かつて、カスタマーサポート(CS)は「コストセンター」と位置づけられ、企業の収益には直接結びつかない部門とされてきました。
しかし、現在ではカスタマーサポートは顧客体験(CX)を通じて企業のLTV(顧客生涯価値)を高め、ブランド価値を向上させる「プロフィットセンター」として注目されています。
特に近年は、SNSの普及やサブスクリプションモデルの拡大により、CSの質が企業の評判や売上に直結する傾向が強まっているのが特徴的です。
本記事では、なぜ現在カスタマーサポートの重要性がこれほどまでに高まっているのかを解説するとともに、顧客満足度を高めるために企業が取り組むべき具体的な戦略についても紹介します。
また、記事内ではカスタマーサポートの立ち上げにも役立つDAPツールの「テックタッチ」もご紹介します。
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デジタルサービス時代に高まるカスタマーサポートの重要性

昨今、日本の消費行動の中心には、デジタルサービスの利用が急速に浸透してきているのが特徴的です。
総務省の「令和3年版 情報通信白書」や関連統計によると、ネットショッピングを利用する世帯の割合は約5割を超えていることがデータとして示されています。
また、情報通信白書に引用されたデータでは、ネットショッピング以外でも動画配信サービスの利用率が50%超、SNS利用も5割近くに達するといった傾向が示されており、デジタルサービスが日常生活の一部となっていることがうかがえます。
情報通信白書をはじめとしたデータから、「モノを店舗で買う」という従来の価値観が、「オンラインで必要なときにサービスとして利用する」行動へと変容しつつあると予想できるのが現状です。
特にネットショッピングやデジタルコンテンツは、利便性の高さから幅広い年代に受け入れられており、今後も利用が拡大するとみられています。
デジタルサービスは、多くがサブスクリプションモデルやオンデマンドサービスであり、顧客と企業との関係は単発の取引ではなく、継続的な価値提供が求められます。
そこで活躍を求められるようになったのが「カスタマーサポート」です。
単なる問い合わせ対応にとどまらず、顧客の声をプロダクト改善やマーケティング戦略にフィードバックする役割まで担えるカスタマーサポートは、デジタルサービス企業の経営戦略上の重要テーマとなっているのです。
契約後も利用者が価値を感じ続けることが、デジタルサービスでは解約率の低下やLTVの向上につながるため、カスタマーサポートの役割はこれまで以上に重要視されています。
だからこそ、変化する市場環境に対応するためのカスタマーサポートの高度化が、収益性とブランド価値の強化に欠かせない要素として求められているといえます。
出典:総務省|令和3年版 情報通信白書
カスタマーサポートの重要性が高まっている3つの背景

近年、カスタマーサポートの重要性が急速に高まっている背景には、単なる業務効率化や顧客対応品質の問題にとどまらない構造的な変化があります。
特に注目すべきなのは、サブスクリプションモデルの普及、製品やサービスのコモディティ化、そしてSNSを中心とした情報拡散環境の変化です。
ここでは、カスタマーサポートの重要性が高まっているおもな理由を3つの観点から整理し、それぞれが企業経営にどのような影響を与えているのかを解説します。
サブスクリプションモデルへの移行とLTVの重視
最近では、多くの企業が従来の「売って終わり」の売り切り型ビジネスから、顧客と長期的な関係を築くサブスクリプション型モデルへと移行しています。
サブスクリプションモデルでは、一人の顧客から得られる利益を評価する指標として「LTV」が重視されます。
このLTVを最大化するうえで最も重要なのが、顧客の継続支援と関係構築です。
サブスクリプション型の収益構造では、契約後に解約(チャーン)されてしまうと、それまでに獲得した顧客価値を失ってしまうため、解約率を低く抑える施策が企業の成長戦略に直結するようになりました。
そして、解約率を抑えるために利用中の顧客が抱える疑問や不満を早期に解消し、継続して価値を感じてもらう重要な接点として注目されるようになったのがカスタマーサポートです。
解約を防ぎLTVを高める取り組みは、カスタマーサポートによる継続的な支援と顧客との関係構築なしには成立しません。
サブスクリプション時代においてカスタマーサポートの重要性が一段と高まっているのは、顧客との接点を持ちLTVを最大化できる可能性があるのが大きく影響しています。
製品のコモディティ化と「CX」による差別化
近年、多くの業界において製品やサービスのコモディティ化が進んでいます。
技術の成熟や情報の透明化により、機能や品質、価格などの要素だけでは明確な差別化が難しくなり、どの企業を選んでも大きな違いが感じにくい状況が生まれています。
コモディティ化が進むなかで、顧客がサービス選定時に重視するポイントとして注目されているのがCX(顧客体験)です。
特にデジタルサービスやSaaSなど、利用が継続する前提のビジネスモデルでは、「使いやすさ」や「困ったときにすぐ解決できる安心感」が、顧客満足度に直結します。
機能や価格がほぼ同等であれば、最終的に選ばれるのは「サポートが充実している」「対応が信頼できる」と感じられるカスタマーサポートを持つサービスであるケースも少なくありません。
CXを向上できる要素を持つ優れたカスタマーサポートは、単なる付加価値ではなく競合他社との差を生み出す重要な差別化要因となります。
製品そのものでの差別化が難しい時代だからこそ、カスタマーサポートを含むCX全体を戦略的な設計・強化が、企業が選ばれ続けるための重要な取り組みとなっています。
SNS・口コミによる評判の拡散
SNSや口コミサイトの普及により、カスタマーサポートの対応品質が企業の評判に与える影響は飛躍的に大きくなっています。
問い合わせ対応の遅れや不誠実な対応など、悪いサポート体験は個人の不満にとどまらず、SNSを通じて瞬時に拡散され、ブランドイメージの低下や信頼失墜につながるリスクをはらんでいます。
一方で、迅速かつ丁寧な対応や、顧客の期待を超えるサポートは好意的に拡散されやすく、企業やサービスに対する高評価を生み出すため、評判の拡散はメリットもデメリットも大きいのが特徴的です。
評判が広まりやすい現状では、カスタマーサポートは既存顧客を満足させるための部門にとどまりません。
SNSやレビューを通じて可視化されたCSの対応は、これからサービスを利用しようとする見込み顧客の意思決定にも大きな影響を与えます。
問い合わせ時の対応品質やトラブル時の姿勢が、「この企業は信頼できるかどうか」を判断する重要な材料になっているのが実情です。
SNS・口コミが影響力を持つ現代では、カスタマーサポートの一つひとつの対応が、ブランド価値を高める機会にも損なう要因にもなり得るため、戦略的な重要性がこれまで以上に高まっているといえます。
カスタマーサポートがもたらすメリット

適切に設計・運用されたカスタマーサポートは、顧客満足度の向上だけでなく、企業の収益性や競争力を高める多くのメリットをもたらします。
特にサブスクリプション型や継続利用を前提としたビジネスモデルでは、カスタマーサポートの質が事業成果に直結する重要な要素です。
ここでは、カスタマーサポートが企業にもたらす代表的なメリットを3つの観点から整理し、それぞれの効果について解説します。
解約率(チャーンレート)の低下
カスタマーサポートがもたらす最もわかりやすいメリットの一つが、解約率(チャーンレート)の低下です。
サブスクリプション型サービスや継続利用を前提としたビジネスでは、解約率はLTVや収益性に直結する重要な指標とされています。
この解約率の低下に役立つのが、顧客が不便さや疑問を感じたタイミングで迅速かつ的確にサポートを提供できるカスタマーサポートです。
カスタマーサポートは、顧客のネガティブな体験の初期段階で介入し、問題を迅速に解決して解約を阻止できるため、企業に大きなメリットをもたらせます。
また、解約率は事業の収益性に直結するため、わずか数%低くなるだけで、顧客の平均継続期間が劇的に伸び、中長期的なLTVが向上できます。
カスタマーサポートを強化し、顧客のつまずきや不満を早期に解消して解約率を低く抑えることは、事業全体の収益性と安定した成長を支える重要な戦略の一つです。
アップセル・クロスセルの機会創出
カスタマーサポートは、顧客との対話を通じて潜在的なニーズや利用状況を把握し、より最適なプランや関連商品を提案できる「アップセル」「クロスセル」の機会を創出する重要な接点にもなっています。
例えば、サブスクリプションサービスのユーザが基本プランで「機能が足りない」などの悩みを相談した場合、必要とされている機能を備えた上位プランを適切に案内すると、顧客の満足度を高めながら単価アップにつなげられます。
また、顧客から信頼を得ている状態で提案されるアップセル・クロスセルは、営業活動のように「押し売り」になりにくいのもメリットの一つです。
信頼できるサポート担当者からの提案は顧客に受け入れられやすく、ユーザ自身も「自分の利用状況にフィットした提案」と受け止めやすいため、営業コストをかけずに売上を伸ばせます。
カスタマーサポートは、顧客とのタッチポイントの価値を最大化し、アップセル・クロスセルの機会創出によって企業の収益性向上に大きく貢献する存在でもあります。
製品開発へのフィードバック
カスタマーサポートは、顧客の要望や不満、利用体験などの生の声(Voice of Customer)が集まる重要な窓口でもあります。
カスタマーサポートには、日々膨大な問い合わせやフィードバックが寄せられており、顧客がどこでつまずいているのか、どの機能に不満を持っているのかなどがリアルタイムで蓄積されます。
カスタマーサポートに蓄積されるVoCを開発部門にフィードバックすれば、プロダクトの品質向上やCXの改善に直結する取り組みが可能です。
また、顧客起点の改善・開発は、プロダクトマーケットフィット(PMF)の達成を加速させる効果も期待できます。
PMFとは、製品が強い市場需要を満たしている状態を指し、これが実現できれば、ユーザーの継続利用や新規顧客の獲得がスムーズに進むようになります。
CSが集めた顧客の声を製品開発にフィードバックする取り組みは、顧客満足度の向上とプロダクトの競争力強化の双方を実現し、企業がより市場にフィットしたサービスを提供する上で欠かせない戦略です。
効果的なカスタマーサポート組織を作るためのポイント

カスタマーサポートの重要性が高まる現状での組織づくりでは、組織全体の構造や評価軸、業務設計、ツール環境を含めた最適化を検討する必要があります。
顧客の声を正しく捉え、スムーズに解決へと導き、かつ企業の収益やブランド価値に結びつけるためには、戦略的な改善が欠かせません。
ここでは、効果的なカスタマーサポート組織を作り上げるために企業が取り組むべき具体的な3つのポイントについて解説します。また0から組織を立ち上げたい方は「カスタマーサポート立ち上げガイド/必要ツールやマニュアル作成まで解説」の記事も参考にしてみてください。
KPIの再定義と評価制度の見直し
カスタマーサポート組織の成果を正しく測るためには、従来の「処理件数」や「対応時間」などの定量的な指標だけに頼る評価では不十分です。
近年、多くの企業がNPS(Net Promoter Score)やCES(Customer Effort Score)をカスタマーサポートの評価に組み込むようになっています。
NPSは「このサービスを他者に推奨する可能性」を測る指標で、顧客のロイヤルティや満足度を高い精度で可視化します。
一方CESは「顧客が問題解決のためにどれだけ力を使ったか」を示すもので、サポート体験の負担感を評価する上で有効です。
NPSやCESの指標を導入すると、単なる「対応件数」では見えない顧客のリアルな満足度や体験価値を測定できるようになります。
また、多角的なKPIの導入によるカスタマーサポートの貢献を正当に評価する仕組みは、関係者のモチベーション向上にもつながります。
KPIを再定義した上での評価制度の見直しは、カスタマーサポート組織をより戦略的で顧客志向のものに進化させるための重要なステップです。
KPI設定について詳しく知りたい方は「カスタマーサポートの設定すべきKPIとは?顧客満足度を高める目標管理」の記事にて解説していますので参考にしてください
情報の集約とナレッジ共有
顧客情報や対応履歴の一元管理と、チーム全体でのナレッジ共有の仕組みづくりも、効果的なカスタマーサポート組織を構築する上で重要です。
まず、顧客情報や対応履歴の一元管理で活用できるのがCRMです。
CRMは顧客の基本情報だけでなく、過去の問い合わせ内容や行動履歴まで管理できるため、対応担当者が変わっても一貫したサポートが実現できます。
また、ナレッジ共有では、単にFAQや対応テンプレートを蓄積するだけでなく、成功事例や解決手法など「知識そのもの」を組織内で活用できるようにするのが効果的です。
専任者だけが知見を持っている状態では属人的な対応になってしまいますが、情報が共有されていれば、誰でも迅速かつ正確に回答できるようになり、サポートの品質が均一化します。
情報の集約とナレッジ共有を推進すれば、チーム全体の対応力が底上げされ、属人化を防ぎながら高品質なカスタマーサポートを実現する基盤が整います。
適切なツールの導入
効果的なカスタマーサポート組織を構築する上でツールの導入は欠かせない要素です。
カスタマーサポートで導入すると特に効果が高いツールは以下の通りです。
| ツール | 概要 |
| AIチャットボット | よくある質問や基本的な問い合わせに24時間365日対応できる自動応答機能を備えており、顧客の待ち時間を大幅に短縮可能 |
| DAP | ユーザがサービス利用中につまずきやすい箇所を可視化し、適切なタイミングでガイドやヒントを提示できる |
上記のツールを導入すれば、顧客にとっては「待たされない」「すぐ解決する」などの大きなメリットが生まれます。
また、カスタマーサポート側もチャットボットやDAPによって定型作業が削減されれば、リソースをより戦略的な顧客対応や品質向上に関する施策に配分できます。
このツールのなかで特におすすめなDAPツールが「テックタッチ」です。
テックタッチについては次項にて詳しく解説します。

カスタマーサポート組織の立ち上げを強力にサポートする「テックタッチ」

カスタマーサポート組織を立ち上げる際、顧客の自己解決を促進しつつ問い合わせ対応工数を抑える仕組みがあると、現場の負担が大きく軽減されます。
そこでおすすめなのが、国内DAP市場でシェアNo.1の「テックタッチ」です。
テックタッチは、Webサービスや業務システムの画面上に操作ガイドを直接表示できるツールで、顧客が迷うことなく目的の操作を完了できるようサポートします。
例えば、入力欄のそばに自動的にヒントを表示したり、初回ログイン時にチュートリアルを表示することができるため、マニュアルを読まずに操作できる環境を実現可能です。
さらに、テックタッチはノーコードで導入・運用ができるため、エンジニアの手を借りることなくカスタマーサポートの主導でガイド設計や改善も行えます。
テックタッチは、問い合わせ対応の削減と顧客満足度の向上を同時に実現できるソリューションとして、カスタマーサポート組織の立ち上げ・拡充を強力に支援できるツールです。
ぜひ導入を検討してみてください。
カスタマーサポートの重要性に関するよくある質問

ここでは、カスタマーサポートの重要性に関するよくある質問とその回答について解説します。
カスタマーサクセスとの違いは?
「カスタマーサポート」と「カスタマーサクセス」はどちらも顧客との関係を深める役割を担いますが、そのアプローチや目的には明確な違いがあります。
一般的に、カスタマーサポートは顧客からの問い合わせやトラブルに対して対応する「受動的・リアクティブ」な役割です。
例えば、操作方法が分からない、エラーが出て使えないなどのケースに対して、迅速に解決策を提示します。
一方で、カスタマーサクセスは顧客がサービスや製品から価値を最大限に引き出し、長期的な目標達成を支援する「能動的・プロアクティブ」な役割です。
利用開始から継続的な活用までを通じて、顧客の成功を見据えたコミュニケーションや提案を行い、顧客の解約を防いだり、アップセル・クロスセルの機会を創出したりするのが主な役割です。
ただ、どちらも最終的にはLTVの向上や顧客との良好な関係構築を目指す点では共通しています。
カスタマーサポートが問題解決を通じて顧客満足度を高める役割を担う一方で、カスタマーサクセスはその上に立って価値を引き出し、より戦略的に顧客との接点を構築していく役割といえます。
それそれの違いについて「カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いとは?7つの観点から解説」の記事で詳細を解説していますので、ぜひ参考にしみてください。
コスト削減と品質向上は両立できますか?
テクノロジーの活用によって、カスタマーサポートでの「コスト削減」と「品質向上」は十分に両立できます。
例えば、AIチャットボットは定型的な問い合わせに即時応答することができ、多くのルーティン業務の自動化を実現可能です。
また、チャットボットや自動化ツールは24時間365日稼働できるため、人的リソースを大幅に削減する一方で、顧客の「すぐ解決したい」ニーズにも即応できます。
自動化された定型対応と人間の高度な対応を組み合わせると、効率性と顧客体験の両立を図れます。
カスタマーサポートの評価指標はどうすべきですか?
カスタマーサポートの評価指標を考える際、単なる処理件数や対応速度だけを追うのでは不十分です。
顧客への価値提供や企業の収益への貢献を正しく評価するためには、CXや経営貢献度につながる以下の指標を取り入れる必要があります。
- NPS(Net Promoter Score:顧客推奨度)
- CRR(Customer Churn Rate:解約率)
- CSAT(Customer Satisfaction:顧客満足度)
- CES(Customer Effort Score:顧客努力指標)
カスタマーサポートの評価指標は、処理件数や時間だけでなく、顧客の推奨意欲や解約阻止、満足度といったCXおよびLTVに関わる定量・定性指標を組み合わせて設定するのが理想的です。
カスタマーサポートの重要性を理解して顧客体験を向上させよう

サブスクリプション型ビジネスの拡大や、製品のコモディティ化、SNSによる口コミ拡散といった市場の変化により、カスタマーサポートは単なる問題解決ではなく、顧客ロイヤルティの醸成やLTVの最大化に貢献する戦略的部門として位置づけられています。
そして、KPIの再定義、ナレッジ共有、ツール導入といった具体的な改善施策を通じて、カスタマーサポートをより強く、価値あるものへと進化させる対応が求められています。
カスタマーサポートへのさまざまな取り組みを効率よく実現するためには、適切なツールの導入が不可欠です。
そこでおすすめなのが、国内シェアNo.1のDAPツール「テックタッチ」です。
テックタッチは、Webシステムやアプリ画面上にリアルタイムの操作ガイドを表示できるため、マニュアルを読まずに直感的に操作が完了できる環境を実現可能です。
テックタッチの導入により、カスタマーサポートは定型業務から解放され、顧客満足度の向上を目指すためのより戦略的な業務にリソースを配分できるようになります。
カスタマーサポートの業務効率化と顧客満足度の向上を両立したいとお考えの方は、ぜひ導入を検討してみてください。



