依頼内容や依頼先などにより大きく変動しますが、システム改修の費用相場は200万円程度といわれています。
近年は、老朽化や業務改善などを目的に、既存システムの改修に取り組む企業が少なくありません。
本記事のテーマは「システム改修の費用相場」です。
この記事を読めば、システム改修にかかる費用の相場から費用を抑えるコツや要件定義の重要性についての理解が深まります。
システム改修を検討している方、費用を抑えるコツを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
システム改修にかかる費用相場と内訳
システム改修における費用相場は、一般的に200万円程度です。ただし、対象のシステムやその規模・実装する機能、依頼する企業などにより大きく異なります。システム改修費用は、「人月単価×人数×月数」で算出される人件費が多くの割合を占めています。
人月単価は、エンジニアのスキルなどをもとに決定され、具体的な目安は以下の通りです。
多額のコストがかかるため、投資すべきかを適切に見極めなければなりません。ここからは、費用が高額かどうかの判断方法について詳しく解説します。
システム改修費用が高額かどうかの判断方法
システム改修費用が高額かどうかは、投資(コスト)に対して、どの程度のリターンが得られるかで判断可能です。例えば、改修費用に1億円かかっても利益が2億円増加したり、人件費などのコストが2億円抑えられたりすれば、十分な費用対効果が得られます。一方、コストが1,000万円であったとしても、増加する利益や抑えられるコストが1,000万円を下回れば、高額といえます。
また、改修費に加え利用料や保守・管理費などのランニングコストが発生するケースがほとんどです。費用対効果を計算する際は、ランニングコストなどを含めた判断が欠かせません。
さらに、システム会社から提出された見積りの金額が、なぜその価格なのかの確認も重要です。
見積りの金額は、例えばA社は300万円でB社は500万円、C社は800万円などバラツキがあります。
安い方が良いと考えがちですが、その分品質が悪かったり、納期の遅れや追加費用が発生したりする可能性があります。
一方で、高額であれば必ずしも品質が高いわけではありません。品質差がないにも関わらず、単純に相場を無視した高額の見積りを提出している可能性もあります。
改修や依頼するシステム会社を判断する際は「費用×スキル<リターン」を念頭に置き、詳細確認と総合的な判断が重要です。
システム改修費用が高額になる原因
システム改修で費用が高騰してしまうケースがありますが、なぜでしょうか。
ここからは、システム改修費用が高額になる主な3つの原因について詳しく解説します。
プログラミング以外の作業が発生するため
システムの改修で発生する作業は、プログラミングだけではありません。対象システムの規模にもよりますが、プログラミングは開発工程の2割程度といわれています。品質の高いシステムの構築には以下など多くの工程が必要です。
プログラミング以外の作業 |
・設計書など修正や加筆 ・クライアントの要望ヒアリングと要件定義の打ち合わせ ・プロジェクトの管理と推進 ・プログラマーなどの手配や調整 ・テスト仕様書作成とテストの実施 ・テストをもとにした修正 ・テスト環境から本番環境への移行 |
当然ですが、上記作業の実施にも人件費がかかります。改修する前の、業務や既存システムの分析から依頼すれば、かかるコストは増加します。例えば、2週間程度でコーディング可能なシステムでも、分析から依頼すれば約2ヵ月の期間とコストが必要です。中には、要件定義などを省き期間の短縮を希望する方もいます。ただ、工程の省略により求めたシステムが完成せず修正を繰り返し、結果的に期間が長期化する可能性も低くありません。
改修中のトラブルに対応するため
システム改修中にミスが発生するケースもあります。万が一、ミスが起これば作業のやり直しによる期間の延長とコストの増加につながります。特に、システムの改修の際には以下のことが原因で、それまで動作したものが動かなくなる「デグレ」が起こるケースも少なくありません。
改修中のトラブル |
・設計ミス ・プログラム改修時の誤った処理 ・仕様のアップデート漏れ ・インフラ環境の変更 ・データの変更設計ミス |
システム改修中に生じてしまうミスは、未然の防止が簡単ではありません。開発や運用の実績が乏しい会社に依頼する際は、デグレリスクへの注意や対策が欠かせません。
システム改修の仕様の伝達がうまくされていないため
希望する仕様がシステム会社に上手く伝わっていなければ、完成しても想定していたシステムと違うケースがあります。求めていたものと違えば、再度依頼し改修しなければなりません。当然ですが、再依頼は無料で行われるわけではなく、コストがかかります。また、必要以上の機能を実装し、その分コストが余分に発生するケースも少なくありません。依頼する際は、要件定義の段階で十分なすり合わせが重要です。
また、定期的なミーティングによる確認も効果的です。すり合わせや定期的な打ち合わせには、システム会社の工数が発生しコストがかかる一方で、結果的に総費用が安くなる可能性があります。
システム改修費用を抑える5つのコツを解説
システム改修費用を抑える5つのコツは以下の通りです。ここからは、上記について詳しく解説します。
1.システム改修期間を決める
前述の通りコストの大部分を人件費が占めているため、作業期間が長くなるほど費用が増加します。費用を抑えるためには、あらかじめ期間を定めた依頼が効果的です。ただし、決める際はある程度バッファを持たせた期間の検討がおすすめです。ミスの発生などにより、想定よりも期間が延びるケースが少なくありません。例えば、改修に6ヵ月を想定していた場合、8~10ヵ月程度といった様にします。
またバッファ込みで決めた期間を伸ばさないためのマネジメントも重要です。
2.システム改修の目的に合わせて企業を選ぶ
システム会社は多数存在し、それぞれ得意・不得意分野や実績、特徴が異なります。適切な企業に依頼すれば、コストを抑えられる可能性があります。実績が豊富かつ得意分野の作業であれば、ノウハウを蓄積しているため、作業がスムーズだからです。Webサイトなどに掲載されている実績も参考にしながら、複数の企業と面談し、相見積もりの取得がおすすめです。
3.改修の要件定義を明確にする
依頼する際は、解決したい課題や実装したい機能などを整理する要件定義の明確化が欠かせません。要件定義が曖昧であれば、自社と外注先でシステムの仕様に関する行き違いが発生し、再依頼によるコスト増加へとつながります。
また、必要以上な品質や不要な機能の実装はコスト増加につながるケースも少なくありません。要件が明確であれば、システム会社も必要なエンジニアの人数や期間が予測しやすく、精度の高い見積りを提出可能です。さらに、システム会社の担当者と打ち合わせをする際は、コミュニケーションエラーが起きないように、慎重なすり合わせが大切です。
4.自社で巻き取れる工数は巻き取る
外注費は依頼する作業量や、それにともない発生する工数・必要期間に比例します。
以下などの自社で巻き取れる工数を巻き取れば、外注作業が減る分コストを抑えられます。
巻き取れる工数 |
・業務やシステムの分析 ・テストパターンの作成 ・マニュアルの作成 ・社員に対する説明や研修の実施 |
特に、マニュアルの作成や説明・研修の実施は必要であるものの、自社でも担当しやすい作業です。発生する作業を棚卸しするとともに、どの工程であれば自社で行えるかの見極めが大切です。自社で担当すればその分人件費も発生するため、可能な限り正確な費用対効果をもとに、自社で行う方が良いか外注する方が良いかを判断する必要があります。
5.ノーコードツールの導入を検討する
ノーコードツールの導入も改修費の削減に効果的です。ノーコードツールであれば、簡単な開発や改修にコードを用いたプログラミングが不要になります。専門知識やスキルは必要なく、誰でも簡単に利用できます。改修作業を外注する必要がないため、コストがかかりません。
また、ノーコードツールの利用には、開発・改修期間の短縮や現場担当者による開発・改修で要件が正しく反映されやすいなどのメリットがあります。近年はノーコードツールへの関心が高まり、製品やサービスも少なくありません。自社の要件に合い利用しやすいものを導入可能です。
ノーコードで、システムのユーザー体験を改善できる「テックタッチ」
システム改修をしても、適切な活用ができなければ効果を得られません。利便性やユーザーの利用率向上に効果的なのが、ノーコードでシステムのユーザー体験を改善できる「テックタッチ」です。簡単なUI/UXの改修であれば、ビジネスサイドでもノーコードで改修を行うことができ、顧客の声を即時システム上に反映できます。改修費用の削減やUX改善のスピードが向上できます。
また、システム上にデジタルガイドやツールチップを表示できます。これにより利用者はシステム活用時にマニュアルを見なくても、操作に迷わず使いこなせます。これにより誤入力・誤操作をなくし、生産性向上・業務効率化が可能です。
システム改修における要件定義の重要性
必要な機能や要求をまとめ、システム会社とすり合わせを行う要件定義は、以下の目的で実施されます。ここからは、システム改修における要件定義の重要性について詳しく解説します。
ベンダーに改修点を明確に理解してもらうため
要望を明確に理解してもらうためには、要件定義が欠かせません。依頼内容に対する認識のずれがあれば、成果物にも影響が出てしまい目的を達成できなかったり大幅にコストが上振れしてしまう恐れがあります。それらを防ぐためにも改修目的や実装したい機能など、具体的な改修内容の明確化が必要です。
プログラム作成中の確認工数を省くため
要件定義で目的や作業内容のすり合わせができれば、プログラム作成中の確認工数を削減できます。打ち合わせなどに割く時間が不要になり、コストの低減にもつながります。プロジェクトの最初に伝えた要件定義の内容だけで、依頼内容が伝わる状態がベストです。
開発スケジュールを遵守し無駄なコスト発生を防ぐため
要件定義の精度は、開発のスケジュールにも影響を与えます。人件費が大幅なコストを占める中スケジュールが伸びれば、その分割かないといけないリソースが増え、結果としてコストが高騰します。また、要件定義が明確でなければ、打ち合わせや修正などが発生し、スケジュールへの影響が小さくありません。途中で追加費用なども発生し、当初決めた予算を超えてしまうケースもあります。
システム改修の目的を明確にし、効果測定を行うため
改修自体は目的ではなく手段で、改修後のシステムを利用した成果が重要です。要件定義が不明確であれば、改修を行った結果、目的を達成できたかの効果測定ができません。詳細な要件定義を行えば、システム改修でどこを改善して、どれだけの成果が出たのかなどの詳しい効果測定ができます。
システム改修における要件定義の費用
要件定義とは、発注企業の目的や課題、必要な機能を明確にする作業のことです。要件定義の段階で、システムの大まかな仕様を決定する必要があります。もし要件定義をおろそかにすれば、スケジュールの延長やコストの増加などの影響が出ます。作業に工数がかかるため、他の工程同様、作業日数×人件費で算出される要件定義費用が発生する点も理解しておく必要があります。
要件定義の費用
要件定義も実施する担当者の人月単価と、作業期間に比例し決定されます。例えば、プロジェクトマネージャークラスが担当する場合の相場は、60万円~100万円程度です。
改修するシステムが複雑な場合や、実装したい機能が多い場合は、その分工数がかかるためコストが増加します。一般的な要件定義の目安は総コストの10%程度です。
ここからは、要件定義にかかる費用の計算方法について詳しく解説します。
要件定義にかかる費用の計算方法
要件定義における主な検討事項と費用割合、概算費用は以下の通りです。なお、概算費用は総コストが1,000万円、要件定義費用が10%の100万円と仮定し算出しています。
検討項目 | 割合 | 概算費用 |
目的の整理 | 10% | 10万円 |
業務要件の特定 | 40% | 40万円 |
機能要件の明確化 | 40% | 40万円 |
非機能要件の明確化 | 10% | 10万円 |
非機能要件とは、セキュリティや稼働時間、障害発生時の体制などのことです。項目に応じてフロー図やリスト、ユーザーストーリーマップを作成し整理します。
システム改修費用のまとめ
この記事では、システム改修費用の相場や高くなる理由とコストを抑えるポイント、費用に大きな影響を与える要件定義について解説しました。依頼内容や依頼先などにより異なるものの、システム改修の費用相場は200万円程度といわれています。
コストを抑えるためのポイントは以下の通りです。
コストを抑えるためのポイント |
・改修期間の決定 ・目的に合わせた依頼企業の選定 ・要件定義の明確化 ・自社での作業による外注内容の低減 ・ノーコードツールの導入 |
ノーコードツールのテックタッチを導入すれば、ノーコードで効率的にシステム改修ができます。さらに、優れたデジタルガイドにより利用率の向上や早期定着も見込めるため、改修効果を最大化できるでしょう。