こんにちは!
CS工数削減、ユーザーのセルフオンボーディングを実現する「テックタッチ」ライターチームです。
SaaSビジネスにおいて、顧客に継続的に自社製品を利用してもらうには、カスタマーサクセスが重要な役割を果たします。
しかし顧客によりITリテラシーが異なるため、それに合わせた細やかな対応が必要です。
カスタマーサクセス業務にかかる負担は大きく、効率よく成果を上げなくてはなりません。
そのような状況で注目されているのが、製品の導入時に大きな効果を発揮するオンボーディングです。
今回は、SaaS事業者のカスタマーサクセスを実現するオンボーディングについて説明したうえで、メリットや実施方法、成功させるためのポイントをお伝えします。
オンボーディングとは?
オンボーディングとは、主に「企業人事が人材育成のために行うオンボーディング(従業員向け)」と「SaaS事業者が顧客に対して行うオンボーディング(顧客向け・カスタマーサクセス)」のふたつに分けられます。
以下に、それぞれの概要を説明します。
企業人事が人材育成のために行うオンボーディング(従業員向け)
社内で従業員向けに行うオンボーディングとは、新入社員や中途採用社員が、入社後にできるだけ早く仕事や会社の雰囲気に慣れるために行う教育を指します。
社内教育というと、OJT(On the Job Training)と同じと思われるかもしれません。
しかしオンボーディングには、OJTのように実務を体験させながら行う教育以外にも、幅広い取り組みがあります。
例えば、社内SNSを使った情報共有や、ランチミーティングを設けて不安の解消を図るなど、人間関係の構築に重点をおいたものがあげられます。
SaaS事業者が顧客に対して行うオンボーディング(顧客向け)
SaaS事業者が実施する顧客向けオンボーディングとは、カスタマーサクセス業務に位置づけられます。
カスタマーサクセスとは、顧客の成功を支援する取り組み全般を指します。
その中で、オンボーディングは、顧客が自社の提供する製品を使いこなせるよう導入時に支援することをさします。
カスタマーサクセスには、大きく分けて2段階があります。
育成・支援段階
システムの導入から活用開始初期に生じる課題や疑問を迅速に解決し、顧客企業における製品の定着化をサポートする段階です。
オンボーディングはこの段階において実施するもので、契約解除を防ぎ、製品の継続利用を目指します。
活用促進段階
導入後一定期間が経過した段階です。顧客企業の全社員が機能を最大限に活用できるよう、さらなる改善や個別の提案をします。
SaaS事業者に対する信頼感を獲得して契約拡大を実現し、取引開始から終了までに顧客が企業にもたらす収益を示すLTV(顧客生涯価値)を最大化させていきます。
「育成・支援段階」における操作方法の指導や、トラブル対応、アフターフォローなどの支援が、オンボーディングであり、「活用促進段階」の利用定着化・活用推進に寄与します。
導入後、早期に製品の利用を定着させることができ、システム移行のメリットをより早く体感することができます。
つまりカスタマーサクセスとは、顧客の満足度を上げ、関係性の構築につなげる取り組みなのです。
「活用促進段階」の基盤をつくるオンボーディングは、カスタマーサクセスにおいて重要なプロセスのひとつといえます。
上記のように「従業員向け」と「顧客向け」に分かれるオンボーディングのうち、今回はSaaSビジネスのカスタマーサクセスにおいてのオンボーディング(顧客向け)についてお伝えします。
SaaSビジネスでオンボーディング実施する4つのメリット
SaaSビジネスにおいて、製品の導入時に実施されるオンボーディングは、自社製品の魅力を伝えるために重要な役割を果たします。
導入時は、新たな機能について理解し、操作方法を習得する必要があるため、顧客に負担がかかる時期です。
この時期にオンボーディングによる支援を丁寧に行うことで、サポート体制を含めた自社製品の魅力を実感してもらうことが重要です。
ほかにも、オンボーディングを実施することで以下のようなメリットを得られます。
メリット1:導入後早い段階での利用定着化を実現できる
製品を使いこなせるようになるまで支援することで、定着化の可能性が高まります。
また、製品を運用に乗せるまでの期間を短縮できれば、それをひとつの強みとして、競合との差別化も図れるでしょう。
メリット2:製品の継続的な利用につながる
製品を利活用できず定着化が実現できないと、「使いづらい・使えない」ことが解約の原因になりかねません。
オンボーディングによりシステムが定着すれば、そのような解約原因を取り除くことができるため継続的な利用につながり、利益確保の可能性も高まります。
メリット3:有料プランの導入につながる
無料プランで試している段階で製品を使いこなせるようになり、使い勝手の良さや製品の効果を実感してもらえれば、そこから有料プランへ移行が実現する可能性があります。
メリット4:顧客との関係性が安定して信頼感を得られる
多くの企業にとって新たな製品導入は、期待が大きいものの疑問や不安も少なくありません。
そうした段階で手厚い支援を実施すれば、スムーズな導入が実現でき顧客の満足度も向上するでしょう。
その結果、信頼感を得られアップセル、クロスセルの提案から利益向上の可能性も高まります。
さらに信頼感を得た顧客から新たな顧客の紹介、口コミの拡散などが期待できるのも大きなメリットです。
≫≫SaaSにおけるチュートリアルとは?役割や効果、活用のポイントを解説
≫≫デジタルガイド、プロダクトツアーを活用してシステム運用を活性化させるポイントを解説
SaaSビジネスにおけるオンボーディングの実施方法
SaaSビジネスのカスタマーサクセスにおけるオンボーディングの取り組み手段と、実施に向けたステップを説明します。
オンボーディングの取り組み手段
SaaSビジネスのカスタマーサクセスにおけるオンボーディングの取り組み手段は、主に「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」の3つに分けられます。
ハイタッチ
高額契約をした顧客や大口顧客に対して行うことが多い方法です。
専任の担当者が、顧客のニーズに合わせた勉強会や定期的なミーティング、Web会議などを実施して手厚く支援します。
ロータッチ
ハイタッチほどではないものの、今後継続利用を実現させたい顧客に対して行う取り組みです。
セミナーやウェビナーなどを複数顧客を対象に実施し、幅広く支援を行います。また、必要に応じて個別対応を行います。
テックタッチ
メール配信や動画配信、WebサイトのFAQなどの、ツールやシステムを活用した支援が中心です。
ほかの方法に比べ費用対効果が高いうえ、担当者の力量による差がなく、顧客に対して安定した品質の支援が行えます。
テックタッチについてより詳しく知りたい場合は「カスタマーサクセスで重要なテックタッチとは?その理由や事例を紹介」もあわせてご覧ください。
※アップセル、クロスセルについては「アップセル・クロスセルとは?実施のメリットと成功のポイントを解説」をご覧ください。
オンボーディング実施に向けた3ステップ
ゴールの設定
まず、オンボーディングを実施することで何を達成したいか(ゴール)を決めます。
例えば、「製品の使い方を把握してもらう」「顧客の事業課題の改善に活用してもらう」「継続的な利用促進を行う」などです。
カスタマーサクセスの一部として、顧客の意図をくみ取ったゴールを設定することが重要です。
オンボーディング計画の作成
「いつまでにゴールに到達したいか」「対象はだれか」「オンボーディングの実施時期はいつか」「オンボーディングの実施体制はどうするか」などの要素を盛り込み、ゴール到達までの計画を作成します。
ポイントは、顧客の企業規模や事業形態に配慮し、それぞれに最適な計画を作成することです。
テレワーク実施の有無や、研修の推定参加率なども計画の内容に影響します。
そのため、顧客企業の勤務体制や業務状況などを広く把握しておかなければなりません。また、必要に応じてマニュアルの作成も行います。
オンボーディングの実施
計画に沿ってオンボーディングを実施します。オンボーディング実施後には、顧客アンケートをとって結果を分析します。
問題点があれば改善を行い、オンボーディングの精度を高めます。
この「実施・分析・改善」のサイクルを繰り返し、すべての顧客にとって理解しやすく満足できるオンボーディングを実施できるようにしていきましょう。
SaaSビジネスのオンボーディングで成果を上げるための6つのポイント
顧客ごとに、導入した製品の定着化における課題は異なります。
そのため、オンボーディングで成果を上げるためには、顧客の状況に応じて支援することが重要です。
具体的には、次のポイントを押さえる必要があります。
ポイント1:顧客の状況を理解する(把握する)
顧客が現状どのような課題を持っているかを理解します。
このとき、業務フローを把握していれば、顧客の状況に合わせた運用や効果的な使い方などを説明に加えることも可能です。
また、顧客が最終的に目指すべきゴールとなるKGI(重要目標達成指標)と、その実現を図るための指標であるKPI(重要業績評価指標)を常に意識し、状況に応じてサポート内容を調整します。
ポイント2:顧客の意図にかなったオンボーディングを行う
顧客がオンボーディングに求めていることを確認し、それを網羅できるようにサポート内容を組み立てます。
オンボーディングの際は、綿密な対話や情報共有によるヒアリングを行い、顧客の反応を見極めながら進めましょう。
そのうえで、状況に応じて解決策を複数提案し、顧客満足度をより高めていきます。
ポイント3:顧客の業務において重要な部分は手厚く支援する
顧客の業務において、優先順位の高い部分からオンボーディングを実施しましょう。
その結果、実際の業務でよく利用するシステムの機能から定着化を進められ、導入後早い段階での成果が期待できます。
ポイント4:単なる機能説明・操作説明にならないようにする
機能説明・操作説明だけであれば、マニュアルでも対応が可能です。各機能の詳細やメリットを具体的に伝えるといった工夫を凝らしましょう。
「新システムの利用効果を得たい」「早く機能を試してみたい」と思えるようなオンボーディングを行うことで、顧客の積極的なシステム利用につなげるのです。
メリットが理解され、システムの利用定着の可能性が高まれば、解約率の低減にもつながります。
ポイント5:顧客が不満(不便)を感じないようなサポート体制を整える
顧客が困っているときに、SaaS事業者側が迅速かつ適切な対応を行えるよう、サポート担当のスキルを一定以上に保つことも重要です。
対面や電話、チャット、画面共有などのさまざまなサポート手段に対応できるように体制を整えます。
例えば対面や電話サポートでは、ただ機能説明をするだけではなく、丁寧な会話を通して、必要な情報を収集する能力も欠かせません。チャットでのサポートでは、限られたテキスト情報(文章)から状況を推測する応用力が求められるでしょう。
画面を共有してサポートする場合は、顧客が同じ画面を見ているため会話やテキスト情報によるサポートに比べると説明がしやすいかもしれません。
しかし、相手が画面上のどこを見ているか・操作しているかを把握せずに説明を進めてしまうと、顧客は解決までの正しい道のりがわからないままやみくもに操作をしてしまう状況に陥ってしまいます。
そうすると、今後も同じような失敗が繰り返されてしまうかもしれません。
また、お互いが画面に集中することで会話が滞り、必要な情報を収集できなくなってしまう懸念もあります。
そのため、画面共有によるサポートにおいても、丁寧な会話を通して相手の操作状況や理解度を常に意識しながら説明する能力が求められます。
≫≫ユーザビリティとは?SaaS企業における重要性や向上のポイントを解説
ポイント6:オンボーディング後も継続的なサポートを実施する
オンボーディングを実施して終わりではなく、その後も定期的に連絡をとりサポートを継続することで、製品の活用や利用定着が進みます。
経験したトラブル事例を共有して、再発防止に寄与することも重要な取り組みです。
顧客と定期的に連絡をとり、良好な関係を継続できるよう努めましょう。
これらのポイントを押さえれば、SaaSビジネスでのオンボーディング成功の可能性が高まります。
しかし、こうしたオンボーディングを自社のカスタマーサクセス部門だけで行うのは簡単ではありません。
自社単独での対応が難しい場合は、オンボーディングの支援を行う外部サービスを活用する方法をおすすめします。
サービスを活用したオンボーディングの実施についての詳細は、「SaaSビジネスのオンボーディングをサポートするサービスとは?メリットと活用方法を紹介」をご覧ください。
顧客視点のオンボーディングで顧客満足度向上を図ろう
SaaSビジネスで利益を上げていくには、製品を導入する段階で、顧客にその良さを理解してもらい、継続的に利用したいと思ってもらわなくてはなりません。
その大きなきっかけとなるのが、製品の導入時に行うオンボーディングです。
オンボーディングで成果を得るためには、プロセスやポイントを理解し、適切な方法で実施することが重要です。
しかし、すべての顧客の状況に合わせたオンボーディングを実施することはけっして簡単ではありません。
効果的なオンボーディングの実施に課題を感じた際は、外部サービスを利用する方法もあります。
外部サービスのなかには、オンボーディングで高い成果を見込める機能を提供している企業もあります。
テックタッチでは、システムの画面内で操作方法を表示するリアルタイムナビゲーション(操作ガイド)を提供しています。
操作ガイドはプログラミング不要で作成でき、システムの画面上で簡単に表示することが可能で、SFAやCRM、経費精算、ワークフロー系など、幅広いWebシステムにも対応しています。
画面上で操作方法がわかるので、ユーザーが操作に迷うことがなくなり、マニュアルを見ることなく業務を進められるため、セルフオンボーディングが実現します。
オンボーディングをより効果的に実施したい場合は、利用を検討してみてはいかがでしょう。