旅費法改正とは?2025年施行の変更点と自治体・教育機関が押さえたい対応

自治体DX

旅費法改正を受け、自治体や自治体が設置する教育機関では、国の制度改正を踏まえ、旅費条例・規程や運用の見直しが進められています。

対応にあたっては、改正内容と自団体の規程・業務フローを照らし合わせて運用を見直すだけでなく、業務システムの改修や職員への周知なども計画的に進めなければなりません。

この記事では、旅費法改正のおもな変更点や自治体・教育機関への影響、対応のポイントに加え、旅費精算業務のDXに取り組むメリットも解説します。

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目次

旅費法改正とは|目的・施行日・対象を解説

旅費法(国家公務員等の旅費に関する法律)は、国家公務員等が出張や赴任などをする際の旅費について定めた法律です。まずは今回の改正の目的と施行日、対象となる範囲を整理し、自治体・教育機関が確認しておきたい点を解説します。

旅費法改正の目的と2025年4月の施行

改正旅費法は、2025年4月1日に施行されました。改正の背景には、社会全体のデジタル化の進展や旅行商品・料金体系の多様化、宿泊費の変動といった環境の変化があります。特に宿泊費は、地域や時期によって料金が大きく変わることがあり、従来の定額支給では実際の費用と支給額に差が生じやすいという課題がありました。

今回の改正は、旅費に関する事務負担の軽減と業務環境の改善を図るとともに、国費を適正に支出することを目的としたものです。出張する職員と精算を担当する職員の事務負担を減らしながら、実態に合った支給を実現することが狙いといえるでしょう。

改正旅費法の対象と、自治体・教育機関が確認すべきこと

改正旅費法が対象としているのは、国家公務員等の旅費です。そのため、自治体や自治体が設置する教育機関の職員に、改正旅費法がそのまま適用されるわけではありません。

ただし、自治体や教育機関の旅費制度が、国の制度を参考に定められているケースもあります。自団体の旅費条例や規程、就業規則、運用ルールが国の制度とどのように関係しているのかを確認しておきましょう。そのうえで、国の制度改正を参考にしつつ、組織ごとの根拠規程と実務に沿って対応を検討します。

国の制度と同じ内容を定めている団体もあれば、独自の基準を設けている団体もあるため、確認の結果によって必要な対応は変わってくるでしょう。

旅費法改正のおもな内容

今回の改正では、旅費の計算や様式、宿泊費や日当の扱い、支給対象や支給方法など、幅広い項目が見直されました。おもな変更点を3つに分けて紹介しますので、確認しておきましょう。

旅費の計算・支給ルールを簡素化

改正前の旅費法では、旅費の種類や内容が法律のなかで細かく定められていました。改正後は、旅費の種類・内容に関する規定が簡素化され、詳細を政令や省令で定める体系へと改められています。法律で定める内容を絞り、具体的な基準を政令や省令に委ねることで、社会情勢の変化に合わせて基準を見直しやすくなったといえるでしょう。

また、旅行命令簿や旅費請求書といった従来の様式に関する規定も廃止されました。これにより、デジタル化を進めやすくなり、旅費システムを柔軟に設計できます。

なお、様式の廃止は手続きそのものが不要になったという意味ではありません。旅行の内容や支給額など、必要な事項を記録し、適切に管理しておく必要がある点には注意してください。様式が決められていない分、入力項目や記録方法、判断基準を標準化するための仕組みづくりが重要です。

宿泊費は上限付き実費支給へ、日当も見直し

宿泊費は、これまでの定額支給から、基準額を上限とする実費支給へと変わりました。実際にかかった宿泊費を、原則として上限の範囲内で支給する仕組みです。宿泊料金が高い地域や時期に出張する場合でも、実際の費用に近い支給を受けやすくなります。

日当についても見直しが行われました。従来の日当が廃止され、宿泊にともなう雑費を補う宿泊手当が新たに設けられています。

なお、宿泊費の基準額の扱いは、宿泊地(都道府県)や職階の区分などによって異なります。具体的な金額や条件については、最新の支給規程で確認してください。

自宅発の出張や旅行代理店等への直接支払に対応

改正により、自宅を出発地とする出張についても、旅費を支給できるようになりました。勤務先を経由せずに自宅から出張先へ向かう場合でも、実態に合わせて支給できます。テレワークなどの柔軟な働き方をしている人でも出張の実態に沿って出発地を選べるため、移動時間の短縮にもつながるでしょう。

また、事前に旅行役務提供契約を結んだ旅行代理店やクレジットカード会社などへ、旅費を直接支払うことも可能になりました。職員が交通費や宿泊費を立て替える負担を減らせるのは、出張する職員にとってのメリットといえるでしょう。

一方で、直接支払を取り入れる場合は、予約情報や支払データ、精算データの整合性を確認する運用を整えることが重要です。どのデータを誰がどのタイミングで確認するのかを、あらかじめ決めておきましょう。

旅費法改正が自治体・教育機関の業務に与える影響

旅費法改正が自治体・教育機関の業務に与える影響

改正旅費法は、自治体や自治体に属する教育機関にそのまま適用されるわけではありません。とはいえ、国の制度改正をきっかけに、自団体の旅費制度や業務の進め方を見直す必要が生じる場合もあるでしょう。

ここでは、直接の適用関係を確認したうえで押さえておきたい、業務への影響を3つ紹介します。

旅費条例・規程と運用ルールの見直しが必要になる

国の制度を参考に旅費制度を定めている団体では、旅費条例や規程、実務の運用を見直す必要があります。確認しておきたいおもな項目は、次のとおりです。

・宿泊費の上限
・日当の扱い
・交通費の支給基準
・自宅発の出張の扱い
・立替払いと直接支払の扱い

規程を変更すべきかどうかは、団体ごとに異なります。法務や人事、経理、監査など、関係部署と連携しながら検討を進めてください。特に宿泊費の上限や日当の扱いは、職員が受け取る金額に直結するため、変更する場合は丁寧な説明が欠かせません。

旅行命令・予約・精算・承認の業務フローが変わる

制度の見直しに合わせて、旅行命令から予約、支払、精算、承認までの一連の流れも見直す必要があります。

例えば、宿泊費の実費支給や直接支払を採用する場合、領収書や予約情報、支払データをどのように確認・管理するのかを整理しなければなりません。定額支給のときとは、確認すべき書類や手順が変わるためです。実費支給では、宿泊費が上限の範囲内に収まっているかを確かめる作業も加わります。予約から精算までのデータを突き合わせる手順や、承認者が確認すべき項目をあらかじめ決めておくと、承認のばらつきも防げるでしょう。

特に、紙やメール、個別のExcelファイルでの管理が混在している団体では、差し戻しや確認の負担が増えやすくなります。制度の変更をきっかけに、業務フロー全体を点検しておくとよいでしょう。

職員・教職員への周知や問い合わせ対応の負担が増える

支給基準や申請方法が変わると、出張者や承認者、経理担当者から、新しいルールに関する問い合わせが増える可能性があります。

特に、例外的な出張やたまにしか行わない手続きはルールを把握しにくく、入力の不備や差し戻しが起こりやすい部分です。規程を周知するだけでは、職員一人ひとりが申請のたびに正しく判断するのは難しいでしょう。申請画面上で必要な情報を案内できる環境を整えておけば、問い合わせや差し戻しを減らせます。

また、問い合わせが特定の担当者に集中すると、通常業務にも影響が出かねません。組織内で活用しているFAQチャットをシステム上に載せるといった対策も考えておきましょう。

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旅費法改正に対応するための3つのポイント

旅費法改正に対応するための3つのポイント

旅費法改正への対応を進め、運用をスムーズに定着させるには、制度や規程の見直し、システムの改修、利用者への支援を連動して進めることが重要です。対応を進めるうえで押さえておきたい3つのポイントを解説します。

法改正と自団体の条例・規程の影響範囲を整理する

まずは改正内容を把握したうえで、自団体の条例や規程、マニュアルのうち、影響を受ける項目を洗い出しましょう。このとき、国の旅費法に準じる箇所と、団体独自に定める箇所を分けて整理すると、見直すべき範囲がはっきりします。国の制度に準じている箇所は改正の影響を受けやすく、独自に定めている箇所は団体の判断で対応を決めることになるためです。各項目を一覧にまとめておくと、関係部署との協議や職員への説明にも活用できます。

規程の変更が必要な場合は、施行時期から逆算して対応計画を立てておいてください。スケジュールに余裕を持たせておけば、必要な承認を得る手続きや職員への説明、システムの変更などに落ち着いて取り組めます。

出張から精算までの業務フローを見直す

次に、申請から旅行命令、予約、支払、証憑の確認、精算、承認までの流れを可視化します。業務の流れを一覧や図にまとめると、担当者ごとの作業内容や、書類がどの部署を経由しているのかを把握しやすくなるでしょう。

可視化できたら、手入力や転記、紙の回覧など、業務負担が大きく、ミスが生じやすい工程を特定してください。直接支払やデータ連携を導入する場合は、例外的なケースが起きたときの処理方法や、部署ごとの責任分担も決めておく必要があります。

見直しの際は、改正によって不要になった手順が残っていないかも確認するとよいでしょう。例えば、旅行命令簿や旅費請求書の様式廃止を踏まえて既存の帳票を見直すといったことが挙げられます。

旅費精算システムの設定・データ連携を確認する

旅費精算システムを利用している場合は、宿泊費の基準額や宿泊手当、支給条件など、改正後のルールに合わせた設定ができるかを確認しましょう。宿泊費の実費支給に対応するには、上限額との照合や領収書の確認をシステム上でどのように扱うかも確かめておく必要があります。

併せて、予約サービスや法人カード、交通系IC、会計システムなどとデータ連携できるかどうかも確かめておきたいところです。改修が必要な場合は、その範囲やスケジュールを把握し、テストや移行、問い合わせ対応までを含めて計画を立ててください。設定の変更と職員への周知の時期をそろえておくと、切り替え時の混乱も抑えられます。

経費精算システムについては、「経費精算システムとは?3つの導入ステップやメリットを解説」の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

旅費法改正を機に旅費精算業務をDXするメリット

旅費法改正を機に旅費精算業務をDXするメリット

旅費法改正への対応は、規程を改定して終わりにするのではなく、旅費精算業務全体の効率化・可視化を進めるきっかけにもなるでしょう。ここでは、旅費精算業務をDXするメリットを2つ紹介します。

申請・承認・精算を一元化し、ミスや差し戻しを減らせる

旅費の申請から承認、予約、支払、精算までを1つの仕組みで管理すれば、二重入力や転記ミスを減らしやすくなります。規程に沿わない申請を早い段階で把握できるため、承認者や経理担当者の確認負担も抑えられるでしょう。

紙の申請書を回覧する必要がなくなれば、承認までにかかる時間も短くなります。承認の状況をシステム上で確認できるため、申請者が進み具合を問い合わせる手間も減らせるはずです。

さらに、処理状況や支出データを可視化できれば、適正な予算執行やガバナンスの強化にもつながります。

既存システムの操作を支援し、利用定着を促せる

新しいシステムの導入や更改をしなくても、既存の旅費精算システムの操作を支援できる場合があります。例えば、入力項目に吹き出しを表示し、入力ルールや注意事項をその場で確認できるようにすると、職員が迷いにくくなるでしょう。複数の操作が必要な手続きでは、次に行う操作を画面上で順番に案内することもできます。

マニュアルを別に開かなくても、操作中の画面上で必要なルールを確認できるため、制度に慣れていない職員でも手続きを進めやすくなります。システムを入れ替える場合と比べて、職員が新しい操作を一から覚える必要がない点も利点です。

制度改正後は、問い合わせが増えることも予想されます。職員が自分で疑問を解決できる環境を整えておけば、担当者の負担を抑えながら、新しいルールを定着させられるでしょう。

AIを活用して旅費精算業務を効率化する流れ

旅費精算業務へのAI活用を検討している自治体・教育機関は、次の5つのステップで進めると、導入までの道筋を具体的にイメージしやすくなります。

1.AIを活用したい業務を洗い出す
2.AIに任せる範囲を決める
3.既存システムとの連携方法を確認する
4.小規模な業務から試験導入する
5.効果を検証して対象業務を広げる

AIは、最初から旅費精算の業務全体に導入するのではなく、申請内容の確認や問い合わせ対応など、対象業務を絞って試験的に活用しましょう。試験導入で得られた結果をもとに運用方法を改善し、十分な効果が確認できた業務から段階的に活用範囲を広げていきます。

また、AIの確認結果や回答は、最終的に職員が確かめる運用にしておくと安心です。AIツールを選ぶ際は、イレギュラー時に人が介在できる仕組みを備えているか確認しておきましょう。

旅費法改正に関するよくある質問

ここでは、法の適用範囲や規程改正の要否、既存システムでの対応可否など、旅費法改正についてよくある質問に回答します。

改正旅費法は地方自治体にも適用されますか?

改正旅費法は国家公務員等を対象とする法律のため、地方自治体にそのまま適用されるわけではありません。ただし、自団体の旅費条例や規程が国の制度に準じている場合は、改正内容を踏まえて見直しが必要になることがあります。

旅費条例や規程は必ず改正する必要がありますか?

国の制度を参照している規程であれば、旅費法の改正内容を反映すべきか検討が必要になるでしょう。一方、独自の基準で運用している場合は、現行の規程を維持する判断もあり得ます。

まずは、国の旅費法改正が自団体の条例や規程に影響するかどうかを確認してください。影響の有無や範囲を把握したうえで、改正の要否を判断することになります。

既存の旅費精算システムでも対応できますか?

まずは、改正後の制度や規程に必要な設定変更や機能改修が可能かどうかを、システムの提供事業者へ確認しましょう。対応できる範囲がわかれば、改修の必要性や運用で補う方法も検討しやすくなります。

旅費法改正を機に、旅費精算業務の見直しを進めよう

旅費法改正では、宿泊費の上限付き実費支給や支払方法の見直しなど、出張や旅費精算の実務にかかわる変更が行われました。自治体・教育機関では、自団体の旅費条例や規程への影響を確認し、申請・承認・精算に関する業務フローの見直しを検討する必要があります。

運用を定着させるには、制度やシステムを整えるだけでなく、職員が迷わず手続きできる環境を整えることも重要です。「テックタッチ」は既存システムの画面上でガイドや入力支援を行い、「テックタッチ AI Hub」はAIエージェントが入力内容の提案やチェック、自動入力などを行い、業務を支援します。

いずれも既存システムを改修せず「あと付け」で導入できますので、現場の負担を抑えながら業務改善を進められます。

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