれき)が生じる可能性もあります。

取り組みの長期的な継続

一度の業務プロセス改善で満足するのではなく社内でオペレーション改善を実行する・続けていくという意思を、持ち続けることも重要です。
その際、改善項目に優先順位をつけることが効果的です。優先順位の高い項目から順番に着手して、継続して取り組むとよいでしょう。

また、担当者が代わっても同じ業務水準を保てるように、再現性を高めることも意識する必要があります。
徹底的なオペレーションの合理化を続けて、それを仕組み化するためには、単に仕組みを構築するだけでなく、全社員が目的を理解し、目的の達成を意識して動くことが重要です。

仮に競合他社が仕組みだけ模倣したとしても、組織内で成果を上げるという共通認識が浸透しなければ、他社は同じ域に到達できないでしょう。

オペレーショナルエクセレンスにつながる改善事例2選

オペレーショナルエクセレンス実現につながった事例を2件紹介します。
どちらもIT機器や設備への投資を行っており、新たなシステムの導入などが有効であることが見てとれます。

ただし、システムを導入した場合は、研修やマニュアル整備によって使いこなせる体制を整えることも重要です。
業務マニュアルについて詳しくは、「業務マニュアルとは?目的や分かりやすい作成手順について解説」をご覧ください。

サントリービジネスシステム株式会社における問い合わせ数の削減

サントリービジネスシステム株式会社は、サントリーグループのビジネスインフラ提供や、業務革新の支援・推進を行う企業です。
同社は元々、バックオフィス系のシステムには自社開発のシステムを利用していましたが、2000年ごろからパッケージシステムへと変更しました。

パッケージシステムは画面中のボタン配置に規則性がなく、なじみのない用語が頻繁に使われるなど、自社システムにはなかった問題がありました。
開発ベンダーへシステム変更の要望を出したとしても、他社ユーザーへの影響も考慮されるため常に要望に応えてもらえるとは限らず、不慣れなシステムに困惑する社員からの問い合わせ数が急増したのです。

そこで同社は、パッケージシステムにナビゲーション機能やガイド・ツールチップを導入し、システムの操作性改善に努めました。
その結果、社員が自力で使用方法を理解できるようになり、問い合わせ数の急激な減少に成功しました。
これは誰でも自力で使うことができる操作性を持つシステムを実現したオペレーショナルエクセレンスの例です。
高度なシステムを作り上げでシステムを使いこなすことで、業務プロセスの改善に大きな効果を発揮させることができるでしょう。

参考「サントリーグループ 3万人のシステム操作性を向上。問い合わせを9割削減し、従業員の利便性向上と業務効率化を実現。

積水化学工業株式会社におけるシステム操作時間の削減

積水化学工業株式会社では、企業競争力を継続的に維持・強化するため、グループ全体としてDXに積極的に取り組んでいます。
その一環として着手したのが、ERPの導入です。

しかし、システム変更によりUIが変更されたことに戸惑う声が、現場から多く聞かれました。
また、効率化するために導入したシステムにもかかわらず、システム入力の手間が増えてしまい、それに伴う疑問や要望がヘルプデスクに多く寄せられるようになったのです。
ヘルプデスクはシステム教育も並行して行っていたことから、担当者の負荷が非常に大きくなりました。

そこで同社は、システムに自動入力機能を導入して、入力の自動化を図りました。その結果、人の手では15分かかっていた作業が3分に短縮され、人の手による作業量を減らしたことで人的ミスの削減に成功しました。
これは自動入力による作業効率化に成功したオペレーショナルエクセレンスの例です。
こちらの事例も、業務プロセスの改善に大きく貢献するでしょう。

参考:「システム操作時間を80%削減!デジタル変革の要であるグローバル購買改革の成功に向けた「テックタッチ」の活用

オペレーショナルエクセレンス実現への取り組みに着手しよう

他社が模倣できない品質のオペレーションを実現することは、簡単ではありません。
しかし、実際に成功している企業は多くあります。従業員が一丸となって取ば、成功の確率が高まります。
業務を見直して課題を見つけ、地道に改善していきましょう。

オペレーショナルエクセレンスを実現するための取り組みとして、可視化や業務プロセスの改善などを紹介しました。
紹介した事例が示すとおり、システムやツールの活用はオペレーショナルエクセレンスの実現に非常に効果的です。
ただし、確実にシステムを使いこなすにはマニュアル作成や研修などの準備が必要です。
システムを使いこなすための手間がかかってしまえば、オペレーショナルエクセレンス実現の妨げとなってしまいます。

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