LGWAN(総合行政ネットワーク)とは?概要からメリットまで解説

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2001年度から運用が開始されたLGWANとは、自治体間を相互につなげる行政専用ネットワークです。強固なセキュリティ対策も施されており、自治体における手間やコストの削減を実現しました。
また、マイナンバーカードを活用した各種証明書のコンビニ交付など、住民サービスの向上にも寄与しています。この記事では、LGWANの概要、仕組み、そして利用メリットを詳しく解説します。LGWANについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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LGWANとは(総合行政ネットワーク)

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LGWAN(総合行政ネットワーク)とは、自治体間を相互につなげる行政専用のネットワークのことです。「Local Government Wide Area Network」の略称で「エルジーワン」と呼ばれます。

以下8つの基本方針に沿って構築されました。

LGWAN(総合行政ネットワーク)
1. 全ての地方自治体を含包できる行政内のクローズドネットワーク
2. 高度な情報の安全性を確保
3. 情報通信分野のスタンダードなテクノロジーを採用
4. 政府共通ネットワークと互いに接続
5. 全ての地方自治体が負担可能なコストで運用
6. 各市町村や都道府県におけるネットワーク大きさ、多様な情報化の進度や方法の違いを吸収
7. 地方自治体が持つ既存設備の活かす
8. 電子メールや掲示板、メーリングリストなどの横断的サービスを提供

地方自治体間の相互伝達を目的に2001年度から運用が始まったLGWANは、2003年度には全ての市区町村で接続されました。
インターネットから分離された行政専用のネットワークで、電子文書の改ざんを防止する「地方公共団体組織認証基盤(LGPKI)」により、高度なセキュリティを確保しています。
データセンター自体も物理的に頑丈な作りとなっており、台風や地震などの災害が発生した際にも、業務の継続が可能です。
また、中央省庁の「政府共通ネットワーク」とも接続ができ、政府との通信手段を担う役割も果たしています。

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LGWANの接続や仕組みに関して

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LGWANは、公衆のネットワークから切り離され閉鎖されたものです。ここからは、接続や仕組みに関する以下のポイントについて詳しく解説します。

・LGWANの4つの構成要素
・三層分離モデルに基づく環境での接続
・LGWANの情報セキュリティ対策

LGWANの4つの構成要素

LGWANは以下4つの要素で構成されています。

要素 概要
LGWAN接続ルーター 地方自治体に据え付けられている、庁内LANとつなぐための通信機器です。データ転送の速度がスピーディで、安定した利用ができます。
都道府県ノード 都道府県に据え付けられた、管内の接続団体やLGWAN-ASPサービス提供者のアクセス回線をつなぐ設備です。100Mbps~1Gbpsの通信ができます。
東日本・西日本ポイントオブインターフェース(POI) パソコン同士が通信を行うための規格(ルール)である基本プロトコルの提供や不正アクセスの監視・検知を行っています。災害への対策を目的に、東日本と西日本に分けてわけて設置しています。
全国ネットワークオペレーションセンター(NOC) 全体を運営・管理する設備です。地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が設置や管理を担当しています。

2019年4月から現在まで、構成・利用されているLGWANは「第4次LGWAN」と呼ばれるものです。構成は以下の3パターンから各自治体が選択するため、都道府県ノードを使用しないケースも存在します。

都道府県ノードを使用しないケース
・都道府県ノードを中継しつなぐ方法
・直接つなぐ方法
・上記、双方を使用する方法

LGWANは幅広く活用されるとともに、多くの個人情報を取り扱っています。強力なセキュリティ対策が欠かせないため、2025年に新たな第5次LGWANが検討されています。

三層分離モデルに基づく環境での接続

三層分離とは、データ保管やシステム構築されている領域とインターネットを活用したサービスなどの領域を分離するモデルのことです。2015年に日本年金機構が不正アクセスされ、個人情報が外部へ流出した問題を踏まえ、セキュリティ強化を目的に導入されました。

導入当時のオリジナルモデルは「αモデル」と呼ばれ、以下3つで成り立っています。

種類 概要
マイナンバー利用事務系 社会保障や税など、各個人の情報を取り扱うものです。外部からの接続を遮断し、二要素認証やデータ持ち出し禁止などで、厳しいセキュリティ対策が行われています。
LGWAN接続系 政府と各自治体を接続する、高度な情報セキュリティと通信の安定性を兼ね備えた専用のものです。財務会計や人事給与、庶務事務など自治体に関連する事務で利用されています。
インターネット接続系 インターネットを利用した情報収集やメール閲覧などの業務を行うものです。都道府県と市区町村が協力の上、自治体情報セキュリティクラウドを構築し、高度な情報の保全対策を行っています。

業務端末がインターネットに接続されていないαモデルは、クラウドサービスが利用しづらい課題がありました。
職員の業務効率や利便性の低下などの問題解決に向け「βモデル」や「β’モデル」と呼ばれる改善モデルも存在します。
ただ、βやβ’はネットワークに接続されているパソコンやスマートフォン、タブレットなど末端機器であるエンドポイントのセキュリティが課題です。
現在総務省において、LGWAN接続系から特定のクラウドサービスのみ直接接続できる「α’モデル」が検討されています。

LGWANの情報セキュリティー対策

LGWANには、以下5つの情報セキュリティー対策が施されています。

種類 概要
ファイアウォールによる防御 サーバーへの不正アクセスを防ぐものです。通信情報から接続の許可もしくは拒否を判断し、必要に応じて外部からのアクセスを遮断します。
通信経路の暗号化による盗聴防止 盗聴を防ぐために、通信経路を暗号化するものです。
侵入検知機能(IDS) 全ての通信を侵入検知機能で監視するものです。不正アクセスの兆候を察知した場合、担当者へ通知します。
SOCの設置 Security Operation Centerの略称で、セキュリティ状況を専門家が24時間365日監視するものです。
公開鍵暗号方式(PKI )による組織認証の実施 なりすましや盗聴、改ざんを防止するための暗号方式です。公開鍵と秘密鍵による公開鍵暗号方式を使用し、組織認証を実施します。LGWAN専用に整備された暗号方式「LGPKI(地方公共団体組織認証基盤)」が活用されています。

さまざまな情報を取り扱うLGWANでは、上記複数のセキュリティ対策を実施しています。

LGWANを利用する3つのメリット

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LGWANを利用する3つのメリットは以下の通りです。ここからは、上記それぞれのメリットについて詳しく解説します。

1. 行政事務を効率化できる
2. 重複投資を防ぐ
3. 住民サービスを向上させる

1. 行政事務を効率化できる

LGWANを活用すれば、行政事務の効率化が可能です。各地方自治体同士や行政機関が相互に接続でき、情報の交換や共有が円滑になります。掲示板やメール機能も実装されており、政府から発信される情報をスムーズに入手し、事務作業の迅速化・効率化を実現します。

2. 重複投資を防ぐ

柔軟性や汎用性が高い情報通信基盤で、重複投資の防止にもつながります。地方自治体が独自にネットワーク投資を行う必要がなく、運用・維持費の削減にも寄与します。
以前は、各自治体でシステム構築や回線契約、端末の導入を行っており、保守・運用も必要でした。LGWANの導入で、回線の新設が不要な分コストの削減を実現しました。また、自治体や政府ごとに個別の接続が不要で、業務効率化につながりコア業務に注力できます。

3.住民サービスを向上させる

住民サービスの向上も利用するメリットの一つです。政府と共通のネットワーク接続が行えるLGWANでは、住民が生活に必要な、以下などの行政情報の入手や申請・届出手続きが可能です。

可能な行政情報の入手や申請・届出手続き
・マイナンバーカードによる各種証明書のコンビニ交付
・弾道ミサイル情報や緊急地震速報などを配信する全国瞬時警報システムの利用(Jアラート)

国と地方自治体の行政サービスが一本化され、利便性やサービスの質が向上します。また、高いセキュリティ対策が施されているため、盗聴などの個人情報が漏洩するリスクも高くありません。災害時にも対応できる環境を整備しており、緊急事態が発生しても業務の継続が可能です。

テックタッチはLGWANに対応のデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)

Webシステム画面上に独自のガイド・ナビゲーションを作成・表示するSaaS「テックタッチ」は、LGWANに対応した「テックタッチ for LGWAN」をリリースしました。システム改修不要で画面上に操作説明をするデジタルガイドを表示し、難しい手続きもストレスなく操作できます。公共団体の内部事務システムでは、農林水産省の庶務事務システムや横浜市のタレントマネジメントシステムで先行的に利用されており、以下を実現しています。

「テックタッチ for LGWAN」で実現したこと
・職員のシステム利用にまつわる時間やストレスの削減
・問合せや差戻しの削減
・入力データの精度向上

「テックタッチfor LGWAN」のリリースで、今までより多くの地方公共団体におけるDX推進に貢献します。

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まとめ

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この記事では、LGWANの概要や仕組み、利用するメリットについて解説しました。三層分離モデルに基づく環境での接続により、強固なセキュリティ対策も施され、自治体の手間やコストの削減を実現しました。
ただ、利用する職員が使いこなせなければ、期待する効果を得られません。テックタッチでは、操作方法がわからず迷ったり、諦めたりすることがないように画面上にデジタルガイドなどのヒントを表示する「テックタッチfor LGWAN」をリリースしました。LGWANにも対応することで、より一層のDX促進に貢献します。社内システムや自社プロダクト向けのソリューションもあるため、ご興味がある方はお問合せください。

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