人材不足や企業間競争の激化、市場ニーズの多様化を背景に、業務の効率化は多くの企業にとって課題となっています。
その解決策として、各種の業務システムやツールが導入されており、それらをスムーズに活用するためには、操作方法や利用方法を正しく伝えるマニュアルの存在が不可欠です。
特にマニュアルの「わかりやすさ」は、システム・ツールの定着度や業務効率に直結します。
マニュアルのわかりやすさを実現するために、企業の多くでは自社システムやツールのマニュアル作成に図解やスクリーンショットの挿入が容易でテンプレートも豊富なパワーポイントを活用しています。
本記事では、パワーポイントでマニュアルを作成する際のメリット・デメリットや効果的に作成するためのコツに加え、具体的なテンプレート例や活用事例についても解説。
また、記事内ではマニュアル作成・更新の工数を削減できる「テックタッチ」についてもご紹介します。
また、本記事を読み進める前に、マニュアル作成ツールの種類や選び方について「マニュアル作成ツールとは?種類や機能、選び方のポイントを解説」の記事で全体像を押さえておくと、より理解が深まります。
あわせて、システムマニュアルを作成する際の基本的な手順やコツについては「システムのマニュアルとは?作り方のコツや作成手順を解説」で基礎を固め、具体的なツール選定については「【2025年】マニュアル作成おすすめツール比較16選!選び方も含めて解説」の記事で最新情報を確認しておきましょう。
マニュアル作成の重要性

マニュアルとは、業務で行う作業の手順と流れ、使用するシステム・ツールの全体的な概要、操作方法などを体系的にまとめた説明書です。マニュアルを作成することで、次のような効果が期待できます。
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自社でマニュアル作成を行うことが難しい場合、外注するという選択肢もあります。
しかし、外注する場合も、社内で業務内容を整理する作業は必要になります。
外注費用がかかるうえ、外注先との打ち合わせに時間を要することから、外注を断念するケースも多いようです。
自社でマニュアルを作成する際に、効率的に作成できるツールとして活用できるのがパワーポイントです。
操作マニュアルとは?システム活用で成果を上げる作成・運用ポイントを解説
マニュアル作成においてパワーポイントを使うメリットとデメリット

パワーポイントを使ってマニュアル作成をするメリットとデメリットを紹介します。
パワーポイントを使うメリット
- 新たに使い方を習得する必要がない
Officeソフトは基本的なビジネスツールであり、日常業務で使う場面も多いです。基本的な使い方を理解している人が多く、予備学習なしで利用できることは大きなメリットといえます。より高度な使い方を知りたい場合も、関連書籍や情報が豊富なためスキルアップが容易です。
- 初期コストがかからない
Officeソフトを標準的に利用している企業は多く、そのような企業では初期投資が不要です。
- 視覚的要素を入れられる
業務手順は文字だけでは伝えにくい内容も多く、図や画像、表といった視覚的にわかりやすい要素の挿入が欠かせません。パワーポイントは、Officeソフトのなかでもこれらの要素の挿入が容易で、マニュアル作成を効率的に進められるでしょう。
- レイアウトの自由度が高い
ページの入れ替えや追加、図表や文字の構成などが容易です。ドラッグ&ペーストといった感覚的な作業でレイアウト構成を行えます。
パワーポイントを使うデメリット
- ファイルが大きくなる可能性がある
画像や動画を多用することでファイルサイズはどうしても大きくなります。場合によっては、閲覧時に動きにくくなる可能性があります。
- 共有のしにくさ
マニュアルを印刷して閲覧していたり、共有フォルダから各自がダウンロードして閲覧していたりすると、マニュアルの変更・更新時のアップデートがしにくくなります。このような場合、最新情報が共有されず、認識の齟齬(そご)が生じる可能性があります。
- スマートフォンでの閲覧性
>近年は閲覧するためのツールとして、パソコンだけでなくスマートフォンを使うことも多いです。しかし、スマートフォンで見るとパソコンで見るより画面が縮小され、見にくくなります。 - センスや経験はある程度必要
パワーポイントは、自由度の高いレイアウトや豊富なテンプレートが魅力のツールですが、効果的なマニュアルを作成するには一定のデザインセンスや経験が求められます。テンプレートを活用することで基本的な構成は整えられますが、情報の配置や強調の仕方、色使いなど、細部のデザインには注意が必要です。>例えば、フォントの統一や配色のバランスを考慮しないと、読み手にとって見づらいマニュアルになってしまう可能性があります。
パワーポイントの作成におけるデメリットを解消し、マニュアルの作成・更新の工数を削減できるおすすめの支援ツールが「テックタッチ」です。
テックタッチについては次項にて詳しく解説します。

マニュアル作成・更新の工数削減なら「テックタッチ」
パワーポイントを用いたマニュアル作成は、自由度が高い反面、デザインやレイアウトの調整に時間がかかり、更新作業も煩雑になりやすいのがデメリットといえます。
マニュアル作成のデメリットを解消できるのがデジタルアダプションツールである「テックタッチ」です。
テックタッチは、システムの操作画面上に直接デジタルガイドやツールチップを表示して、ユーザが迷うことなく操作を進められる環境を構築できる支援ツールです。
また、ノーコードでのガイド作成が可能なため、専門的なプログラミング知識がなくても、直感的な操作でガイドを作成・編集できます。
テックタッチを導入すれば、マニュアルの作成・更新にかかる時間とコストを削減できるだけでなく、ユーザーが必要な情報を必要なタイミングで取得できるため、システムの定着率も向上できます。
テックタッチのサービス詳細はこちらから
パワーポイントでマニュアルを作成する際のコツ

パワーポイントは、視覚的な訴求力や自由なレイアウトが強みのツールですが、誰もが見やすく、使いやすいマニュアルを作成するにはいくつかの工夫が必要です。
特に業務マニュアルの場合は、内容の正確さだけでなく、構成や表現方法によって伝わりやすさが大きく変わります。
ここでは、パワーポイントを使って効果的なマニュアルを作成するための具体的なポイントをご紹介します。
業務内容の整理と情報収集を行う
パワーポイントでマニュアルを作成する際、最初に行うべきステップは「業務内容の整理と情報収集」です。
まず、業務の目的や流れ、関係者、使用するツールやシステムなどを整理し、業務フローを図解します。
その後、業務手順、注意点、使用する資料やツールの操作方法などを関係者からヒアリングしたり、既存の資料を確認したりして必要な情報を収集します。
構成を決める
>パワーポイントでのマニュアル作成時は、読み手が情報をスムーズに理解できるよう、事前に全体の構成をしっかりと設計するようにしなければなりません。
なぜなら、新入社員向けの業務マニュアルなのか、顧客向けの製品操作ガイドなのかによって、盛り込む内容や使う言葉のレベルも変わってくるからです。
また、ステップごとに伝えるべきポイントを明確にし、情報の重要度に応じてメリハリをつけるのも効果的です。
情報は絞って分かりやすくまとめる
パワーポイントに情報を過剰に詰め込むと、読み手にとって理解しづらいマニュアルとなってしまいます。
そのため、必要な情報を厳選し、以下の点を意識して簡潔にまとめるようにしましょう。
- 1スライドにつき1つの情報に留める
- テキストは箇条書きを活用し、冗長な表現や専門用語の多用を避ける
- フォントや配色の統一を心がけ、不要な装飾を控える
- 色の使用は3色以内に抑える など
上記のポイントを意識して情報を絞り、視覚的に整理されたマニュアルを作成すれば、読み手にとって分かりやすく、実用的な資料となります。
画像や動画・グラフを活用して理解を促す
パワーポイントでマニュアルを作成する際、視覚的要素を効果的に取り入れると、読み手の理解度を高められます。
特に、画像、動画、グラフなどの活用は、テキストだけでは伝わりにくい情報を直感的に伝える手段として有効です。
例えば、操作手順を説明する場合、実際の画面キャプチャや操作動画を挿入することで、読み手が具体的なイメージを持ちやすくなります。
また、データや数値を伝える際には、グラフを用いることで情報を視覚的に整理し、理解を促進できます。
ただし、視覚的要素を多用しすぎると、かえって情報が散漫になり、逆効果となる可能性があるため、内容に応じて適切なバランスを保つようにしましょう。
マニュアルの作り方で押さえるべき5つのコツと手順を公開!ツールの選び方も解説
パワーポイントで簡単に!業務マニュアル作成用無料テンプレート

業務マニュアルを作成する際には、無料で提供されているパワーポイントのテンプレートを利用するのも効率的です。
業務マニュアル用の無料テンプレートでは、digipotが提供している以下のテンプレートがおすすめです。
表紙

目次

説明ページ




挿入素材

上記の素材はこちらのリンク先ページから無料でダウンロードできますので、興味のある方はダウンロードしてみてください。
パワーポイントを使ってマニュアル作成する時の注意点

パワーポイントは自由度が高いため、見栄えの良いマニュアルを作成しやすい一方で、デザインや表現に一貫性が欠けると、読みづらく伝わりにくい資料になってしまう場合があります。
ここでは、パワーポイントを使ってマニュアルを作成する際に押さえておくべき注意点を解説します。
フォントや全体的なレイアウトの統一
フォントや資料の全体的なレイアウトは統一するとよいでしょう。異なるフォントを多用し、レイアウトに統一感を持たせていない場合、読み手にとって情報を読み取りにくいマニュアルとなってしまいます。
フォントの種類は統一して、レイアウトに迷ったときは「左寄せ」「中央寄せ」のようにシンプルにそろえることで統一感を出していきます。使用するフォントは太字で、視認性の高いゴシック体がおすすめです。
使用色は3色を基本に
使用する色は、できる限り「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」の3種類に絞りましょう。
「ベースカラー」を主体として使用し、重要部分や注意点などに「メインカラー」「アクセントカラー」を使うと効果的です。
フォントやレイアウト、使用色の統一は、経験やセンスの不足を補います。これらのルールを守ることで、デザイン・レイアウトの「難しさ」も解決できるでしょう。
図の活用
メリットで紹介したように、パワーポイントでは図や画像、表を使いやすいです。文字だけの説明より、視覚的な説明を取り入れたほうが内容を理解しやすいため、有効に活用します。
例えば、実際の操作画面を画像で貼り付ければ、操作内容をひと目で理解できるでしょう。パワーポイントには動画を貼り付けることもできるので、必要に応じて活用するのも効果的です。
ただし、動画はデータ容量が大きく、マニュアルのファイルサイズに影響するため、使用する箇所を絞り込んで活用しましょう。
テンプレートの作成と活用
自社のマニュアル用のテンプレートを作成・保存しておくと便利です。
マニュアル作成時に毎回一から作成する必要がなくなります。テンプレートを活用して、誰でも見やすいデザインを短時間で実現できるようになります。
また、使用する色やフォントの大きさが計算されているため、所定の場所にテキストをあてはめるだけで重要なメッセージを目立たせることができるでしょう。
更新時もテンプレートを差し込めばいいので、ページの追加がしやすくなります。新規作成・更新ともに作業効率を上げられます。
すぐに役立つ現場向けパワーポイントを使ったマニュアル作成の活用事例

ここでは、マニュアルの目的別に活用事例を紹介します。
業務フローマニュアル
業務フローマニュアルは、業務の流れや手順を視覚的に表現し、作業の標準化や効率化を図るために役立ちます。
業務フローマニュアルを作成する際に盛り込むべき項目とポイントは以下の通りです。
| 項目 | ポイント |
| 業務名・目的 | その業務が何のために存在しているのか、どのような成果を目指しているのかを明記する |
| 業務の全体フロー | 業務全体の流れを一枚のスライドで俯瞰できるフローチャートで提示する |
| 手順の詳細 | 各ステップごとに、誰が担当するのか、どの部署と連携するのかを記載する |
| 注意点・チェックポイント | ミスが起きやすい箇所や、法令遵守・内部統制の観点で重要なポイントは「注意マーク」や赤字などで明示する |
| 関連ドキュメントや参照先 | 業務で必要な書類、帳票、システムマニュアルなどのリンクや添付ファイルを記載しておく |
図表やリンクなどを効果的に配置すれば、わかりやすい業務フローマニュアルが作成できます。
操作手順マニュアル
操作手順マニュアルは、業務システムやツールの使用方法を明確に伝えるために役立つマニュアルです。
操作手順マニュアルを作成する際に盛り込むべき項目とポイントは以下の通りです。
| 項目 | ポイント |
| 操作概要 | どのシステムや機能の操作説明であるかを順序立てて明示する |
| 操作フローの全体図 | 操作の全体の流れをフローチャートで一枚にまとめておくと、全体像がつかみやすくなる |
| 各操作手順 | 1画面につき1ステップを基本として解説する |
| よくあるトラブルと対応方法 | 操作中によくある間違いやエラーについて、事前にトラブルシューティングを記載しておく |
| 更新履歴 | 操作内容が変更された場合に備えて、最後に更新日と更新内容を記録しておく |
パワーポイントを使った操作手順マニュアルは、視覚的にわかりやすく、頻繁な更新も容易なため、現場の即戦力となる資料を効率よく作成できます。
特にスクリーンショットやアニメーションを適宜活用すれば、テキストだけでは伝わりにくい操作もスムーズに伝達可能です。
新人向けの研修マニュアル
新入社員の早期戦力化を目指す上で、研修マニュアルは不可欠なツールです。
研修マニュアルを作成する際に盛り込むべき項目とポイントは以下の通りです。
| 項目 | ポイント |
| 企業理念や行動指針 | 会社の価値観や期待される行動を明確に伝える |
| 就業規則や社内ルール | 勤務時間、休暇制度、服装規定など、基本的なルールを網羅する |
| 業務フローの概要 | 業務の全体像を示す |
| 使用ツールやシステムの操作方法 | 社内で使用するツールの基本的な操作手順を解説する |
| ビジネスマナーやコミュニケーションの概要 | 電話応対、メールの書き方、会議の進め方など、基本的なマナーを紹介する |
| FAQ | よくある質問とその回答を掲載する |
パワーポイントを活用した新人向け研修マニュアルは、視覚的にわかりやすく、柔軟に編集・更新できるため、現場での活用に最適です。
トラブル対応のマニュアル
現場でのトラブルは、業種や業務内容、担当している人員にかかわらず発生する可能性があります。
そのため、万が一に備えてパワーポイントを活用してトラブル対応マニュアルを作成しておくと、誰でも同じ手順で対応できる環境を整えられます。
トラブル対応マニュアルを作成する際に盛り込むべき項目とポイントは以下の通りです。
| 項目 | ポイント |
| トラブルの定義と分類 | 想定されるトラブルを洗い出し、種類ごとに分類する |
| 対応手順 | 各トラブルに対する対応手順をステップバイステップで記載する |
| 連絡体制 | トラブル発生時に連絡すべき担当者や部署、連絡先を明記する |
| 再発防止策 | トラブルの再発を防ぐための対策や注意点を記載する |
| 関連資料の添付 | チェックリストや報告書のテンプレートなど、関連する資料へのリンクを添付する |
パワーポイントを活用したトラブル対応マニュアルの作成により、現場での対応力が向上し、トラブルの影響を最小限に抑えられます。
パワーポイントでのマニュアル作成後の運用方法

パワーポイントでマニュアルを作成した後、その内容を効果的に運用するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
| ポイント | 概要 |
| 適切な共有とアクセス管理 | ・関係者全員が容易にアクセスできるように共有する必要がある ・共有設定を「閲覧のみ」にすれば、誤って内容が変更されるリスクを防止できる |
| 定期的な更新 | 業務内容や手順は時間とともに変化するため、定期的な更新が大切 |
| 検索性の向上 | 目次を作成した上で、各セクションにリンクを設定するして、必要な情報に迅速にアクセスできるようにする |
| 活用状況の把握 | 定期的なアンケートやヒアリングを実施し、現場からのフィードバックを収集する |
上記のポイントを踏まえて、パワーポイントで作成したマニュアルを効果的に運用すれば、業務効率化に役立つでしょう。
パワーポイントの特徴を活かしわかりやすいマニュアルを作成しよう

多くの会社で利用されており、視覚的要素を取り込みやすいパワーポイントは、マニュアル作成に適したツールです。
初期費用が不要となる点もメリットです。
一方で、パワーポイントでマニュアル作成をする際に一定のセンスや経験は必要です。
フォントやレイアウトをシンプルにすることや、テンプレートを活用すること、図や動画を必要な箇所に絞って差し込むといったコツを抑えて、わかりやすいマニュアルを作成しましょう。
しかし、パワーポイントを利用してもなお、マニュアル作成には多くの手間と時間が必要です。
特に、システム・ツールの改変が多い場合は、その都度マニュアル改定と改定を周知する手間が生じます。そこでおすすめなのが、「テックタッチ」です。
「テックタッチ」は、WEBシステム上にナビゲーションをリアルタイムで表示させて、画面を見ながらのシステム習得を助けます。「テックタッチ」はマニュアルを補完するため、マニュアル作成の必要性を低減できます。
社内でのマニュアル作成にお困りの際は、ぜひご相談ください。
また、本記事の解説に加え、マニュアル作成ツールの機能や選び方について網羅的に知りたい方は「マニュアル作成ツールとは?種類や機能、選び方のポイントを解説」を、効果的なシステムマニュアルの作り方については「システムのマニュアルとは?作り方のコツや作成手順を解説」を参考にしてください。
具体的なツール選定にお悩みの方は、「【2025年】マニュアル作成おすすめツール比較16選!選び方も含めて解説」の記事で最新の比較情報を確認することをおすすめします。



