2022年11月30日にKiZUKAI社との共催オンラインセミナー「世界標準のテックタッチ手法・データ活用のご紹介」を開催しました。
本セミナーhs,SaaS・サブスク事業者のカスタマーサクセス従事者を対象に、
「なぜテックタッチ手法・データ活用が求められているのか?」
「世界標準の企業はテックタッチ手法・データ活用として何をやっているか?」
「テックタッチ手法・データ活用に向いている企業とは?」
という3つのトピックでパネルディスカッションを行いました。
本記事では、イベントのレポートをお届けします。
パネルディスカッション①:なぜテックタッチ手法・データ活用が求められているのか?
パネルディスカッションのひとつ目のテーマは「なぜテックタッチ手法・データ活用が求められているのか?」
テックタッチ社の中出より概要を解説の上、KiZUKAI社の山田様にもご意見を伺いました。
テックタッチ社 中出(以下、中出):
CSにテックタッチ手法が必要な理由は「CS組織の拡張」と「ユーザー体験の向上」に関する2つの課題があるためです。
「CS組織の拡張」に関する課題としては、採用コストが挙げられます。CSは希少性が高い職種であるため採用が難しく、契約社数に比例して採用を行う必要があるため高いコストがかかってしまいます。
また、「ユーザー体験の向上」においては、チャーンリスクという課題があります。マニュアルが読まれないことやシステム上でユーザーが迷ってしまうことがチャーンリスクにつながり、売上に影響を及ぼします。
そのような課題を解決する手法として、テックタッチ手法はとても有効です。
(テックタッチ手法のひとつである)デジタルガイダンスの市場は伸びており、2025年までに世界で70%の企業がDAPを利用するという予測が出ています。
日本においてもデジタルガイダンスを活用した動きは進んでいくであろうと考えています。
KiZUKAI社 山田様(以下、山田):
プロダクトの成長に伴い、人材要件が大きく変わっていくと考えており、会社のグロースに合わせてテックタッチ化を進めることが大事だと思っております。
その中で、どのようなタイミングでテックタッチ手法を使っていくのがいいのでしょうか。
中出:
PMF前にはおすすめしません。
お客様の声を取得していくことが重要なので、このフェーズではハイタッチのほうが適していると思います。
テックタッチ手法を導入するタイミングは2つだと考えています。
1つめはユーザー数が大幅に増加する前に入れるというパターンです。
一定のタイミングの前にテックタッチ手法を導入することで、急成長に備えることが可能になります。2つ目は初期のタイミングから導入をしていくパターンですね。
山田:
前もってやっていくということを考えるとPMFが終わって、グロースしかけているタイミングで設計してやっていくと効率的だとも思いますね。
テックタッチ手法の必要性につづいて、KiZUKAI社の山田様よりデータ活用が求められる背景を解説いただきました。
山田:
日本と海外ではデータ活用の差が大きくあり、欧米諸国に対して日本のマーケットでは約50%のデータ活用の進捗が悪いという結果が総務省から出ています。
さらに、3rd Party Cookieの規制が始まり、2022年4月に個人情報保護法が改正され規制が厳しくなっています。
自社から得られる1st Party Dataの利活用を進めていかなければならないという側面がある中で、データ活用が欧米諸国と比べると進んでいないという現状は大きな課題であります。
また、データの利活用にはデータの蓄積、データの活用、顧客にアクションするという大きく分けて3つのプロセスがあります。
そして、エンドユーザーに適したタイミングで適切なデータ活用のアクションをする必要があります。
パネルディスカッション②:世界標準の企業テックタッチ手法・データ活用として何をやっているか?
続いては「世界標準の企業テックタッチ手法・データ活用として何をやっているか?」をテーマにパネルディスカッションとなりました。
中出より、「テックタッチ」をベースに、テックタッチ手法の効果や実例を解説をいたしました。
中出:
テックタッチ手法の4つの効果についてご紹介していきます。
ひとつは「売上向上」です。
営業活動に「テックタッチ」を活用することによって営業活動を効率化し、対応可能商談数を増加させることを実現したケースです。
アポ調整から受注までにあるデモや質疑・問い合わせ対応といった工程を人が実際に行うのではなく「テックタッチ」のガイド機能を使用しました。
それにより、商談リードタイムを30%削減し、訪問件数を1.3倍にしました。
また「マニュアル効果向上」といった効果もあります。
「テックタッチ」のガイドとマニュアルを連携させることで、マニュアルの利用促進と作成効率化の両立を実現できます。
マニュアルとテックタッチのガイド機能を連携させることで、マニュアルとシステム画面を見比べながらシステムの操作をする必要がなくなり、ユーザビリティーを向上させます。
そして「オンボーディング効率化」の効果も挙げられます。
デジタルガイドに沿って操作を進めることでオンボーディングが完了する仕組みをつくり、初期操作の研修時間を50%削減、同時にユーザー満足度を向上させられた事例もあります。
最後に「問い合わせ削減」です。
テックタッチの活用により、問い合わせ工数を30%削減する事例もあります。
これによりCS人員やコールセンターのシート数の削減にも繋がりROI向上が可能です。
また、システムに不満を感じ問い合わせをする比率は不満を感じた人の10%以下と言われています。
そのため問い合わせを1000件削減した場合、10,000人の不満を持った方が減り、10,000人規模の潜在的な顧客のニーズを満たすことができるともいえます。
続いて、山田様よりデータを使った活用方法の事例を3つ紹介していただきました。
山田:
1つ目の事例はスコアリング活用です。
「KiZUKAI」では、4G回線から5G回線にアップセルを行うために顧客全体にメッセージを送信していていました。
ですがメッセージ送信のコストや顧客の反応が低下、アップセルしやすい顧客特性の把握ができないといった課題を抱えていました。
その課題を解決するために、パケット利用率や利用回数などといったデータからKiZUKAIでは顧客セグメントを作り、アップセルしやすい顧客層に効率的にアプローチをしました。その結果、アップセル率が3.5%上昇し、コストを月で1000万円削減することができました。
2つ目の事例は、解約防止に関するターゲティングしたポップアップです。
「KiZUKAI」の解約相談窓口の認知度は40%しかなく、その窓口を知らずに解約をしてしまっている顧客がいることや、解約前の解約防止アプローチが難しいという課題を持っていました。
そこで解約可能性のある顧客をスコアリングし、その顧客にのみ「KiZUKAI」のマイページに入った際、解約相談窓口の案内をポップアップに表示するということを行いました。
それにより効率的にデジタル運用を実現し、利益率の向上に大きく寄与しました。
3つ目の事例は、オンライン授業を提供している企業のサービス品質向上を目的としたレコメンデーションポップアップです。
このような企業の課題としてサービス品質が高くても、ユーザーと講師のマッチングが上手くいかず、解約に結びついてしまうということがあります。
その課題を解決するために、ユーザーに対して適した講師をマッチングできるようにポップアップを表示し、サービスの品質向上を実現しています。
パネルディスカッション③:テックタッチ手法・データ活用に向いている企業とは?
最後に、どのような企業が「テックタッチ手法」と「データ活用」を扱うべきなのかをテーマに解説しました。
中出:
テックタッチ手法に向いているSaaS企業として、以下のような特徴があげられます。
- 業界エンドユーザーのITリテラシーが高くない
- ユーザー数が多い
- 組織に関する危機感はなくても、将来のことを考えた時に先手を打ちたい企業
- 機能が多数存在している
また、構築から長い年月が経っているシステムにおいても
- ソースコードの改修が難しく、UIUXの改善ができない
- 機能が複雑で問い合わせが多い
などの特徴があり、テックタッチ手法が向いてると言えます。
山田:データ活用に向いている企業としては
- 消費者の会員組織を有している
- データが溜まっているが、上手く活用できない
- 既存収益やLTV向上への課題感が強い
といった特徴を持つ企業はデータ活用に向いていると言えます。
パネルディスカッションの本編では、本記事でお伝えした他に各事例の詳細解説や補足、また多数寄せられたご質問にお答えいたしました。
現在、全編を収録した本講演のアーカイブ動画を公開しております。
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