現代の自治体では、住民の生活の質向上や業務効率化を目的としたDX化が重要な課題となっています。国・総務省は自治体のDX化に対し、「自治体DX推進手順書」を策定して自治体のDX化推進を支援しています。
しかし、DX化を成功させるには、関連するシステム、目的、サービスへの深い理解が必要です。そこで本記事では、自治体DX推進手順書の概要とDX化推進実績があるテックタッチ株式会社のサービスについて解説します。
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自治体DXとは
自治体DX化とは、クラウドサービス・SaaS系などのデジタル技術を自治体のシステムに導入して、住民の生活の質を向上・業務効率化を図る施策のことです。少子高齢化による労働人口の減少により、自治体が提供できる行政サービスにおいては、従来のような「マンパワー」に偏重した内容では実現が難しくなってきています。そのため、減少した労働力を補い行政サービスの低下を防ぐためにDX化が急務となっています。
自治体DX化の取り組みの例としては以下が挙げられます。
自治体DX化の取り組みの例 |
・マイナンバーカードを用いて、引っ越し・パスポート申請などのネット申請を行う ・地方税・国民年金などをキャッシュレス決済で支払えるようにする ・コンビニでマイナンバーカードで用いて各種公的証明書を発行できるようにする など |
上記のような取り組みを自治体が推進するにあたり、手引きとして策定されたのが「自治体DX推進手順書」です。
≫≫自治体DXとは?推進目的から課題、事例をわかりやすく解説
自治体DX推進手順書とは
自治体DX推進手順書は、2021年7月に総務省によって策定されたDX化に関する手引書の総称です。自治体が着実かつ効率的にDX化を推進できる手助けとなることを目的として作成され、2023年1月に一部改定されました。
自治体DX推進手順書は総称であり、中身は以下の内容に分かれています。
名称 | 概要 |
自治体DX全体手順書 | ・自治体がDX化を推進するにあたり、想定される一連の流れを記載したもの ・特に、人材募集・育成についての記載が充実している |
自治体情報システムの標準化・共通化に関わる手順書 | ・自治体が現在使用している基幹システムを、DX化による変更の際に円滑に行えるように作業手順を解説したもの |
自治体の行政手続のオンライン化に係る手順書 | ・マイナポータルでマイナンバーカードを用いた各種手続きおよびその他オンラインによる手続きを導入できるように作業手順を解説したもの |
自治体DX推進手順書参考事例集 | ・自治体DX全体手順書で記載のあるステップ0~3に関して、対応に成功した自治体の事例を記載したもの |
自治体DX推進における課題
総務省は、自治体がDX化を推進していく際に特に注力すべき6つの課題を「重点取組事項」として指定しています。
重点取組事項 |
・自治体の情報システムの標準化と共通化 ・マイナンバーカードを普及促進 ・行政の手続オンライン化 ・自治体のAI・RPAの活用 ・テレワークの推進 ・セキュリティ対策の徹底 |
上記の課題は、いずれも自治体が安全かつ円滑にシステムを運用し、住民がDX化の恩恵を受けるためには解決すべきものです。ただ、DX化を推進できる人材が不足し、思うように実現できていない自治体が多いのが実情です。
自治体DX推進の4つの手順
自治体がDXを推進する際には、以下の4つの手順を踏むとスムーズに実施できると自治体DX全体手順書に記載されています。
ここでは、上記の4つの手順について解説します。
1.DX推進の目的を共有する
自治体がDX化を推進する目的には、職員の業務効率化も含まれていますが、一方で住民への行政サービスの維持・向上も念頭に置く必要があります。全ての住民がDX化の恩恵を感じるためにも、利用者目線での利便性の向上を検討しなければなりません。そして、利用者目線を大切にした「サービスデザイン思考」を組織内で醸成し、これを基にしたDXによる行政改革を進めるための計画が、初期段階では必要です。
また、計画の初期段階では組織の全ての人員が、「DXとはどのようなものか」「なぜDX化に取り組む必要があるのか」などについて、共通認識を持つ必要もあります。組織全体が、DX化は業務の単なる電子化ではなく、今後の行政に中長期的に必要な施策であると認識できれば、はじめてDX化の第一歩が踏めたといえます。
2.組織全体で方針を決定する
DX化を推進する目的・目標が共有できた後は、計画を進めるための具体的な工程などを含む全体方針を策定する必要があります。この全体方針も、関係する人員全てに共有し、理解度を深めておくことが大切です。
全体方針の策定には、以下の2点を先に策定し、これらを基に構成するのが望ましいとされています。
策定すべき全体方針 |
・DX推進のビジョン ・DX推進の工程表 |
DX推進のビジョンについては、まず国が掲げている「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」に則りつつ、地域の実情に応じたビジョンを描くことが大切です。DX推進の工程表は、目指すべきDX化を実現するためにどのようなプロセスが必要になるのかを洗い出し、取り組みの順序を決めて作成するのが基本的なフローです。
これらを踏まえて、全体方針としてどのように進めていくのかを明確にし、計画を開始することがDX化推進の本格的なスタートといえます。
3.推進体制を整える
全体方針を基に計画を進めるには、推進体制を組織・人材の両面から整えることが必要です。
組織・人材の観点を検討するにあたって必要なポイントは以下の通りです。
組織面 | ・全庁的・横断的な推進体制を進められる組織作りが大切 ・「DX担当部門」といった専門の部門を設けた上で、他の部門と緊密な連携が取れるように体制を整備する |
人材面 | ・DX化を推進できるスキル・経験を持つ「デジタル人材」の確保が急務 ・既存職員の育成にも注力する ・必要に応じ、外部との業務委託も柔軟に検討する |
組織・人材の両輪もしくは片輪だけでもうまく回らなければ、予想された進行が困難になり、最悪の場合実現不可となる可能性もあります。計画を円滑に進行させ、成功に導くためには推進体制の確立が求められます。
4.DXを実行する
DX化を実現するための計画・推進体制を整えれば、後はそれに従いつつ個別の取り組みの実行に移すフェーズとなります。
実行中は、常にPCDAサイクルを回しながら効果測定を行い、もっとも効率的な手法と最大の結果を得ることを念頭に置きましょう。
また、場合によってはPCDAサイクルよりも、「OODAループ」というフレームワークを用いると円滑に実行できるケースがあります。OODAループは、「Observe(観察、情報収集)」「Orient(状況、方向性判断)」「Decide(意思決定)」「Act(行動、実行)」の頭文字をつないだ造語です。PDCAサイクルよりもスピーディな意思決定を可能にするフレームワークなので、プロジェクト内容や状況など、柔軟な使い分けが望ましいといえます。
自治体DX業務システムを使いやすくする3つの手順
これまで、各自治体で独自に情報システムの開発・改修を行ってきた結果、仕様がバラバラとなり、対応に人的・経済的コストがかかるデメリットが顕在化してきています。この問題を解決できるのが、国が主導している「標準準拠システム」への切り替え・導入です。標準準拠システムの導入で、国が基準を定め、それに沿ったシステムをベンダが開発する仕組みを構築し、なおかつ競争性も担保することで、官民一体となった推進が可能となりました。
一方で、自治体にとっては旧来のシステムから新たに開発する標準準拠システムへの移行が必要になり、その際には気を付けるべきポイントがいくつかあります。
ここでは、円滑に標準準拠システムで運用していくために大切な3つのポイントについて解説します。
1.計画を立てる
標準準拠システムに移行するためには、まず現行のシステムについて、「業務システムの基礎情報」から「周辺機器」に至るまで広範囲に調査する必要があります。調査の際には、現行のシステムのベンダの協力を仰ぐとより効率的に実施できます。
また、調査に合わせて現行ベンダと以下の点を打ち合わせしておくと良いです。
打ち合わせしておくべき内容 |
・作業に対する追加費用 ・契約内容 |
現行システムを隅々まで調査すれば、標準準拠システム開発時にベンダに現行システムに関するより正確な情報が提供可能となり、精度の高いシステム開発に寄与できます。
2.システムを選ぶ
現行システムの調査が終了次第、標準準拠システムの開発・提供を担うベンダーの選定を行います。
選定のフローの一例は以下の通りです。
選定フローの一例 |
・ベンダに対する情報提供依頼(RFI)資料の作成 ・RFIの実施 ・RFI結果を分析して移行計画の詳細を作成 ・予算割り出し・要求 ・ベンダへ提案依頼(RFP) |
最終的にベンダーとの契約締結後は、より詳細な要件定義やデータ移行日などのスケジュールを確定する打ち合わせを行う必要があります。
3.標準準拠システムへの移行をする
標準準拠システムが完成した後に行う移行フェーズで行うべき確認は以下の通りです。
移行フェーズで行うべき確認 |
・実際の画面・帳票 ・事務運用の変更内容 ・ネットワーク接続 など |
また、現行システムからの移行で必要となる作業に「文字データ変換」がありますが、この作業はできる限り前倒しで進めるべき作業です。さらに、実際の運用時に円滑に職員が扱えるように、事前研修の実施も欠かせません。
そして、標準準拠システムの標準仕様に合わせて条例・規則などの改正が必要な場合は、別途対応を行うことも求められます。
自治体DXで行政手続きをオンライン化するための4つの手順
自治体DXを実施する目的の一つが、行政手続きのオンライン化です。
これにより、窓口業務・事務処理などの負担が減り、職員数の減少にも対応できつつ、住民にとっても利便性が得られます。
ただし、適切なステップを踏んで実施に向けた準備を行わないと、導入失敗の可能性がある点に留意しておかなければなりません。
ここでは、オンライン化に必要な4つの手順について解説します。
1.組織全体的に推進体制を作る
まず、行政手続きのオンライン化に対しては、既存のアナログな手続きがどのようなものか、そもそも必要なのかを洗い出して整理する必要があります。既存の手続きの棚卸しを終えてから、どのようなオンライン化が住民にとってベネフィットがあるのかを検討した上で、方向性を定めます。その方向性を基にした推進体制を構築し、組織全体に浸透させるのが最初のステップです。首長が音頭を取り、職員が納得・理解できるような目的・方針を伝えられれば、組織全体の共通認識も深まります。
2.進捗に合わせた手続きの検討を行う
行政手続きのオンライン化は、現状自治体が以下のどのあたりまで進捗しているかによって対応を検討しなければなりません。
オンライン化の進捗具合 |
・これから取り組む ・ぴったりサービスは取り組んでいる ・汎用的電子申請システムは取り組んでいる ・両方取り組んでいる |
特に、子育て関係・介護関係の26手続きについては、マイナポータルでマイナンバーカードを用いたオンライン化が求められています。オンライン化の進捗状況により、どのような対応をするのか変化します。また、子育て・介護関係以外の手続きにおいても、同様に検討し対応策を検討しなければなりません。
3.システム導入に向けた作業
オンライン化に取り組む手続きを確定した後は、関係規定等の検討および整備から予算要求、調達仕様の作成などを行います。システム導入に向けた作業においても、前項で取り上げた各自治体のオンライン化における進捗状況で内容が変化します。進捗状況を把握した上でどのような作業が必要かを検討し、実行するフローになるのが一般的です。
4.サービスの運用と導入
各種作業・確認を終え、実装フェーズに入った際には、広報・宣伝活動を紙面やネット上で積極的に行い、サービスの周知に努めることが大切です。本稼働後も常に住民の声を聞き、改善していくための体制づくりの強化や、UI/UXの適宜改善が安定した運用に欠かせません。また、オンライン一辺倒では予期せぬトラブル・稀なケースなどへの対応が困難になる可能性が高いため、窓口への導線も意識しておく必要があります。
自治体DXの実際の参考事例
自治体DXの導入支援に活用されているのが、テックタッチ株式会社の「デジタルガイド」です。
ここでは、実際の参考事例を紹介します。
テックタッチによる宇都宮市での自治体DX事例
宇都宮市で運用されている市民向けサイト・システムでは、閲覧する人によって情報取得の格差が発生してしまう「デジタルデバイド」が起きていました。そのデジタルデバイドを改善できたのが、テックタッチの「デジタルガイド」です。デジタルガイドは、情報量の多いページで、どの情報を参照したらよいか分かりにくい場合でも、ガイドを表示し誰でも閲覧しやすいページにカスタマイズできる機能です。
宇都宮市では、実証実験として住民が利用する「宇都宮市電子申請共通システム」にデジタルガイドを導入したところ、以下の結果が得られました。
デジタルガイド導入の結果 |
・ひとりあたりの操作時間を約63%削減 ・電子申請を活用する負担について、約88%のユーザーが心理的ハードルの軽減を実感(アンケート結果より) ・入力画面におけるわかりやすさについて、約85%のユーザーがUI改善を実感(アンケート結果より) |
≫≫ 宇都宮市の住民向けシステムである「宇都宮市電子申請共通システム」での実証実験
自治体DXの推進手順書のまとめ
自治体のDX化推進の手引きとなる自治体DX推進手順書は、基本的なフローが網羅的に記載された手順書です。
実際のところは、各自治体の実情に沿った計画・導入が必要であり、自治体DX推進手順書を参考にしながら、住民にとってメリットのあるDX化の実現が大切です。
誰でもDX化の恩恵を受けられるようにシステムをより使いやすくできるサービスを提供できるのが、テックタッチです。
テックタッチは、事業者・住民向けサービスに利用できるシステムに以下の特長があります。
特長 | 概要 |
システム操作に迷わせない | ユーザーの迷いや離脱を無くすデジタルガイドで、入力ミスの減少にもつなげられる |
運用・保守期間中でもシステム利便性の改善が可能 | テックタッチは現行システムに影響を与えないため、システム運用・保守期間においても、円滑にシステム改善のPDCAサイクルを回せられる |
ユーザーの行動を分析し、定量的にシステム操作の課題を把握 | 豊富な分析機能により、ユーザー行動を把握し、UI/UX改善のための施策をスピーディーに進められる |
テックタッチを導入すれば、上記のメリットを内包したDX化によるサービスの提供を行えます。