ARPUとは?SaaS企業のKPI設定に欠かせない指標|向上させるポイントを解説

SaaS事業者向け

SaaS企業が継続して利益を上げていくために把握しておくべき指標は複数あり、ARPUもそのひとつです。
従来、ARPUは携帯電話やスマートフォンなどの月額課金で利益を上げる通信業界で用いられていました。

しかし近年は、同様のビジネスモデルであるSaaS企業でも利用されています。
ARPUを向上させるには、関連指標や具体的な向上施策についての理解が欠かせません。

そこで今回は、ARPUの概要、算出方法から関連指標までを見たうえで、向上させるための施策をお伝えします。
SaaS企業の方はぜひ、参考にしてください。

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ARPU(アープ)とは?

ARPUとは、「Average Revenue Per User」の略称で、1ユーザーあたりの平均的な収益や売上を示す指標です。
ARPUを指標として設定するビジネスモデルは主に次の3つが挙げられます。

SaaSビジネスモデル
SaaSビジネスモデルの多くが、システムやサービスの利用料を毎月課金するビジネスモデルです。
代表的なものとしては、オフィスで利用する業務システムなどが挙げられます。

ユーザー課金モデル
スマートフォンのアプリでよく用いられているビジネスモデルです。
たとえば、ダウンロード自体は無料で、アイテムを購入した場合に課金をするアプリが該当します。

広告収入モデル
Webサイトやアプリ上に広告を掲載し、広告収入で運営をしているケースです。
ユーザーがアプリを使用した際に表示される広告の回数に応じて収益が変動します。

これらのサービスはどれも継続利用によって売上や利益を上げるビジネスモデルです。
そのため、ARPUを使って1人のユーザーが毎月(毎年)どれだけのお金を使っているかを見ることで、ビジネスの成長性や収益性を把握できます。
今回はこれらのビジネスモデルのうち、SaaSビジネスのARPUに特化して見ていきます。

ARPA、ARPPUとは?

SaaSビジネスでは、ARPU以外にARPA、ARPPUなどもよく利用される指標です。それぞれの概要やARPUとの違いについて解説します。

ARPAとは?
ARPAとは、1アカウントあたりの平均的な収益・売上を示す指標です。
ARPUとの違いは、「1ユーザー」ではなく、「1アカウント」あたりの収益・売上を見ていく点です。

SaaSビジネスではユーザー数ではなく、アカウント数で課金するケースも多く、アカウント数で課金している場合は、ARPAのほうがより実態に近い数値を得られます。

ARPPUとは?
ARPPUとは、「1課金ユーザー」あたりの平均的な収益・売上を示す指標です。
すべてのユーザーを対象とするのではなく、課金しているユーザーのみを対象とする点がARPUとの違いです。

無料で利用できるアプリが増えた昨今は、無料(非課金)ユーザーと課金ユーザーを区別することが求められます。
課金ユーザーのみを対象とすることで、より正確な利益率の算出が可能です。

ARPPUは、主にスマートフォンアプリビジネスで使われていますが、SaaSビジネスでも、機能を限定した無料版を提供しているサービスでは、ARPPUが使われることもあります。

ARPU、ARPA、ARPPUの算出方法

ARPU、ARPA、ARPPU、それぞれを算出する方法を説明します。
なお、ここではどの指標も年間の総売上とユーザー数で算出していますが、月間の総売上とユーザー数で算出する場合もあります。

ARPUの算出方法

ARPUの算出方法は、「売上÷ユーザー数」です。

例えば、年間の売上が1,000万円でユーザー数が200人の場合
1,000(万円)÷200(人)=5(万円)
上記のとおり、ARPUは5万円です。

ARPAの算出方法

ARPAの算出方法は、「売上÷アカウント数」です。

例えば、年間の売上が1,000万円でアカウント数が400アカウントの場合
1,000(万円)÷400(アカウント)=2.5(万円)
上記のとおりARPAは2.5万円です。

ARPPUの算出方法

ARPPUの算出方法は、「売上÷課金ユーザー数」です。

例えば、年間の売上が1,000万円で課金ユーザー数が50人の場合
1,000(万円)÷50(課金ユーザー数)=20(万円)
上記のとおり、ARPPUは20万円です。

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ARPU向上を踏まえて押さえておくべき関連指標

SaaSビジネスにおいてARPUを向上させるには、既存ユーザーの継続率を高める顧客ロイヤルティの向上が欠かせません。
ここでは、顧客ロイヤルティの向上を図る際に把握しておくべき指標を紹介します。

顧客ロイヤルティとは?

顧客ロイヤルティとは、特定の企業やブランドに対し、顧客が愛着や信頼を感じることを指します。
顧客ロイヤルティの高さは、顧客がその企業やブランドに抱く信頼度の高さです。

顧客ロイヤルティが向上すれば、価格が少々高めであっても他社に流れることなく、継続して利用するユーザーが増えるため、ARPUが向上します。
顧客ロイヤルティについてより詳しくは、「顧客ロイヤルティとは?向上させるための取り組みやポイント」をご覧ください。

顧客ロイヤルティ向上に欠かせない指標

顧客ロイヤルティを向上させるために欠かせない指標は以下のとおりです。

顧客満足度
顧客がサービスの提供を受けている企業や商品・サービス自体に対し、どの程度の満足を感じているかを数値化する指標です。
一般的にはアンケートやヒアリングなどを行って測定します。

企業やサービス内容によって、測定に用いる指標やその判断基準は異なります。
顧客満足度について詳しくは、「顧客満足度の重要性やSaaSビジネスにおける向上のポイントを解説」をご覧ください。

NPS®
NPS®とは、「Net Promoter Score /ネットプロモータースコア」の略称で、自社商品やサービスを利用したユーザーが家族や友人、知り合いにどれだけ勧めたいかを測る指標です。

NPS®の測定では、アンケートで0から10の11段階で推奨度を選択してもらいます。
0~6は批判者、7,8は中立者、9,10は推奨者という明確な判断基準があります。

NPS®について詳しくは、「NPS®向上が重要とされる理由とは?NPS®の意味や向上させるポイントとともに紹介」をご覧ください。

LTV
LTVとは、「Life Time Value /ライフタイムバリュー」の略称で、1人のユーザーが取引を開始してから終了するまでの間に企業へもたらす価値を表す指標です。

SaaSビジネスでは、「平均顧客単価(月)×収益率×購買頻度×継続期間」で算出します。
LTVについて詳しくは、「LTVとは?計算方法やLTV向上を実現させる方法を解説」をご覧ください。

これらの指標を意識して向上させることで、顧客ロイヤルティの向上につながり、継続して利用するユーザーが増加し、結果としてARPU向上の可能性が高まるでしょう。

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ARPUを向上させる具体的な取り組みや手法

ARPUを向上させるために欠かせない指標を紹介しました。
次は、ARPU向上への具体的な取り組みや手法について解説します。

アップセル・クロスセル

ある商品・サービスを現在契約しているもしくはこれから購入の検討をしているユーザーに、上位の商品・サービスを購入してもらうことをアップセルといい、関連商品・サービスも合わせて購入してもらうことをクロスセルといいます。

アップセルやクロスセルによって、「より高品質/多機能」「活用の幅を広げられる」といった商品・サービスの提供ができれば、LTVや顧客満足度向上につながる可能性が高まります。

アップセルとクロスセルについて詳しくは、「アップセル・クロスセルとは?実施のメリットと成功のポイントを解説」をご覧ください。

柔軟な価格設定モデルの導入

柔軟な価格設定モデルの導入も効果的です。
具体的には、商品やサービスの内容により、定額制、従量課金制、ペイパーユース(利用時間や回数などの使用頻度に応じた課金)などのさまざまな価格設定を用意します。

基本は無料で利用でき、追加機能や高度サービスを利用する場合に有料となる商品・サービスを提供することも該当します。
多様な価格設定モデルを用意すればユーザーの選択肢が広がり、アップセルやクロスセルをしやすくなるのもメリットのひとつです。
多様なユーザーニーズに応えられることで、顧客満足度、ARPUとともにNPSの向上も期待できます。

カスタマーサクセスの強化

商品やサービスの質を向上させるだけでなく、成功支援を充実させることも重要です。
カスタマーサクセスの強化や、ストレスフリーなプロダクトの提供などにより、顧客ロイヤルティを向上させます。

また、UI/UXの改善によって商品・サービスそのものの使いやすさを向上させることも忘れてはなりません。
顧客ロイヤルティ向上に欠かせないカスタマーサクセスのポイントについては、「SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスとは?実行時の注意点や成功のポイントを解説」を、UI/UXの改善については「UI改善の重要性と適切に改善するポイントとは?SaaSビジネスを例に解説」をご覧ください。

ARPU向上は既存ユーザーへのサポートが重要

1ユーザーあたりの売上・利益を見るARPUは、SaaSビジネスの収益性や成長性を測る重要な指標です。
APRAやARPPUといった指標も含め、継続的に利用するユーザーを増やすためにしっかりと把握しておかなくてはなりません。
ARPUを向上させるにはさまざまな施策が必要ですが、SaaSビジネスの場合は既存ユーザーに対する施策の実行が重要なポイントです。
アップセルやクロスセル、柔軟な価格モデルの導入など、既存ユーザーの満足度を高めて顧客ロイヤルティの向上につながる施策を実行することにより、長期利用が期待できるでしょう。

また、既存ユーザーの顧客ロイヤルティを高めるには、適切なサポートも欠かせません。ユーザーからの問い合わせや質問に迅速に回答することで顧客満足度向上を図る必要があります。そのような背景から昨今のSaaSビジネスでは、カスタマーサクセスが重要視されており、カスタマーサクセスの効率化が求められるでしょう。

ただしそれと同様に、プロダクト自体の改修も必要です。
WEBシステムにナビゲーションやツールチップをシステムに表示させられる「テックタッチ」なら、カスタマーサクセスの効率化が実現でき、プロダクト自体も簡単にUI/UXを改善できるため、大きな効果を上げられます。
「テックタッチ」を活用すれば、ノーコードでナビゲーションやツールチップの作成・修正が行えるため、プログラマー不在であってもユーザーの声に応じた迅速な対応が可能です。
ARPU向上を目指し、ユーザーサポートの充実を検討されている際は、お気軽にご相談ください。

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