【2024年版】カスタマーサクセスとは?重要性やメリット・特徴・役割を解説

SaaS事業者向け

顧客の成功体験を積極的にサポートする役割を担うことで知られているのが、カスタマーサクセスです。ビジネスモデルが買い切り型中心からサブスクリプション(SaaS)型へ移行するに伴い、2010年代以降、カスタマーサクセス部門の導入を進める企業が増加しています。最近では多様な業界で注目されており、カスタマーサクセス業務が一般化しつつあるのが現状です。今回は、あらためてカスタマーサクセスについて、概要から役割、注目される理由、実施によるメリットなどをお伝えします。また、新たに導入する企業担当者へ向けて、スムーズに導入を進めるプロセス、成功させるためのポイント、導入企業事例もお伝えします。ぜひ参考にしてください。

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目次

カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは?

「顧客の成功」を意味するカスタマーサクセスとは、自社商品やサービスを購入した顧客に対し、販売した側から積極的にビジネスの成功につながる支援をするものです。商品やサービスの基本的な使い方を説明するオンボーディングや、成果につながる効果的な活用方法を指導するといった支援があります。支援の結果、顧客に成功体験を得てもらうことで、解約率低減、満足度向上を実現します。

カスタマーサクセスにいち早く取り組んだのは、CRMプラットフォームの「Salesforce」を扱うセールスフォース・ドットコムの創業者、マーク・ベニオフ氏です。SaaSビジネスにおいて、解約率を下げて継続的に活用してもらうための手法として導入し、その後、世界中で認知を獲得しました。

カスタマーサポート、カスタマーマーケティングとの違い

カスタマーサクセスと混同しがちな概念として、カスタマーサポートが挙げられます。顧客と向き合う点は同じですが、カスタマーサクセスが積極的に販売側から顧客へアプローチするのに対し、カスタマーサポートは主に受け身で、顧客からの問い合わせやクレームに対応します。

また、カスタマーサクセスはカスタマーマーケティングと同義としてとらえるケースも少なくありません。しかし、カスタマーサクセスはカスタマーマーケティングと同義ではなく、カスタマーマーケティングを実現させる手法のひとつです。

カスタマーマーケティングとは、アップセルやクロスセルを実現させるために、既存顧客を対象として満足度向上を目指します。既存顧客に適切なアプローチを行うカスタマーサクセスの視点がなければ、カスタマーマーケティングは成功しないといえます。

カスタマーサクセスが求められる理由

カスタマーサクセスが求められる主な理由は次のとおりです。

  • サブスクリプションビジネスが台頭してきた
    モノやサービスを所有する買い切り型ビジネスから、商品・サービスを利用するサブスクリプション型ビジネスにビジネスモデルが移行しました。その結果、多くの企業にとって、購入してもらうことがゴールではなく、継続して使ってもらうことが利益向上には欠かせなくなっています。契約に至っただけでは使い続けてもらえるとは限りません。そのため、販売者側から積極的に、商品やサービスの良さを理解してもらうために行う支援が重視されるようになったのです。

SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスについて詳しくは、「SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスとは?実行時の注意点や成功のポイントを解説」をご覧ください。

  • 既存顧客維持の重要性が高まった
    一般的に、新規顧客の獲得にかかるコストは、既存顧客維持に比べ5倍のコストがかかるといわれています。また多くの市場が成熟し、商品やサービスのコモディティ化が進みました。その結果、新規顧客の獲得がより難しくなっています。そこで、既存顧客維持につながるカスタマーマーケティングに欠かせない、カスタマーサクセスにも関心が集まるようになったのです。

カスタマーサクセスの実施で得られるメリット

カスタマーサクセスの実施で得られるメリット

カスタマーサクセスを実施することで、企業はどのようなメリットを得られるのでしょう。ここでは主なメリットを解説します。

CX(顧客体験)の向上

カスタマーサクセスの実施により、CX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験)の向上が期待できます。有効な施策のひとつに、適切なタイミングでのフォローや、誰もが簡単にシステム・ツールを扱えるようになるオンボーディングの実施があります。早い段階でオンボーディングを行うことで顧客が成果を上げやすくなり、結果として顧客体験の向上が可能です。

CXについて詳しくは、「CXとは?向上に向けた取り組みやポイントを紹介」をご覧ください。

競合との差別化

商品・サービスの質や価格に大きな差がない場合、いかに顧客に寄り添い、迅速に課題解決できるかが重要になります。カスタマーサクセスを適切に実施すれば、競合他社との差別化要因につながり、顧客からの信頼も得やすくなるでしょう。その結果、数ある競合のなかから自社を選択してもらえる可能性も高まります。

チャーンレート(解約率)の低減

特にサブスクリプションビジネスを行う企業では、解約率の低減が利益向上に直結するため、解約率低減につながる顧客満足度の向上が欠かせません。カスタマーサクセスにより顧客の課題を迅速に解決すれば、顧客との信頼関係が構築され、満足度向上が実現するとともに、解約率の低減にも大きな効果があります。

LTV(顧客生涯価値)の向上

LTVとはLife Time Value(顧客生涯価値)の略称で、1人の顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらすかを表す指標です。カスタマーサクセスの実施により継続して利用する顧客が増加すれば、LTVの向上が実現します。その結果、利益向上にもつながるでしょう。

アップセル・クロスセルの実現

カスタマーサクセスにより顧客満足度が向上すれば、契約更新時に継続を選択してもらえる確率が上がります。加えて、自社への総合的な信頼性が高まることで、単なる契約継続ではなく、グレードアップ(アップセル)や、別の商品やサービスの追加購入(クロスセル)につながる可能性も高まるでしょう。

アップセル・クロスセルについて詳しくは、「アップセル・クロスセルとは?実施のメリットと成功のポイントを解説」をご覧ください。

顧客の求める新商品やサービスの開発

顧客に寄り添ったカスタマーサクセスの実施により、顧客が何を求め、何に困っているかを把握しやすくなります。その結果、顧客ニーズに合った新商品やサービスの開発が可能です。

カスタマーサクセスの役割

カスタマーサクセスの役割

企業においてカスタマーサクセスは、顧客との関係性を構築し、顧客がビジネスで成功体験を得られるような支援をします。カスタマーサクセスの具体的な役割は以下のとおりです。

オンボーディング(導入・活用支援)

オンボーディングとは、システムやツールの導入・活用を支援する取り組みです。成功体験を得てもらうための初期段階として、スムーズにシステム・ツールを導入・活用することが欠かせません。具体的な方法としては、講習会やWebセミナーの開催、デジタルガイドの活用などがあります。

適切なタイミングでのフォロー

契約更新時のフォローや機能変更時など、適切なタイミングでアプローチやサポートを行うのもカスタマーサクセスの重要な役割です。特に、システム・ツールの新機能搭載時や機能変更時のフォローは大切です。使い方の周知を徹底することで使いこなし方がわかり、解約抑止だけではなく、アップセルやクロスセルにもつながります。

長期的な関係性の構築

そのときどきの状況に合わせた支援を実施することにより、顧客との長期的な関係性を構築します。その結果、商品・サービスになんらかの課題が生じた場合も「相談してみよう」という考えを持ってもらえます。このような信頼関係が生まれることで、解約率の低減、LTVの最大化が期待できます。

プロダクトの改善点を把握

顧客とのやりとりのなかから商品・サービスの課題点の情報を収集して改善点を見つけ出します。情報の収集・分析を効率的に行うには、カスタマーサクセス側でも顧客管理システム、コミュニケーションツールなどを使いこなせる必要があります。

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カスタマーサクセスを実施する際の流れ

カスタマーサクセスを実施する際の流れ

カスタマーサクセスを実施する際には、適切なロードマップを設計したうえで進めることが重要です。ここでは、社内での組織編制と顧客別の対応方法について解説します。

カスタマーサクセスを実施する際の流れ

社内での組織編制

社内でカスタマーサクセス部署を立ち上げ、次に挙げる4つの業務についてリソースに合わせて役割分担を行います。役割分担のポイントは、各業務が連携してスムーズな対応ができるようにすることです。各業務の具体的な役割や求められる業務に必要なスキルを紹介します。

  • オンボーディング
    顧客がシステム・ツール導入時に実施する活用支援業務です。システム・ツールの使い方や機能を導入先の社員や担当者がスムーズに使えるように支援します。この業務に求められるのは、システム・ツールの使い方、機能に関する深い理解力です。また、相手の理解度に合わせて説明の仕方や速度を調整できる対応力も必要です。
  • アダプション
    オンボーディング後、システム・ツールを定着させるために行う支援業務です。使い方や機能を理解しても、実際の業務へ組み込み、効果を実感できなければ成果を上げられません。そこで、具体的な事例や便利なヒントなどを紹介することで、業務プロセスにシステム・ツールを定着させるよう支援します。
    この業務には、システム・ツールの使い方や機能に関する理解力に加え、顧客の問題点を把握して適切なアドバイスができる情報収集力、分析力が必要です。
  • エクスパンション
    サービスの更新やアップセル・クロスセルの提案業務です。顧客の課題に合わせたサービスの紹介が中心で、自社システム・ツールのなかでどのプランを求めているかを的確に判断する能力が求められます。また、アップセル・クロスセルを成功させるには、営業力や提案力も必要です。
  • プロダクトフィードバック
    顧客が抱える課題を解決するため、コミュニケーションをとりながらシステム・ツールの改善点を見出し、製造、営業、マーケティング部門と連携して改善につなげる業務です。コミュニケーション能力やシステム・ツールの理解力に加え、連携する各部門の意見をとりまとめる調整力も必要です。
    また、プロダクトフィードバックには、解約(チャーン)した顧客からシステム・ツールの不満点や問題点を聞き出す役割もあります。契約を継続する顧客から意見を聞くだけでは、システム・ツールの本当の問題点が見えてこないケースも多いのです。解約した顧客から聞き出した内容をもとに、解約した顧客から聞き取りした内容を社内にフィードバックし、改善につなげます。

タッチモデルでの顧客対応

カスタマーサクセスでは、上述したフェーズごとの対応を、顧客のLTVでハイタッチ、ロータッチ、テックタッチに分類して行うのが一般的です。それぞれの対応方法について解説します。

  • ハイタッチ
    ハイタッチとは、期待できるLTVが最も大きい顧客に対して専任の担当者が1対1で支援する方法です。業種によっては、高単価の商材を扱っている場合は複数人での支援体制をとり、積極的なサポートを実施します。
  • ロータッチ
    ロータッチとは、ハイタッチに次ぐ期待できるLTVが大きい顧客を対象に、1人の担当者がセミナー、ワークショップを開催して複数の顧客を支援する方法です。主にシステム・ツールの導入や活用などのオンボーディング時に行われます。
  • テックタッチ
    タッチモデルのなかで期待できるLTVが最も小さい顧客を対象に行う支援です。一人ひとりの単価は低いものの、一般的に最も顧客数が多いゾーンになるため、全体的な利益の貢献度は高いと考えられます。効率的に適切な支援を行うことで継続利用や単価向上を目指します。具体的な施策としては、マニュアル動画やステップメールなどがあります。

カスタマーサクセスにおけるテックタッチについて詳しくは、「カスタマーサクセスのテックタッチとは?CSで重要な理由や事例を紹介」をご覧ください。

カスタマーサクセスの成功事例

カスタマーサクセスの成功事例

実際にカスタマーサクセスを実施し、成功につなげた企業の事例を紹介します。

NE株式会社

NE株式会社(以下同社)は、複数のネットショップを一元化するシステムを提供しています。同社が抱えていた課題は、提供するシステムの初期設定が困難でログイン後に何をすればよいかで迷ってしまう顧客が多いことでした。また、契約社数が増加するにつれ、1対1での支援が限界に達していました。

そこで、トライアル期間中の顧客フォロー、導入後のオンボーディング、活用支援の効率化を目的に、セルフオンボーディングを実現するツール「テックタッチ」を導入したのです。

導入の結果、初期設定に悩む顧客が減少しました。これまでは、オンボーディング実施までに平均90日かかっていましたが、トライアル期間の30日以内に実施できる企業が増加したのです。また、これまでは1対1での支援中心だったオンボーディングの効率化によりカスタマーサクセス担当者の負担軽減も同時に実現しています。

詳細「30日以内にネクストエンジンの運用開始に至る企業数が3倍に!初期設定の難しさをテックタッチで解決し、ユーザーの迷いを解消

株式会社hokan

株式会社hoken(以下同社)は、保険代理店に特化した顧客・契約管理システムを開発しています。顧客の増加に伴いサポート工数が逼迫し、増えた問い合わせに対応するカスタマーサクセス担当者が少ないことが同社の課題でした。また、カスタマイズ性の高さから、自社システムを完全に理解してもらうために多大な時間を要していました。

そこで同社は、オンボーディング工数の削減や問い合わせ件数減少を目的に「テックタッチ」を導入しました。

導入後、デジタルガイドによる「はじめてガイド」を作成し、初回ログイン時に必ず閲覧できるようにしたところ、オンボーディング工数の60%効率化を実現したのです。また、システム上にセミナー告知を表示させることで、参加数が25倍に増えたセミナーもあり、「テックタッチ」の導入効果を実感しています。

詳細「オンボーディング工数を60%削減!全ログイン者へ案内を周知できるようになり、問い合わせゼロを目指す

ウイングアーク1st株式会社

文書管理事業やデータエンパワーメント事業を営むウイングアーク1st株式会社(以下同社)の事例です。同社では、電子帳票プラットフォームを提供していますが、非IT部門の顧客にシステムを定着させるオンボーディングに課題を抱えていました。

マニュアルはあるものの、不明点があるたびにシステムから離れてマニュアルを見るのは非効率であり、適切なユーザー体験にはつながりません。そこで、システム上に操作方法やチップスを表示できる「テックタッチ」の導入を進めたのです。

「テックタッチ」であれば、不明点があってもシステム画面から目を放す必要がありません。「テックタッチ」の活用により、きめ細かなオンボーディングを効率的にすすめることが可能になり、システムの定着につながりました。

詳細:「製品を離れてマニュアルを見に行く体験から脱却し、きめ細かなオンボーディングを提供

カスタマーサクセスのKPI

カスタマーサクセスのKPI

カスタマーサクセスを成功させるには、適切なKPIを設定したうえでの定期的な効果検証が欠かせません。カスタマーサクセスを成功につなげるために必要となる、主なKPIの特長や代表的な計算方法を解説します。ここでは毎月更新型を想定して「月」での計算方法を紹介しますが、年契約が基本の商品・サービスであれば年単位で計算してもいいでしょう。

KPI設定時の注意点やコツについて詳しくは、「カスタマーサクセスにおけるKPIとは?設定時の注意点やコツを解説」をご覧ください。

LTV

1人の顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらすかを表すLTVは、特に継続利用によって利益を得るSaaSビジネスで重要な指標です。代表的な算出方法(SaaS型)は次のとおりです。

  • 平均顧客単価(月)×収益率×購買頻度(月)×継続期間
    例えば、平均顧客単価が1万円で収益率が55%、購買頻度は月1回(年12回)、継続期間が2年の場合のLTVは
    1万円×0.55×12回×2年=13万2,000円
    となります。

なお、LTVは売り切り型のビジネスでも算出が可能で、算出方法は次のとおりです。

  • 購入単価×平均購入回数
    例えば、購入単価が100万円で平均購入回数が2年に1回の場合のLTVは
    100万円×0.5回(1年)=50万円
    となります。

利益ベースで見る場合のLTV算出方法は次のとおりです。

  • (売上高―売上原価)÷購入者数
    たとえば、年間の売上が8,000万円で売上原価が4,400万円、購入者数が200人の場合のLTVは
    (8,000万円―4,400万円)÷200人=18万円
    となります。

LTVの算出方法について詳しくは、「LTVとは?計算方法やLTV向上を実現させる方法を解説」をご覧ください。

アップセル率・クロスセル率

アップセルは現在の契約プランを見直してアップグレードしてもらうこと、クロスセルは追加で別の商品やサービスを購入してもらうことです。アップセル、クロスセルそれぞれの割合を見ることで、LTVの見込みを増やすことが可能です。

アップセル率

アップセル率の算出方法は次のとおりです。

  • (アップセルを実現した顧客数÷全顧客)×100(%)
    例えば、全顧客1,000人のうち、1カ月間でアップセルを行った顧客が100人いた場合のアップセル率は
    (100人÷1,000人)×100(%)=10%
    となります。

クロスセル率

クロスセル率の算出方法は次のとおりです。

  • (クロスセルを実現した顧客数÷全顧客)×100(%)
    例えば、全顧客1,000人のうち、1カ月間でクロスセルを行った顧客が60人いた場合のクロスセル率は
    (60人÷1,000人)×100(%)=6%
    となります。

アップセル・クロスセル施策を実施する際のポイントは、「アップセル・クロスセルとは?実施のメリットと成功のポイントを解説」をご覧ください。

チャーンレート(解約率)

チャーンレートの数字もSaaSビジネスで重要な要素です。チャーンレートの低減を実現すれば、LTVが向上し、継続的に利益を上げることが可能です。

チャーンレートには、顧客数をベースにしたカスタマーチャーンレートと、収益をベースにしたレベニューチャーンレートがあります。それぞれの算出方法は以下のとおりです。

カスタマーチャーンレート

カスタマーチャーンレートとは、月、年などで契約した顧客のなかで解約や退会した顧客数の割合です。一般的にチャーンレートといえば、カスタマーチャーンレートを指します。算出方法は次のとおりです。

  • (今月解約した顧客数÷前月の顧客数)×100(%)

レベニューチャーンレート

収益をベースにしたレベニューチャーンレートには、解約やダウングレードによって減少した金額を算出する「グロスレベニューチャーンレート」と、アップグレードやクロスセルなどによる増収も含めた損失額を算出する「ネットレベニューチャーンレート」があります。それぞれの計算式は次のとおりです。

  • グロスレベニューチャーンレート
    (当月の解約・ダウングレードで失った収益÷前月末の収益)×100(%)
  • ネットレベニューチャーンレート
    {(当月の解約・ダウングレードによって失った収益-アップセル・クロスセルによって得た収益)÷前月末の収益}×100(%)

チャーンレートの算出方法や計算例について詳しくは、「チャーンレートとは?その種類やSaaSビジネスに欠かせない理由を解説」をご覧ください。

NPS®(ネットプロモータースコア)

NPS®とはNet Promoter Scoreの略称で、顧客ロイヤルティを推奨度から数値化した指標です。顧客が「商品に満足しているかどうか」ではなく、「それを周囲にすすめたいかどうか」を見るもので、継続契約や利益拡大に欠かせない指標といえるでしょう。

NPS®は顧客へのアンケートによって算出します。具体的には、顧客に0~10の11段階で商品の推奨度を聞き、

0~6は批判者。7,8は中立者、9,10は推奨者として、推奨者の割合から批判者の割合を引いた数です。

例えば、批判者が全体の10%、推奨者が全体の30%だった場合、30%から10%を引いた20%がNPS®となります。

ただし、NPS®はこの数値だけではなく、競合との比較や顧客の種類別の調査などにより総合的に判断することが重要です。

NPS®の算出方法について詳しくは、「NPS®調査における結果分析のポイントや注意点とは?計算方法も合わせて紹介」をご覧ください。

ヘルススコア

ヘルススコアとは、顧客の商品やサービス利用状況を健康状態にたとえて数値化したものです。ヘルススコアが高ければ継続利用が見込め、低ければ解約の可能性が高いと判断できるでしょう。

ヘルススコアの算出では、カスタマーサクセスの目的や目標により見るべき箇所が異なります。主な確認方法としては、顧客のログイン状況、システム・ツールの機能利用率、商品やサービスに対する満足度などです。

ヘルススコアについて詳しくは、「カスタマーサクセスにおいて重要なヘルススコア!その運用・導入の方法を解説」をご覧ください。

カスタマーサクセスを成功させるためのポイント

カスタマーサクセスを成功させるためのポイント

カスタマーサクセスを成功させるポイントはいくつかありますが、なかでも重要なのは次の3点です。

CS Opsに取り組む

CS Opsとは、カスタマーサクセス活動をオペレーション・システムの面からサポートする業務です。CS Opsに取り組むことで、顧客一人ひとりへのきめ細やかな対応が可能になり、顧客対応プロセスやコミュニケーションの仕組みづくりといったカスタマーサクセスの課題解決につながります。その結果、効率的なカスタマーサクセス活動が可能となるでしょう。

CS Opsについて詳しくは、「CS Ops(カスタマーサクセスオペレーション)とは?取り組むべき施策とポイントを解説」をご覧ください。

有効なツールを活用する

カスタマーサクセスを実施するには、顧客一人ひとりに寄り添い支援をする必要があるため、相応の手間がかかります。そのため、適切にツールを活用して効率化を進めることが重要です。

具体的には、オンボーディング、導入・活用支援、契約更新、アップセル・クロスセルのそれぞれの段階で効率化を進めるツールが必要です。また、全体を管理するカスタマーサクセス管理ツールも必要でしょう。

ツールを選択する際の判断基準は、目的に合致しているか、KPI達成に必要な機能はそろっているか、運用コストは適切か、長期的に安定して稼働するかなどです。また、使いやすいかどうかといった操作性も重要です。

カスタマーサクセスの実施に欠かせないツールについて詳しくは、「カスタマーサクセスツールを導入するメリットと選定のポイントを解説」をご覧ください。

経営層が先頭に立ちかかわっていく

バーチャレクス・コンサルティング株式会社では、カスタマーサクセスに関する実態調査を実施しています。同調査報告の2022年版第一弾によると、カスタマーサクセスに取り組む企業では、実際にかかわっている人の役職で多いのは「一般社員(22.4%)」でした。

次に多いのは「会長・社長・経営者・CEO(15.5%)」と、経営層の多くがカスタマーサクセスにかかわっていることがわかります。カスタマーサクセスが注目を浴びているとはいえ、海外に比べると日本はまだ普及段階にあるといえます。経営層が引き続き、積極的にかかわっていくことが不可欠でしょう。経営層が先頭に立ってカスタマーサクセスに取り組み、社内での認知を高めていくことも、カスタマーサクセスの成功に欠かせない要素です。

参照:2022年カスタマーサクセスに関する実態調査|バーチャレクスコンサルティング

カスタマーサクセスを成功させるにはサポート業務の効率化がポイント

カスタマーサクセスを成功させるにはサポート業務の効率化がポイント

カスタマーサクセスとは、自社商品やサービスを購入した顧客に対し、販売者側から積極的にビジネスの成功につながる支援をする業務です。サブスクリプションビジネスは今後も拡大が見込まれます。市場の成熟に加え、商品やサービスのコモディティ化によって新規顧客の獲得が困難化しているいま、既存顧客を維持する施策としてカスタマーサクセスは注目を浴びています。

カスタマーサクセスに成功すれば、顧客からの信頼獲得による解約率低減、アップセル・クロスセルの実現などのさまざまなメリットを得ることが可能です。また、顧客に支持される商品・サービスの開発にもつながります。

しかし、カスタマーサクセスによって信頼を獲得するには多くの手間を要するため、できるだけ施策を効率化することが求められます。なかでも重要なのは、担当者の誰もが適切かつ迅速に対応できる業務標準化です。そこでおすすめしたいのが、顧客管理システムなどに実装できる「テックタッチ」です。

「テックタッチ」では、Webシステムやツール上に表示されるデジタルガイドを見ながら、効率的にシステム、ツールの操作方法を習得できます。これにより、カスタマーサクセス部門にいる誰もが、迅速に顧客の課題を解決しやすくなります。デジタルガイドはノーコードで作成が可能で、専門知識は必須ではありません。新たな雇用や既存社員への教育コストも不要になり、業務負担も大幅に軽減します。カスタマーサクセスの成果向上にお悩みの際は、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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