顧客における商品・サービスの利用を促進し、成功に向けたサポートを行うカスタマーサクセスの注目度が高まっています。
SaaS業界において、新規顧客を獲得しても早期解約されてしまえば、期待する収益は得られません。
契約をした顧客のサポートするカスタマーサクセスと、契約を獲得する営業では役割が異なりますが、どちらも欠かせません。
また、営業とカスタマーサクセスがスムーズに連携すれば、顧客満足度が高まり顧客のLTV最大化が実現します。
本記事では、カスタマーサクセスと営業における相違点や連携するメリットとポイントについて詳しく解説します。
カスタマーサクセスと営業の違いについて知りたい方は、ぜひご覧ください。
カスタマーサクセスと営業の3つの違い
カスタマーサクセスとは、商品やサービスを購入・導入した顧客に関わり、定着や活用を推進し成功をサポートすることです。
サービスの解約を防止するために、セールスフォース・ドットコムの創業者であるマーク・ベニオフ氏が提唱しました。
カスタマーサクセスを実施すれば、以下などのメリットが期待できます。
カスタマーサクセスを実施するメリット |
・顧客満足度の向上 ・早期解約の防止 ・アップセル・クロスセル機会の創出 ・顧客のLTV最大化 など |
ちなみに、LTVとはLife Time Value(顧客生涯価値)の略称のことです。
ある顧客が自社との取引をはじめてから終わるまでに、どの程度の利益をもたらすかを表す指標です。
購入や導入までの間に顧客と関わる営業と、導入後に顧客をサポートするカスタマーサクセスでは、担当する業務領域が異なります。
ただ、双方が連携すればより大きな成果を得られるケースが少なくありません。
ここからは、カスタマーサクセスと営業の違いを以下3つの観点から詳しく解説します。
1. 目的とKPI
営業もカスタマーサクセスも最重要目的は、自社の売上・収益の向上です。
売上・収益を獲得しなければ企業は存続できません。また、より多くの収益を獲得すれば設備や人材に対する投資ができ、企業の成長・発展につながります。
ただ、営業とカスタマーサクセスでは担当する領域が違うため、目的とKPIも異なります。
ちなみに、KPIとはKey Performance Indicator(重要業績評価指標)の略称のことです。
最終目標の達成に向け、そのプロセスの達成度を評価するための定量的な指標を指します。
営業は新規購入や契約の獲得がおもな目的で、以下などのKPIが設定されます。
営業の主なKPI |
・商談数 ・見積書や契約書の提出件数 ・契約数 ・顧客平均単価 など |
一方、カスタマーサクセスの主な目的は商品・サービスの継続利用によるLTVの最大化です。
とくに、サブスクリプション型のサービスを提供している場合、新規契約を獲得しても早期に解約されてしまえば、期待する収益確保は見込めません。
LTVの最大化という目標を達成するためのKPIは以下の通りです。
カスタマーサクセスの主なKPI |
・解約率 ・顧客維持率 ・オンボーディング完了率 ・アップセル・クロスセル率・数 ・LTV など |
≫≫ カスタマーサクセスにおけるKPIとは?設定時の注意点やコツを解説
2. 業務内容
営業は見込み顧客に対し、新規顧客を獲得することが主な業務です。
営業の主な業務内容 |
・積極的なコミュニケーションを図り、良好な関係の構築 ・自社の商品・サービスのプレゼン など |
検討段階から受注するまでを担当します。一方、カスタマーサクセスは以下などを行い、顧客を成功に導くのが主な業務です。
カスタマーサクセスの主な業務内容 |
・契約後の顧客とコミュニケーション ・オンボーディングの実施 ・定期的な情報提供 など |
顧客の満足度向上や早期解約の防止、アップセル・クロスセル機会の創出を行います。
また、顧客とのコミュニケーションやアンケート結果、活用状況などのデータを収集・分析し、営業や開発部門にフィードバックする役割も担います。
3. 顧客対応
顧客対応における姿勢や適性も営業とカスタマーサクセスでは異なります。
営業は新規顧客の獲得を目的に、見込み顧客との積極的なコミュニケーションが求められます。また、信頼関係を構築する必要があり、相手にストレスを与えない円滑なコミュニケーションが重要です。営業は、ストレスへの耐性が高い特性を持つ方が向いています。
一方、カスタマーサクセスは各顧客と向き合い、課題を引き出す対応が重要です。
顧客の課題を分析・発見し解決するサポートを行い、顧客とのよりよい関係構築が求められます。
カスタマーサクセスと営業の連携するメリットとポイント
役割が異なるカスタマーサクセスと営業ですが、どちらも企業の収益向上には欠かせない存在です。
ここからは、カスタマーサクセスと営業が連携するメリットや連携を成功させるポイントについて詳しく解説します。
カスタマーサクセスと営業が連携するメリット
カスタマーサクセスと営業の連携には以下3つのメリットがあります。
カスタマーサクセスと営業が連携するメリット |
1. 適切な営業と提案で収益を拡大 2. 顧客満足度を高める 3. 事業の安定につながりやすい |
先ほど解説した通り、カスタマーサクセスは「顧客とのコミュニケーションから得られた情報」や「アンケート結果・活用状況」などのデータを収集・分析し、営業などにフィードバックを行います。このデータを営業が活用すれば、見込み顧客のタイプや課題に合わせた適切な商品・サービスの提案が可能です。顧客に対し適切な営業と提案ができるため、受注率が高まります。
また、顧客の課題を解決できる商品・サービスの契約が取れれば、顧客満足度の向上が期待できます。見込み顧客に対して無理な売り込みをせず営業ができるため、導入後に期待値と現実のズレを防ぎ、早期解約やクレームの防止が可能です。さらに、継続的に利用している顧客においてアップセルやクロスセルの機会を創出する役割をカスタマーサクセスが担います。
見込み顧客に対する適切な営業・提案、顧客満足度の向上などは、最終的に事業の安定性に効果があります。適切な提案を行い、その商品・サービスの定着・活用のサポートをすれば、顧客との信頼関係を築けファン化を促進可能です。
事業の安定には自社のファンを多く育成し、そのファンからの安定的な収益の獲得が欠かせません。
連携を成功させるポイント
カスタマーサクセスと営業が連携を成功させるには、以下3つのポイントが大切です。
カスタマーサクセスと営業の連携で成功させるポイント |
1. 顧客情報の共有と共通の目標数値を掲げる 2. 互いの役割を理解しサポートする 3. ツールを取り入れスムーズに情報共有する |
カスタマーサクセスと営業の情報共有は、顧客との関係構築に役立ちます。
営業からカスタマーサクセスに、顧客の課題やリテラシーなどを共有すれば、リスクを減らし適切なサポートを実施可能です。
また、目標が共通でない場合、互いが自部門の利益を優先し、顧客への対応に齟齬が生じるケースがあります。
共通の数値目標を掲げ、協力し合える体制を構築しなければなりません。
さらに、お互いの役割を理解しサポートし合える環境を作るために、定期的な話し合いの場を設けるのがおすすめです。
CRMなどのツールを活用すれば、顧客データの共有ができ連携がしやすくなります。
≫≫ カスタマーサクセスツールを導入するメリットと選定のポイントを解説
カスタマーサクセスと営業の違いまとめ
本記事では、カスタマーサクセスと営業における相違点や連携するメリットとポイントについて解説しました。
昨今、SaaS業界が成長している中でカスタマーサクセスの需要も高まっています。
カスタマーサクセスは、自社の商品・サービスを契約した顧客に対し、定着や活用を推進し成功をサポートする役割です。
一方、営業は新規顧客を獲得する役割を担い、カスタマーサクセスと目標やKPI、業務内容が異なります。
ただ、連携すれば適切な営業と提案による収益の拡大、顧客満足度の向上、事業の安定などのメリットがあり、連携が不可欠です。
カスタマーサクセスと営業の連携が重要になるため、スムーズな連携をサポートするツールを取り入れるのがおすすめです。
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