公務員のテレワークの課題と導入へのステップ

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人口減少による人手不足、業務の高度化、そして感染症対策や災害時の事業継続などの課題を抱える行政現場において、テレワークはもはや一時的な「特例対応」ではなく、持続可能な行政サービスを支える「新しい標準」です。
しかし、セキュリティ要件や制度設計の複雑さ、組織文化の硬直性など、公務員ならではのハードルが立ちはだかり、本格導入に踏み切れない自治体や省庁も少なくありません。
そこで本記事では、公務員のテレワーク推進がなぜ急務なのかを整理したうえで、現状で顕在化している課題を具体的に解説します。

また、導入ステップを段階的に示した上で、実際に導入を進めている自治体・中央省庁の先行事例も紹介します。
さらに、記事内ではテレワークに関する新システム導入時に役立つ支援ツールの「テックタッチ」についてもご紹介。

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目次

公務員のテレワーク制度の概要

公務員のテレワーク制度の概要

国家公務員におけるテレワーク制度は、柔軟な働き方の実現や業務の継続性確保、ワークライフバランスの向上を目的として導入が進められています。
特に新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、その重要性が再認識され、制度の整備が加速しました。
そして、2024年3月には内閣官房内閣人事局と人事院が「国家公務員におけるテレワークの適切な実施の推進のためのガイドライン」※を策定しました。
このガイドラインでは、テレワークの基本的な考え方や実施方法、勤務時間の管理、ハラスメント対策、費用負担の在り方などが明示されています。
テレワークの実施にあたっては、職員の希望や申告を前提とし、業務運営上の支障がない限り、職務命令により実施されます。

また、勤務場所は自宅に限定されず、サテライトオフィスや民間のテレワーク施設、実家、宿泊施設なども含まれているのが特徴の一つです。
今後も、テレワーク制度のさらなる充実と定着を図って国家公務員の働き方改革を推進し、持続可能な行政サービスの提供を目指していく施策が求められています。

※概要:https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/guideline_gaiyou_2.pdf

※本文:https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/guideline_honbun.pdf

公務員におけるテレワークの3つの種類

公務員におけるテレワークの3つの種類

公務員のテレワークには、勤務場所や業務形態に応じた複数のスタイルが用意されています。
業務の特性や個々の事情に合わせて柔軟に選択できる点が、テレワーク制度の大きな特長です。
ここでは、国家公務員向けに定義されているテレワークの代表的な3つの種類について、それぞれの概要と特徴を解説します。

公務員におけるテレワークの3つの種類

在宅勤務

在宅勤務は、自宅・実家などの通常の勤務官署とは異なる場所で、ICT(情報通信技術)を活用して業務を遂行する働き方です。
在宅勤務を実施する際には、職場勤務と同等の勤務環境の整備が必要です。
例えば、勤務開始・終了時の適時適切な報告、健康管理や安全確保への自律的な取り組み、テレワーク環境下でのハラスメントへの留意などが挙げられます。
また、職場勤務と同様に、勤務時間中は職務への専念が求められます。
職員のワークライフバランスの向上が見込めるのが在宅勤務の大きなメリットの一つです。

モバイル勤務

モバイル勤務は、出張先や外出先、移動中の交通機関内などでPCやタブレットなどのモバイル端末で勤務する形態です。
モバイル勤務を実施する際には、情報セキュリティの確保が重要です。
例えば、公共のWi-Fiを利用する場合は、VPNを活用するなど、通信の暗号化や端末のセキュリティ対策を徹底する必要があります。
また、勤務時間の管理や業務の進捗状況の把握についても、上司との適切な連携や報告体制の整備が求められます。
モバイル勤務は、現場にいる職員が本庁舎にいる職員と迅速にコミュニケーションが取れる点で業務効率化に役立つのが特長です。

サテライトオフィス勤務

サテライトオフィス勤務は、各府省等が設置もしくは民間企業等が運営するサテライトオフィスで勤務する形態です。
サテライトオフィス勤務のおもなメリットは、通勤時間の短縮や業務の効率化、ワークライフバランスの向上などです。
特に、通勤に長時間を要する職員や、育児・介護などの事情を抱える職員にとって、有効な働き方の選択肢となります。
また、災害時や感染症の拡大時など、通常の勤務が困難な状況下でも業務を継続する手段としても活用できます。
今後も、サテライトオフィス勤務のさらなる活用と制度の充実が期待されており、職員の多様な働き方を支援する重要な施策の一つです。

公務員テレワークの推進が必要な理由

公務員テレワークの推進が必要な理由

テレワークの導入は、単なる働き方の選択肢にとどまらず、公務の質や持続性を左右する重要な政策課題です。
少子高齢化による人材不足や社会のデジタル化の進展、さらには災害・感染症といった不確実性の高いリスクが重なるなかで、行政にも時代に即した対応が求められています。
ここでは、公務員におけるテレワーク推進がなぜ不可欠なのか、その背景と目的を3つの視点から整理します。

柔軟な働き方の実現

公務員におけるテレワークの推進は、フレックスタイム制の柔軟化や勤務間インターバル制度の導入と同様に柔軟な働き方の実現に向けた重要な一歩です。
従来の固定的な勤務形態から脱却し、職員一人ひとりのライフスタイルやニーズに応じた働き方を可能にすれば、職員の満足度向上や業務効率の改善が期待されます。

テクノロジーによる行政サービスの向上

公務員におけるテレワークの推進は、行政サービスの質と効率を高める点にも関係性があります。
テレワークの導入を進める過程では、業務のオンライン化やクラウドサービスの活用が不可欠となり、これらが住民に提供するサービスのスピードと正確性も向上させられる要因となります。
例えば、文書管理、決裁、申請受付といった日常業務を電子化・自動化すれば、職員の事務負担を軽減し、迅速かつ正確な対応が実現可能です。
テレワークの推進は単なる働き方改革にとどまらず、行政の効率性・透明性・信頼性を底上げするテクノロジー導入のきっかけとしての意味合いもあります。

緊急時でも止まらない行政機能

災害や感染症の拡大といった緊急事態においても、行政サービスの継続は住民の生活と安全を守る上で不可欠です。
テレワークの推進は、非常時における行政機能の維持・強化に直結する重要な施策と位置づけられています。
特に、コロナ禍のような出勤が難しい場合や、災害時に庁舎が被災した場合でも、職員が自宅や他の安全な場所から業務を遂行できるようになれば、行政サービスの中断を最小限に抑えられます。
また、テレワークの推進は、事業継続計画(BCP)の観点からも重要です。
非常時における業務の優先順位の明確化や、必要なICTインフラの整備、職員の役割分担の見直しなど、平時からの準備が求められます。
テレワークの推進は、緊急時における行政機能の維持・強化に寄与するだけでなく、平時からの業務の効率化や柔軟な働き方の実現にもつながる重要な取り組みといえます。

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公務員テレワークの実施状況

公務員テレワークの実施状況

公務員のテレワーク実施状況は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて2020年度から大きく変化しました。
国家公務員においては、2020年度にテレワーク実施可能な職員数が前年度比で12%増加し、58,301人となりました。
また、一人当たりの年間テレワーク実施回数は、前年度の2.7日から49.6日へと約18倍に増加。
地方機関でも、テレワーク可能職員数が前年度比で40%増加して213,871人となり、一人当たりの年間実施回数は0.3日から11.2日へと約37倍に増加しました。

2021年1月から3月の調査では、週に4〜5回テレワークを実施している国家公務員の割合は、管理職で11.0%、非管理職で13.9%でした。
また、週に2〜3回の実施者は、管理職で40.9%、非管理職で53.4%と、週に複数回のテレワークを行っている職員が多くなっています。
一方で、地方公共団体でもテレワークの導入が進んでおり、2022年10月1日の調査では、都道府県・指定都市でのテレワーク導入率は100%となり、市区町村でも49.3%が導入しています。
今後も、テレワークを活用した柔軟な働き方の推進が期待されている状況です。

公務員のテレワーク導入における6つの課題

公務員のテレワーク導入における6つの課題

テレワークは柔軟な働き方を可能にする一方で、公務員の業務に導入するにあたっては、特有の課題も数多く存在します。
特に、法制度や組織文化、業務の特性といった側面からは、民間企業以上に慎重な対応が求められる場合もあり注意が必要です。
ここでは、公務員におけるテレワーク導入を進める上で直面しやすい6つの代表的な課題を取り上げ、それぞれの具体的な内容について解説します。

紙媒体への依存と電子決裁体制の未整備

公務員のテレワーク推進において、紙媒体への依存と電子決裁体制の未整備は大きな課題です。
多くの行政機関では、業務に使用する書類が紙ベースのままで電子化が進んでいません。
そのため、決裁が必要な書類についても上長への決裁・承認を得るために紙資料を回し、押印してもらう必要がある点がテレワークでの業務遂行が困難としています。

また、紙資料の電子化が進んでいない場合、相手先への書類発行を行う際には、印刷・封入・発送・ファイリングを行い、取引資料等を受け取った場合には、仕訳をし所定のファイルに保存する必要があり、これらの作業もテレワークでは対応が難しいものの一つです。
紙媒体への依存と電子決済体制が整っていない状態では、場所に囚われる働き方から脱却できないため、早急な改善が必要といえます。

それぞれの業務状況の把握と評価の難しさ

公務員のテレワーク導入において、職員の業務状況の把握と適切な評価の実施は課題の一つです。
従来の対面勤務では、上司が部下の業務進捗や勤務態度を直接観察できましたが、テレワーク環境ではこれが困難になります。
また、職員自身も業務の進捗や勤務時間を自己管理する必要があり、知らず知らずのうちに長時間労働に陥るリスクも指摘されています。
さらに、テレワーク環境ではチームメンバーとのコミュニケーションが制限されるため、業務上の課題や問題点を共有しにくく、必要な支援を受けるのが難しくなるのも問題点です。

個人情報の保護に対する懸念

公務員のテレワーク導入において、個人情報の保護は極めて重要な課題です。
行政機関が取り扱う情報には、住民の個人情報や機密性の高いデータが含まれており、これらを適切に管理しなければなりません。
一方で、すべての資料やPCなどの持ち出しを禁止すると、テレワークでの業務遂行が困難になるケースもあるため、慎重な判断が求められます。

テレワーク実施が困難な業務の存在

公務員の業務のなかには、住民との対面対応が求められる窓口業務や、現場での立ち会いが必要な業務などは、テレワークでの対応が難しいとされています。
また、以下のような職員の特性がある場合、テレワークの実施が困難と判断されるケースもあります。

  1. 新規採用や異動直後の職員
  2. 病気休職からの復職者
  3. 障害者 など

さらに、日頃の勤務実態や実績から、業務上、緊密な指導および進捗管理が必要と判断される職員についても、テレワークの実施が難しいとされています。
全ての業務や職員に対しテレワークを導入するのは難しいのが現状ですが、今後は業務プロセスの見直しやICTの活用などを通じて、テレワークの適用範囲を可能な限り拡大する対応が求められます。

テレワーク導入に伴う就労規則の変更

公務員がテレワークを導入する際、就労規則や関連条例の見直しが必要となるケースが多く、これが導入の障壁となっています。
多くの自治体では、勤務場所を庁舎内に限定する規定が存在し、これを変更するには条例や就業規則の改定が必要ですが、時間と手間がかかります。
また、国家公務員においても、テレワークを実施するためには、勤務場所や業務遂行方法に関する労働条件の変更が必要です。
仮に労働契約や就業規則に定められた範囲を超えてテレワークを行わせる場合、労働者本人の合意を得るか、合理的な就業規則の変更および周知を行わなければなりません。
さらに、テレワークに対応できるフレックスタイム制や事業場外みなし労働時間制などの柔軟な勤務時間制度の導入も場合によっては必要です。

テレワーク導入に伴うコスト

公務員のテレワーク導入において、初期投資や運用コストの負担も大きな課題です。
特に地方自治体では、限られた予算の中でICT環境の整備やセキュリティ対策を講じる必要があり、導入を躊躇する要因となっています。
テレワーク導入に伴うおもなコスト要因は以下の通りです。

  1. ICT機器とネットワーク環境の整備
  2. アプリやコミュニケーションツール
  3. 職員の教育・研修 など

上記のコスト要因に対しては、補助金・交付金の活用や既存資源の活用、民間企業との協力などの対策を講じる必要があります。

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公務員テレワークの導入を推進していくためのステップ

公務員テレワークの導入を推進していくためのステップ

公務員のテレワーク導入を成功させるためには、単に制度を用意するだけでなく、段階的かつ計画的なプロセスを踏むことが重要です。
業務の実態や組織文化、技術的な制約を踏まえながら、慎重に導入を進めていくと、現場に根付いた実効性のあるテレワークが実現します。
ここでは、自治体や中央官庁がテレワークを円滑に導入・定着させるために踏むべき基本的なステップを5つのフェーズに分けて紹介します。

テレワーク推進に向けた組織体制の整備

公務員のテレワークを本格的に推進するには、制度・設備・マネジメントの3点にわたる組織体制の整備が不可欠です
まずは、テレワーク実施に向けた基本方針やルールを定め、対象業務や実施基準を明確にする必要があります。
その後、必要なICT整備を検討しつつ、文書の電子化やペーパーレス決裁など、業務プロセスの見直しも行う必要があります。

業務内容の把握とテレワーク適合性の検討

公務員のテレワーク導入を効果的に進めるためには、各業務の内容を詳細に把握して、適合性の可否を検討する必要があります。
業務の適合性を評価する際の観点と例は重要です。

観点 適合性が高い業務 適合性が低い業務
業務の性質 情報の収集や分析を主とする
  • 現場での対応が必要
  • 対面でのコミュニケーションが不可欠
情報の取り扱い
  • 機密性の高い情報が少ない
  • 情報を守れる体制が敷ける
  • 機密性の高い情報を扱う
  • 紙媒体での処理が中心

上記の観点で検討すれば、テレワークの導入が可能な業務と、対面での対応が必要な業務を明確に区分し、適切な対応策を講じられます。

テレワークに必要なシステムの導入

公務員のテレワークを安定的に運用するには、ハード・ソフトの両面からICT環境を整備する必要があります。
モバイルPCやVPNなど、安全に庁内システムへアクセスできる仕組みの構築はもちろん、文書管理や業務進捗、職員間のコミュニケーションを支えるツールも欠かせません。
特にチャットやオンライン会議ツールは、組織内の連携を保つために重要であり、導入時には利用ルールやマナー、使用目的を明確にした上で、職員全体に周知する必要があります。

ただ、新システムの早期定着を促す際にはさまざまな課題が発生する場合があり、得てしてスムーズに進まないのが実情です。
そこでおすすめなのが、ユーザのセルフオンボーディングを促進させられる「テックタッチ」です。
テックタッチについては次項にて詳しく解説します。

新システム導入時に早期定着を促すなら「テックタッチ」

新システム導入時に早期定着を促すなら「テックタッチ」

公務員のテレワーク推進に伴い、新たな業務システムの導入を進めると、職員のITリテラシーの差異がシステム定着の障壁となることがあります。
システム定着の障壁を解消し、早期定着を促せるのがノーコードの操作ナビゲーションツール「テックタッチ」です。

テックタッチは、画面上にリアルタイムで操作ガイドを表示し、ユーザが迷うことなく操作を進められる環境を提供できるセルフオンボーディングツールです。
例えば、入力項目のハイライト表示や、よくあるミスの注意喚起など、ユーザの操作を的確にサポートできます。
また、ベンダーに依存せず、職員自身がノーコードでガイド内容を編集・改善できるため、現場のニーズに即した柔軟な対応が可能となり、システムの定着率向上に役立ちます。
テックタッチは、職員のITリテラシーに関係なく、新システムの早期定着を促進し、テレワーク環境下でも円滑な業務遂行を支援できるおすすめのツールです。

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試験的運用と課題の抽出

公務員のテレワーク導入を本格化させる前には、必ず試験的な運用を行い、実際の業務における課題を抽出するようにしましょう。
試験運用を通じて得られた課題から、例えば業務の進捗管理や成果評価の方法、コミュニケーション手段の整備、セキュリティ対策の強化に対する改善策を得られる場合があります。
また、試験運用の結果を職員全体で共有し、成功事例や改善点を組織全体で学ぶ時間を取るのも本格的運用に役立つ重要な取り組みです。

本格的なテレワークの実施

公務員におけるテレワークの本格導入は、試験運用で得られた知見を基に、制度や運用体制を整備し、組織全体での定着を図る最終段階です。
実施段階では、以下の項目を継続的にモニタリングし、改善点が生まれれば解決に向けて随時動く必要があります。

  1. ICT環境
  2. 労務管理
  3. 業務プロセス
  4. 実施状況 など

上記を継続的にバランスよくモニタリングすれば、テレワークの効果を最大限に引き出し、持続可能な行政運営を実現できるでしょう。

公務員におけるテレワークの導入事例

公務員におけるテレワークの導入事例

ここでは、3自治体のテレワーク導入事例を紹介します。

兵庫県神戸市の事例

兵庫県神戸市では、2016年度に実施された庁内アンケートで、「改善を要する業務の存在」や「職場における閉塞感・疲労感」といった課題が多数指摘され、これをきっかけに働き方改革が推進されるようになりました。
取り組みの柱として掲げたのは「多様で柔軟な働き方の推進」と「業務の省力化」であり、テレワークの導入やペーパーレス化、電子決裁といったICTの活用を市長のリーダーシップの基で積極的に推進。

一方で、現場の職員はクラウドサービスの導入や紙資料からの脱却といった具体的な実践を積み重ね、組織全体としての意識改革と業務見直しを行いました。
双方の取り組みの結果、新型コロナウイルスの影響が広がる2020年5月には、全職員のうち約83%にあたる4,000名近くが月1回以上の在宅勤務を実施できるようになりました。
現在も、在宅勤務に付随する課題の対応を図りながら、希望する職員がテレワークを柔軟に利用できる環境づくりを継続しています。

静岡県掛川市の事例

静岡県掛川市では、2017年度より実証実験としてIT部門と連携して旧町村の庁舎にある空き会議室と未使用のPCを活用し、3拠点(本庁・大東支所・大須賀支所)にサテライトオフィスを整備しました。

翌年の2018年には本格導入されたこのサテライトオフィスは、庁内ネットワークが整備され、電話や予約制の貸出PCも利用可能となっています。
サテライトオフィスは、特に通勤負担の大きい職員や育児・介護との両立を図る職員にとって柔軟な働き方を実現する手段として活用されており、すき間時間の業務にも対応可能です。
導入効果としては、通勤・移動時間の短縮や業務効率の向上が挙げられ、経費の抑制にもつながっています。
今後は、在宅勤務と並ぶ柔軟な働き方として、利用拡大と全庁的な周知を進めていく方針です。

長野県松本市の事例

長野県松本市では、2017年の「新情報化基本計画」に基づき、モバイルワークの検証を進めていたため、コロナ禍でのテレワーク導入もスムーズでした。
2020年にはVPN回線やタブレット端末など必要な設備を整備し、情報政策課と総合戦略課を対象に実証実験を実施。
その結果を踏まえて「テレワークガイドライン(在宅勤務編)」を策定し、在宅勤務を制度として本格導入しました。
実施にあたっては、管理職が率先して在宅勤務を行うことで現場の抵抗感を軽減。
また、業務ごとのテレワーク適性を見える化する「担当業務の見える化シート」を活用し、職員自らがテレワーク可能な業務を検討できるようにしました。
「松本市役所版テレワーク・デイズ」では、対象職員1,393名のうち延べ715名が在宅勤務を実施。

アンケートでは8割近くが満足と回答し、時間の有効活用を実感する声も多数寄せられました。
一方で、コミュニケーションの即時性や情報共有の不足、決裁の電子化の必要性などの課題も明らかになり、今後の対応として情報系システムの更新やLoGoチャットの導入が予定されています。

公務員の働き方改革とは?官公庁や自治体の事例をご紹介

公務員テレワーク導入の注意点

公務員テレワーク導入の注意点

公務員のテレワークを効果的に導入・定着させるためには、制度やツールの整備だけでなく、導入時の運用方針やマネジメント面での工夫も欠かせません。
特に、現場の混乱を避けながら着実に浸透させていくには、いくつかの重要なポイントに注意を払う必要があります。
ここでは、テレワーク導入を円滑に進めるために押さえておくべき3つの注意点を紹介します。

在宅勤務以外の選択肢も持つ

公務員のテレワーク導入に際しては、在宅勤務だけに依存せず、業務内容や職員の状況に応じて多様な勤務形態を選択できるようにするのが望ましい対応といえます。
例えば、在宅勤務に加えて、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務などの選択肢を組み合わせることで、柔軟な働き方を実現できます。
多様な勤務形態を導入する際には、セキュリティ対策や通信環境の整備、業務内容の明確化など、適切な制度設計と運用を心がけるようにしましょう。

段階的に導入し、徐々に拡大する

公務員のテレワーク導入においては、全庁的な一斉導入ではなく、段階的なアプローチが効果的です。
まずは、テレワークに適した業務や部署を選定し、限定的な範囲で試行を行うと、実施上の課題や改善点を把握できます。
その後、試行期間中に得られたフィードバックを基に、制度や運用方法を見直し、必要な調整を行って徐々に対象範囲を拡大していくと、スムーズに運用できます。

客観的かつ公平な評価を実施する

公務員のテレワーク環境下における人事評価の客観的かつ公平な実施は、職員のモチベーション維持や組織の信頼性確保のためにも欠かせません。
しかし、対面での勤務と異なり、業務の進捗や成果を直接観察することが難しくなるため、評価の透明性と納得性を高めるための以下の施策が求められます。

  1. 業務の成果だけでなく、プロセスや取り組み姿勢も評価対象とする
  2. 評価者と被評価者との間で定期的な面談やフィードバックを行う
  3. タスク管理ツールや進捗報告システムを導入する など

上記の施策を通じて、テレワーク勤務者とオフィス勤務者との間で評価に差が生じないよう、評価基準の一貫性を保つと、組織全体の信頼性と職員の満足度を向上させられるでしょう。

まとめ:公務員テレワークに向けて、まずは環境整備や組織体制を見直そう

まとめ:公務員テレワークに向けて、まずは環境整備や組織体制を見直そう

公務員のテレワーク導入では、業務のデジタル化や柔軟な勤務制度の整備、そして職員間の円滑なコミュニケーションを支える仕組みが求められます。
ただ、テレワークの推進には、紙媒体への依存や電子決裁体制の未整備、個人情報保護への懸念など、さまざまな課題が存在します。
公務員のテレワーク推進にかかわる課題を解決するのに役立つのが、デジタルアダプションプラットフォームである「テックタッチ」です。
ユーザ数800万人を突破し、DAP市場でNo.1の実績を持つテックタッチは、Web画面上でのシステム利用を促進し、新システムの早期定着を支援できるツールです。
また、テックタッチによりシステム利用の定着が進むと、テレワーク環境下でも円滑な業務遂行が可能となり、行政サービスの質の維持・向上にもつながります。
公務員のテレワーク推進では、テックタッチのようなツールを活用し、環境整備と組織体制の見直しを進めるのが、持続可能な働き方改革の実現への近道です。
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