自治体における財務会計システムの市場シェアの状況とは?導入事例も解説

DX

限られた人員で多様な行政サービスを提供する自治体にとって、財務会計のデジタル化は避けて通れない課題です。
そこで、自治体における業務の効率化や透明性の確保を支える基幹システムとして、「財務会計システム」の導入が全国で進んでいます。
財務会計システムを導入する際には、市場シェアや導入事例などを参考にし、最適なものを選ぶ必要があります。

本記事では、財務会計システムの市場シェアの現状や代表的な導入事例を通じて、システム選定時に押さえるべきポイントをわかりやすく解説。
さらに、導入した財務会計ツールをより使いやすくするために役立つDAPツールの「テックタッチ」についても併せてご紹介します。

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自治体の財務会計システムとは

自治体の財務会計システムとは

自治体の財務会計システムは、地方自治体における予算編成、執行、決算、出納、伝票起票、照査など一連の財務・会計業務を支援する統合的な情報システムです
単なる会計処理にとどまらず、予算や決算の情報を活用した行政評価や資産管理にも深く関与しています。
おもな特徴は以下の通りです。

  • 一般会計・特別会計問わず一貫して書類作成・管理をサポート
  • 発生主義・複式簿記への対応により、制度改正に合わせて貸借対照表などの作成、統一基準による公会計書類出力が可能
  • 計画・予算立案から執行、決算、行政評価までを一体化
  • 台帳・資産管理との連携が可能
  • ペーパーレス運用やDX化を推進できる など

自治体の財務会計システムは、財務会計だけでなく資産・契約管理や政策立案、行政評価に至るまで全局面を情報技術で支援し、効率的かつ透明性ある運営を後押ししています。

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自治体における財務会計システムの市場シェア

自治体における財務会計システムの市場シェア

自治体の財務会計システムには、2015年から地方公共団体情報システム機構(J‑LIS)が無償提供していた「地方公会計標準ソフトウェア」が広く利用されていました。
しかし、地方公会計標準ソフトウェアは2022年3月31日までサポート事業が継続されていましたが、2025年現在は無償提供もサポートも終了しています。
現状は、地方公会計標準ソフトウェアの無償提供・サポートの終了に伴い、多くの自治体が対応を迫られ、民間ベンダー製システムへの移行を進めている状況です。
市場シェアの割合としては、システムディの「PPP(後継Ver.5)」および「Common財務会計システム」が半数以上を占めています。
なお、詳しい自治体ごとの導入事例は記事後半の「自治体の財務会計システム導入事例」でご紹介します。

自治体が財務・会計システムを導入するメリット

自治体が財務・会計システムを導入するメリット

自治体業務の高度化・複雑化が進むなか、財務・会計システムの導入は、単なる業務の電子化を超えた戦略的な投資となりつつあります。
紙やエクセルによる煩雑な処理から脱却し、業務の効率化やガバナンス強化、住民への説明責任の遂行に至るまで、財務・会計システムが果たす役割は多岐にわたるのが現状です。
ここでは、自治体が財務会計システムを導入して得られるおもなメリットを3つの観点から解説します。

会計処理の迅速な対応ができる

財務・会計システムを導入すると、日常業務の中で起票・伝票入力・報告用資料の作成など、繰り返し発生する会計業務を定型文やテンプレートとして保存・呼び出しできるようになります。
例えば、ある小規模自治体向けの財務会計システムでは、「予算書説明文」や「決算書説明」などの定型文を事前に登録し、必要に応じてカスタマイズして使える機能が利用できます。
財務会計システムの会計処理に関する自動化機能により、伝票処理時間の短縮 ・入力ミスや承認遅れの削減 ・職員の負荷軽減などの財務経理業務全体の業務効率化が実現可能です。

制度変更に伴う処理方法の変更に即対応できる

自治体の会計制度は、国の方針や法改正により定期的に見直されるため、それに迅速に対応できる体制が求められますが、財務会計システムを導入していれば、制度変更にも柔軟かつスピーディに対応可能です。
民間ベンダーが提供する多くの自治体向けシステムでは、制度改正に対応したバージョンアップが随時行われており、手動での設定変更や帳票の作り直しなどの煩雑な作業を最小限に抑えられます。
制度対応の具体例として挙げられるのが、「新地方公会計制度」です。
2006年に総務省が導入を進めたこの制度では、従来の単式簿記・現金主義から、複式簿記・発生主義への移行が求められ、多くの自治体が従来の処理方法を抜本的に見直す必要に迫られました。
その際にも、財務会計システムを活用している自治体では、複式簿記の自動仕訳機能や統一様式に対応した帳票出力機能などにより、スムーズに対応できました。
新地方公会計制度の例からも、財務会計システムは制度変更への即応性にも優れているといえます。

財政・経営状況をリアルタイムで把握できる

財務会計システムの導入によって、自治体は財政状況をリアルタイムで可視化できるようになります。
財務会計システムでは、データが伝票起票の段階から即時に反映され、タイムリーな財務諸表が自動的に生成できる機能が搭載されており、この機能により可視化が実現できます。
そして、リアルタイムでの可視化により、職員は「今、どの事業に、どれだけの予算が残っているか」を随時チェックでき、当初想定とのずれを早期に察知して対策や補正を柔軟に検討可能です。
予算オーバーや未消化予算などの状況をタイムリーに把握して、財政運営の健全性と戦略的意思決定の精度が格段に向上させられるのも財務会計システム導入のメリットの一つです。

人的ミスの軽減

財務会計システムの導入は、自治体業務における人的ミスの軽減にも大きく貢献します。
従来の手作業による伝票起票や集計、紙帳票の照合作業などでは、転記ミスや入力ミス、確認漏れといった人為的なエラーが発生しやすいのがデメリットの一つです。
しかし、システム化を実現すればエラーの起きやすい人力での作業が自動化され、ミスの発生リスクを大幅に抑えられます。
また、請求書や伝票などを自動で読み取るOCR機能や、定型業務を自動処理する自動化ツール(RPA)との連携により、エラーのみならず人的な負担も削減する効果も期待できます。
財務会計システムの導入により、限られた職員体制でも安定した会計運用が可能となり、行政運営全体の品質向上も実現できるでしょう。

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自治体が財務会計システムを選定するときに注意するポイント

自治体が財務会計システムを選定するときに注意するポイント

財務会計システムは、単に高機能であればよいというものではなく、自団体の規模や体制、将来的な運用方針に合致したシステムを選定しなければなりません。
導入後に「使いにくい」「想定以上にコストがかかる」「セキュリティに不安がある」などの問題が生じないよう、事前に確認しておくべきポイントは多岐にわたります。
ここでは、システム選定時に特に注意すべき3つの観点について解説します。

導入運用コストの費用対効果を検討する

財務会計システムの選定時には、初期導入費用だけでなく、運用保守費や教育、環境整備費などを含むトータルコストを踏まえ、費用対効果を慎重に分析する必要があります。
また、費用対効果の評価では、以下の定量・定性の観点からの成果も具体的に試算するようにしましょう。

  1. 導入による職員負荷軽減度合い
  2. 資料作成の工数削減、支出抑制効果 など

上記に加え、システムの導入形態や機能範囲の設計も費用に大きく影響するため、優先度の高い機能から段階的に導入する「スモールスタート」方式が費用対効果の測定にも効果的です。

システム学習の体制を構築する

財務会計システム導入の成否は、職員がどれだけスムーズに新しい仕組みを使いこなせるかに大きく左右されます。
操作に不慣れな業務担当者がつまづいたまま進めず、定着しない事態を防ぐためには、導入前から学習体制の設計と支援体制の構築が不可欠です。
まず重要なのが、対象者と目的に応じた研修プログラムの設計です。
全庁向けの基礎操作研修だけでなく、管理職や担当グループごとの専門研修、さらに運用開始後の追加教育も視野に入れて、段階的かつ体系的に計画を組むようにしましょう。
また、研修は単なる説明会に留まらず、ハンズオン形式や実運用を想定したトレーニングを取り入れると効果的です。
研修で本番と同様の環境で操作を体感できれば、学んだ内容が実際の業務に直結しやすくなります。
さらに、運用開始後にはサポートデスクやFAQの整備、オンラインでの問合せ対応、定期的なフォローアップ研修など、継続的な学習支援体制を構築すれば、システムの定着率を向上させられます。

セキュリティ体制の確認をする

自治体の財務会計システムは、住民の税情報や予算・支出など重要な財務データを取り扱うため、高度かつ多層的なセキュリティ体制が求められます。
セキュリティ体制の確認の際にチェックすべきポイントは以下の通りです。

  1. 選定するシステムが既存のネットワーク構成に対応しているか
  2. アクセス制御・監査ログ・二要素認証などの認証・認可機構が整備されているか
  3. 定期的な脆弱性診断・監査機能の有無
  4. 国際的なセキュリティ規格認証を取得しているか
  5. ベンダーに運用支援体制が整っているか など

上記のポイントをもとにしてセキュリティ面で堅牢な体制が整えられているかを評価し、導入を検討しましょう。

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自治体の財務会計システム導入事例

自治体の財務会計システム導入事例

ここでは、各自治体の財務会計システム導入事例を紹介します。
各自治体の導入理由・運用体制などを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

静岡県磐田市

静岡県磐田市では、導入していた財務会計システムのサポート終了に伴った新システムの導入に併せて定着を促進させられるDAPツールの「テックタッチ」も導入しました。
おもな内容は以下の通りです。

項目 概要
導入システム
  • 財務会計システム「FAST 財務会計」
  • テックタッチ
課題
  • 既存システムの保守サポート終了に伴う更新が必要
  • 職員の操作ミスや問い合わせ件数の多さ
  • 管理部門や現場への導入負担が大きい
施策
  • 高機能なパッケージシステム導入によるカスタマイズ・開発費抑制(FAST 財務会計)
  • デジタルガイドによるノーコード操作支援導入(テックタッチ)
  • 職員自身による柔軟な運用ルールの反映(テックタッチ)
成果・効果 ・職員による誤入力の抑制、問い合わせ・差戻しの大幅減(テックタッチ)
・年間12万件の伝票業務効率化(FAST 財務会計)
・全国初の自治体バックオフィスDAP導入の先進事例(テックタッチ)

磐田市における「FAST 財務会計」の利用・定着の促進に役立ったのが、DAPツールの「テックタッチ」です。
テックタッチについては次項にて詳しく解説します。

財務会計システムを最適化するDAPツール

財務会計システムを最適化するDAPツール

財務会計システムの導入・更新では、システムそのものの機能だけでなく、「使いこなせるかどうか」も大きな課題となります。
特に自治体では、事務経験やITスキルに差がある多様な職員が利用するため、操作ミスや問い合わせ、差戻しの発生が避けられません。
財務会計システムを最適化し、定着率を上げるのに効果的なのがDAPツールの「テックタッチ」です。
テックタッチは、利用者が実際の画面操作中にポップアップやガイドで手順をナビゲートして、「次に何をすればいいか」がひと目でわかる直感的な支援を実現できるツールです。
前述した静岡県磐田市の例では、財務会計システム「FAST財務会計」の更新に併せてテックタッチを併用導入。
結果として、操作時のリアルタイム支援により職員の誤入力や操作ミスを大幅に抑制し、問い合わせや差戻しの件数も大幅に減少しました。
また、テックタッチの導入はプログラミング不要で既存システムにも柔軟に対応可能なため、カスタマイズ費用や開発コストをかけずにDX推進できるのも大きな魅力です。
財務会計システムの最適化を目指す自治体にとって、テックタッチのようなDAPツールは「ただ導入する」から「確実に使いこなす」への転換を可能にする有益なものといえます。

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苫小牧市

2020年に、苫小牧市では財務会計システムに「IPKNOWLEDGE財務情報システム」を導入しました。
おもな内容は以下の通りです。

項目 概要
導入システム IPKNOWLEDGE 財務情報システム
課題
  • 紙による決裁が非効率で、ステータス確認や案件完了まで時間を要していた
  • 支払伝票の保管・検索に時間がかかり、会計検査時の対応が煩雑だった
施策
  • 標準パッケージを活用し、カスタマイズを極力減らして導入
  • 支払伝票の明細入力を省略、必要最低限の書類のみスキャン添付
  • 電子決裁・電子化による業務見直しと省力化の徹底
成果・効果
  • 支払業務の電子決裁率100%を達成
  • 伝票検索・管理業務の負担が大幅に軽減
  • リモートワーク体制を実現、ペーパーレス推進

苫小牧市の事例は、業務の標準化とペーパーレス化を推進する施策を財務会計システムで実現できたものといえます。

京都府

京都府が委託していた京都府下の6町を対象とした大規模な合併プロジェクトに伴うシステム開発において、委託先が新たな帳票開発ツールとして「シーオーリポーツ」を採用し開発に成功しました。
おもな内容は以下の通りです。

項目 概要
導入システム 帳票開発ツール「シーオーリポーツ」
課題
  • 市町村合併に伴う帳票仕様の違いと高品質な帳票開発の非効率性
  • 外字対応、PDF出力対応、Delphiとの互換性といった技術的課題
  • 海外製ツールに対するサポート面の不安
施策
  • 国産の帳票開発ツールを調査・比較し、機能・コスト・サポート面で要件を満たす「シーオーリポーツ」を採用
  • 無償貸与で試用検証を行った後に導入決定
  • Web対応や印刷パフォーマンスも含めて最適化
成果・効果
  • 帳票開発期間が1週間から2〜3日に短縮
  • PDFや外字対応、Web表示の性能も向上
  • 開発生産性の向上と運用コストの低減を実現

京都府が委託した開発の事例は、開発を円滑にするシステムの導入により、生産性とシステムの質が大幅に向上できたものといえます。

兵庫県多可郡多可町

兵庫県多可郡多可町では、2023年に「BtoBプラットフォーム 請求書」を導入し、財務会計システムと連携させることでさまざまな成果を得られました。
おもな内容は以下の通りです。

項目 概要
導入システム BtoBプラットフォーム 請求書
課題
  • 支払調書や請求書の紙処理に多くの手間と時間がかかっていた
  • 事業者にも郵送・印刷・封入などの負担がかかっていた
施策
  • 電子決裁→財務会計システム→電子請求書と段階的に導入
  • 事業者向け説明会を開催し、紙と電子の併用を許容
  • 財務会計システムと電子請求書システムを自動連携
成果・効果
  • 請求書の処理状況が可視化され、支払漏れを防止
  • 手作業が不要になり、業務が大幅に効率化
  • 郵送・印刷コストの削減と保管業務の負担軽減を実現

多可町の事例は、財務会計システムに電子請求書システムを連携させることで、さらに利便性を高め業務効率化を実現できたものといえます。

千葉県習志野市

千葉県習志野市は、市が定期的に支払う項目について、債権者からの請求書を省略し、指定された口座に自動的に振り込む「定期支払制度」を2023年から開始しました。
おもな内容は以下の通りです。

項目 概要
導入システム TASKクラウド
課題 請求書処理の事務負担が大きく、支払業務に手間と時間がかかっていた。
施策
  • 近隣市の視察を行い、定期支払制度の運用を具体的に把握
  • 視察結果をもとにTKCにシステム改善を提案し、機能強化(支出負担行為後の定期支払登録、自動起票機能)を実装
成果・効果
  • 支出命令伝票の自動起票により、職員の業務負担が軽減
  • 記載要件の確認や請求書添付が不要になり、審査の効率化を実現
  • ダブルチェック体制によりミス防止も強化。

習志野市の事例は、財務会計に関する新制度にTASKクラウドをうまく活用して、新制度を円滑に施行できたものといえます。

公務員の働き方改革とは?官公庁や自治体の事例をご紹介

まとめ

まとめ

自治体の財務会計システム導入においては、業務の効率化、正確性の確保、制度改正への柔軟な対応などが重要な要素として挙げられます。
記事内で紹介した導入事例のような運用を実現するためには、財務会計システムの利便性・定着率の向上を支援できる「テックタッチ」の導入がおすすめです。
テックタッチは、職員や関係者の操作ミスを防ぎ、画面上でガイドを提示することで誰もが迷わず使える環境を構築できるDAPツールです。
また、テックタッチはノーコードでガイドを更新できるため、現場の変化や制度改正への対応も迅速に行えます。
自治体におけるDXの推進は、ハード面の導入だけでなく、日常業務へのスムーズな組み込みと運用の成熟が欠かせません。
財務会計システムとテックタッチのようなDAPツールを併用すれば、導入後の課題を最小限に抑えつつ、自治体全体の業務品質と住民サービスの向上を実現できるでしょう。

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