SAPのモジュールとは?モジュールの機能や活用ポイントを解説

システム導入・運用

こんにちは!
従業員のシステム定着を実現、システム価値を最大化する「テックタッチ」ライターチームです。

世界中の企業から支持を集めるERP製品のSAP。そのためSAPの導入を検討する企業は少なくないでしょう。
しかし導入の際は、SAPにおいて重要なSAPのモジュールがどのようなものか理解しておく必要があります。

本記事ではSAPを理解するために、SAPの主なモジュールとその機能について紹介します。
また、多彩な機能を使いこなすためのポイントを紹介します。

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SAPモジュールとは

SAPとは統合データベースによって企業全体の資材や情報を一元管理できるERP製品です。
リアルタイムで会計、ロジスティクス、人事など、さまざまな業務を統合し、総合的な視点で企業経営を行える点が大きな特徴です。

SAPのモジュールとは、特定の業務領域ごとにまとめられた機能群のことで、SAPのパーツともいえるものです。
自社の需要に合わせて、利用するモジュールを選択することで、より使いやすいシステムにすることが可能です。

SAPのモジュールは種類が20を超えており、各モジュールの連携力の高さが大きな魅力です。
例えば、ある企業が商品を購入し、ロジスティクス系の購買管理モジュールで購入情報を登録したとします。
その際、会計系の財務モジュールでも購入費が支出として登録され、お金の動きが連携されるのです。

多くの種類のモジュールのなかから業務領域に応じたモジュールを選択し、かつモジュール間でリアルタイムな連携ができることで、SAPは高い精度の情報を提供できるのです。
SAPのモジュールは大きく4つに分類されます。

  • 会計系モジュール:財務会計や管理会計など、お金に関する機能
  • ロジスティクス系モジュール:販売管理や調達・在庫管理など
  • 人事系モジュール:勤怠管理や人材管理・育成など
  • その他のモジュール:プロジェクト管理や品質管理など

モジュールは連携しているため、SAPを使いこなすためにはモジュールの全体像を体系的に学んでおくことが必要です。
また各モジュールにはさまざまな機能があるので、モジュール内の機能も理解しなければなりません。主なモジュールの概要を次章で紹介していきます。
※SAPの概要については「SAPとは?製品の特徴やメリット・デメリットを紹介」もご覧ください。

主なSAPモジュールの機能

主要なモジュールの機能を紹介します。

SAP FI(Financial Accounting)モジュール

財務会計領域のモジュールです。
社外向けの財務諸表「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」等を作成します。

社外向け財務諸表を作成するためには企業が日々行う取引情報が必要です。
それらの情報を取得するため「総勘定元帳」「固定資産会計」「債務管理」「債権管理」などのサブモジュールを持ちます。
また、販売管理や調達管理・在庫管理、生産計画・管理など他のモジュールともリアルタイムで連携されます。

SAP CO(Controlling)モジュール

管理会計領域のモジュールです。
社内向けにコストや収益の分析が可能です。それらの情報は経営の意思決定や施策の制定において重要な役割を果たします。

原価管理が主な機能となり、「間接費管理」「製品原価管理」「収益性分析」などのサブモジュールを持ちます。
COモジュールを活用することで、「収益率の高い製品」や「売り上げは大きいが収益には貢献していない製品」を見極めることができます。
また事業や製品別のコストを分析し、製品の収益性を高めることもできるでしょう。

SAP MM(Material Management)モジュール

購買管理・在庫管理領域のモジュールです。
見積・発注・入荷・請求書受取といった、購買にかかる一連のプロセスを連携して管理します。

他部門からの購買依頼を受け「いつ」「どこに」「どれだけの物品が必要か」を適切に反映させることができます。
また、仕入れ後には入庫登録によって在庫管理に物品の入荷をリアルタイムに反映させることが可能です。

物品の動きをリアルタイムに在庫管理に反映させることができれば、後述するSD(販売管理)モジュールからの出荷依頼の際に、在庫の有無が即座にわかります。
在庫数が正確に管理できることは過剰在庫を防止することにもつながります。

SAP SD(Sales and Distribution)モジュール

販売管理領域のモジュールです。
得意先からの販売に関する問い合わせや見積・受注登録・出庫・出庫確認・売上計上といった販売にかかる一連のプロセスを連携して管理します。

受注時の在庫の有無はMM(購買管理・在庫管理)モジュールで即座に確認でき、在庫がなければ受注状態でフローをストップさせることも可能です。
逆に売上を計上した場合は、FI(財務会計)モジュールに連携します。

受注は所定の受発注システムから受け、自動で受注伝票を登録することが多いかと思いますが、ときには電話やFAXで注文を受けることもあるでしょう。
そのような場合は、手動での登録もできるようになっています。

SAP PP(Production and Planning)モジュール

生産計画・管理領域のモジュールです。
いつまでに何をどの程度製造するのかという「生産計画」、生産計画に基づく「製造指図」、実際に製品製造にあたり作業時間や材料をどれだけかけたのかを記録した「製造実績」など、製造に関わる一連のプロセスを管理します。

通常、生産管理手法の一つである「MRP(Material Requirements Planning)」機能によって生産計画を立てます。
MRPは在庫情報から生産に必要な資材の量と時期を見極めて、適切な発注を実現することを可能とします。
それらによって無駄のない生産活動を行えるほか、製造実績のデータはCOモジュールにも連携可能です。
そのため、コストの可視化や分析にも役立ちます。

SAP QM(Quality Management)モジュール

品質管理領域のモジュールです。品質計画・品質検査・検査結果に応じた使用決定など、品質管理にかかるプロセスを管理・自動化します。
例えば「納品時」「出荷前」など所定の工程にて、自動で検査を行わせることが可能です。
納品数や、製品が基準を満たしているか、などの検査が可能で、検査項目は自社で設定できます。
またMM(購買管理・在庫管理)モジュールと連携することで、検査に合格した製品のみ在庫ステータスを「利用可」とすることも可能です。

SAP HR(Human Resources)モジュール

人事管理領域のモジュールです。人事業務、給与計算、勤怠管理・福利厚生などについて一元管理による合理化を実現します。
一元管理は企業側のコンプライアンス強化だけでなく、従業員側が自身の情報を取得しやすくなるメリットもあります。
一貫した人材戦略に基づく人材育成も実施可能です。
したがって、充実したキャリアマネジメントによって、従業員のモチベーションアップを図ることもできるでしょう。

SAP PS(Project System)モジュール

プロジェクト管理のモジュールです。プロジェクトの計画立案・実行・完了までの進捗、プロジェクトにおけるコストの管理を行います。
製造や工事に関わる機能ですので、主に製造業、土木・建設業等で活用されます。

SAP PM(Plant Maintenance)モジュール

設備(プラント)メンテナンスのためのモジュールです。
設備の検査・保全・修理等の保守全般について、スケジュールや作業工程を管理します。
主に電力・ガス・水道などのインフラ業界で活用されます。

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SAPモジュール活用のポイント

各モジュールにはさまざまな標準機能が搭載されています。
自社にとって重要な業務分野のモジュールを組み合わせてシステムを設計することでSAPをより効果的に活用できることでしょう。
ただし、導入したらすぐに利用できるわけではありません。適切に運用するためには、自社の仕様に合ったパラメータ設定が必要です。

パラメータ設定機能
パラメータ設定とは会社名や役職などの自社情報や、使用している書式フォーマット設定などの詳細を定義することです。
カスタマイズとも呼ばれ、パラメータ設定によってパッケージであるSAP製品を柔軟に利用することができます。
プログラミング知識は不要でカスタマイズが可能です。
パラメータ設定によって、SAPをより使いこなしやすくなります。パラメータ設定では対応できない場合は、アドオン開発も可能です。

アドオン開発機能(追加開発プログラム)
パラメータ設定では対応できない機能を開発します。
追加費用がかかるほか、ABAPという独自のプログラミング言語を使用しているので、プログラマーを確保するのが難しい一面があります。
そのため、アドオンは必要最小限に抑えてSAPを活用していくことをおすすめします。
なお、カスタマイズが限定されるクラウド型ではアドオンに制限が生じることもあります。

このようにして、自社に必要な機能のモジュールを取り入れ、パラメータ設定やアドオン開発を行うことで、柔軟に仕様をカスタマイズすることが可能です。
一方で、現場の従業員が操作方法を理解していなければ意味がありません。
エンドユーザーとなる従業員がSAPシステムを正しく操作してこそ、SAPは能力を発揮します。

モジュール選定やパラメータ設定、もしくは必要なアドオン開発を進めると同時に、従業員の操作性を向上させる施策も忘れずに行いましょう。
ハードとソフトの両輪をバランスよく準備していくことで、SAPをしっかりと活用できるはずです。

※SAP導入を成功させる具体的な手順や失敗事例についてはこちらをご覧ください。

SAPを活用して自社経営に役立てよう

SAPの強みをいかし適切に運用するためには、SAPの全体像を把握し、どのように情報が連携されるのかを理解することが大切です。
同時に、現場でのシステム定着も重要です。全体像を企業が理解すること、現場の従業員が自部門で取り扱うモジュールの機能を使いこなすこと。
この双方の視点を盛り込んでSAPを運用することで、大きな効果を得ていきましょう。

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また、テキスト入力された内容をリアルタイムに検証することで、入力ミスを未然に防ぐといった機能も持ちます。
従業員のSAP活用の定着にお困りの方や、SAPの効果的な運用に悩まれている方は、「テックタッチ」をぜひご検討ください。

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