CRMツールとして人気のあるSalesforceですが、導入後に現場が使いこなせず、運用ルールが浸透しないまま投資対効果が見えにくくなるケースが後を絶ちません。
Salesforceは多機能さが特長の一つですが、その多機能さにより実際に取り扱う現場の人員がスムーズに理解を進められず、定着化が成功しない例が散見されます。
そこで本記事では、Salesforceが組織に定着しない代表的な原因を整理し、運用フローの見直しやトレーニング体制の強化を通じて定着化を実現した事例を詳しくご紹介します。
また、記事内ではSalesforceの定着率を向上させられるDAPツールの「テックタッチ」についてもご紹介します。
Salesforceの基本

Salesforceは、世界中の企業で導入されているクラウド型の顧客管理(CRM)プラットフォームで、ビジネスの成長を支える強力な基盤として注目されています。
ここではまず、Salesforceの基本的な機能と仕組み、そして導入によって得られるおもなメリットについて解説します。
Salesforceとは
Salesforceとは、クラウドベースのCRMおよびSFA(営業支援)プラットフォームです。
1999年にアメリカで設立されたSalesforce社によって提供されており、世界中で15万社以上の企業が導入している業界トップクラスのCRMソリューションです。
Salesforceの最大の特徴は、顧客情報・商談履歴・営業活動・問い合わせ対応などを一元管理できる点にあります。
営業、マーケティング、カスタマーサポートなど、部門をまたいだ情報の可視化が可能となり、組織全体で顧客対応の質を高められます。
また、Salesforceは用途に応じた多様な製品群を提供しており、代表的なものとして以下のようなものがあります。
- Sales Cloud(営業支援)
- Service Cloud(カスタマーサポート)
- Marketing Cloud(マーケティング)
- Commerce Cloud(ECサイト) など
すべての製品がクラウド上で動作するため、ネット環境があれば場所を問わず利用でき、柔軟な働き方やリモートワークにも対応しています。
全社で顧客情報やお問い合わせ対応履歴をリアルタイムで共有でき、業務の属人化を防ぎながら、営業効率の向上や顧客満足度の改善を期待できる点が大きな特徴です。
Salesforceの導入メリット
Salesforceのおもな導入メリットは以下の通りです。
- 業務の属人化を防ぎながら、営業・マーケティング・カスタマーサポートなどの業務を一元管理できる
- 営業活動の可視化と自動化により、リードの発掘から商談管理、成約までのプロセスを効率化できる
- リアルタイムでKPIや売上データを把握できるダッシュボード機能を活用すれば、迅速な意思決定が可能となる
- 高い拡張性と柔軟なカスタマイズ性により、自社の業務プロセスや体制に応じた機能追加が可能 など
Salesforceは、企業全体の業務改善と顧客満足度向上を支える包括的なプラットフォームとしてのメリットが多い製品です。
Salesforceの使い方とは?主要機能や便利な機能までまとめて紹介
Salesforceが定着しない状況とは

Salesforceは多機能かつ柔軟なCRMツールである一方で、導入しただけでは十分な効果を発揮できないケースも少なくありません。
特に中長期的な活用が定着しないまま、現場で形骸化してしまう状況は多くの企業で共通する課題となっています。
ここでは、Salesforceの活用がうまく定着しない原因を3つの視点から整理し、それぞれの問題が現場にもたらす影響を解説します。
データ入力がされない
Salesforceが現場に定着しない要因として、多く見られるのが「データ入力がされない」状況です。
現場でデータ入力が進まない要因とその背景は以下の通りです。
| 要因 | 背景 |
| 入力項目が多すぎる | 顧客情報、商談内容、活動履歴などをそれぞれ別の画面で入力する必要がある場合、日々の業務に追われるなかで「後回し」や「未入力」の状態が常態化しやすくなる |
| 入力によって得られるメリットが実感できない | 営業活動そのものへの貢献が感じられない状況であれば、入力のモチベーションが続かなくなる |
| 既存の業務フローに組み込まれていない | Excelやチャットツールなど従来の手法に頼り続けていると、新しいツールは「使わなくても困らないもの」として扱われやすくなる |
| 入力ルールが統一されていない | 企業名の表記揺れや必須項目の漏れが頻発すると、入力されたデータが正しく活用されず、「どうせ入力しても意味がない」などの意識が生まれる |
「データ入力がされない」状況は、ツールそのものの機能不足というよりも、導入後の運用設計や現場とのコミュニケーション不足によるものが大きい場合があるため、それに対する対応が必要です。
データの活用がされない
Salesforceにデータは蓄積されているものの、それが現場で適切に活用されないケースも少なくありません。
データの活用が進まない大きな理由の一つが、データを蓄積する目的が曖昧になっている場合がある点です。
組織文化として「データドリブンな意思決定」が根付いていないと、たとえ高品質なデータが入力されても、それが単なる入力作業に留まり、活用に結びつきません。
特に日本企業では、経営層が率先してデータを使いこなす仕組みが不十分であることが多く、結果として現場にもその習慣が一般化しないケースがあります。
また、Salesforceの標準機能だけに頼りすぎると、本来活用できるはずのデータも宝の持ち腐れとなる可能性が否めません。
例えば、高度な分析やAI活用には準備された前提と活用設計が必要であり、単に導入するだけでは効果が出ない場合もあります。
設定の変更や改善がされない
Salesforce導入後に運用が定着しないケースで頻繁に見られるのが、「設定の変更や改善がされない」問題です。
多くの企業では、導入時に設定やカスタマイズを一次設計に頼りすぎた結果、現場の細かな業務変化に対応できず、その後の改善が難しくなります。
その一因としては、導入後に現場ヒアリングやレビューを継続的に実施する仕組みが整っていないことが挙げられます。
また、設定変更には部署横断的な調整が必要となり、既存フローとの違いへの抵抗感や、役割責任が曖昧である点から実行が進まないケースも少なくありません。
特にSIerや外部ベンダーに運用全体を丸投げした場合、自社の判断速度が落ちて改善サイクルが停滞し、結果的に現場が使う機能が古くなり放置されてしまう傾向があります。
設定や機能改善がされない背景には、現場ニーズを捉えた検討の仕組み不足、自社内での運用監視体制の未整備などの構造的な問題が複数存在する場合が多いといえます。
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Salesforceが定着しないと起り得ること

Salesforceを導入しても社内に定着しない場合、最も大きな課題となるのは「信頼できるデータが蓄積されない」点です。
入力ルールが徹底されていなかったり、営業担当者の入力頻度が低かったりすると、システム上に表示される情報の信頼性が担保されません。
その結果、営業会議での商談進捗や予測管理、KPI分析が機能せず、データドリブンな判断ができなくなります。
また、定着しない状況では、売上向上や営業効率化といったSalesforce導入本来の目的も果たせません。
ツールとして優れていても、実際の運用が現場に浸透していなければ、業務改善どころか、従来よりも工数が増えたと感じられてしまう可能性すらあります。
さらに、蓄積されたデータを活用する分析や施策立案ができないため、マーケティング施策やフォローアップの精度も下がり、機会損失にもつながります。
そして深刻なのは、導入コストに見合う成果を生み出せない状態による投資対効果の低下です。
Salesforceはユーザ単位で月額課金されるため、利用者が増えるにつれてライセンス費用がかさみます。
利用が進んでいない部署や個人にまでライセンス料を支払っている状態が続くと、経営層からの理解や継続的な投資判断が得られなくなり、「高コストなツールを導入しただけ」という結果に陥る可能性があります。
Salesforceが定着しないと、企業は「データ活用の機会損失」「費用対効果の悪化」「現場の疲弊」という三重苦に陥る可能性があり、かえって作業効率が下がり、損失が膨らむだけとなりかねません。
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Salesforceが定着しない理由

Salesforceは高機能かつ柔軟なCRMツールである一方で、導入しただけでは思うように定着しないケースも少なくありません。
現場で活用されない原因は、単なる「使いにくさ」よりも根本的な問題に起因しているケースがあります。
ここでは、Salesforceがなぜ現場に定着しないのか、その代表的な理由について掘り下げて解説します。
作業項目が多いから
担当者がSalesforceに不満を持つ大きな理由の一つは、入力する作業項目が多すぎて負担が増えてしまう点にあります。
Salesforceでは取引先や商談、活動履歴など多くのオブジェクトへの詳細入力が求められ、結果として日常業務以上にデータ入力に時間と手間がかかる場合があるのが欠点です。
また、Salesforceの入力項目に関する欠点があるなかで、管理者が入力項目を過度に設定すると、必要性が不明な情報まで入力対象となり、担当者の「Salesforce離れ」が加速するおそれもあります。
作業項目が多い点でSalesforceが現場に根付かない理由は、システム設計時に現場との合意形成が不十分であることと、負荷軽減を考慮しない導入設計にあるといえます。
運用体制が不十分で操作方法が不明だから
Salesforceが現場に定着しない原因には、運用体制が整っておらず、操作方法が不明確である状況も挙げられます。
導入後に「誰が」「何を」「どのように」サポート・運用すれば良いかが明確でないと、現場は混乱し、不安感から利用が進まなくなります。
また、導入時に現場の声を反映せずに進めると、操作感や利用の目的が「上層部の都合」として現場には伝わらず、社員の主体性を引き出せず、意欲的に理解を進めようとする風潮も醸成されません。
現場のSalesforceに対する心理的な障壁を取り除いて定着を促すためには、社員一人ひとりの「セルフオンボーディング」を推進できる体制の構築が効果的です。
社員一人ひとりのセルフオンボーディングを促すための施策を講じられるDAPツールが「テックタッチ」です。
テックタッチについては次項にて詳しく紹介します。

操作方法を表示させ、利用者の疑問を解消するテックタッチ

Salesforceが定着しにくい大きな要因の一つが、操作手順に対する理解不足です。
利用者の疑問を解消し、定着率を向上させられるのがDAPツールの「テックタッチ」です。
テックタッチは、リアルタイムで操作ガイドやツールチップを画面上に表示し、ユーザが迷わず正しい操作を行えるよう支援できます。
また、Salesforce向けには「Techtouch for Salesforce」を提供しており、Salesforceの利活用を促進できるように最適化された機能を利用できます。
さらに、操作ガイドのテンプレート化やユーザ属性に応じた表示切り替え機能もあり、立ち上げ後の運用や改善作業も容易に行えるのも特長の一つです。
ユーザが迷わずにSalesforceでの必要な操作を理解できる環境を提供し、結果的にデータ品質の向上と定着化促進に繋がるのがテックタッチの強みです。
Salesforceの定着を実現する方法

Salesforceを導入しても、現場で活用されなければ本来の効果は発揮されません。
定着化を成功させるためには、単なるシステム導入にとどまらず、現場の理解・共感・継続的な運用改善を含めた「定着のための戦略」が必要です。
ここでは、Salesforceを現場に根付かせ、日々の業務に自然と組み込まれるようにするための具体的な方法を5つの視点から解説します。
また、SFAを活用定着に導く最新手法についてテックタッチから無料でダウンロード可能な資料も提供しておりますので、ご興味のある方はぜひ以下のリンクからお問い合わせください。
利用者の理解と共感を得る
Salesforceを現場に定着させるためには、「自分たちにとって有益なツールだ」と誰もが納得できる環境づくりが大切です。
多くの企業では、導入段階で経営層や管理者だけが目的を語り、現場との共感形成が不足しているケースが見られます。
その結果、ユーザはSalesforceを「上司の指示で使わされるもの」と捉え、自分たちの業務改善には結びつかないと感じてしまい、主体的な活用が期待できなくなっています。
利用者の理解と共感を得るために強調すべき点が、具体例や実際の機能などを元にしたメリットで、例えば以下のような項目を説明すると理解と共感を得やすくなります。
- 営業活動の「見える化」が進められるため、自分がどの案件に注力すべきかが明確になる
- 顧客情報や過去のやり取りが一元化され、引き継ぎやチーム間の連携がスムーズになる
- 入力した活動履歴が自動的にレポートに反映されるため、報告書作成の工数が削減される
- モバイルアプリを使えば、外出先からでも案件進捗や顧客情報にすぐアクセスできる など
上記のような業務上の「負担軽減」や「成果向上」に直接結びつくメリットを伝えると、Salesforceを「有益なソリューション」と認識を持たせられるようになるでしょう。
段階的な導入と試験運用を実施する
Salesforceの定着を図るには、いきなり全社展開するのではなく、まずは小規模な試験導入から開始し、段階的に範囲を広げる「フェーズ導入」が非常に効果的です。
まず初期段階では、最も変化に前向きなチームや部門でまず導入し、業務フローや運用プロセスを確認します。
実運用に近い状況で利用して得られるフィードバックをもとに、項目設計や画面UI、ガイドラインなどを調整すると、導入後の本展開にむけた改善を重ねられます。
そして、部門横断でのロールアウト計画を策定し、進捗を可視化しながら導入を進めれば、一斉展開よりも高い定着率が実現可能です。
段階導入は、リスクを最小化するだけでなく、ユーザにとっても負担が少なく、導入への心理的抵抗が低いのがメリットです。
使い慣れたチームで改善を重ねながら、徐々に範囲を拡大すると、現場の納得感と導入スピードのバランスがとれた定着プロセスを構築できます。
利用者へのサポートを行う
Salesforceの定着を確実に進めるには、利用者へ向けた継続的かつ包括的なサポート体制の整備が不可欠です。
利用者への効果的なサポート体制の例は以下の通りです。
- 現場常駐のサポートデスクやヘルプ窓口の設置
- 操作マニュアルやチュートリアル動画、FAQ集などのリソースを用意する
- 専任の支援チームや現場リーダーなどによるOJTを実施
- 定期的な研修を開催 など
上記のサポート体制を整備すれば「困ったときにすぐ聞ける安心感」や「自分で調べて使える安心感」が利用者に生まれ、Salesforceが日常業務に自然と組み込まれる環境が整います。
利用者からのフィードバックを反映する
Salesforceを現場の定着には、導入後も利用者の声を継続的に吸い上げ、それをシステムや運用に反映する仕組みも必要です。
まず、定期的にアンケートやインタビューなどを実施し、操作上の不便さや機能改善要望などを収集しつつ、Salesforce上の各種データと合わせて分析すれば、改善の優先順位が明確になります。
そして、優先順位をもとに改善アクションを実行し、その進捗を可視化すると、利用者に改善が反映されている実感を与えられます。
利用者からの声を「反映する」「公表する」「評価する」という一連のプロセスに活用する施策が、Salesforceの定着率を向上させるのに効果的です。
成功体験の共有
組織のSalesforce定着化に効果的なのが、現場で生まれるポジティブな成功体験の共有です。
具体的な成果が見えると、まだ利用に迷っているメンバーにも「使ってみよう」「こう使えばいいのかも」と感じてもらいやすくなります。
また、定着率や生産性、成約率などの定量指標を可視化し、社内報告で共有すると、利用メリットを実証的に理解してもらえます。
さらに、Salesforceを用いた成果を反映した簡単な報奨制度や表彰制度を設け、成功体験を発表したメンバーを社内で評価する取り組みも行うと、意欲的に活用しようとする利用者の増加が期待できるでしょう。
Salesforce定着化を成功させた事例

Salesforce定着化にDAPツールの「テックタッチ」が採用されたのが、株式会社三菱UFJ銀行様の事例です。
株式会社三菱UFJ銀行様は、営業支援体制の強化を目的として、新たに導入を検討しているCRMツール「Salesforce Financial Services Cloud」で、テックタッチを採用されました。
今後はテックタッチを活用し、操作負担の軽減など、さらなる活用についても検討していく方針とのことです。
詳しいプレスリリースは以下をご覧ください。
三菱UFJ銀行、新規導入のSalesforceに「テックタッチ」を採用
まとめ:Salesforce定着には戦略的なユーザー支援が鍵

Salesforceの定着を成功させるには、導入すれば終わりではなく、戦略的にユーザを支援する仕組みの構築が欠かせません。
ユーザへの支援で効果的な施策の一つが、セルフオンボーディングを促進させてシステムの利活用を円滑に行えるように環境を整える手法です。
セルフオンボーディングでSalesforceの定着を実現するのに役立つのが、DAPツールの「テックタッチ」です。
テックタッチは、Salesforceの画面上に「次に何をすればいいか」をリアルタイムに表示して、ユーザが自ら学びながら操作を進められる環境を構築します。
研修に頼るだけでなく、日々の業務の中で迷いをなくし、わからないから使わないを根本からなくすのがテックタッチの強みです。
また、テックタッチはノーコードで導入・編集が可能なため、現場の変化に合わせてガイドを柔軟に更新でき、運用負荷も最小限に抑えられます。
Salesforceの効果を最大化するには、システムそのものだけでなく、「現場で自然に使い続けられる環境」の整備が不可欠です。
テックタッチはその中核を担うツールとして、特にSalesforce導入後の定着に課題を感じている企業様におすすめです。



