近年では、FAQシステムの構築によってナレッジを共有し、ヘルプデスク業務からカスタマーサポートに至るまでの問い合わせ件数を削減する動きが増加傾向にあります。
しかし、FAQシステムをゼロから構築するのは難しいため、専用の「FAQツール」を導入することが一般的です。社内での業務効率化には欠かせない存在となっている一方で、一体どのようなツールが良いのか、選び方やツールの比較検討したい方も多くなっています。
この記事では、FAQシステムを作成したい方に向けて、FAQ作成ツールの比較10選をご紹介します。FAQシステムの導入で得られるメリット・デメリットや、FAQ作成ツールの選び方についても解説しますので、あわせてご参照ください。
そもそもFAQ作成システムとは?
そもそもFAQ作成システムとは、「よくある質問」やQ&Aを作成・蓄積・検索できるようにするツールを指します。FAQ作成ツールを活用すれば、疑問やトラブルをスムーズに解決できるため、電話やメール、ヘルプデスクの問い合わせ対応に関する負担を減らせるのがメリットです。
現在ではサイトやアプリ、社内での業務効率化のために、FAQの存在は欠かせません。従来はマニュアルを含めたアナログ的運用も多くなっていましたが、近年では「検索性」を兼ね揃えたFAQツールを活用することが主流です。
さらに、FAQ作成ツールの中には、「検索された語句」を分析してどのような質問が多いかを可視化できたり、「この回答は参考になったか」などのチェックでどのような回答が好ましいかを深堀りできるシステムもあります。
また、FAQ作成ツールでシステムを構築すれば、データの更新やメンテナンスがやりやすいのも魅力です。アナログでありがちな「旧来のマニュアルが未だに放置されている」といった問題を減らし、適切なFAQを分かりやすく管理できる魅力もあります。
FAQシステム導入によるメリットとデメリット
FAQシステムに対応したツールを導入すればさまざまなメリットを得られます。一方で、いくつかのデメリットがあるのも事実です。FAQシステム導入によるメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
・スムーズな自己解決を実現して、顧客満足度の向上も期待できる
・問い合わせ業務の負担を減らして人的コストの削減もできる
・オペレーターの対応品質を向上できる
・24時間365日対応できる
デメリット
・定期的な更新やメンテナンスが必要
・導入コストが掛かる
・利活用を促す導線が必要
FAQシステムには多くのメリットがある一方で、システムの導入や利活用を促す導線が必要などのデメリットが存在します。そのため、導入意図によってはテックタッチの「デジタルガイドツール」で解決するのもポイントです。
デジタルガイドツールとは、パソコン上のツールやシステム操作画面で直接操作手順等を解説できるオンボーディングを実現できるツールです。操作に詰まりやすいポイントや、疑問が生じやすいタイミングで直接解決策を提示できるため、「調べる」手間を減らして利活用を促せるメリットがあります。
加えて、テックタッチのデジタルガイドツールならFAQシステムへの導線づくりにも役立ちます。「よくある質問と回答」をまとめて紹介できる仕組みをデジタルガイドツールで実践すれば、FAQの利活用を促せるのがメリットです。
FAQ作成システムの選び方の4つのポイント
FAQ作成ツールにはさまざまな種類があるため、いくつかの比較ポイントを見比べた選び方を押さえる必要があります。具体的には、以下の4つに着目することが大切です。
この章では、FAQ作成ツールの選び方について、比較すべきポイントを解説します。
1. 自社に合う検索機能を利用できているか
FAQ作成ツールの選び方として、自社に合う検索機能が利用できるかどうかは非常に大切な比較ポイントです。FAQシステムの検索機能には、大きく分けて「自然言語検索」「サジェスト検索」「タグ検索」「カテゴリ検索」の4種類が存在します。
例えば、自然言語処理機能を搭載したAIチャットボットなら、人と対話するようにFAQを検索できるメリットがあります。入力された言葉を読み取り、適切な回答を表示できるのが魅力です。
一方でタグ検索機能なら、関連性の高いFAQを並べて表示できるため、1回の検索で回答をスピーディに得やすいメリットがあります。
すでに「FAQシステムを導入しているのに活用されない」といった場合は、FAQシステムの検索性が悪かったり、導線が悪かったりする可能性も否定できません。必要に応じてデジタルガイドツールなどで、システムの活用方法をヘルプ表示するのもおすすめです。
2. ツールシステムの構築や定期メンテナンスが簡単かどうか
FAQ作成ツールの選び方として、システムの構築やメンテナンスのしやすさは重要です。業務効率化のためにFAQ作成ツールを導入するにもかかわらず、肝心の構築・メンテナンスに大きな手間が掛かっては本末転倒だと言えます。
リソースを割かずに業務効率化を実現できるよう、ユーザーフレンドリーな管理画面や、FAQのデータを一元管理できるようなシステムで比較検討すると、メンテナンスの手間を減らしやすくなります。
3. 他のサービスと連携して運用できるか
他サービスとの連携力も、FAQ作成ツールを比較検討するうえで重要です。特にカスタマーサービス系の業務を効率化するためにFAQシステムを構築する場合は、CRM(顧客管理システム)と連携できるかどうかで、図れる作業の効率化範囲が異なります。
例えば、CRMと連携できるFAQ作成ツールを活用すると、「顧客属性」「問い合わせ履歴」「過去の対応内容」などを可視化できます。加えて、顧客の関心やトラブルにパーソナライズしてFAQを提供できるのもメリットです。
FAQコンテンツの充実を実現しやすく、顧客満足度のさらなる向上も期待できます。
4. 問い合わせを減らしたい度合いでツールを選択する
FAQ作成ツールを選ぶときは、主にどのような度合いで問い合わせ件数を減らしたいのかにあわせて選び方を変更する必要があります。具体的な比較ポイントは以下のとおりです。
単純な問い合わせ件数を減らしたい
FAQページの作成機能+検索性に優れたツールがおすすめです。
最低限の問い合わせ件数を減らしたいのであれば、単純なFAQに回答できるよう、「オーソドックスな機能を安価に利用できるツール」がおすすめです。FAQページの作成や一定の検索性があれば十分です。
できる限り有人の問い合わせ対応を減らしたい
上記に加えて「注目のキーワード」などレコメンド形式で関連質問を表示できるツールがおすすめです。
問い合わせ件数を減らして対応リソースを抑えたい場合は、「サジェストやAIで検索精度を高めたツール」も選択肢にあがります。検索精度を高めて質問意図を深堀りできれば、回答の精度も高まり、自己解決率を大幅に向上させられます。
カスタマーサポート業務などの効率化も図りたい
CRMと連携して検索KWや顧客行動の分析機能が搭載されたツールがおすすめです。
カスタマーサポートやヘルプデスク業務などの効率化も図りたい場合は、「CRMなどと連携してコンテンツの効率化を実現できるツール」がおすすめです。
どの程度問い合わせを減らしたいのか、求めている機能性によって選ぶべきFAQ作成ツールは異なるため、上記の選び方を踏まえたうえで比較検討するのをおすすめします。
おすすめ FAQシステム比較10選!
FAQ作成ツールには多種多様な種類があるため、適切なツールを選ぶのは難しいと感じている方も多いようです。ここでは、おすすめFAQ作成ツール10選を、使いやすさや料金、初期設定の難易度を比較したうえで紹介します。
1. Zendesk(Zendesk Inc.)
「Zendesk」は、クラウドベースのカスタマーサポートツールです。さまざまなチャネルの問い合わせを一元管理できるほか、FAQ作成ツールとしての機能もあり、標準料金でFAQ以外にもさまざまな機能を活用できる特徴を持ちます。
世界11万社で活用されている実績があり、初期設定に関する情報を入手しやすいのも魅力です。
FAQ作成ツールとしても多機能で、サジェスト検索・カテゴリ検索・チャットボット(自然言語)検索に対応しています。また、更新が遅れているFAQのアラート通知を出し、上長の確認を経て更新内容を公開できる機能もあります。
料金:月額$55~/1ユーザーあたり
2. sAI Search(株式会社サイシード)
「sAI Search」は、人と対話するようなチャット形式でFAQを行えるチャットボット型のFAQ作成ツールです。独自開発のAIにより、FAQデータをアップロードするだけで活用できるため、初期設定の手間も抑えられています。
AIを用いた高精度な検索エンジンが魅力で、リアルタイムで質問文のサジェストを変化させ、利用者が求める情報を引き出しやすい仕組みも搭載されています。また、カスタマーサポート業務を効率化するオペレーター向け画面もあり、ヒアリング順番のガイドなどで対応品質の均一化・向上を期待できるのも特徴です。
料金:要問い合わせ
3. FastAnswer2(テクマトリックス株式会社)
「FastAnswer2」は、ナレッジを蓄積してFAQを充実させられるFAQ作成ツールです。「見つけやすい」「作りやすい」「育てやすい」がコンセプトになっており、初期設定の難易度も低くなっています。
複数サイトのFAQも1つのシステムで管理できるため、FAQ作成ツールで「社内向け」「社外向け」と複数のFAQを作る予定の方にもおすすめです。データ管理が容易に行えるため、メンテナンスに掛かる手間も抑えられます。
料金:要問い合わせ
4. PKSHA FAQ(株式会社PKSHA Communication)
「PKSHA FAQ」は、導入前後をサポートするためセミナーやトレーニングプランなどを無償で提供しているFAQ作成ツールです。充実したサポートで導入前後のトラブルを減らせるため、初期設定の難易度も低くなっています。
日本語の表記揺れなどを自動で修正するサジェスト機能が搭載されているほか、閲覧数や検索ヒット率を自動解析して、「改善すべきFAQ」を可視化できるのも魅力です。
料金:初期費用130万円~、月額10万円~
5. Helpfeel(株式会社Helpfeel)
「Helpfeel」は、スピーディかつ優れた検索性能が特徴のFAQ作成ツールです。ほかのシステムと比較して、曖昧なキーワードでもヒットする検索性に優れており、意図予測の深堀りによってFAQの最適な回答を提供できます。
導入や運用サポートが充実しており、チューニングや分析、運用改善までサポートしてもらうことも可能です。そのため、初期設定や運用前後の手間を抑えて効率的にFAQシステムを導入したいシーンにも適しています。
料金:要問い合わせ
6. COTOHA Chat & FAQ(NTTコミュニケーションズ株式会社)
「COTOHA Chat & FAQ」は、学習データが不要で導入当初から優れたパフォーマンスを発揮するFAQ作成ツールです。検索ワードではなく、質問の意図を解釈して答えを提供する独自機能の「セマンティック検索」により、高精度なパフォーマンスを発揮できます。
初期設定の面では、オプションでAIのチューニング支援やQ&A作成・整備のほか、運用開始後の負荷を抑えるサポートメニューが充実している点が特徴です。最大25の多言語にも対応しているため、マルチリンガルな検索ニーズを満たせる魅力もあります。
料金:要問い合わせ
7. Service Cloud(株式会社セールスフォース・ジャパン)
「Service Cloud」は、Salesforce製品との連携力が魅力的なFAQサポートツールです。「ナレッジ」としてよくある質問などのデータを蓄積するだけで、よくある問い合わせを効率化できます。拡張性が高いゆえに、初期設定の難易度は高めです。
加えて、カスタマーサポート専用のUIが用意されているのも特徴です。問い合わせが発生すると、関連性の高いナレッジを自動的に表示して情報を参照できるため、問い合わせから回答までスピーディに顧客対応を行えます。
料金:月額3千円~/1ユーザーあたり、AI搭載モデルは1万9,800円~/1ユーザーあたり
8. ナレッジリング(株式会社CBIT)
「ナレッジリング」は、業界最安値クラスで導入できるFAQ作成ツールです。気軽に試せるフリープランは30日間無料で活用できるほか、ベーシックプランなら月額9,800円+ユーザー数×120円で導入できる魅力があります。
ただし、導入前後のサポートがないため、初期設定に手間取ってしまう恐れがあります。また、顧客など一般ユーザーに向けた「公開型FAQ」は月5万円からと、コスト感が異なる点に注意が必要です。社内向けのナレッジ蓄積などで低価格なFAQ作成ツールを求めている人におすすめだと言えます。
料金:無料プランあり。初期費用9万8千円~、月額9,800円~
9. ふれあいコンシェルジュ(北日本コンピューターサービス株式会社)
「ふれあいコンシェルジュ」は、利用者の検索ニーズを分析して、FAQのニーズを深堀りできるFAQ作成ツールです。自然言語AIが搭載されており、カテゴリ検索機能とあわせて優れた回答精度を誇ります。
また、社内外のFAQにも対応が可能で、アクセス元に応じて1つのソースを社内・社外で表示分けできる魅力もあります。アカウント数やFAQのデータ数は無制限のため、多くのデータを搭載できるのが魅力です。月額料金には利用促進支援や使い方のサポートが含まれており、初期設定も安心です。
料金:月額18万円~
10. Qast(any株式会社)
「Qast」は、社内向けのナレッジ蓄積に長けたFAQ作成ツールです。組織内のノウハウを循環させるための仕組みが多数搭載されており、「自主的に投稿できるメモ機能」「投稿への称賛機能」など、ナレッジ共有のモチベーションを高める仕組みが多数搭載されています。
ナレッジの投稿傾向やアクティブ率をチェックできるダッシュボード機能が搭載されており、ナレッジマネジメントの効果測定を行えるのも特徴です。フォルダごとにアクセス権限を設定できるため、機密性のレベルに応じて触れられるFAQを変更できるなど、社内向けに特化したFAQ作成ツールだと言えます。
一定ID数以上の利用で、導入後の初期サポートや定着支援まで専門コンサルタントが伴走してくれるため、初期設定の面も安心して導入できます。
料金:要問い合わせ
FAQツール比較のまとめ
近年では、社内外を問わずFAQシステムを活用してナレッジの共有や問い合わせ対応件数の削減に取り組む事例が増加傾向にあります。とはいえ、FAQ作成ツールにはさまざまな種類があり、選び方や比較検討に頭を悩ませている人も多くなっています。
場合によっては、求めていた機能性以上のFAQ作成ツールを導入してしまい、ランニングコストが大きな負担になってしまう事例も少なくありません。
そのようなトラブルを減らすべく、自社の状況にあったツールの選び方が重要です。もし、「新しく導入したツールやシステムの問い合わせ件数を減らしたい」場合は、画面上で操作をナビゲーションできる「テックタッチ」をご検討ください。
テックタッチならシステム上で適切な操作手順を解説できるため、操作ミスや入力ミスを抑制し、管理者側の負担を減らせます。FAQシステムのようにユーザーがテキストを入力したり調べたりする必要もなく、必要な情報を求められるタイミングで提供できる魅力もあります。
申請書類の作成や新規ツールの活用など、幅広いシステムのマニュアル作成に負担を感じている場合は、ナビゲーションツールで効率化するのもポイントです。
「申請書類の差し戻しが多い」「ツールの操作に関する質問が頻出する」「よくある質問が積み重なる」など、システム上の操作でお悩みの場合は、ユーザーの正しい操作や入力を促せる「テックタッチ」の導入をご検討ください。