SaaSビジネスで注目を浴びるPLGとは?メリットや必要な準備、押さえるべきポイントを紹介

SaaS事業者向け

こんにちは!
CS工数削減、ユーザーのセルフオンボーディングを実現する「テックタッチ」ライターチームです。

SaaS型のビジネスが普及するなか、多くの企業で注目されているのがPLGというマーケティング戦略です。
PLGではまず、製品を「試してもらう(利用してもらう)」ことから始まり、その価値を知ってもらうことで満足度を高め、最終的に顧客化していきます。

例えば、無料版の提供から始めて、利用者に価値を体感してもらったうえで有料契約につなげる手法があります。
しかし、マーケティングの戦略として、PLGという考え方はまだ広く知られていません。

そこで今回は、PLGの概要やメリット、そして実施時のポイントを紹介します。

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PLGの概要と従来のマーケティング手法との違い

PLGの概要と、従来のマーケティング手法であるSLGとの違いを紹介します。

PLGとは?

PLGとはプロダクトレッドグロース(Product-Led Growth)の略称で、日本語では「製品主導で成長する」という意味です。
製品が製品自身を売り込むことで進める新しいマーケティング手法で、SaaSビジネスにおいて注目されています。
製品自身に、見込み客の獲得、顧客育成、認知度の向上などの営業・マーケティング活動をさせるのです。

代表的な成功例として、無料版をダウンロードして製品の良さを認知してもらう手法があります。
無料版を利用して製品の良さに納得し、さらなる機能性を求めて有料契約へ移行する流れをつくることを目指すのです。

PLGと従来のマーケティング手法SLGとの違い

従来のマーケティング手法は、セールスレッドグロース(Sales-Led Growth,略称:SLG)と呼ばれます。
営業担当者が顧客へのアプローチやプロモーション活動を行うことで製品を販売します。

人間主導の手法であるため、成果が担当者の力量に左右されやすいのが特徴です。
また、状況によってはチーム単位で情報を共有しながらマーケティングを進める必要があるので、顧客への営業活動が遅延する可能性もあります。

人間主導のSLGに対して、PLGは製品主導です。
製品自身が顧客に直接売り込みをするため、SLGのような営業活動が不要です。
チーム単位の施策や連携も必要なくなり、低コストで効率的に事業拡大が可能になります。

PLGのメリット3つ

PLGを実施することによるメリットを紹介します。

1.製品の迅速な試用

顧客への直接的なアプローチやプロモーション活動など、SLGで行っていたような営業活動をせずに製品をすぐに実体験してもらえるため、製品の価値や魅力をより早く伝えられます。
顧客にとっても、実際に使用してみて、使いこなせるか・自分(自社)に合っているかを判断できるため、導入・契約への検討がしやすくなります。

2.顧客の利用状況に応じたアプローチ

PLGでは、顧客が求める機能を積極的にアピールするプログラムを組み込むことが可能です。
顧客の能動的アクションやシステムの利用状況に合わせ、顧客にとって有益な情報を提供することによって、成約につなげやすくなります。具体的には次のような手法を用います。

  • 製品を試用している顧客に対し、「〇〇の機能を使いませんか?」といった訴求を製品内で実施
  • Aに興味を持つ顧客はBにも興味を持ちやすい、というデータ分析から、顧客が関心を持ちそうなプランを提案する

3.コストダウンと利益拡大の実現

「ニーズに合わない」「興味を持っていない」といった、購入や契約更新の見込みがない顧客へのアプローチを削減できます。
また、営業活動をスリム化できるので、販売促進費や人件費のコストダウンを図ることが可能です。

顧客は製品を試用しているため、製品の価値を知ったうえで購入・契約に至ります。
そのため、高い信頼をすでに得ており、より高度な機能へのプラン変更や、長期契約への移行を成功させやすくなります。

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PLG実施時に必要な準備

顧客に対するPLGの手順は次のとおりです。

  1. 製品を認知してもらう
  2. 製品を試用してもらう
  3. 営業・マーケティングアクションを行う
  4. 顧客を獲得する(無料版から有料契約移行など)

上記の流れを考慮すると、「製品」をつくったうえで、その後の「プラン」を準備することが必要不可欠です。
それらをどう準備していくのかを紹介します。

良質な製品をつくる

まず重要なのは高品質の製品をつくることです。
顧客に「課題解決に役立つ」「費用を払うだけの価値がある」と思わせなければ、契約・契約継続やアップセル・クロスセルに応じてもらえません。

機能やサポート体制などを充実させ、製品の魅力や価値を顧客に提示できるようにしましょう。

製品を通して行う営業・マーケティングアクションを明確化する

製品の試用から顧客獲得につなげる必要があるため、製品を通して行う営業・マーケティングアクションを具体的に決めることが重要です。
例えば前述のような、顧客の行動に合わせて別の機能の使用を訴求するメッセージを表示する、興味を持ちそうな別のプランを提案するなどの方法があります。

複数のプランを設定する

いくら機能が良くても価格が高すぎると、顧客との契約につながりません。
無料プラン、スタンダードプラン、プレミアムプランのような複数プランを用意しましょう。
顧客が予算に合わせてプランを選択できるようになります。

そのほか、有料プランを基本として、一部機能のみ無料で利用可能とする、有料プランを一定期間無料で利用できるようにする、利用できる範囲や無料期間の調整をするといった方法も効果的です。
無料プランを利用している顧客も、機能に満足すれば、より高度な機能の利用を求めるようになります。
その結果、長期的利用を考えるようになるので、有料プランへの移行につながるのです。

PLGで効果を上げるポイント

PLGを実施する際は、次のポイントを押さえると効果的です。

Call to Action(CTA)を整備する

CTAとは、顧客に特定の行動を起こさせるように誘導することや、そのための要素のことです。
代表的な手法のひとつに、無料版を利用している顧客の利用率を活用することで有料契約につなげるものがあります。
例えば、利用率が事前に設定した数値に到達したときに、製品上でユーザーにメッセージを表示して、有料契約を促します。

また、利用率が事前に設定した数値に到達したことを、担当部門に自動通知する手法もあります。
ユーザーの行動を確認した営業担当者は、状況に応じて電話やメールなどで顧客へ営業活動を行うことができるのです。

この際、プランを複数用意しておけば、プランごとにアップセル・クロスセルを検討しやすい価格帯の提案が可能です。
PLGだけの営業活動でも有効ですが、SLGの手法も織り交ぜるなどの工夫によって、より高い効果が期待できます。

顧客に合わせた提案を実施する

すべての顧客に同じ提案をするのではなく、顧客固有の使い方に沿った提案を実施しなくてはいけません。
同じシステムでも、顧客によって使い方や必要としている機能は異なるからです。

例えば、特定の機能を頻繁に使う顧客に対しては、該当機能の拡張オプションを提案するとよいでしょう。
あまり多くの機能を使っていない顧客に対しては、役立つ機能の使い方や具体例を提案し、顧客にとってシステムがどのように役立つのかを理解してもらえるようにすることも効果的です。

顧客に応じた提案をするためには、顧客の利用状況や使用傾向などのデータを収集し、データにもとづいた提案ができる仕組みを製品に組み込んでおくとよいでしょう。
製品を使いこなせないことによる契約終了を回避し、契約更新やオプションの追加購入へとつなげられます。

能動的に営業活動を行うPLGにおいては、顧客が求めていることに応える必要があります。
そのため、顧客の不満に気づき、フォローができるカスタマーサクセスも併せて活用するとよいでしょう。

顧客に能動的に働きかけるカスタマーサクセスの視点も持ち合わせて営業活動を行うことで、より顧客の信用を得ることができます。
製品内に、カスタマーセンターへ容易にコンタクトできる機能を搭載しておくといった工夫をするとよいでしょう。

SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスについての詳細は、「SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスとは?実行時の注意点や成功のポイントを解説」をご覧ください。

セルフオンボーディング環境を整える

オンボーディングとは、顧客が自社の提供するシステム・サービスを使いこなせるよう導入時に支援することです。
通常はカスタマーサクセス業務の一環となりますが、PLGではユーザーである顧客が製品内で問題を解決でき、製品を有効活用できる環境を可能な限り構築しましょう。

具体的には、FAQの設置や使い方のヒントの表示機能などを搭載します。顧客自身による問題解決が可能となる、セルフオンボーディングが促されます。
そのような環境にすることで操作のつまずきや利用時の不安が減り、製品に対する信頼感や評価向上につながるでしょう。また、製品を提供する側もサポートにかけるコストを減らすことができます。

SaaSビジネスにおいて、オンボーディングを支援するサービスもあります。
詳細は「SaaSビジネスのオンボーディングを支援するサービスとは?メリットと活用のポイントを紹介」をご覧ください。

システムの画面上で操作ガイドを表示する、リアルタイムナビゲーションを活用する方法もあります。
顧客自身が画面を見ながら操作方法を学び、システムを使うことができるため、システムの定着化が進みます。顧客の満足度も上がるのでおすすめです。

このような、定着化を支援するサービスをデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)といいます。
DAPの詳細は、「デジタルアダプションプラットフォームとは?そのメリットと導入時の注意点」をご覧ください。
また、システム定着化を表すデジタルアダプション(DA)の詳細については、「DXの実現に欠かせないデジタルアダプションとは?実現による効果と課題を解説」をご覧ください。

≫≫【2024年】SaaS向けオンボーディングツールのおすすめ10選を比較

PLGで効率的に顧客獲得につなげよう

PLGはそのメリットが認知されつつあり、SaaSビジネスにおいて特に注目されています。
今後もSaaSビジネスの成長とともに、PLGが普及していくことが予想されます。

効率的に営業活動を行えるため、PLGによる新しい営業スタイルは顧客獲得に効果的です。
一度、自社の製品に活用できないか検討してみるとよいでしょう。

テックタッチのリアルタイムナビゲーションは、セルフオンボーディングを推進しユーザーの満足度を向上させるため、PLGと高い親和性があります。
また、テックタッチ®を活用することで、顧客のシステム利用状況の可視化、リアルタイムナビゲーションの利用回数や利用トレンドの分析が可能となり、顧客に合わせた提案を実現できます。

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