近年では、行政サービスにおけるデジタル技術やデータの活用を行って、「自治体DXの推進」が国より示されています。業務効率化によって、人的資源をよりサービスのメイン部分に注力し、行政サービスを向上する取り組みが求められています。
しかし、自治体DXとはいっても、従来のアナログな手順をどう改善すべきか、取り組むべき事項が分からないと頭を悩ませる方も少なくありません。この記事では、自治体DXとは何か、重点して取り組むべき事項や、実際に自治体DX化した事例についてご紹介します。自治体DXが推進されている3つの理由についても解説しますので、あわせてご参照ください。
自治体DXで具体的にどのような課題に直面しやすいかは、「自治体DXとは?5つの課題から推進ポイント・先進事例まで解説」で詳しく解説しています。
12の公共団体 で導入済!
公式HPへの導入
問合せ件数約40%減 FAQ閲覧数約2.3倍
電子申請共通システムへの導入
1人あたりの操作時間を約63%短縮 約85%が必須項目がわかりやすく なったと回答
自治体DXとは
自治体DXとは、地方自治体などでデジタル技術を活用し、「住民の利便性向上」「業務効率の改善」「データ連携で新たな価値の創出」を目指す取り組みです。
「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」とは、デジタル技術の導入によって、よりよい環境へ変革する取り組みを指します。デジタル庁が発足されるなど、自治体のDX化は大きな注目を集めています。少子高齢化や人口減少などさまざまな社会課題を抱えている昨今では、持続可能な地域社会を実現するために、自治体DXによる業務効率化が欠かせません。
例えば、マイナンバーカードを利用した行政手続きのオンライン申請や、キャッシュレス決済の導入、スムーズな行政手続きが挙げられます。一部業務の自動化などで行政担当の負担を減らすだけでなく、優れた質のサービスを提供することで、住民も恩恵を受けられる仕組みを指します。
目指すべきデジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」が示されています。このビジョンの実現のためには、住民に身近な行政を担う自治体、とりわけ市区町村の役割は極めて重要です。
出典:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画の概要」
自治体DX推進計画とは
自治体DX推進計画とは、2020年12月に総務省が策定した、自治体がDXを推進するための計画です。各自治体がそれぞれ個別にDX化を進めるのではなく、国全体で連携して取り組むことで、より効果的なDXを実現できるとされています。
自治体が重点的に取り組むべき事項・内容を具体化するとともに、総務省及び関係省庁による支援策等をとりまとめ、「自治体DX推進計画」として策定し、デジタル社会の構築に向けた取組みを全自治体において着実に進めていくとされています。
出典:総務省「「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」の改定」(令和7年12月17日改定、第5.0版)
計画書には、各自治体が取り組むべき内容や事項、国からどのような支援が得られるのかが書かれています。なかでも、自治体DXで実施すべき事項として重視されている点は以下のとおりです。
| 自治体DXで実施すべき事項 |
| ◾|自治体フロントヤード改革の推進 ◾|自治体の情報システムの共通化 ◾|マイナンバーカードの普及 ◾|行政手続のオンライン化 ◾|公金収納におけるeL-QRの活用 ◾|自治体のAI・RPAの利用 ◾|テレワーク推進 ◾|セキュリティー対策の強化 |
2025年12月の改定では、新たに「自治体フロントヤード改革の推進」と「公金収納におけるeL-QRの活用」が重点取組事項に加わりました。制度は改定が続いているため、最新の詳細は必ず総務省の公式ページでご確認ください。
具体的な推進手順やノウハウについては、「自治体DX推進手順書の概要から効率的なDX推進方法を解説」の記事で詳しく解説しています。
自治体DX推進の3つの推進目的
自治体DXが推進されている背景には、主に3つの目的があります。自治体DXが求められている理由は以下の通りです。ここでは、自治体DXが推進されている目的をそれぞれ解説します。
1. 住民の利便性向上
自治体DXによってデジタル技術を活用し、住民サービスの利便性を向上させるのは大きな目的のひとつです。マイナンバーカードなどを活用することで、行政手続きのオンライン申請を始めとするさまざまな行政手続きの簡略化が行えます。従来ではアナログ的な手続きでしか対応できず、通常であれば多くの人が働いている時間に市役所窓口へ赴くしかないなど、さまざまな問題を抱えていました。また、窓口に到着した後も手続きに時間が掛かり、待ち時間が発生するケースも珍しくありません。
そこで自治体DXを推進すれば、窓口対応時間など関係なしに行政手続き・申請を行えます。住民票の写しをコンビニで取得したり、子育て支援に関するサービスをWebで申請できたりと、住民も多くのメリットを得られるのが特徴です。旧態依然としたアナログ手続きは、行政担当者だけでなく住民の利便性にも悪影響を与えるため、自治体のDX化が強く求められています。
2. 業務効率化で行政サービスの向上
デジタル技術を活用することで、行政手続きを効率化でき、より質の高いサービスを提供できるようになるのも自治体DX化が推し進められる理由のひとつです。
例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の利活用によって、定型的な事務作業を自動化・効率化する事例も多くなっています。単純な書類処理を自治体DX化によって効率化すれば、その分だけ担当者の負担を削減することが可能です。その結果、住民への相談対応や地域へ向けた政策立案など、より創造的かつ生産性のある業務に注力できます。業務プロセスの改善によって行政サービス全体の質を向上させやすくなるほか、アナログ的な単純作業で奪われていた労働力をメイン業務へと開放できるのは自治体DXで得られる大きなメリットです。
3. データ連携で新しい価値の創造
デジタル技術を活用すれば、今まで培ってきたさまざまなデータを蓄積・連携して、新しい価値を創出できるのも自治体DX化で得られるメリットのひとつです。例えば、各サービスの利用履歴やデータを参照することで、市民の動向やニーズを深堀りし、「求められている行政サービス」を可視化しやすくなります。ほかにも、地域の人口動態や交通量をもとに、最適な公共交通網を構築したり、防災対策に役立てたりすることも可能です。
「情報の蓄積」はアナログ的な手法でも行えますが、「データとして連携・新しい価値の創出」につなげるのは、デジタル技術を活用しなければ難しいのも事実です。自治体DX化を実現すれば、今までは見向きしていなかった情報が、重要なデータ資源として新しい価値を見出だせるようになります。
自治体DXが進まない3つの理由
自治体DXは多くのメリットがある一方で、なかなか進まないという課題も抱えています。その主な理由は以下の3つです。ここでは、自治体DXが進まない背景について、3つの理由をそれぞれ解説します。より詳しい課題の内容や対応策については、「自治体DXとは?5つの課題から推進ポイント・先進事例まで解説」でも取り上げています。
1. 根強いアナログ文化
自治体DXが進まない背景に、根強く残るアナログ文化が挙げられます。自治体には紙ベースでの手続きや、対面によるコミュニケーションを重視する文化が根強く残っています。長年にわたって使われてきた慣習としてだけでなく、デジタル技術に対する抵抗感など、意識的な問題が残っているのも事実です。
例えば、紙の申請書に慣れている職員は、オンライン申請への移行に戸惑いを感じるケースも少なくありません。なかには「利便性を見いだせない」と否定的な意見もあり、トップダウンでのDX化を推進できない自治体も見られます。自治体DX化を行うには、根強いアナログ文化にこだわる人材を含めて、環境・意識を変化させる取り組みが求められます。
2. DXの理解度
自治体DX化が進まない背景に、DXの概念や重要性を十分に理解していない理由が挙げられます。実際にどのようなメリットを得られるのか、取り組むほど価値があるのか把握しておらず、ITツールそのものの導入が進まない背景もあります。特に、行政の業務手続きはミスが許されないため、慣れないITツールなどの導入で既存手順が変わることに否定的な職員も珍しくありません。
それらの背景には、DX化に関する情報や研修など、利便性の周知が不足している点が考えられます。また、DXが単なるツールの導入・IT化ではなく、社会全体を見据えた組織文化の変革であると現場が理解しなければ、効果的なDX化を推進できないのも事実です。DXの理解度を高めるためにも、DX化によるメリットをはっきりと示したうえで、具体的な目標をもとに業務改善をし続けるよう職員の意識を変える必要があります。
3. デジタル人材の不足
自治体DX化が難しい背景に、デジタル技術に精通した人材の不足が挙げられます。IT企業に比べると、自治体にはどうしてもデジタルに強い優秀な人材が集まりにくい面は否定できません。
システム開発を外注する場合でも、それを自治体内に定着させるためには、理解のあるIT人材の協力は不可欠です。ITに精通した人材が不足していると、自治体DX化のプロジェクトを円滑に進めることは難しくなっています。
そのため、近年ではソフトウェアやシステム上に分かりやすく操作手順を表示する「デジタルガイドツール」が注目を集めています。必要なときに操作方法や業務手順を表示できるため、不慣れな人でもシステムを活用しやすくなり、システムの定着を目指せるのが魅力です。
「デジタルに慣れ親しんだ人材が不足していてDX化が難しいかもしれない」と頭を悩ませている場合は、自治体DX化にあわせてデジタルガイドツールの導入もおすすめします。
自治体DXの重点取り組み事項
自治体DX化の取り組みでは、大きく分けて8点の重点取り組み事項が挙げられています。ここでは、自治体DXの重点取組事項について解説します。
自治体フロントヤード改革の推進
自治体フロントヤード改革とは、窓口対応やオンライン申請など、住民と自治体の接点(フロントヤード)を、デジタル技術を活用して見直す取り組みです。総務省の推進計画改定にあわせて、2025年5月には「自治体フロントヤード改革推進手順書」も公表されており、今後の自治体DXにおける重点分野として位置づけられています。
住民接点の改善は、後述する「行政手続のオンライン化」とも密接に関わる取り組みです。具体的な手順は総務省の公式資料で随時更新されているため、最新情報をご確認ください。
自治体の情報システムの共通化
自治体DX化の取り組みでは、自治体の情報システムを標準化・共通化することが求められています。自治体によってバラバラだった情報システムを共通化するため、国の主導で「(仮称)Gov-Cloud」の導入が進められています。
自治体の主要な17業務を処理するシステム(基幹系システム)の標準仕様を、デジタル庁が策定する基本的な方針の下、関係府省において作成する。これを通じ、「(仮称)Gov-Cloud」の活用に向けた検討を踏まえ、各事業者が標準仕様に準拠して開発したシステムを自治体が利用することを目指すとされています。
出典:総務省「自治体DX推進計画概要」
自治体の情報システムが共通化されれば、「都道府県をまたいだオンライン手続き」なども実現できるなど、住民にとってもさまざまなメリットを得られます。例えば、引っ越し時の転居届出や窓口での手続きを簡略化できるようになります。加えて、職員側も独自活用していたシステムメンテナンス等の手間が不要になり、負担を大幅に軽減できるのがメリットです。
特に標準化・共通化の対象となる基幹システム(財務会計など)の選定ポイントについては、「【2026年版】自治体向け財務会計システムのシェア・比較・選び方」を参考にしてください。
マイナンバーカードの普及
自治体DX化ではマイナンバーカードの普及も重要事項だとされています。マイナンバーカードが普及すれば、住民はさまざまな行政手続きをマイナンバーカードで行えます。各種証明書をコンビニで取得できるだけでなく、健康保険証代わりや本人確認等に必要な書類等もカードひとつで行えるため、利便性が大きく向上するとされています。
マイナンバーカードの申請・交付・保有状況は以下の通りです。
| 区分 | 人口(令和5年1月1日時点) | 累計交付枚数 | 保有枚数 | 人口に対する保有割合 |
| 全国 | 125,416,877 | 99,107,126 | 92,378,034 | 73.7% |
| 指定都市 | 27,473,490 | 21,591,267 | 20,192,726 | 73.5% |
| 特別区・市(指定都市を除く) | 87,509,892 | 69,195,980 | 64,444,942 | 73.6% |
| 町村 | 10,433,495 | 8,319,879 | 7,740,366 | 74.2% |
出典元:総務省「マイナンバーカード交付状況について※令和6年4月末時点」
現状では、日本人口の7〜8割がマイナンバーカードを保有している状況です。マイナンバーカードがより普及すれば、住民だけでなく行政の業務効率化にも大きく貢献するため、デジタル庁ではさらなるマイナンバーカードの普及を推進しています。
行政手続のオンライン化
自治体DX化で特に重視されているのが行政手続きのオンライン化です。先述したマイナンバーカードと組み合わせ、24時間365日いつでもどこでも手続きを行える「マイナポータル」を利用すれば、幅広い行政手続きをオンライン上で行えます。
マイナポータルでオンライン化されている行政手続きは以下のとおりです。
| オンライン化されている行政手続き |
| ◾|公金受取口座の登録や変更 ◾|年金に関する確認・手続き ◾|確定申告のオンライン申請 ◾|介護保険や児童手当などのオンライン申請 ◾|行政機関からの通知受取 ◾|行政に届け出ている個人情報確認 ◾|引っ越し手続き(転出届) |
ほかにも、出生届を「マイナポータル」で提出できるようにするなど、幅広い行政手続きをオンライン上で行えるような取り組みがデジタル庁より進められています。各市町村ではデータの手入力負担がなくなるほか、両親も出生証明書を提出する必要もないなど、両者ともにメリットを享受できます。
ただし、いくつか課題が残っているのも事実です。例えば、「転出届」をオンライン上で行えても、引っ越し先に提出する「転入届」は行政窓口へ直接提出しなければならないケースもあります。行政手続きのオンライン化が進めば幅広い手続きをいつでも行えるようになる一方で、すべての作業がマイナポータル上で行える訳ではない点に注意が必要です。
また、住民向けの手続きだけでなく、自治体が物品やサービスを調達する際の入札・契約業務のデジタル化も進んでいます。電子調達の仕組みについては、「東京電子自治体共同運営の電子調達とは?申請条件や流れを解説」で解説しています。
公金収納におけるeL-QRの活用
eL-QRとは、地方税や公金の納付書に印字する統一QRコードの規格で、これを活用したキャッシュレス収納の拡大が新たな重点取組事項に加わりました。納付書にeL-QRが印字されていれば、スマートフォンの決済アプリなどで読み取るだけで、金融機関の窓口に行かずに納付を完了できます。
住民にとっては納付の手間が減るだけでなく、自治体にとっても収納事務のデジタル化・効率化につながる取り組みとして注目されています。
自治体のAI・RPAの利用
自治体DX化では、各自治体でAIを用いたチャットボットや、RPAツールによる定型業務の自動化が求められています。AIやRPAでは、以下のような業務を効率化できます。
| AI:人のように思考できるロボットで、事前の学習内容をもとに作業を実行できる |
| ◾|AI-OCRなどで紙書類の文字を読み取り、デジタルデータ化する ◾|AIチャットボットとして、住民の問い合わせ対応・ヘルプデスクを効率化する ◾|住民の問い合わせ内容を要約・可視化し、データとして蓄積する ◾|道路損傷や固定資産調査、自転車通行量などの自動計測 など |
| RPA:パソコン上で稼働するロボットで、事前に設定した作業をミスなく繰り返せる |
| ◾|システムを横断して作業を自動化できるため、申請内容を受け取る→別の行政システムへ転記するといった作業もミスなく自動化できる ◾|提出されたデータに行政システムと齟齬がないかチェックする など |
AIは複雑な手順を効率化し、RPAは単純な定型業務を自動化する仕組みです。行政手続きで一部業務を自動化できるほか、RPAツールはミスなく転記を繰り返すため、ヒューマンエラーによるミスの防止にも役立ちます。1,788の都道府県・市町村に対して行われた「自治体におけるAI・RPAの利用率アンケート」によると、AI・RPAの導入済み団体数は、2022年12月時点で956団体です。
具体的な回答件数は以下のとおりです。
| 地方自治体におけるAIの導入状況 |
| ◾|都道府県:導入済み47件(100%) ◾|指定都市:導入済み20件(100%) ◾|その他市区町村:導入済み771件(45%)/実証中56件(3%)/導入予定83件(5%)/導入検討中280件(16%)/検討したものの未導入103件(6%)/導入予定および検討なし428件(25%) |
| 地方自治体におけるRPAの導入状況 |
| ◾|都道府県:導入済み44件(94%)/実証中3件(6%) ◾|指定都市:導入済み20件(100%) ◾|その他市区町村:導入済み621件(36%)/実証中63件(4%)/導入予定118件(7%)/導入検討中336件(20%)/検討したものの未導入176件(10%)/導入予定および検討なし407件(24%) |
出典元:総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進(令和4年時点)」
生成AIを用いた具体的な活用事例は「自治体におけるChatGPT活用事例10選!メリットや注意点を解説」をご覧ください。
テレワーク推進
自治体DXでは、職員のテレワーク推進も重要事項です。ライフステージに応じて職員の柔軟な働き方を支援する「働き方改革」はもちろん、ICTの活用によって業務効率化効果も見込まれているのが背景です。
「地方公共団体におけるテレワークの取組状況調査結果(令和5年10月1日)」によると、全団体(1,788団体)のうち、1,102団体(61.6%)が導入済だとされています。
47都道府県と20の指定都市ではすべてテレワークが導入済みな一方で、市区町村では686件(39.9%)がテレワーク未導入です。導入されない背景には、「窓口対応などテレワークに対応できない業務に従事している」「情報セキュリティが不安」といった回答が挙げられています。
こうしたテレワークの導入を含め、公務員の働き方改革が現在どの程度進んでいるのか、具体的な事例や現状については「公務員の働き方改革とは?自治体の取組事例から推進状況を解説」で詳しく紹介しています。
セキュリティー対策の強化
自治体DX化が進むうえで、デジタル庁でもサイバー攻撃等に配慮したセキュリティ対策の強化が重視されています。管理情報のデジタル化が進み利便性が高まる一方で、住民の個人情報や重要なデータが漏洩するリスクが発生するのも事実です。特に、サイバー攻撃によって個人情報が漏洩してしまうと、住民の信頼を失ったり、行政サービスの提供に支障をきたしたりする恐れがあります。また、サイバー攻撃だけでなく、情報を管理しているデータ端末を紛失するリスクも課題です。
セキュリティシステムの導入はもちろん、職員へのセキュリティ教育など多角的な視点からセキュリティ対策を強化する必要があります。
自治体のセキュリティ対策において重要な役割を果たす「LGWAN」の仕組みやメリットについては、「LGWAN(総合行政ネットワーク)とは?概要からメリットまで解説」をご覧ください。
自治体DX推進のポイント・成功のコツ
自治体DXは、重点取り組み事項を把握するだけでなく、進め方そのものにもコツがあります。ここでは、DXを着実に前進させるための4つのポイントを紹介します。
1. 段階的に始める
いきなり大規模なシステム刷新から着手するのではなく、まずは影響範囲の小さい業務から段階的にDXへ着手するのがおすすめです。小さな成功体験を積み重ねることで、現場の心理的なハードルを下げ、組織全体のDX推進への機運を高められます。
2. 推進体制と責任者を決める
自治体DXは部署をまたぐ取り組みになりやすいため、誰が意思決定し、誰が現場との橋渡しを担うのか、推進体制と責任者を明確にしておくことが重要です。体制が曖昧なまま進めると、途中で優先順位が下がり、後回しになりがちです。
3. デジタル人材を確保・育成する
外部の専門機関との連携や、職員向けの研修制度の充実など、組織全体でIT人材の育成に取り組む必要があります。育成した人材を適切に評価し、モチベーションを維持するための人事評価システムの選定については、「自治体向けの人事評価システムおすすめ比較5選!導入メリットや選び方を解説」が参考になります。
4. 導入後に使われる状態まで設計する
システムを導入して終わりではなく、現場の職員が実際に使いこなせる状態まで見据えて設計することが、自治体DXを成功させる最後の、そしてもっとも見落とされやすいポイントです。新しいシステムを入れても、操作に不慣れな職員が使いこなせず、結局は紙の運用や属人的な対応に戻ってしまうケースは珍しくありません。
そのため、システム導入時にはあわせて、画面上で操作方法をガイドできるツールの活用もおすすめです。次章で紹介する神戸市・磐田市の事例のように、システムそのものを変えずに現場への定着を後押しできます。
自治体DXの実際の取り組み事例
デジタル庁も推進している自治体DXは、外部人材をはじめさまざまなツールの導入により業務効率化を実現している事例も多くなっています。ここでは、自治体名と具体的な数値がある事例を2件、その他の取り組みの傾向をあわせて紹介します。より多くの事例を知りたい方は「自治体DXの事例16選!先進事例から促進実績まで解説」もご覧ください。
神戸市のデジタルガイドで問い合わせ率削減
自治体DXの取り組みとして、「神戸市」の公式ホームページではデジタルガイドツールの導入により、問い合わせ件数を40%削減した成功事例が存在します。住民に必要な多くの情報をホームページに掲載していても、その分だけ階層が深くなり、市民が知りたい情報にアクセスできない状況が課題視されていたそうです。FAQページなどに掲載していても、同じ内容を電話で問い合わせされる事例もあり、自己解決を促す取り組みが課題となっていました。
そこで、デジタルガイドツールの「テックタッチ」をご導入いただきました。サイト上で利用者が躓きやすいポイントを改善し、HPの記載改善施策などとあわせて、問い合わせ件数の40%削減を実現。導線を改善したことでFAQ閲覧率は2.3倍にもなり、ユーザーが疑問を自分で解決できるようになったため、担当者の問い合わせ対応負担を大幅に削減することに成功しました。
静岡県磐田市が会計課主体で挑んだ財務会計DX
住民対応だけでなく、庁内のバックオフィス業務でも自治体DXの成果は出ています。静岡県磐田市では、旧財務会計システムの保守期間終了を契機に、新財務会計システム「FAST財務会計」を導入しました。しかし、約10年間運用した旧システムからの移行には一定の負荷が想定され、出納整理期間には例年6,000件を超える伝票審査を、会計課のわずか4名体制で処理する必要がありました。操作に不慣れな職員による起票ミスや、問い合わせ・返戻の増加も懸念されていました。
そこで、LGWAN接続環境下でも利用できるデジタルガイドサービスとして「テックタッチ」を採用。よく使う業務画面へ1クリックで遷移できるポータルと自動ガイドを設置し、間違えやすい項目には吹き出しで補足説明を表示、返戻状況や職員アンケートをもとに継続的にガイド内容を改善する運用を構築しました。通常2カ月程度かかる構築作業を、約2週間で完了させています。
その結果、問い合わせ件数を約33%、返戻件数を約30%削減し、全庁的に年間約8,895時間の業務時間削減効果があったと試算されています。職員アンケートでは95.7%が「来年度以降も必要」と回答しており、システムの定着と満足度向上を実現しました。
AIチャットボット・RPAによる効率化
自治体DXでは、AIチャットボットの導入や、RPAツールによる定型業務の自動化も広く進められています。AIチャットボットを導入すれば、住民は「知りたい情報に直接アクセスできる」「あやふやな疑問にマッチした回答を見つけやすい」といったメリットを得られ、職員側も問い合わせ対応の負担を軽減できます。RPAツールは「データ入力・集計・照合」など転記業務の効率化に向いており、住民票や税金の支払いに齟齬がないかのチェック作業などで、ミスのない処理と作業時間の短縮を両立できます。
こうした業務効率化をさらに進めるためには、公文書管理のデジタル化も欠かせません。専用システムの機能や導入事例については、「官公庁・自治体向けの文書管理システムとは?特徴や公文書管理の事例をご紹介」を参考にしてください。自治体名入りのより詳しい事例は「自治体DXの事例16選!先進事例から促進実績まで解説」でまとめて紹介しています。
自治体DXのまとめ
デジタル庁の発足をはじめ、近年では総務省が自治体のDX化を推し進めています。業務のデジタル化は住民・行政担当のどちらもメリットを受けられるため、今後もさまざまな業務が効率化されていくと推測されます。一方で、新しいシステムの導入をしても「なかなか現場に根付かない」といった事例も珍しくありません。また、「公式サイトに情報を記載しているのに同じことを住民が問い合わせをする」といったケースがあるのも事実です。神戸市・磐田市の事例のように、そのようなシーンにおすすめなのが、テックタッチのデジタルガイドツールです。ツール利用者が疑問に思ったポイントで必要な操作方法を解説できるため、現場にシステム運用が定着するサポートを実現できます。
また、自治体公式ホームページなどでFAQへの導線を構築し、住民の問い合わせ件数そのものを削減する取り組みも可能です。自治体DX化に伴って、問い合わせ件数の削減など、業務効率化・定着支援に興味をお持ちいただけましたらぜひお気軽にお問い合わせください。
自治体DXの具体的な課題やより多くの事例について詳しく知りたい方は、「自治体DXとは?5つの課題から推進ポイント・先進事例まで解説」「自治体DXの事例16選!先進事例から促進実績まで解説」もあわせてご覧ください。



